台湾は越境ECで始めるべきか|代理店・在庫販売との分岐2026
台湾は日本製品の人気が高く、言葉の壁も比較的低いため、越境ECの最初の市場として名前が挙がりやすい国です。Shopeeなら台湾法人なしで出店でき、日本から直送すれば輸入許可や現地の登録手続きも原則として購入者側の話になります。ここまでは多くの解説記事に書かれているとおりです。
ただ、2026年の台湾では、越境ECをめぐる前提がいくつも変わりました。3月には個人輸入の宅配便の通関で、スマホアプリによる事前確認が全面的に求められるようになり、7月には化粧品の製品情報ファイル(PIF)がすべての一般化粧品に義務化されています。一方で、ネット上で広く語られている「免税枠が1,000台湾ドルに下がった」「海外EC事業者は年48万台湾ドルで税籍登録が必要」といった情報は、物販の越境ECには当てはまらないか、そもそも施行されていません。
本記事は、台湾で売りたい日本のメーカー・ブランドに向けて、「越境ECで始めるべきか、それとも代理店を立てて台湾に在庫を置くべきか」という分岐を判断するための材料を整理したものです。越境ECで行けるところまでと、そこから先に進むときに何が必要になるかを、制度・販路・税の順に見ていきます。
本記事のデータについて:制度は台湾の財政部関務署、衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)、財政部の公表資料を優先して確認し、報道は中央社などの記事で補っています。市場データは経済部統計処の公表値と、民間調査機関の推計を区別して記載しています。確認が取れなかった事項は「確認できていない」と明記し、推測で数字を補っていません。制度は改正が続いているため、2026年11月時点の情報として読んでください。
2026年に変わった前提と、よく見る3つの誤情報
2026年に変わった3つのこと

台湾向け越境ECの実務に直接効いてくる変化は、次の3つです。
2026年3月1日:個人が簡易申告で輸入する快遞貨物(国際宅配便・クーリエ)のうち、実名認証で委任するものについて、EZ WAY(易利委)アプリによる「預先確認委任」が全面義務化。購入者が通関前にアプリで確認しないと、税関が申告を受理しなくなった
2026年7月1日:化粧品のPIFが、特定用途化粧品・唇用・目元用などに続いて、すべての一般化粧品に義務化。台湾に在庫を置いて販売する場合は必須
2025年11月21日:福島・茨城・栃木・群馬・千葉の5県産食品に課されていた産地証明・放射性物質検査証明と全ロット検査が廃止され、他の地域の日本産食品と同じ扱いに
いずれも、日本語の解説記事の多くがまだ反映できていない変化です。特に食品の「10都県規制」や「5県の2証明」を前提に書かれた記事は、現在の制度とずれています。
出典:財政部関務署発表(2025年12月)、TFDA公告(2025年11月21日)、中央社報道(2025年11月21日)、化粧品產品資訊檔案管理辦法
よく見る誤情報1:免税枠は1,000台湾ドルに下がった
台湾の個人輸入の免税枠は、2026年11月時点でも「同一便の完税価格2,000台湾ドル以下」のままです。2025年4月の立法院財政委員会で、財政部長が中国などから届く低価格の小包について免税基準を1,000台湾ドルに下げる案を「検討に含める」と答弁し、大きく報道されました。しかし、関税法の改正や施行日を示す公告は確認できていません。報道段階の話が「すでに下がった」と書き換わって広まっているので注意してください。
よく見る誤情報2:年48万台湾ドルを超えたら営業税の税籍登録が必要
これは「境外電商(跨境電子勞務)」と呼ばれる制度の話で、対象は動画配信やアプリなど、電子的に提供するサービスを台湾の個人に販売する外国事業者です。日本から商品を送る物販は対象ではありません。さらに基準額自体も、2025年4月7日から60万台湾ドルに引き上げられています。物販の営業税は、輸入時に税関が購入者から代わりに徴収する仕組みです(後述)。
よく見る誤情報3:経産省の調査で日本から台湾への越境EC購入額がわかる
経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」は、越境ECについて日本・米国・中国の3か国間しか推計していません。2026年10月21日に公表された令和7年度版も同じです。「経産省によれば台湾向けは〇億円」という記述を見かけたら、出典を疑ってください。日本から台湾への越境EC額を示す公的統計は、確認できた範囲では存在しません。
出典:財政部関務署「快遞貨物」通関FAQ(2026年7月8日)、中央社(2025年4月10日・16日)、財政部・中区国税局の公表資料(2025年4月)、経済産業省「令和7年度 電子商取引に関する市場調査」(2026年10月21日)
台湾EC市場と越境輸入の実態
国内EC市場は6,716億台湾ドル、成長は落ち着いた
経済部統計処によると、2025年の小売業のネット販売額は6,716億台湾ドルで、前年比2.8%増と過去最高を更新しました。小売業全体の売上に占める割合は約13.9%です。
コロナ禍のような高成長期は終わり、年数%の伸びに落ち着いています。その分、市場は伸びしろの奪い合いから、シェアの奪い合いに移っています。台湾勢のmomo・PChomeと、Shopee・Coupang・淘宝・Amazonといった海外勢が同じ顧客を取り合っている状態です。民間の推計では、2025年第2四半期のmomoのB2Cシェアは22.7%で、前年同期の24.5%から下がったとされています。
なお、この統計は台湾の小売業者の売上で、海外のECサイトから台湾の消費者が直接買った分(越境購入)は含みません。
出典:経済部統計処、工商時報(2026年1月27日)。momoのシェアは優分析(2025年8月20日)による推計
越境輸入は752億台湾ドル、その9割超は中国・香港発
台湾の消費者が海外から直接買う越境ECも伸びています。民間シンクタンクの未來流通研究所が関務署のデータをもとにまとめた分析によると、2025年の台湾の小口の快遞貨物(宅配便)の輸入は6,510万件(前年比11.4%増)、金額は752億台湾ドル(同14.7%増)で、いずれも過去最高でした。10年前の249億台湾ドルから約3倍で、国内EC市場の11.2%に相当する規模です。
ただし、その中身は中国発が圧倒的です。主な輸入元は中国・香港・韓国・日本・米国の順で、中国と香港だけで9割を超えます。日本は主要な輸入元の一つですが、比率は小さいのが実情です。
ここから言えるのは、日本の中小メーカーが台湾の越境ECで価格勝負をしても分が悪い、ということです。勝ち筋は「日本のあのブランドのあの商品」と指名して買われることにあります。後で触れるとおり、この指名買いが増えてきたときが、越境ECから次の段階に進むサインにもなります。
出典:未來流通研究所「台灣『跨境電商進出口』關鍵數據解析」(2026年3月、関務署データに基づく民間調査機関の分析)、數位時代(2026年3月26日)
最初に決めること:直送型か、台湾在庫型か
台湾で売る方法は、プラットフォームの名前で選ぶ前に、「誰が台湾に輸入するのか」で2つに分かれます。この区別で、かかる規制・税・使える販路がすべて変わります。
直送型:購入者が「自分用に輸入する」形
日本の在庫から、台湾の購入者に1件ずつ発送する形です。Shopeeの日本からの越境出店、日本の自社ECからの直送、Pinkoiなどがこれに当たります。
法的には、台湾の購入者が「自用(自分で使うため)」に輸入する扱いになります。そのため、食品の輸入検査申請や化粧品の産品登録・PIFといった、台湾の輸入業者に課される義務は、原則として日本の販売者にはかかりません。台湾法人がなくても始められるのはこのためです。
その代わり、1回あたりの数量と金額に自用の上限があり、通関の手続きを購入者自身が担います。売上の規模にも、商品の種類にも天井があります。
台湾在庫型:台湾の輸入者が責任を負う形
台湾の代理店・輸入業者、または自社の台湾法人が商品をまとめて輸入し、台湾国内の倉庫から販売する形です。momoやPChomeの通常の出店、百貨店・量販店・ドラッグストアへの卸、Coupangの買い取り型の多くがこちらです。
この場合、輸入者は台湾の法律上の義務を負います。食品なら食品業者登録と輸入検査、中文ラベル。化粧品なら産品登録とPIF。電気製品ならBSMIの商品検験です。手間とコストはかかりますが、数量の上限がなく、台湾国内の配送スピードで売れて、実店舗にも展開できます。
比較:直送型と台湾在庫型

【台湾に輸入する者】直送型=台湾の購入者(自用輸入)/台湾在庫型=台湾の代理店・輸入業者・自社法人
【台湾法人や代理店】直送型=不要/台湾在庫型=必要
【食品・化粧品の登録義務】直送型=原則として販売者にはかからない/台湾在庫型=輸入者が負う
【1回あたりの上限】直送型=自用の数量上限と、2,000台湾ドルの免税枠がある/台湾在庫型=なし(関税は輸入者が納付)
【届くまでの日数】直送型=数日〜2週間程度/台湾在庫型=台湾国内配送で翌日〜数日
【使える販路】直送型=Shopee越境・自社EC・Pinkoiなど/台湾在庫型=momo・PChome・実店舗・卸
【向いている段階】直送型=需要の検証、指名客の獲得/台湾在庫型=売上の拡大、実店舗展開
どちらが優れているという話ではありません。多くの企業は直送型で需要を確かめ、手応えが出たところで在庫型に移ります。問題は、その切り替えのタイミングと、誰と組むかです。
販路は商材とチャネルから逆に引く
台湾のEC販路は、日本企業が直送型で参加できるものと、台湾側の輸入者がいないと参加しにくいものに分かれます。ここでは参入の方式ごとに整理します。

Shopee(蝦皮):台湾法人なしで始められる直送型の代表
Shopeeは台湾で利用者が最も多いECモールで、民間の分析ではユーザー浸透率83.3%とされています。日本法人のショッピージャパンが「日本越境サービス」を運営しており、在庫を日本に置いたまま、台湾法人なしで出店できます。法人だけでなく個人でも出店でき、アカウント申請から30日以内に5点以上の出品が必要です。発送は日本からのみで、日本の集荷倉庫に納品すれば、台湾までの配送と通関はShopeeの物流(SLS)が手配します。購入者はコンビニ受け取りも選べます。店舗の維持費や出品手数料はかからず、費用は売れた注文にかかる手数料が中心です。
注意したいのは、手数料の改定が続いていることです。日本語の紹介記事には「販売手数料3%+決済手数料2%」という2022年時点の料率が今も多く残っていますが、2025年7月のSLS+導入、2025年10月1日の台湾での送料無料プログラム(FSS)の基本サービス化、2026年2月1日の料率改定と、引き上げが重なっています。2026年時点の実務者向け資料では、台湾向けは販売手数料12.75%(SLS+の1.75%を含む)、決済手数料2.50%とされ、コイン還元(CCB)に参加する場合は還元率に応じて3.00%または1.50%が加わります。なお、2026年9月に東南アジア各国で導入された「トラフィック成長手数料」について、Shopee Japanは台湾を対象外としています。
上記の料率はShopee Japanの公式ページで数値そのものを確認できたものではなく、告知から短期間で改定された例もあります。出店前に必ずShopee Japanのセラー向け教育ページで最新の料率を確認し、粗利を計算してください。
Shopeeは価格の比較がしやすく、低価格帯の競争が激しいモールです。日用品・菓子・コスメなど、単価が2,000台湾ドルに収まり、ブランド名で検索される商品に向いています。
出典:Shopee Japan Seller Education Hub(各種手数料・2025年10月ニュースレター)、GMOグローバルEC(2025年7月10日・2026年1月26日)、Shopee Academy 手数料参考表(2026年)、優分析(2025年8月20日)
Coupang(酷澎):「火箭跨境」で日本商品を扱い始めた
韓国発祥のCoupangは2022年10月に台湾で本格展開を始め、短期間で存在感を高めました。2025年6月24日には、越境購入サービス「火箭跨境」で日本と香港の商品の取り扱いを始めています。同社の発表によると、2025年末の年越し期間に売れた日本商品の上位30品のうち、3割超が食品でした。2026年春には桃園に台湾で4か所目の物流拠点を開き、自社配送は台湾の約7割の地域をカバーしています。
日本企業がCoupangを通じて台湾に売る経路として、Coupang Japanは2つを案内しています。Coupangが日本企業の商品を仕入れて韓国・台湾の顧客に販売する取引と、マーケットプレイスへの出店です。ただし、出店の条件は公開情報の間で食い違っています。Coupangの2026年の展示会出展情報では、日本法人・日本口座のまま台湾・韓国向けに出店でき、販売手数料は約10%としています。一方、台湾のマーケットプレイスの公式FAQは「台湾の会社・個人商家」を登録の対象としており、よく紹介される「販売手数料4〜11%」も韓国向けの料率です。台湾向けの手数料表は公開されていないため、出店の可否と手数料はCoupang Japanに直接確認してください。
指名買いされる定番の食品・日用品であれば、まずはCoupangによる仕入れの可能性を探るのが現実的なルートです。
出典:Coupang台湾公式発表(2025年6月24日)、NOWnews(2025年12月26日)、Coupang Japan公式サイト、Coupang台湾 商城FAQ、海外ビジネスEXPO2026東京 出展者情報、The Korea Times(2026年9月19日)
momo購物網:台湾最大手、在庫型が基本
momoは台湾の国内EC最大手で、ブランド商品の品ぞろえと配送品質に定評があります。基本は台湾国内に在庫を置く販売で、日本企業が参加する場合は台湾の代理店・輸入業者経由になるのが一般的です。
そのmomoも、2025年10月に越境EC(跨境電商)を始めました。総経理の説明によると、出店型(3P)の延長として位置づけ、momoが海外の店舗を招いて出店してもらい、台湾国内の配送は新竹物流が担います。日本や中国から、流行の商品や品数の多いロングテール商品を補う方針で、価格競争はしないとしています。ただし、日本企業向けの公募窓口や手数料は公表されておらず、出店は招待制とみられます。
ブランド力のある化粧品・生活雑貨・ギフトなど、台湾の消費者が「安心できる売場」で買いたい商品は、代理店を立ててmomoに入れるのが現実的なルートです。
出典:中央社・經濟日報・TechNews(いずれも2025年10月28日)、工商時報(2025年10月29日)、富邦媒2025年第3四半期法說會の報道(2025年11月)
PChome・Yahoo奇摩・楽天市場台湾:代理店経由の国内在庫販売
PChome 24h購物、Yahoo奇摩購物中心、楽天市場台湾などの老舗モールについて、日本企業が直送型で参加できる2025〜2026年の公式プログラムは確認できませんでした。これらのモールでは、台湾の代理店・輸入業者が出店者になり、日本製品を扱う形が基本です。
Pinkoi・自社EC:工芸品とブランドの世界観を伝える販路
伝統工芸品やデザイン雑貨のように、価格ではなく作り手の背景や一点物の魅力で選ばれる商品は、台湾発のデザイン系ECのPinkoiと相性がよい販路です。出店の詳細は「Pinkoi(ピンコイ)で日本の工芸品を売る完全ガイド」で解説しています。
自社ECは、ブランドの世界観を自由に表現でき、顧客データも自社に残ります。日本から直送するならShopifyなどで台湾ドル表示と中文ページを用意する形、台湾に在庫を置くならSHOPLINEや91APPといった台湾で普及しているサービスを使う形が一般的です。ただし、集客はすべて自前になります。
商材別:向いている販路の目安
【菓子・調味料・即席食品など量販型の食品】Shopee越境、Coupangによる仕入れ。単価が2,000台湾ドルに収まりやすく、指名買いが起きやすい
【化粧品】直送型で需要を確認し、本格展開は台湾の輸入代理店を立ててmomo・実店舗へ。在庫販売にはPIFと産品登録が必須
【ギフト・高単価の食品】自社ECで関税込みの価格表示にするか、代理店経由でmomo・百貨店へ。2,000台湾ドルを超えると購入者に課税される
【伝統工芸品・デザイン雑貨】Pinkoi、自社EC。ギャラリーやセレクトショップなど実店舗のバイヤーとの商談と並行させる
【電気製品・無線機器】直送は限定的。本格展開はBSMI・NCCの認証を取得したうえで在庫型へ
関税と通関:2,000台湾ドル・半年6回・EZ WAY
直送型の越境ECで、日本の販売者がつまずきやすいのが台湾側の通関です。購入者の手続きとはいえ、通関で止まった荷物の苦情は販売者に来ます。
免税枠は「商品+送料+保険」で2,000台湾ドルまで

財政部関務署の通関FAQ(2026年7月8日付)によると、快遞貨物で同じ便に入った貨物の完税価格が2,000台湾ドル以下なら、関税と、税関が代わりに徴収する営業税・貨物税が免除されます。ただし、たばこ・酒類と関税割当の対象になっている農産物は対象外です。
完税価格には、商品代金に加えて送料と保険料が含まれます。また、2,000台湾ドルを1台湾ドルでも超えると、超えた分だけでなく全額が課税対象になります。たとえば商品1,800台湾ドルに送料400台湾ドルがかかれば、完税価格は2,200台湾ドルで、全額に関税と営業税5%がかかります。反対に、商品1,600台湾ドルに送料300台湾ドルなら完税価格は1,900台湾ドルで、免税になります。
さらに、同じ購入者が半年度(1〜6月、7〜12月)の間に免税で通関した回数が6回を超えると、7回目からは金額にかかわらず免税になりません。リピーターほど、この回数制限に当たりやすくなります。
日本郵便のEMSや国際小包など郵便で送る場合も、免税の水準は同じです。郵包物品進出口通關辦法により、完税価格2,000台湾ドル以内は免税、同じ受取人が半年度に免税で受け取れるのは6回までです。郵便では、同じ差出人から同じ日に同じ受取人へ届いた2件以上は、金額を合算して判定されます。なお、快遞と郵便の回数を合算するかどうかを明記した公式の説明は確認できていません。複数回の発送を前提にする場合は、どちらのルートでも購入者1人あたり半年度6回を超えると課税される、という保守的な前提で考えてください。
関税込みで売るか、購入者負担にするか
2,000台湾ドルを超えやすい商品を扱う場合、販売者は次のどれかを決め、商品ページで明示しておく必要があります。
商品構成と送料を見直し、完税価格が2,000台湾ドル以下に収まるようにする
関税・営業税を販売者が負担する「関税込み(DDP)」で販売し、価格に織り込む
関税・営業税は購入者負担であることを、購入前にはっきり告知する
なお、意図的に注文を分割して免税枠を使い回す設計は、回数制限に当たりやすいうえ、税関の判断次第でトラブルになるため勧めません。品目ごとの関税率や価格設計の考え方は「台湾への輸出にかかる関税・コスト・価格設定ガイド」で詳しく解説しています。
2026年3月から全面義務化:EZ WAYの「預先確認委任」
2026年3月1日から、個人が簡易申告で輸入する快遞貨物のうち、実名認証による線上委任を使うものは、通関の前に購入者がEZ WAYアプリで申告内容を確認し、報関業者への委任を済ませることが義務になりました。根拠は、財政部が2026年2月23日に改正した空運・海運快遞貨物通關辦法です。荷物が台湾に着くと、アプリに品名と申告額の通知が届き、購入者が内容を確認して「申報相符(申告内容に相違なし)」を押さないと、税関は申告を受理しません。
この制度は、個人情報を盗用した虚偽の輸入申告や、注文していない荷物を送りつける詐欺を防ぐためのものです。関務署の統計では、盗用による申告は2023年の1,723件から、2024年は474件、2025年1〜10月は39件まで減りました。2025年11月末の時点で、実名認証を使う輸入のうち8割超が、すでにこの事前委任の方式に移っていました。また2025年6月20日からは、台湾国外のIPアドレスからのEZ WAYの登録・委任ができなくなっています。
なお、関務署長は2026年8月に、法令上EZ WAYの使用そのものは強制ではなく、紙の委任書などの方法も選べると説明しています。ただ実務では、越境ECの多くがEZ WAYの登録を前提にしているため、購入者に案内しておくのが確実です。
日本の販売者が対応すべきことは、次の3点です。
購入画面とFAQで、EZ WAYへの登録と、通知が来たら確認・委任が必要なことを中文で案内する
受取人の氏名と携帯電話番号を必須入力にし、EZ WAYの登録情報と一致させるよう促す
申告する品名と金額を、購入者が見て自分の注文だとわかる書き方にする
なお、この義務化の対象は快遞貨物です。日本郵便のEMSや国際小包のように中華郵政が扱う郵便物は、快遞とは別の制度(郵包物品進出口通關辦法)で通関され、財政部の案内でも郵便物の項目には報関委任の記載がありません。法令上は義務化の対象外と読めますが、「郵便ならEZ WAYは不要」と明記した当局の文書は確認できていないため、発送方法ごとに配送業者に確認してください。台湾向けの配送手段の選び方は「台湾へどう送るか|EMS・クーリエ・混載・コンテナの使い分け」で解説しています。
出典:財政部関務署「快遞貨物」通関FAQ(2026年7月8日)、財政部関務署発表(2025年12月17日)、工商時報(2026年2月24日)、財政部稅務入口網「網路購買國外貨物應注意事項」(2026年9月11日更新)、郵包物品進出口通關辦法第7条・第11条・第12条、經濟日報(2026年8月3日)、民報(2025年12月18日)、中央社(2025年6月18日)
自用輸入の上限:商材ごとにどこまで送れるか
直送型が「購入者の自用輸入」として成り立つのは、数量が自用の範囲に収まっている間だけです。上限を超えた分は、税関で返送か廃棄になります。
食品:1品目あたり1,000米ドル以下かつ6kg以内
一般の食品は、申告書の1品目あたり価値1,000米ドル以下かつ6kg以内であれば、TFDAへの輸入検査申請は不要です。これを超えると、台湾の輸入業者としての手続きが必要になります。
錠剤・カプセル状の食品(サプリメントなど)はさらに厳しく、1種類につき12本(箱・缶・袋)まで、合計36本までで、原包装のままに限られます。日本のサプリをまとめ買いされると、この上限に当たりやすくなります。サプリの制度全体は「サプリメント・健康食品の台湾輸出ガイド2026」で、食品全般は「台湾への食品輸出完全ガイド2026」で解説しています。
化粧品:数量の上限は廃止、ただし転売・陳列は禁止
化粧品はかつて、特定用途化粧品に自用の数量上限(1種類12個・合計36個)がありましたが、2024年7月1日の制度改正で廃止されました。ただし、自用で輸入した化粧品を販売したり、店頭に陳列したり、消費者に試供したりすることは禁止されています。違反すると罰鍰の対象になり、報道では最高100万台湾ドルとされています。
財政部の古い案内ページには、廃止前の数量上限が載ったままのものがあります。一次情報同士で新旧が混在しているので、日付を確認して読んでください。
越境ECで日本から個人に直送する分には、PIFや産品登録は原則として問題になりません。しかし、台湾の購入者が仕入れて転売している気配がある、台湾の店から取引の打診が来た、という段階になったら、在庫型への移行を考えるタイミングです。化粧品の制度全体は「化粧品の台湾輸出ガイド2026」で解説しています。
電気製品・無線機器・医薬品
電気製品はBSMI(經濟部標準檢驗局)の商品検験、無線機能のある機器はNCC(國家通訊傳播委員會)の型式認証が、台湾での販売の前提です。自用で輸入する場合の免除枠はありますが、数量が小さく、販売を前提にした越境ECには向きません。認証の詳細は「台湾に電気製品・無線機器を輸出する際の認証ガイド」をご覧ください。医薬品は自用でもごく少量に限られ、扱いが厳格なため、越境ECの対象にはしないのが無難です。
出典:食品薬物管理署(TFDA)「自用食品輸入」に関する案内(2026年2月5日)、NOWnews(2024年7月3日)
税金:物販の営業税は輸入時に代徴される
日本の販売者が台湾で税籍登録をする必要はあるか
日本から商品を台湾の個人に送る物販の場合、台湾の営業税(5%)は、輸入時に税関が購入者から代わりに徴収します。2,000台湾ドル以下で半年6回以内なら、この営業税も免除されます。日本の販売者が台湾で税籍登録をする仕組みではありません。
「境外電商」の税籍登録は、電子サービスの話
2017年5月に始まった「境外電商」の課税制度は、動画配信・アプリ・オンライン講座など、電子的に提供するサービスを台湾の個人に販売する外国事業者が対象です。年間の売上が一定額を超えると、台湾で税籍登録をして2か月ごとに営業税を申告する必要があります。この基準額は、2025年4月7日から48万台湾ドルから60万台湾ドルに引き上げられました。
日本企業が台湾向けにオンライン講座やデジタルコンテンツを販売する場合は、こちらの制度が関係します。物販と混同しないようにしてください。
出典:財政部・中区国税局の公表資料(2025年4月)、財政部関務署「快遞貨物」通関FAQ(2026年7月8日)
返品と法規制:台湾の消費者保護法に合わせる
7日間の無条件解約権と、その例外
台湾の消費者保護法第19条では、ネット通販などの通信取引で買った商品は、受け取ってから7日以内なら、理由を示さずに契約を解除できます。日本から越境で販売する場合も、台湾の消費者を相手にする以上、この前提で返品条件を設計しておく必要があります。
一方で、「通訊交易解除權合理例外情事適用準則」により、腐敗しやすい食品や保存期間の短い商品、注文に応じて作る特注品、開封後の衛生用品などは、事前に告知していれば7日間解約権の対象外にできます。どの商品が例外に当たるかを商品ページで明示しておくと、トラブルを防げます。
詐欺防止条例で、広告出稿の審査が厳しくなった
2024年7月31日に公布された詐欺犯罪危害防制條例は、EC事業者に詐欺への悪用を防ぐ注意義務を課し、台湾に拠点のない海外のネット広告プラットフォームにも、広告主の身元確認や詐欺広告の削除を義務づけました。日本の物販事業者に直接の登録義務が生じるわけではありませんが、MetaやGoogleで台湾向けに広告を出す際の審査が厳しくなる、という形で影響します。
出典:消費者保護法第19条、通訊交易解除權合理例外情事適用準則、詐欺犯罪危害防制條例(2024年7月31日公布)、理律法律事務所の解説
商標:越境ECでも、台湾の商標は自社で押さえる
日本から直送する越境ECなら、台湾の商標を持っていなくても出店と販売は始められます。Shopee Japanが示している越境出店の条件にも、商標登録は含まれていません。それでも商標が問題になるのは、越境ECの出品が台湾のサイトに表示され、商品が台湾に輸入されて、台湾の市場で売られるからです。
日本の商標権は、台湾の売り場では効力がない
商標権は国ごとに成立する権利で、日本で登録した商標は台湾では効力がありません。越境ECで日本から送る場合も、台湾のShopeeに表示される出品や台湾に届く商品については、台湾の商標制度で判断されます。台湾は先に出願した者が権利を得る先願主義で、国際出願の仕組み(マドリッド協定議定書)にも加盟していないため、台湾の智慧財産局(TIPO)に直接出願する必要があります。
費用は2024年5月施行の料金表で、出願料が1区分3,000台湾ドル、登録料が1区分2,500台湾ドルです。TIPOの2025年の実績では、最初の審査結果の通知まで平均5.6か月、審査終了まで平均7.1か月でした。1区分6,000台湾ドルを追加する加速審査を使えば、最初の通知は平均1か月以内です。出願の手順は「台湾で商標登録は必要?費用・期間・手続き」で解説しています。
先に取られると、自社の直送品が止められる
越境ECで一番避けたいのは、第三者に台湾の商標を先に出願・登録されることです。台湾では、台湾の商標権者が侵害を申告する立場になるため、自社が日本から直送している正規品の出品が通報され、削除される側に回るおそれがあります。台湾に輸入される商品が台湾の権利者の商標を侵害するとされれば、税関で止められる可能性もあります。
こうした悪意の先取り出願(搶註)には、著名商標の保護(商標法第30条第1項第11款)や、取引関係などを通じて知った他人の先使用商標を模倣した出願の排除(同第12款)を根拠に、異議や無効審判(評定)で争う道があります。ただし、使用実績や相手との関係を日本企業の側が立証する必要があり、時間も費用もかかります。日本で先に使っていたことは、台湾で使い続けるための「善意の先使用」の抗弁にはなりません。
越境ECで売れ始めて台湾で目立つ前、そして展示会や商談でブランドを台湾の事業者に見せる前に出願しておくのが基本です。将来、台湾在庫型に移って代理店と組む場合も、台湾の商標は代理店に出願させず、自社の名義で取り、代理店には授権書で使用を許諾する形にしてください。
台湾の商標がないと、偽物や無断出品を削除させられない
台湾で偽物が大量に出回ることは多くないかもしれませんが、売れ筋になると、同じブランド名を使った偽物や、自社の商品写真を流用した出品が台湾のShopee上に現れることもあります。これを削除させるには、知財侵害の申告をする必要がありますが、Shopeeの知財侵害申告の窓口(Brand IP Portal)のガイドでは、台湾向けの申告に台湾の商標登録証と有効期限が必須書類とされています。日本の登録証だけで台湾向けの申告が受け付けられるかは、公式資料では確認できませんでした。
また、Shopee Japan経由でブランドの公式店としてモールに出店する枠は基本的に招待制で、ブランドの商標登録証の提出が求められます。越境ECでブランドとして育てていくつもりなら、台湾での登録を前提に準備しておくのが確実です。
正規品の転売は止められない、偽物は止められる
越境ECでは、日本の店で買った自社商品を台湾の業者が転売する「代購」も珍しくありません。台湾の商標法第36条第2項は、権利者やその同意を得た者が国内外で流通させた正規品について、商標権を主張できないと定めています(国際消尽)。そのため、正規品の転売は、偽物でない限り商標権で削除させることは原則としてできません。転売への対応は、価格政策や公式ショップであることの明示で行うのが現実的です。
一方、偽物には打つ手があります。台湾で商標を登録していれば、Shopeeへの侵害申告に加えて、税関に「提示保護」を申請し、輸入される偽物を水際で止める協力を求められます。
商標の費用に使える支援制度
日本の中小企業は、外国での商標出願の費用の2分の1を補助する制度を、都道府県などの中小企業支援センターやINPITの窓口で利用できます(原則として出願前の申請が必要)。台湾で先取りされた商標を争う費用には、ジェトロの「抜け駆け商標無効・取消係争支援事業」(費用の3分の2、上限500万円)がありますが、2026年度の受付は10月30日に締め切られています。
出典:経済部智慧財産局(TIPO)商標規費表(2024年5月1日施行)・114年(2025年)年報、商標法第30条・第36条(全國法規資料庫)、蝦皮品牌智慧財產平台 IP Portal使用指南、蝦皮幫助中心「智慧財產權侵權通知辦法」(2024年5月21日改訂)、Shopee Japan「Shopeeモール・モールセラーとは」、財政部関務署「提示保護」FAQ、近畿経済産業局「令和8年度 外国出願」、ジェトロ「抜け駆け商標無効・取消係争支援事業」
集客の基本:商戦カレンダーとSNS
台湾のEC売上は、11月11日の「双11」、12月12日の「双12」、6月18日前後の「年中慶」といった大型セールに集中します。百貨店の「周年慶」や春節・中秋節の贈答需要も、ギフト商品にとっては大きな山です。日本からの直送は届くまでに日数がかかるため、セール時期から逆算して在庫と発送の準備をしておく必要があります。年間の山と贈答文化は「台湾の年間商戦カレンダーと贈答文化」で詳しく解説しています。
SNSでは、LINE・Instagram・Facebookが中心で、口コミではDcardやPTTといった台湾の掲示板も見られています。越境ECでも、現地のKOL(インフルエンサー)に使ってもらい、指名検索を増やす流れが基本です。
つまずきやすい5つのパターン
ショッピージャパンが2026年6月に公表した調査では、越境ECを縮小・撤退した経験者の9割超が「事前に知っていれば避けられた失敗があった」と答えています。台湾向けで特に多いのは、次の5つです。
免税枠を超える:送料込みで2,000台湾ドルを超え、購入者に想定外の税金がかかって受け取り拒否や返品につながる
EZ WAYに対応していない:購入者が通知に応じず、荷物が通関で止まって返送される
自用の上限を超える:サプリのまとめ買いや大量注文で上限を超え、税関で返送・廃棄になる
在庫販売のルールを知らないまま台湾の店に卸す:化粧品の産品登録やPIF、食品の輸入検査を経ずに台湾で流通させてしまう
価格競争に巻き込まれる:中国発の低価格商品と同じ土俵で比較され、利益が残らない
上の4つは、制度を知っていれば防げます。最後の価格競争は、販路の選び方とブランドづくりの問題です。
越境ECから代理店・在庫販売へ切り替えるサイン
直送型の越境ECは、需要を確かめる手段としては優れています。ただ、売れるほど、直送型の天井が見えてきます。次のようなサインが出たら、台湾在庫型への移行を検討するタイミングです。
切り替えを考える5つのサイン

注文が免税枠や自用の上限に当たり始めた:まとめ買いや高単価の注文が増え、購入者の税負担や通関の手間が離脱の原因になっている
台湾の店から取引の打診が来た:百貨店・量販店・セレクトショップ・ドラッグストアからの問い合わせは、台湾在庫と輸入者がいないと受けられない
指名検索とリピートが増えた:届くまでの日数と送料が、リピーターを逃す理由になっている
momoなど台湾の大手モールに出したくなった:在庫型の販路は、代理店か自社法人が前提になる
偽物や無断の転売品が出回り始めた:正規代理店と公式ショップを明示し、偽物対策として台湾で商標を押さえる(正規品の転売そのものは商標では止められない)
商標は、在庫型に移る前、できれば越境ECで売り始める前に押さえておきたい論点です。台湾は先願主義のため、代理店候補や第三者に先に出願されると、自社ブランドが使えなくなるおそれがあります。詳しくは前述の「商標:越境ECでも、台湾の商標は自社で押さえる」で解説しています。
台湾在庫型の3つの組み方
在庫型に移るときの選択肢は、大きく3つあります。
台湾の代理店・輸入業者と組む:輸入者としての登録や検査、販路への営業を代理店が担う。最も一般的で、初期投資が小さい。代理店選びと契約条件が成否を分ける
自社で台湾法人を設立する:ブランドの管理と価格の主導権を握れるが、固定費と管理の負担が大きい。売上の見通しが立ってからの選択肢
台湾のECや小売の買い取りに乗せる:Coupangの買い取り型やジェトロのJAPAN MALL事業のように、相手が輸入を担う形。手間は少ないが、価格や販売方法の決定権は相手側にある
どの形でも、台湾側で輸入の義務を誰が負うのか、食品の検査や化粧品のPIFを誰が整えるのかを、契約の段階ではっきりさせておくことが欠かせません。
代理店の探し方と契約の進め方は「台湾のバイヤー・代理店・ディストリビューターと組む実務ガイド」で、候補と直接会って話す場の設計は「台湾現地商談会の開き方」で解説しています。
使える支援制度:ジェトロのJAPAN MALL事業
輸出が初めての企業には、ジェトロの「JAPAN MALL事業」も選択肢になります。世界60以上の連携先ECバイヤーが日本の商品を買い取って販売する仕組みで、2026年度も実施されています。原則として国内で納品し、円建てで決済され、全量が買い取られるため、輸出の手続きや為替のリスクを抱えずに海外販売を試せます。
参加するには、まずジェトロの商品カタログサイト「Japan Street」(無料)に商品を登録し、バイヤーから商談の申し込みを受けて成約する必要があります。参加費は無料で、一部の連携先には有料オプションがあり、中堅・中小企業の場合は1商品あたり6万円程度が目安です。バイヤー側が小売価格を変えたり、割引販売したりすることへの同意も参加の条件です。
ただし、台湾の連携ECバイヤーの社名は公開資料では確認できません。台湾向けに使えるかは、Japan Streetに登録したうえでジェトロに問い合わせてください。越境ECの初期費用に使える補助金は「海外販路開拓に使える補助金完全ガイド2026」で整理しています。
出典:ジェトロ「JAPAN MALL事業」ページ(2026年8月25日更新)、ジェトロ「2026年度 JAPAN MALL」事業案内PDF
よくある質問(FAQ)
台湾の個人輸入は今も2,000台湾ドルまで免税ですか?
はい。2026年11月時点で、同じ便の完税価格(商品代金+送料+保険料)が2,000台湾ドル以下で、かつ同じ購入者の半年度内の免税通関が6回以内なら、関税と営業税が免除されます。快遞(国際宅配便)でも郵便でも水準は同じです。2025年に免税基準を1,000台湾ドルに下げる案が報じられましたが、施行は確認されていません。
EZ WAYとは何ですか?日本の販売者にも関係しますか?
台湾の購入者が、輸入申告の内容を確認して報関業者に委任するための実名認証アプリです。2026年3月1日から、個人が簡易申告で快遞(国際宅配便)輸入する貨物のうち、実名認証で委任するものは、この事前確認が全面義務になりました。紙の委任書など別の方法も法令上は認められていますが、越境ECの多くはEZ WAYを前提にしています。購入者が確認しないと荷物が通関できないため、販売者側でも購入画面やFAQでの案内が必要です。郵便(EMS・国際小包)は別の通関制度のため扱いが異なる可能性があり、発送前に配送業者に確認してください。
日本の化粧品を越境ECで台湾に売るのに、PIFは必要ですか?
日本から購入者に直送し、購入者が自用で輸入する場合、PIFや産品登録の義務は原則として日本の販売者にはかかりません。一方、台湾国内に在庫を置いて販売する場合は、2026年7月1日からすべての一般化粧品でPIFが必要です。産品登録は台湾の製造業者・輸入業者しか行えないため、台湾の輸入代理店か自社法人が必要になります。
台湾法人がなくても始められる販路はどれですか?
Shopeeの日本からの越境出店、日本から直送する自社EC、Pinkoiは、台湾法人なしで始められます。Coupangは、Coupangが日本企業の商品を仕入れる取引であれば台湾法人は不要です。マーケットプレイスへの出店は、日本法人のまま可能とする案内と、台湾の会社・個人を対象とする公式FAQが食い違っているため、Coupang Japanへの確認が必要です。momoやPChomeなど台湾の大手モールの通常出店や、実店舗への卸で本格展開する場合は、台湾の代理店・輸入業者の確保が実質的な前提になります。
越境ECから代理店販売に切り替えるタイミングはいつですか?
注文が免税枠や自用の上限に当たり始めたとき、台湾の小売店から取引の打診が来たとき、指名検索やリピートが増えて配送日数が離脱の原因になってきたときが目安です。偽物や無断の転売品が出回り始めた場合も、正規代理店と公式ショップを明示し、偽物対策として台湾の商標を押さえるべきタイミングです。
海外のEC事業者は、台湾で営業税の登録が必要ですか?
税籍登録が必要なのは、動画配信やアプリなど電子的なサービスを台湾の個人に販売する外国事業者で、基準は年間売上60万台湾ドル超です(2025年4月に48万台湾ドルから引き上げ)。日本から商品を送る物販では、営業税は輸入時に税関が購入者から代わりに徴収するため、日本の販売者が税籍登録をする必要はありません。
日本で商標登録していれば、台湾のShopeeで偽物を削除してもらえますか?
原則として難しいです。日本の商標権は台湾では効力がありません。Shopeeの知財侵害申告(Brand IP Portal)のガイドも、台湾向けの申告には台湾の商標登録証を必須書類としています。偽物対策を考えるなら、出品前に台湾で出願しておくことをおすすめします。
日本で販売した自社の正規品を、台湾の業者がECで転売しています。商標権で止められますか?
偽物でなければ、原則として止められません。台湾の商標法第36条第2項は国際消尽を採っており、権利者やその同意を得た者が流通させた正規品の転売には、商標権を主張できないとしています。変質した商品などの例外はありますが、価格政策や正規販売店の明示で対応するのが現実的です。
まとめ:始める前のチェックリスト
台湾向けの越境ECは、台湾法人がなくても始められ、日本製品の需要を確かめる手段として有効です。ただし、2026年の制度のもとで直送型が成り立つのは、自用輸入の範囲に収まっている間だけです。始める前に、次の点を確認してください。
直送型で始めるのか、台湾在庫型で始めるのかを決めたか
主力商品は、送料込みで2,000台湾ドルに収まるか。超える場合、関税込みにするか購入者負担にするかを決めたか
EZ WAYへの対応を、購入画面とFAQに中文で書いたか
商品が食品・サプリ・化粧品・電気製品の場合、自用の上限と、在庫販売に必要な登録を把握したか
返品条件と、7日間解約権の例外に当たる商品を明示したか
台湾で商標を自社名義で出願済みか(代理店に出願させていないか)
売れ始めたときに組む代理店・輸入者の候補を考えているか
Link Globalは、台湾の代理店・バイヤーの開拓、現地での商談会や展示会出展の支援を通じて、越境ECの次の段階に進む日本企業を支援しています。越境ECで手応えが出てきた、台湾の店から声がかかったが組み方がわからない、という段階でのご相談もお受けしています。支援の内容は「台湾進出支援|商談会・展示会・代理店開拓をワンストップで」をご覧ください。台湾関連の記事は「台湾市場 完全ガイドマップ2026」にまとめています。




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