サプリメント・健康食品の台湾輸出ガイド2026|市場・チャネル・査験登記・表示規制まで実務解説
- 堤浩記
- 7月29日
- 読了時間: 35分

「日本で売れているサプリを、そのまま台湾でも売りたい」
「健康食品の輸出って、普通の食品と何が違うの?」
「台湾の規制が厳しいと聞くが、具体的に何をすればいいのか分からない」
台湾の保健食品市場は、2人に1人が過去1年に購入した経験を持つ成熟マーケットです。日本製への信頼も厚く、日本のサプリメント・健康食品メーカーにとって、地理的にも文化的にも最初の輸出先として合理的な選択肢になります。
ただし、一般的な加工食品の輸出とは手続きの構造がまったく違います。同じ中身でも、錠剤やカプセルの形にした瞬間に、台湾側で個別の許可が必要になる。そして、日本のパッケージに書いてある訴求文をそのまま翻訳して使うと、罰金の対象になります。
本記事では、自社ブランドを持つ食品・サプリメーカーがはじめて台湾へ輸出することを想定し、市場・消費者・チャネルから、査験登記・表示・広告規制・関税・スケジュールまでを、海外展開支援の実務者目線で通しで整理します。
食品全般の輸出手続きについては台湾への食品輸出完全ガイドで、商材カテゴリ横断の全体像は食品・調味料の輸出 完全ガイドマップで解説しています。本記事はその中で「サプリメント・健康食品」に固有の論点だけを深掘りするものです。
なお、化粧品もサプリと同じく「規制が重い商材」ですが、台湾での制度の型はまったく異なります。化粧品は2024年に事前許可制が廃止され、産品登録とPIF(製品情報ファイル)による自主管理型へ移行しました。2026年7月にはPIFが全化粧品に全面適用されています。詳しくは化粧品の台湾輸出ガイド2026で解説しています。
結論:台湾のサプリ輸出は「剤形」と「表示」で9割決まる
はじめに全体像を示します。台湾でサプリメント・健康食品を売るとき、勝負を分けるのは次の2点です。
剤形:錠剤・カプセル形状で輸出するなら、輸入のたびではなく製品ごとに「輸入錠剤・カプセル状食品の査験登記」が必要になる。粉末・ドリンク・ゼリーなど他の剤形なら、この登記そのものが外れる
表示と広告:台湾で「保健効果」を謳えるのは、健康食品(小綠人マーク)の許可証を取得した製品だけ。それ以外の製品が効能をにおわせると、食品安全衛生管理法違反として高額の罰金対象になる
つまり台湾展開の成否は、輸出を始めてから調整するものではなく、製品仕様と訴求設計の段階でほぼ決まります。ここを理解しないまま代理店探しから始めると、商談がまとまってから「その製品は登記が通らない」「そのパッケージでは売れない」と差し戻され、半年を失うことになります。
台湾の保健食品市場——「2人に1人が買う」成熟マーケット
市場規模と成長率
台湾の保健食品市場規模は、年産値1,500億台湾ドル台から1,800億台湾ドル規模と紹介されることが多い一方、これらは民間の市場調査会社の推計を業界メディアが引用したものが大半で、一次統計ではありません。経済部の統計にある「保健栄養食品産値」は2021年時点で約951億台湾ドルですが、こちらは台湾国内の生産額であり、輸入品を含む市場規模とは定義が異なります。
したがって数字は「1,500億元前後の規模感で、年5〜7%程度の成長が続いている市場」という解像度で押さえ、事業計画に使う場合は自社カテゴリの実売データで裏を取ってください。規模より確度が高いのは普及率です。消費者パネル調査(カンター)では市場普及率は56%程度、つまり台湾の消費者の2人に1人が過去1年間に保健食品を購入しています。サプリメントは一部の健康志向層の特殊消費ではなく、家庭の固定支出になっています。
さらに台湾は2025年に65歳以上人口が20%を超え、正式に超高齢社会に入りました。心血管・関節・認知機能・視力といった加齢関連カテゴリの需要は構造的に伸び続けます。
販売のピークは5月と11月
レシートベースの実購買データの分析では、販売額は毎年5月と11月に山を作り、夏休み期間は相対的に低調という季節性が繰り返し観測されています。5月は母の日商戦、11月はダブルイレブンから続く年末商戦です。
台湾は贈答文化が強く、保健食品は「親に贈るもの」として定着しています。春節・中秋節・周年慶を含めた年間の商戦設計は台湾の年間商戦カレンダーと贈答文化で詳しく整理しています。初回出荷のタイミングは、この山から逆算して決めてください。
誰が買っているのか——3つの主要セグメント

銀髪族(55歳以上)
回購率が最も高く、製品ライフサイクルが最も長いセグメントです。需要の中心は心血管・脳血管(魚油オメガ3、ナットウキナーゼ)、関節・行動力、視力保健(ルテイン)、血糖・代謝。単価が高くても継続します。
剤形の配慮が売上を左右します。大粒のカプセルは敬遠されるため、飲み込みやすい錠剤、軟カプセル、粉末スティックが好まれます。パッケージも文字を大きく、若年層向けのデザインは逆効果です。
30〜45歳の「早期老化」対策層
外食と仕事のストレスから、代謝・睡眠の質・腸内環境の不調を早い段階で自覚する層です。プロバイオティクス、ビタミンB群、酵素、体重管理系が中心。使用期間が長くなるため、痛点に正確に刺されば定着率が高くなります。
女性の口服美容層
コラーゲン、プラセンタ、美容ドリンクなど。ここは「飲みやすさ」と「見た目」が成分より効くカテゴリで、粉末スティックやボトル飲料といった剤形が有利に働きます。日本ブランドの相性が最も良い領域でもあります。
買う人と決める人が違う
実務上、最も見落とされやすい点です。銀髪族向け製品の購買決定者は、多くの場合30〜50代の子世代です。価格より「親に飲ませて安心か」が判断軸になります。
また、消費者が保健食品の情報を得る経路は親族・友人からの推薦が8割近くを占めるという調査もあります。広告を打つより、口コミが回る設計——薬剤師や医師が説明できる根拠資料、体感しやすい初回設計——のほうが効きます。台湾市場における日本製品の受容構造は台湾市場の消費トレンドと日本ブランドの受容性でも整理しています。
どのチャネルで売れているのか

台湾のサプリ流通は日本以上に多層的です。どこを最初の入口にするかで、必要な準備も価格設計も変わります。
薬局・ドラッグストア
康是美(Cosmed)、屈臣氏(Watsons)などのドラッグストアチェーンと、大樹薬局に代表される薬局チェーンが中核です。特に薬局は、薬剤師が顧客の状態に応じて個別に推奨する「サービス業」的な性格が強く、単なる棚ではありません。
日本メーカーにとっての意味は明確です。薬剤師が説明に使える中文の根拠資料(成分・エビデンス・摂取方法・併用注意)を用意できるかどうかが、棚に載った後の回転を決めます。
量販店・スーパー(2026年の再編に注意)
台湾の大型量販は2026年に大きく再編されました。フランス本社との商標ライセンスが2026年6月30日に満了し、1987年から約40年続いた家樂福(カルフール)ブランドが台湾から消滅。統一集団が量販店を「萬家福(Prosperity Plaza)」、スーパーを「樂家康(Uni-Prosperity)」へ改称し、量販62店・スーパー233店の計約300拠点が7月1日に一斉に看板を替えました。運営法人名も康達盛通生活事業股份有限公司に変わっています。全聯も大潤發を「大全聯 MEGA PXMART」に統一済みです。
数年前の資料をもとにチャネル戦略を組むと、すでに存在しない社名にアプローチすることになります。商談資料の固有名詞は必ず最新化してください。
EC(momo・蝦皮・PChome)
新規ブランドが最も早くテストできるチャネルです。momo購物網と蝦皮(Shopee)が二大勢力。レビューが購買判断に直結するため、初期のレビュー設計が生命線になります。
ただしECでも規制は一切緩みません。商品ページの文言は広告とみなされ、後述する食品安全衛生管理法第28条の対象です。台北市衛生局が公表した2024年の摘発内訳では、違反広告の78.6%がインターネット上のもので、その中では企業の公式サイトが最多でした。ECは最も早く始められる一方、最も摘発されやすいチャネルでもあります。
直販(ネットワーク販売)
日本企業には馴染みが薄いものの、台湾の保健食品では無視できない規模を持つチャネルです。レシートベースの実購買データの分析では、2020年から2022年にかけて直販ブランドが保健食品チャネルの上位4位以内を維持していました。人対人のコミュニケーションが、口コミ依存の強いこの市場と噛み合っているためです。
クリニック・医師ルート
近年伸びているのが、診療所や医師・栄養士を通じた推奨チャネルです。信頼を担保に高単価品を動かせますが、参入には日本語資料の中文化だけでなく、根拠水準の高いエビデンス整理が求められます。
チャネルごとの代理店・ディストリビューターとの組み方は台湾のバイヤー・代理店・ディストリビューターと組む実務ガイドで、契約や与信を含めた一般論は海外代理店の探し方と選び方で解説しています。
台湾の制度は「3層構造」——ここを混同すると失敗する

台湾の解説記事や商談で話が噛み合わなくなる最大の原因は、次の3つの層が区別されていないことです。まずここを頭に入れてください。
第1層|一般食品:査験登記は不要。合法な原料を使い、表示を守れば流通できる。ただし保健効果・効能の表示は一切できない
第2層|輸入錠剤・カプセル状食品:中身ではなく「剤形」で決まる区分。錠剤・カプセル形状で輸入するなら、製品ごとに査験登記が必須
第3層|健康食品(小綠人マーク):健康食品管理法にもとづく許可証を取得した製品のみ。認められた保健効果を表示・宣伝できる
日本の感覚だと「特定保健用食品/機能性表示食品/一般食品」の3分類に見えますが、決定的に違うのは第2層の存在です。効能を一切謳わない普通のビタミン剤であっても、錠剤の形をしているだけで台湾では個別許可の対象になります。ここが日本企業の最初のつまずきポイントです。

【関門1】輸入錠剤・カプセル状食品の査験登記
法的根拠と対象
根拠は食品安全衛生管理法第21条です。台湾では一般食品は事業者の自主管理が原則で査験登記を要しませんが、管理上の必要から一部の品目が例外とされており、そのひとつが「輸入錠剤・カプセル状食品」です。手続きを定めた「輸入錠状カプセル状食品査験登記関連規定」は2001年12月31日に制定され(衛署食字第0900080663号)、2014年に改正されて現在の運用になっています。
押さえるべきは、この登記が製品の良し悪しを保証するものではないという点です。TFDAは規定のなかで、審査の重点は「製品の成分含量が食品として管理できる範囲に属するかどうか」であり、製品パッケージの表示や図文の内容は審査項目に含まれず審査もしない、それらは事業者が食品関連法規に従って自主管理すべきものだと明記しています。
ここは日本企業が最も誤解しやすいところです。査験登記が下りたことは「台湾政府がこの製品のラベルと訴求を承認した」という意味ではありません。登記を取ったうえで表示や広告が規制に触れれば、後述する食品安全衛生管理法第28条の対象になります。許可番号を持っていることと、売り方が適法であることは完全に別の話です。
申請できるのは台湾側の事業者だけ
実務上いちばん重要な事実です。申請主体は台湾の責任業者(輸入者)であり、日本のメーカーが直接申請することはできません。
つまり、代理店・輸入者が決まらないかぎり登記手続きは始まりません。逆に言えば、パートナー選定の段階で「この会社は査験登記の実務経験があるか」「過去に何件通しているか」を確認する必要があります。経験のない商社と組むと、書類の往復だけで数か月を溶かします。パートナー選定の一般的な観点は海外展開は何から始めるべきか、台湾に特化した支援会社の見極め方は台湾進出支援会社の選び方・比較ポイントで整理しています。
必要書類と有効期限
新規申請で求められる主な書類は次のとおりです。
査験登記申請書
製品の原料成分含有量表(正本および写し)
原製造工場が合法な製造販売事業者であることを示す公的証明書類の正本
申請事業者の会社登記または商業登記の証明
輸入する製品の未開封・完全な状態のサンプル
食品明細表
誓約書
査験登記資料表
その他関連資料(加工フロー、委託製造関係の証明書類など)および審査費
日本側メーカーの仕事は、このうち成分含有量表・製造工程・製造所の証明書類を、台湾の様式に耐える精度で整えることです。日本国内向けの規格書をそのまま渡しても通りません。また、英語以外の外国語で書かれた書類は、登録翻訳会社が発行した中国語または英語の訳文を添付する必要があります。日本語の製造販売証明書をそのまま提出することはできないので、翻訳の手配も工程に織り込んでください。
許可文書の有効期限は5年です。更新(展延)は有効期限満了前3か月以内に手続きする必要があり、うっかり切らすと輸入が止まります。また審査の過程で検査が必要と通知された場合、通知受領から2か月以内に検査費と十分な量の検体を提出しなければならず、期限を過ぎると放棄とみなされて案件が終結します。
申請は2024年1月1日から全面オンライン化されており、専用の申請プラットフォームから提出します。紙での送付は受け付けられません。
「個人使用なら12瓶まで」の例外
越境ECや代購(買い付け代行)を検討する際に必ず出てくる論点なので、正しく押さえておきます。
個人が自分で使う目的で、郵便または貨物で錠剤・カプセル状食品を台湾に持ち込む場合、1品目につき12瓶(箱・缶・袋)以内、合計36瓶以内であれば輸入査験の申請が免除され、税関で通関できます。原包装のままであることが条件です。
ただしこの免除で入れた製品を販売することは明確に禁じられており、違反すると1年間この免除措置を使えなくなる処分の対象になります。
つまり「代購ルートで台湾に流れているから、うちの製品はもう台湾で売れている」という認識は誤りです。それは個人使用の例外であって、事業として販売するなら査験登記が必要という結論は変わりません。むしろ代購で人気が出ている製品ほど、正規流通を先に押さえないと模倣品や並行品に市場を荒らされます。ブランド保護の観点からは台湾での商標登録も同時に進めるべき局面です。
【関門2】健康食品(小綠人マーク)許可証
認められている14の保健効果
台湾で製品パッケージや広告に保健効果を書けるのは、健康食品管理法にもとづく許可証を取得した製品だけです。取得すると、通称「小綠人」と呼ばれるマークと許可証番号を表示できます。
政府が認定している保健効果の項目は、2025年7月3日付の衛生福利部公告により14項目に改められました。従来の13項目に「膝関節の健康維持」が新設され、あわせて「促進鐵吸收」が「輔助調節血鐵」へ名称変更されています。現行の14項目は次のとおりです。
骨の健康維持(骨質保健)
血中脂質の調節(調節血脂)
胃腸機能の改善(胃腸功能改善)
免疫の調節(免疫調節)
歯の健康維持(牙齒保健)
肝臓の保護(護肝)
血糖の調節(調節血糖)
老化の遅延(延緩衰老)
抗疲労(抗疲勞)
血中鉄の調節補助(輔助調節血鐵)
血圧調節の補助(輔助調節血壓)
体脂肪がつきにくい(不易形成體脂肪)
アレルギー体質の調整補助(輔助調整過敏體質)
膝関節の健康維持(膝關節保健)

中国語の原文を併記したのには理由があります。「不易形成體脂肪」は「脂肪を燃焼させる」ではなく「体脂肪がつきにくい」、「延緩衰老」は「老化を防止する」ではなく「老化を遅らせる」、「輔助調節血壓」は「血圧を調節する」ではなく「血圧調節を補助する」です。いずれも一段階弱い言い方に揃えられており、これを強い表現に言い換えた時点で許可範囲を超えた宣伝になります。さらに、個々の製品が実際に表示できる文言は、提出した科学的根拠にもとづいて製品ごとに決まります。項目の許可を得ても、文言を自由に書けるわけではありません。
なお、日本で流通している訴求のうち、睡眠の質、記憶・認知機能、肌の潤い、目のピント調節といったものはこの14項目に含まれません。日本で機能性表示食品として届出済みの内容であっても、台湾でそのまま表示できるわけではないということです。
2つの審査ルート
許可証の取得ルートは2つあります。
個案審査:製品ごとに安全性・保健効果を科学的に立証する。申請書、原料成分規格と含有量表、製品安全性評価報告、保健効果評価報告、効果成分の鑑定報告と検査方法、安定性試験報告、製造工程概要、GMP証明、衛生検査規格と検査報告、栄養成分分析、関連研究文献、包装ラベルおよび説明書、事業登記証など13点の提出が必要
規格標準審査:政府が定めた規格標準に成分が合致していることを示す。提出書類は10点で個案審査より軽い。ただし規格標準が定められているのは魚油と紅麹の2つのみ
魚油または紅麹を主原料とする製品であれば規格標準審査という近道がありますが、それ以外の製品は原則として個案審査になり、動物試験や人体試験を含む評価報告の準備が必要です。たとえば新設の膝関節の健康維持では、40〜80歳を対象に12週間以上の人体食用研究を行うことが求められます。年単位の時間と相応の費用を見込む領域だと考えてください。なお2025年2月時点で有効な健康食品の許可証は421件で、うち血中脂質の調節が162件(38.5%)と突出しており、次いで胃腸機能の改善64件、肝臓の保護60件です。実際に取得されている効果は偏っています。

取るべきか、取らないべきか
はじめての台湾輸出で、いきなり健康食品許可証を目指すことは、多くの場合おすすめしません。判断軸は次のとおりです。
取りにいくべき:血中脂質・血圧・血糖といった、許可がなければ何も言えないカテゴリで勝負する製品。競合が健字号を持っており、持たないと棚に載らない場合
急がなくてよい:ビタミン・ミネラル、口服美容、腸活など、成分名と一般的な栄養機能の説明だけでも訴求が成立するカテゴリ。まず一般食品として市場の反応を見てから投資判断する
現実的な進め方は、第2層(査験登記)で市場に出し、売れる手応えを掴んでから第3層(健康食品許可証)に投資するという二段構えです。
いま動いている制度改正——「功能性食品」新設の動き

台湾の制度は、ここまで説明した3層のまま固定されているわけではありません。2026年6月、食品薬物管理署(TFDA)は、健康食品と一般食品の間に第3のカテゴリとして「功能性食品」を新設する方針を明らかにしました。
報道各社への説明でTFDAが示した骨子は次のとおりです。
対象は17の機能性原料・成分。ルテイン、難消化性デキストリン、イヌリン、プロバイオティクス・乳酸菌、GABA、魚油EPA・DHA、グルコサミン、コラーゲン、クレアチン、カテキン含有緑茶抽出物、βグルカン、高麗人参、紅参、フラクトオリゴ糖、α-シクロデキストリン、キトサン、植物ステロール
個別審査ではなく登録制。指定プラットフォームで製品を登録して登録番号を取得し、機能性成分の含有量が表示したい文言に見合うことを示す科学的資料を提出する
使用できる文言はTFDAがポジティブリストで定め、事業者が独自に言い換えたり誇張したりすることは認めない
対象剤形はカプセル・錠剤などのサプリメント形態と、機能性飲料などの一般食品形態の両方。登録した製品だけが「功能性食品」と表示できる
健康食品管理法の改正ではなく、食品安全衛生管理法の下位法令(第8条の事業者登録、第22条の表示、第28条の表示認定)の改正で実施する方針
日本のメーカーにとっての意味は小さくありません。17成分のリストは、日本のサプリメントの主力カテゴリとほぼ重なります。制度が動けば、健康食品許可証(小綠人)を取得しなくても、登録と根拠提出によって一定の機能性を表示できる道が開きます。日本で機能性表示食品の届出のために積み上げたエビデンスが、台湾でも活きる可能性があるということです。
ただし現時点で施行時期は決まっていません。TFDAは業界団体・消費者団体との調整を続けている段階で、確定した開始時期は示していないとしています。したがって、いま輸出を検討する企業が取るべき姿勢は次の2つです。
現行ルール(許可証がなければ効能を謳わない)を前提に、いま出せる製品と訴求で市場に入る
自社の主力成分が17項目に入っているなら、日本で保有しているエビデンスを中文で提出できる形に整理しておく
制度が動いた瞬間に登録できる状態にしておくことが、そのまま先行者利益になります。逆に、この動きを知らずに「台湾では何も言えない市場だ」と結論づけて撤退判断をすると、数年後に取り返しがつきません。
剤形を変えるとハードルが変わる

ここが本記事で最も実務的な示唆かもしれません。
査験登記の対象は「錠剤状・カプセル状」の食品です。同じ成分・同じ機能でも、粉末スティック、ドリンク、ゼリー、バーといった剤形であれば、この登記の対象から外れます。なお発泡錠は錠剤でありながら対象外とされています。
ただし誤解しないでください。外れるのは第2層の個別登記だけです。原料が台湾で使用可能か、中文表示が正しいか、広告表現が適法か——これらは剤形にかかわらず等しくかかります。
またグミやチュアブルのように錠剤との境界が曖昧な剤形は、判断が分かれる可能性があります。この手の境界事例は自己判断せず、台湾側の輸入者を通じて事前に確認するのが定石です。
それでも、剤形の選択が参入スピードとコストに直結するという事実は変わりません。台湾では女性向けの美容カテゴリでドリンクや粉末が好まれる傾向もあるため、「規制対応のしやすさ」と「市場の嗜好」が同じ方向を向くケースは少なくありません。台湾向けの製品開発では、日本の製品ラインをそのまま持ち込むのではなく、剤形から設計し直す価値があります。
原料でつまずく——日本でOKでも台湾でNGがある
使用可能原料の確認が最初の作業
台湾では、食品に使用できる原料が公的なデータベースで整理されています。ここに収載されていない原料を使う場合は、非伝統的食品原料として台湾FDAに個別申請し、安全性を立証しなければなりません。時間もコストもかかるため、事前確認は輸出検討の最初の作業になります。
食品添加物についてもポジティブリスト制が採用されており、定められた使用範囲・用途・上限を守る必要があります。日本で慣行的に使っている添加物が、台湾では当該用途で認められていないという事態は普通に起こります。
国境をまたぐと「薬品」になる成分がある
分かりやすい例がメラトニンです。台湾では1996年の公告により、メラトニンを表示する製品は薬品として管理されており、食品として販売することはできません。未承認の薬品を輸入・販売すれば刑事罰の対象にもなります。
日本メーカーにとってより身近な例が、高用量のビタミン類です。台湾の財政部関務署は、海外の健康食品通販サイトの通関遅延が報じられた際、一部の高用量ビタミンや特定品目は台湾国内では薬品に分類されており、その場合は台湾FDAの輸入許可を得なければ通関できないと説明しています。日本では栄養機能食品として普通に売られている配合量が、台湾では薬品側に振り分けられることがあるということです。
重要なのは個別の成分名ではなく、「ある国で食品扱いの成分・配合量が、別の国では薬品扱いになる」という構造そのものです。配合表を作成したら、成分名だけでなく1日摂取量まで含めて台湾側で1つずつ確認する——この地味な作業を飛ばすと、船積み後に止まります。
紅麹・魚油には固有ルールがある
紅麹と魚油は台湾でも需要が大きい一方、固有の規制が設けられています。健康食品として申請する場合、それぞれ「紅麹健康食品規格標準」「魚油健康食品規格標準」に従う必要があります。
さらに表示面でも追加の注意喚起が義務づけられています。魚油を原料とする健康食品には、乳幼児・妊婦・糖尿病患者・抗凝固剤服用者は摂取前に医師に相談する旨。紅麹を原料とする健康食品には、高脂血症治療薬(スタチン系・フィブラート系)やグレープフルーツとの併用で肝腎障害や横紋筋融解症を引き起こす可能性がある旨を、それぞれ記載しなければなりません。
衛生基準
健康食品には、腐敗・変色・異臭・汚染・カビ・異物がないこと、病原菌が検出されないことが求められます。重金属やカビ毒などの汚染物質については、かつて食品カテゴリごとの衛生標準に散在していた規定が「食品中汚染物質及び毒素衛生標準」に統合され、2019年1月1日から施行されています。国際基準との調和を図りながら随時改正されており、たとえばチョコレート・ココア類のカドミウム基準は2024年11月に改正が公告され2026年1月1日から適用されました。
したがって「サプリメントの重金属基準はこの数値」と一律に覚えることはできません。自社製品の原料カテゴリに対応する現行の限量を、その都度確認する必要があります。残留農薬・動物用医薬品についても一般の食品と同じ基準が適用されます。輸出前に台湾基準での試験成績書を取得しておくと、水際検査でのトラブルを大幅に減らせます。
日本国内で問題なく流通している製品でも、輸出前に台湾基準での試験成績書を取っておくと、通関時の水際検査でのトラブルを大幅に減らせます。
中文ラベルの実務
表示すべき項目
台湾で流通させる製品の容器・包装には、繁体字中国語で表示する必要があります。健康食品の場合、健康食品管理法にもとづき次の項目が求められます。
商品名
内容物の名称(2種類以上を混合する場合は、複合原料をすべて含有量の多い順に表示)
正味重量・容量・数量
食品添加物の名称
賞味期限、保存方法および条件
事業者名・住所(輸入品は台湾国内の責任事業者の名称と住所)
認定された保健効果
許可証番号、「健康食品」の記載および規格マーク
摂取量、および摂取による副作用・健康リスクに関する注意事項
栄養成分および含有量
主管官庁が指定するその他の表示事項
一般食品として輸出する場合も、繁体字での表示義務と、内容物・正味量・賞味期限・輸入者情報などの基本項目は同様に求められます。日本語ラベルにシールを貼るだけで済むケースは稀で、台湾向けの版を作る前提で考えてください。
必須の警語
健康食品の注意事項には、剤形に応じた文言が必要です。
カプセル・錠剤:本品は医薬品ではなく保健用であり、疾病のある方は医師の治療を受ける必要がある旨/推奨摂取量を守り過剰摂取しない旨
それ以外の剤形:本品は保健用であり、推奨摂取量を守って摂取する旨
糖の表示も要件になっています。1日推奨摂取量に含まれる外加精製糖(食品本来の天然糖ではなく、人為的に精製加工して加えた糖)が17グラム以上の場合、その含有量とカロリー摂取への注意を明記しなければなりません。WHOが示す成人1日あたり遊離糖50グラムの3分の1という考え方が根拠です。前述の魚油・紅麹の追加警語も同様に義務です。
これらの規定は「健康食品應加標示事項」の改正として2024年1月1日から施行されています。あわせて、保健効果成分とその含有量(保健効果成分が定められていない製品は品質管理指標成分とその含有量)の表示が求められ、警語などの文字色は背景色と区別しなければなりません。表示に不備があると健康食品管理法第23条違反として3万〜15万台湾ドル、1年以内の再違反では9万〜90万台湾ドルの過料に加え、営業または工場登記証照の廃止もあり得ます。
「健康」の2文字が使えない
見落とされがちですが影響の大きいルールです。「食品及び関連製品の表示・宣伝・広告が不実・誇張・誤解を生じさせるものまたは医療効能に該当するかの認定準則」の改正により、2022年7月1日以降に製造される製品から、健康食品の許可証を持たない一般食品は、商品名の一部に「健康」の文字を使えなくなりました。違反すると食品安全衛生管理法第28条違反として4万〜400万台湾ドルの過料が科され、包装製品は期限を切って回収・改正を命じられます。
規制の対象は「品名」に限られる。パッケージや広告のコピーとして「健康維持に」といった表現を使うこと自体は禁止されていない
ただし登録商標・ロゴ・ブランド名・シリーズ名に「健康」や英語の「Health」が含まれ、それが品名と併記・併置される場合は、品名の一部と誤認させるものとして違反にあたるとされている
台湾では2022年7月1日以降、食品の品名にあたる商標登録に「健康」を含めることもできないと整理されている
日本のブランド名や商品名に「健康」が入っている場合、表示の変更だけでなく商標戦略にも波及します。輸出検討の初期段階で確認すべき項目です。
日本のブランド名や商品名に「健康」が入っている場合、台湾向けには商品名そのものを変更する必要があります。ブランド名の変更は商標戦略にも波及するため、輸出検討の初期段階で確認すべき項目です。
包装素材の規制
包装材の規制は衛生当局ではなく環境当局の所管です。廃棄物清理法第21条にもとづき2022年4月に公告され、2023年7月1日から、PVC(ポリ塩化ビニル)を含む次のものの製造・輸入・販売が禁止されています。
平板包材:プラスチック製ライナー、ブリスター(泡殼)、および回収対象として公告された平板容器。錠剤・カプセルのPTPシートはここに該当するため、日本で一般的なブリスター包装は要確認
回収対象として公告された容器および非平板類の使い捨て食器のうち、食品・飲料・調味品・食用油脂・酒・アミノ酸類および総合ビタミンの内服液剤などを充填したもの
違反した場合、販売者は1件につき1,200〜6,000台湾ドル、製造・輸入は6万〜30万台湾ドルの過料が科され、いずれも改善するまで日ごとに反復して科されます。施行日より前に製造・輸入されたものは対象外です。
また容器・包装にはプラスチック材質に応じたリサイクルマークの表示が必要で、過剰包装も規制対象です。日本のギフト仕様をそのまま持ち込むと引っかかる可能性があります。
最大のリスクは広告表現
罰則の重さ

食品安全衛生管理法第28条は、食品の表示・宣伝・広告について2つの線を引いています。第1項は不実・誇張・誤解を生じさせる表現の禁止、第2項は医療効能の表示・宣伝・広告の絶対的禁止です。
罰則は同法第45条により次のとおりです。
不実・誇張・誤解を生じさせる表現:4万台湾ドル以上400万台湾ドル以下の過料
医療効能に関する表現:60万台湾ドル以上500万台湾ドル以下の過料
再違反の場合:営業停止、登記事項の廃止、食品事業者登録の抹消。登録を抹消されると1年間は再登録できない
さらに、医薬品でないものが医療効能を謳った場合は薬事法第69条の対象となり、60万台湾ドル以上2,500万台湾ドル以下という桁の違う過料が科されます。
処分は「たまに起きること」ではない
実際の執行状況を数字で見ておきます。台湾FDAの発表によれば、2024年度に全国の衛生機関が処分した食品・医薬品・化粧品の違法広告は8,006件、過料総額は3億7,765万台湾ドルでした。前年の10,526件・4億3,202万台湾ドルからは件数・金額とも減少していますが、これは取り締まりが緩んだためではありません。FDAは2024年1月末に広告処理原則を改正し、違反態様や著名人の起用に応じて過料を最大3倍まで加重できるようにしており、その抑止効果が表れたものと説明しています。
この改正で日本企業が特に注意すべきは、広告に出演した本人も処分対象になる点です。2024年度の最高額となった関節系サプリメントの事例では、製品側に1,124万台湾ドルが科されたのに加え、広告に起用されたタレント個人にも216万台湾ドルが科されています。台湾でKOLやタレントを起用する場合、起用契約に表現の管理と違反時の責任分担を明記しておかないと、パートナーごと失うことになります。
また処分は「一行為一罰」の原則で運用されるため、同一製品の同一広告であっても掲載が続くかぎり反復して科されます。一度払えば終わりという設計にはなっていません。
違反の中身も参考になります。台北市衛生局の2024年の集計では、違反食品広告の訴求内容は「免疫力の向上」が15.0%で最多、次いで「ダイエット・痩身」が14.8%、「肌の美容」が9.1%でした。いずれもサプリメントの主力訴求そのものです。
日本の機能性表示食品の訴求はそのまま使えない
日本国内で適法に使っている「睡眠の質を高める」「記憶力を維持する」「中性脂肪を下げる」といった表現は、日本の届出制度にもとづいて許されているものであって、台湾での適法性を何ら保証しません。健康食品許可証を持たない製品がこれらを中文で掲げれば、そのまま第28条違反です。
実務上の対応はこうなります。
日本語の販促物をそのまま翻訳しない。台湾向けのコピーはゼロから設計する
台湾FDAが公表している認定準則と「通常使用できる語句」の例示を、コピー作成の出発点にする
代理店・インフルエンサー・ECモール出品者が独自に作る文言まで管理する。広告主体が誰であっても、処分は製品と事業者に及ぶ
販売店向けに、使ってよい表現・使ってはいけない表現を一覧化した中文ガイドラインを配布する
最後の項目は日本企業がほとんどやっていませんが、最も費用対効果の高い予防策です。

通関の流れと日本産食品固有の書類

台湾に輸入されるすべての食品は輸入検査の対象です。食品及び関連製品の輸入検査弁法によれば、報検義務者(輸入者またはその代理人)は、貨物が港に到着する15日前から到着後までの間に、輸入港所在地の検査機関へ検査を申請します。「到着15日前までに申請しなければならない」という締切ではなく、到着15日前から受け付けが始まり、到着後の申請も認められるという建て付けです。主な提出物は検査申請書、製品資料表、輸入申告書の写し、台湾FDAが指定する文書です。
検査は書類審査、現場での確認(品名・規格・包装・外観・性状・表示の点検)、抜き取り検査(官能・物理検査および生物・化学検査)で構成され、適合すれば輸入許可通知が交付されます。不適合の場合は返送または廃棄が原則ですが、表示違反にとどまる場合は期限を切って改正を申請できる余地があります。実務上は、到着後に慌てるのではなく、船積み前に書類一式を揃えておくことがリードタイムを縮める唯一の方法です。
日本産食品については、2011年の福島第一原発事故を受けて設けられていた特別規制が、2025年11月21日付で全面撤廃されました。台湾当局が同年9月に撤廃方針を表明し、60日間の意見公募を経て正式決定したものです。これにより次の2つの書類が不要になりました。
産地証明書:日本産のすべての食品(酒類を除く)に求められていた添付義務が撤廃
放射性物質検査報告書:福島・茨城・栃木・群馬・千葉の5県産食品(酒類を除く)に求められていた提出義務が撤廃
日本産食品は他国産と同じ通常の管理に戻ったことになります。原料の産地が複数県にまたがりやすいサプリメントにとって、証明書集めの負担が消えた意味は小さくありません。ただし撤廃されたのは原発事故に伴う特別措置だけです。輸入査験、中文表示義務、食品添加物・残留農薬の基準、そして錠剤・カプセル状食品の査験登記は、いずれも従来どおり残ります。「規制が撤廃された」という見出しだけを見て手続きが軽くなったと誤解しないでください。手続き全体の流れは台湾への食品輸出完全ガイドも併せて参照してください。
コスト構造と価格設計——関税30%を織り込む
見落とすと採算が崩れるのが関税です。台湾の輸入税則は3欄構成で、日本からの輸入にはWTO加盟国向けの第1欄税率が適用されます。
カプセル状・錠剤状の調製食料品(CCCコード2106.90.99)に適用される税率は30%です。2002年の台湾のWTO加盟時に、それまでの50%から引き下げられて設定された譲許税率で、日本からの輸入には現在もこの30%が適用されます。各国の同種製品の関税がおおむね一桁台から15%程度であるのに対して突出して高く、輸入サプリの台湾店頭価格が本国比で2〜3倍になる主因のひとつです。
ここで日本企業が必ず押さえておくべき変化があります。2026年2月13日に署名された台米対等貿易協定により、米国から輸入される保健食品の関税は30%から10%へ引き下げられました。台湾の錠剤・カプセル状食品の輸入額は2024年で約80.9億台湾ドル、うち約半分にあたる41.7億台湾ドルが米国産です。つまり最大の競合供給国だけが、関税で20ポイントの優位を得たことになります。
日本ブランドにとっては、同じ棚で戦う米国ブランドとの原価構造の差が一段と広がったということです。価格で正面から競うのが難しくなる以上、品質管理の裏づけ、原料の由来、剤形の飲みやすさ、ブランドの信頼といった非価格要因で差別化する設計が、これまで以上に重要になります。台湾の保健食品製造業者は約210社あり、その約9割が海外ブランドの受託製造を担っているとされます。現地生産への切り替えも、選択肢として検討する価値があります。
なお、日本を含む一般の30%についても引き下げの議論は続いています。2025年3月の立法院財政委員会では、財政部長が経済部の提案として、十分な配套措置を前提に5年以内に20%まで引き下げる方針を示しました。ただし引き下げには経済部による税式支出評価報告が必要で、対象品目・時期・方法はいずれも未確定です。事業計画は30%で組み、引き下げは上振れ要因として扱うのが安全です。
ただし税則の分類は商品名ではなく成分と製造方法で決まるため、「保健食品だから必ず30%」ではありません。剤形や配合によって別の税番に分類される可能性があります。台湾の税率データベースで事前に確認するか、財政部関務署の税則事前審査制度を使って輸入前に分類を確定させておくのが確実です。
価格設計では、少なくとも次の要素を積み上げてください。
製品原価と日本国内物流
台湾向けラベル・包装の別版コスト
輸出諸掛(海上・航空運賃、保険、通関)
輸入関税(カプセル・錠剤なら30%を前提に試算)
営業税5%
査験登記の申請・検査費用と、その5年償却
輸入者・ディストリビューターのマージン、小売のマージン
販促費(ECのレビュー施策、店頭什器、販売員教育資料)
台湾の店頭価格から逆算して日本の出し値が成立しないなら、剤形・容量・SKU構成を作り直すしかありません。関税とコストの考え方は台湾への輸出にかかる関税・コスト・価格設定ガイドでも整理しています。

はじめての1年間のロードマップ

0〜3か月:製品が「通るかどうか」を判定する
最初にやるべきは営業ではなく、可否判定です。
全成分リストを作成し、台湾で使用可能な原料かを1つずつ確認する
非伝統的食品原料に該当するものがあれば、その時点で申請の要否とスケジュールを見積もる
剤形を確認し、査験登記が必要な区分かを判定する
商品名に「健康」の文字がないか、商標が台湾で押さえられていないかを確認する
目標小売価格から逆算し、関税30%を織り込んだうえで採算が立つかを試算する
この5点のうち1つでも赤信号が出たら、製品仕様の見直しが先です。
3〜6か月:パートナー選定と査験登記
査験登記は台湾側の事業者しか申請できないため、この時期の主作業はパートナー選定になります。査験登記の実績、対象チャネル、既存の取扱ブランドを確認したうえで契約し、成分含有量表・製造所の証明書類・サンプルを揃えて申請に入ります。
並行して、台湾向けの中文ラベル案と販促コピー案を作成します。適法性のチェックは代理店任せにせず、日本側でも認定準則を踏まえて確認してください。
6〜12か月:チャネル投入とテスト販売
許可が下りたら、まずECまたは限定的な実店舗でテスト販売を行います。前述のとおり販売の山は5月と11月なので、そこに初回の在庫と施策を合わせるのが定石です。
この段階で見るべきは売上高よりも回転率とレビューの中身です。台湾の消費者は口コミの影響を強く受けるため、初期のレビューの質がその後の伸びを決めます。販路構築の一般的な手順は海外販路開拓の進め方で解説しています。
展示会をどう使うか
パートナー探索の手段として、展示会は依然として有効です。サプリメント・健康食品に関係する台湾の展示会は主に2つの系統があります。
BIO Asia-Taiwan(アジア生技大展):南港展覧館で開催されるアジア最大級のバイオ・ヘルスケア見本市。食品バイオ・保健区が設けられ、保健食品原料、完成品、OEM/ODM、包材が集まる。2025年は19カ国850社・約2,200小間・来場延べ14万人超の規模。同時開催のアジア美容保養・生技保健大展も併せて回れる
FOOD TAIPEI(台北国際食品展):食品全般の総合展。健康食品に特化した商談の場ではないが、食品流通の代理店・バイヤーに広く当たれるため、一般食品として展開する製品との相性がよい
原料・OEM・専門流通を狙うならBIO Asia-Taiwan、食品チャネル全般に広く当たるならFOOD TAIPEIという使い分けになります。Food Taipei(台北国際食品展)の詳細と台湾の食品展示会の全体像も参考にしてください。
ただし展示会は「行けば決まる」場ではありません。査験登記の要否と概算スケジュールを説明できない状態で商談に臨むと、興味を持ったバイヤーを取りこぼします。規制の理解こそが、展示会での商談力になります。出展の進め方は台湾展示会の出展・視察支援で解説しています。
なお、こうした市場調査・展示会出展・現地パートナー開拓には新事業進出・ものづくり商業サービス補助金のグローバル枠をはじめとする公的支援を活用できる場合があります。使える制度は海外販路開拓に使える補助金完全ガイドにまとめています。
よくある質問(FAQ)
効能を一切謳わないビタミン剤でも、査験登記は必要ですか
必要です。査験登記の要否は効能表示の有無ではなく剤形で決まります。錠剤・カプセル形状で輸入するなら、効能を謳わない製品でも製品ごとの登記が必要です。
日本のメーカーが自分で査験登記を申請できますか
できません。申請主体は台湾側の責任業者(輸入者)です。したがって、輸入者・代理店が決まらないかぎり手続きは始められません。パートナー選定の際に査験登記の実績を確認してください。
健康食品の許可証(小綠人)は必ず取る必要がありますか
必須ではありません。許可証がなくても、保健効果を謳わなければ一般食品または輸入錠剤・カプセル状食品として販売できます。血中脂質・血圧・血糖など、効能表示なしでは訴求が成立しないカテゴリでのみ、取得を検討する価値があります。
日本で機能性表示食品として届出済みなら、台湾でも同じ表示ができますか
できません。日本の届出制度と台湾の健康食品管理法は別の制度です。台湾で保健効果を表示できるのは台湾の許可証を取得した製品のみで、認められている効果も14種に限定されています。
越境ECや代購で台湾の消費者に届いているなら、輸出手続きは不要ですか
不要にはなりません。個人が自分で使う目的で郵便・貨物により持ち込む場合、1品目12瓶以内・合計36瓶以内であれば輸入査験が免除されますが、この免除で入れた製品の販売は禁止されており、違反すると免除措置の停止処分を受けます。事業として販売するなら正規の手続きが必要です。
準備期間はどのくらい見ておくべきですか
製品仕様に問題がなく、経験のある輸入者と組めた場合で、可否判定からテスト販売開始までおおむね6〜12か月が目安です。原料に非伝統的食品原料が含まれる場合や、健康食品許可証の取得を目指す場合は、さらに年単位の時間を見込んでください。
まとめ
台湾のサプリメント・健康食品市場は、2人に1人が購入する成熟マーケットであり、超高齢社会入りによって構造的な需要の伸びも見込めます。日本製への信頼も厚く、参入する価値のある市場です。
一方で、制度は日本と構造が異なります。改めて要点を整理します。
台湾の制度は一般食品・輸入錠剤カプセル状食品・健康食品の3層。中身ではなく剤形で区分が変わる
錠剤・カプセルなら製品ごとの査験登記が必須。申請できるのは台湾側の輸入者のみで、有効期限は5年
保健効果を表示できるのは健康食品許可証を取得した製品だけ。認定効果は14種に限定
表示は繁体字。剤形に応じた警語が必要で、商品名に「健康」の文字は使えない
最大のリスクは広告表現。日本の訴求をそのまま翻訳すると高額の過料対象になる
カプセル・錠剤状の調製食料品は日本産で関税30%。2026年2月から米国産は10%に下がり、価格競争の条件が変わった
逆に言えば、これらは製品仕様と訴求設計の段階で対処可能な論点ばかりです。剤形を変える、コピーを作り直す、経験のある輸入者と組む——順番を間違えなければ、台湾は日本のサプリメーカーにとって現実的な最初の輸出先になります。
台湾市場全体の情報は台湾市場進出 完全ガイドマップに、商材カテゴリ横断の輸出情報は食品・調味料の輸出 完全ガイドマップに集約しています。
Link Globalでは、台湾を中心としたアジア市場の販路開拓を、市場調査・パートナー開拓・展示会出展・商談フォローまで一貫して支援しています。サプリメント・健康食品の台湾展開について具体的にご相談されたい方は、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。支援内容と費用感は台湾進出支援サービスおよび台湾進出支援の費用・相場ガイドをご覧ください。




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