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台湾へどう送るか|EMS・クーリエ・混載・コンテナの使い分け

堤浩記
3 日前
読了時間: 22分

台湾に商品を送りたい。そう決めた後で最初に詰まるのが、「どうやって運ぶか」です。EMSで送れるのか、クーリエか、それともコンテナを1本仕立てるのか。選び方を間違えると、費用が想定の倍になったり、展示会の搬入日に間に合わなかったり、台湾の税関で止まったりします。


この記事では、日本から台湾へ家具・木工品・工芸品・陶磁器・繊維・雑貨といった非食品を送る場合を対象に、5つの輸送手段の使い分け、必要な書類、木材梱包材の規制、台湾側の通関、展示会に持ち込む場合の扱いまでを、一次情報にあたって整理します。


本記事のデータについて


本記事の数値・制度は、以下の一次情報をもとに2026年9月時点で確認したものです。


  • 日本郵便「国・地域別情報(台湾)」および「EMS料金表(第1地帯)」

  • DHL Express「サービス・料金ガイド2025」および公式解説ページ

  • 農林水産省 植物防疫所「木材こん包材の輸出入」およびISPM15仮訳

  • 台湾 財政部關務署「貨物通關三種方式C1、C2及C3」、關港貿單一窗口

  • ジェトロ「小口貨物の通関制度:台湾」「輸出入手続(台湾)」「一時輸入制度:台湾」「インコタームズ2020」

  • 一般社団法人 日本商事仲裁協会(JCAA)「申請種類と発給料金」

  • 行政院人事行政総処「政府行政機関辦公日曆表」(民国115年・116年)


料金表・免税額・祝日・認証制度は改定されます。実際の出荷前には、必ず上記の一次情報で最新値を再確認してください。本記事では、確認できなかった項目を「要確認」として明示し、推定による数値の補完は行っていません。


また、食品・飲料は別の規制体系(輸入査験・中文表示・検疫)がかかります。本記事は非食品を対象としています。食品の場合は台湾への食品輸出完全ガイド2026年最新版をご覧ください。


結論:送り方は3つの分岐で決まる


台湾へ何をどう送るかは、突き詰めると次の3点で決まります。


分岐1:量(重量と容積)


30kgに収まるならEMSが最も手軽です。数十〜数百kgならクーリエか航空混載、10CBM前後を超えるあたりから海上コンテナが視野に入ります。


分岐2:納期


展示会の搬入日のように動かせない期限があるなら、スケジュールが読める手段を選びます。海上の混載便は工程が多く、日程の主導権を持ちにくい手段です。


分岐3:売るのか、見せて持ち帰るのか


現地で販売するなら正式輸入が前提です。展示して持ち帰るだけなら一時輸入の枠組みが使えます。この分岐を最初に決めないと、スキーム全体を組み直すことになります。


多くの失敗は、分岐1だけで手段を決めてしまい、分岐2と3を後から考えることで起きています。「安いから混載で」と決めた後に搬入日が動かせないと判明する、「まず展示だけ」と言っていたのに現地で売ることになる、という順序の問題です。


台湾への輸送手段を、販売か展示か・期限・量の3分岐で選ぶ判断フロー図

図A:輸送手段の判断フロー。売るのか見せて持ち帰るのか、期限、量の3分岐で選ぶ。


手段別の実像


EMS(国際スピード郵便)


日本郵便のEMSは、台湾を中国・韓国と同じ「第1地帯」として扱います。台湾向けの上限は重量30kg、長さ1.5m以内、長さと横周の合計3m以内です。通関電子データの事前送信(EAD)は台湾向けでは必須とされています。


料金(第1地帯・2026年9月時点)は以下のとおりです。


  • 500gまで:1,450円

  • 1.0kgまで:2,200円

  • 2.0kgまで:3,400円

  • 3.0kgまで:4,400円

  • 5.0kgまで:6,400円

  • 10.0kgまで:10,600円

  • 20.0kgまで:18,600円

  • 30.0kgまで:26,600円


商業貨物として使う場合の注意点が2つあります。


ひとつは書類です。商業目的の物品にはインボイス(送り状)の添付が必要で、税関告知書CN23を郵便物の外部に付けます。台湾側の条件では、個人使用品や商品見本で価格が1,000米ドル相当を超えないものは輸入許可書が不要とされており、逆にこれを超える商業貨物は通常の輸入手続きに回りやすくなります。


もうひとつは申告内容です。日本郵便の台湾向け条件表には、製品名・数量・重量・価格の虚偽記載やCN23の虚偽記載に対し、台湾側で関税の2〜5倍の罰金または没収の定めがあることが明記されています。「少なめに書いておけばいい」が通用する領域ではありません。


なお、貴金属・宝石・紙幣・有価証券などの貴重品はEMSでは送れません。


要確認:EMSに容積重量が適用されるか、その計算除数が6,000なのか5,000なのかは、日本郵便の公式ページで直接確認できませんでした。解説サイトによって記述が分かれています。大きくて軽い荷物を送る際は、差出窓口で事前に確認してください。


国際クーリエ(DHL・FedEx・国際宅急便など)


クーリエの料金は「基本運賃+燃油サーチャージ+オプション料金+関税・諸税」で構成されます。EMSとの最大の違いは、容積重量の計算が明示されていることと、通関を業者が代行し関税を立て替えることです。


DHLの場合、請求重量は実重量と容積重量の大きい方で、容積重量は縦×横×高さ(cm)÷5,000で計算します。DHLは公式に「DHL Expressをはじめ、多くの国際エクスプレス便でDIM係数5,000が採用されている」と説明しており、112×22×89cmの荷物なら43.9kgとして課金される計算例を示しています。工芸品や家具のように「軽いのにかさばる」荷物では、実重量ではなくこの容積重量が効いてきます。


燃油サーチャージは変動料率で、2か月前の平均航空機燃料価格を基準に算定されます。見積り時点と出荷時点で料率が変わりうるため、数か月先の出荷を前提にした価格提示には注意が必要です。


見落とされがちなのが付帯料金です。DHLは仕向国で関税・諸税を立て替えた場合の立替納税手数料、6項目以上の申告に対する多品目申告手数料(600円)などを設定しています。加えて規定外貨物の手数料があり、代理店が公表している資料(2024年時点)では、1梱包の実重量または容積重量が70.1kg以上で15,000円、最長辺120.1cm以上で7,000円、不規則形状で43,000円といった水準です。家具や大型の工芸品はこの規定外貨物に該当しやすく、運賃だけを比較すると見積りが大きく狂います。


航空混載


フォワーダーが複数の荷主の貨物をまとめて航空便に載せる方式です。クーリエより単価を抑えられる場合がありますが、空港でのハンドリングと通関を自社または通関業者で手配する必要があります。ドア・ツー・ドアではないぶん、手間と引き換えにコストを下げる選択肢と考えてください。


台湾は日本から近く、航空のリードタイム自体は短く済みます。数十kgから数百kgの帯で、クーリエが割高になってきたときに比較する対象です。


海上LCL(混載)


コンテナ1本に満たない小口貨物を、他社の貨物と混載する方式です。運賃はW/M建て、つまり容積(CBM)と重量トンの大きい方を課金単位(レベニュートン=R/T)とします。


LCLで理解しておくべきなのは、運賃の安さと引き換えに工程が増えるということです。出港前にCFS(コンテナフレイトステーション)で他社貨物と一緒に積み込まれ、到着後にデバンニング(荷降ろし・仕分け)を経てから引き渡されます。この前後工程に数営業日かかるのが一般的で、しかもその日程は自社では動かせません。


費用面でも、CFSチャージ、D/Oフィー、ドレージなどの付帯費用が積み上がります。運賃単価だけで比較せず、総額で見るのが鉄則です。


海上FCL(20ft/40ftコンテナ)


コンテナを1本貸し切る方式です。主なドライコンテナの内寸目安は次のとおりです。


  • 20ft:内寸 約5,898×2,352×2,342mm/内容積 約33CBM

  • 40ft:内寸 約12,032×2,352×2,385mm

  • 40ftハイキューブ:内容積 約76CBM


実務上の積載率は容積の8割程度を見込みます。数字どおりに33CBM積めるわけではありません。


FCLの利点は、混載しないことでほかの貨物由来の汚損・破損リスクがなく、スケジュールも比較的読めることです。大型品、壊れ物、まとまった量の出荷では、費用面でも管理面でも最有力の選択肢になります。


どこで切り替わるか


公開されている実務上の目安では、LCLと20ftコンテナ(FCL)の損益分岐点は概ね13〜15R/Tとされています。ただしこれは路線・季節・フォワーダーによって大きく変わり、アジア域内の航路では15R/Tを超えてもLCLが有利になる例が報告されています。あくまで見積りを取る前の当たりをつけるための目安として扱ってください。


段階的な整理としては、少量・軽量はEMSかクーリエ、中量は航空混載かLCL、まとまった量と大型品はFCL、という並びになります。


EMS・クーリエ・航空混載・海上LCL・海上FCLの5手段を量、所要、料金、通関、適性、上限で比較した表

図B:輸送手段の比較。出典:日本郵便、DHL Express、物流各社の公開資料(2026年9月時点)。コンテナ内寸と損益分岐点は事業者により幅がある。


比較の要点を手段ごとに整理すると、次のようになります。


  • 【EMS】目安の量:〜30kg/所要:近距離で数日/料金:重量×地帯の公表額/通関:郵便扱い。少額は簡易、高額の商業貨物は通常手続き/適性:小型・軽量向き/上限:30kg・1.5m・長さ+横周3m

  • 【クーリエ】目安の量:〜数百kg/所要:数日/料金:運賃+燃油+通関手数料/通関:業者が代行、関税立替あり/適性:中小型向き/上限:各社規定(規定外貨物手数料に注意)

  • 【航空混載】目安の量:数十〜数百kg/所要:短い/料金:重量建て+諸費用/通関:正式通関(通関業者)/適性:中型可

  • 【海上LCL】目安の量:〜10数CBM/所要:長め・不確実/料金:W/M(R/T)建て+CFS等/通関:正式通関/適性:混載による汚損リスクあり

  • 【海上FCL】目安の量:コンテナ単位/所要:近海で比較的短い/料金:コンテナ単位/通関:正式通関/適性:大型・壊れ物に最適/上限:20ftで約33CBM、積載率8割目安


要確認:日本各港(東京・横浜・神戸・大阪・苫小牧など)から基隆・台中・高雄までの具体的な所要日数は、船社と混載業者の当月スケジュールで確認してください。公表値は季節と航路で変動するため、本記事では固定の日数を示していません。


出典:日本郵便「国・地域別情報(台湾)」「EMS料金表(第1地帯)」、DHL Express「輸送コストの算出方法」「サービス・料金ガイド2025」、物流各社の公開資料(コンテナ内寸・損益分岐点の目安)。いずれも2026年9月閲覧。コンテナ内寸と損益分岐点は事業者により幅があります。


書類は3点セット+α


輸出書類の話で最初に整理すべきなのは、自分が作る書類とそうでない書類の区別です。


輸出者が準備するもの


コマーシャル・インボイスには、品名、数量、単価、合計金額、通貨、インコタームズ(例:FOB Tokyo)、原産国、荷送人と荷受人、支払条件を記載します。


パッキングリストには、梱包ごとの明細、正味重量と総重量、容積(CBM)、梱包数、ケース番号を記載します。


シッピングマークは外装への表示です。一般的には、荷印(社名または取引記号)、仕向港(例:KEELUNG)、ケース番号(C/NO. 1-10)、原産国(MADE IN JAPAN)、取扱注意表示(FRAGILE、THIS SIDE UPなど)で構成します。


このほか、商品写真やカタログを添えておくと、台湾側で貨物検査になった際の照合が速くなります。EMSや国際小包では税関告知書CN23を郵便物の外部に添付します。


輸出者が発行しないもの


B/L(船荷証券)は船会社またはフォワーダーが、Air Waybill(航空運送状)は航空会社または混載業者が発行します。荷主は記載内容を提供する立場であって、自分で作る書類ではありません。ここを誤解していると、初回の輸出で「B/Lを用意してください」と言われて止まります。


原産地証明書は必要か


日本と台湾の間にはEPA・FTAがありません。したがって特恵関税を受けるための特恵原産地証明書は、台湾向けには存在しません。


一方、非特恵原産地証明書は、輸入国の法令上の要請、契約上の取り決め、信用状(L/C)での指定などがある場合に、各地の商工会議所が発行します。台湾向けの一般的な非食品雑貨では通常は不要ですが、取引先やL/Cが求めるなら取得が必要です。商談の早い段階で相手に確認しておく項目です。


記載の整合性


インボイスとパッキングリストの記載は、必ず相互に一致させてください。品名・数量・重量の食い違いは、台湾側の照合で引っかかる典型的な原因です。社名の表記ゆれ(末尾の「CO., LTD.」の省略など)も含め、書類間で統一します。


出典:ジェトロ「原産地証明書の種類」、経済産業省「EPAに基づく原産地証明制度」、日本郵便「国・地域別情報(台湾)」。いずれも2026年9月閲覧。


木材梱包材とISPM15の誤解


木製品を扱う事業者が最も誤解しやすいのがこの論点です。


対象は「梱包材」であって「商品」ではない


ISPM15(国際基準第15号)が規制するのは、パレット、木箱・木枠、クレート、そしてダンネージ(当て木・角材)といった木材こん包材です。輸送される貨物そのものを対象とする基準ではありません。


したがって、完成した木製家具や木工品は、それ自体が「こん包材」ではないため、ISPM15の対象外です。「木製品だから検疫が必要なはずだ」という思い込みで、不要な手続きを探してしまうケースがあります。


ただし、木材・木製品としての輸入条件が台湾側で別途課される可能性は品目によって異なります。ここは要確認の領域で、素材や加工度によって扱いが変わりえます。木材そのものを輸出する場合は日本産木材の台湾輸出 完全ガイド2026をあわせてご覧ください。


対象外になるもの


農林水産省 植物防疫所のFAQによれば、次のものはISPM15の対象外です。


  • 合板、パーティクルボード、OSB、ベニヤ、ベニヤ剥き芯、おが屑、木毛、削り屑・かんな屑

  • 厚さ6mm以下の木材、およびこれらを素材とした木材こん包材

  • マイナス17.8度以下で凍結された貨物に使用されている木材こん包材

  • 熱処理・焼き・研磨・彫刻・塗装などで高度に加工された木材こん包材(木樽、化粧箱など)


梱包を合板や6mm以下の薄板、強化段ボールに置き換えれば、そもそも対象から外せます。これは実務上、かなり有効な回避策です。


対象になる場合の処理と表示


規制対象の木材こん包材には、熱処理(HT)すなわち木材の中心温度56度以上を最低30分などの承認された処理を施し、IPPCマーク(国コード、登録事業者コード、処理記号HTなど)を表示する必要があります。日本は2007年4月から国際基準に基づく対応を実施しています。


輸出用は「輸出用木材こん包材消毒実施要領」に基づき、農林水産省が登録した消毒証明実施機関(一般社団法人 全国植物検疫協会、一般社団法人 全国木材検査・研究協会。いずれも令和7年5月10日に登録更新)の枠組みで処理と表示を行います。


現場で起きる失敗


ホームセンターで買ってきた木材を、その場の判断で当て木や角材に使うのが最も危険です。IPPCマークがないため違反となり、台湾側で貨物の差し止め、消毒、積み戻し、廃棄命令につながりえます。台湾はISPM15の採用国であり、運用も厳格です。


出荷直前に「木箱・パレット・ダンネージ・当て木の使用箇所をすべて洗い出し、HTマークの有無を確認する」という手順を、チェックリストに組み込んでください。商品本体の準備に気を取られ、梱包資材の出所を確認しないまま積み込んでしまう、という順序で起きる事故です。


ISPM15の対象となる木材梱包材と、対象外となる完成木製品や合板などを対比した図

図C:ISPM15の対象と対象外。出典:農林水産省 植物防疫所「木材こん包材の輸出入」および同FAQ(2026年9月閲覧)。


出典:農林水産省 植物防疫所「木材こん包材の輸出入」「同FAQ」「ISPM15(仮訳)」。2026年9月閲覧。


台湾側の通関と輸入者


台湾側に誰が必要か


台湾で輸入通関するには、原則として台湾側に受荷主(輸入者)が存在し、輸出入業者登記(進出口廠商登記)を備えた事業者であることが求められます。B2Bの商業輸入では、この登記済みの事業者が納税義務者・輸入名義人になります。


「台湾に売りたいが、台湾側にまだ取引先がいない」という状態では、商業貨物は入りません。販路開拓と輸送手配は、順序として販路が先です。


少額免税と課税の境目


郵便物の場合、課税価格がNT$2,000以下であれば関税・物品税・営業税が免除されます(郵包物品進出口通關辦法第7条)。この免税上限は2018年1月1日にNT$3,000から引き下げられたもので、古い解説にはNT$3,000のまま書かれているものが残っています。タバコ・酒・関税割当対象の農産物は対象外です。


速達(クーリエ)貨物は3区分です。


  • NT$2,000以下:免税

  • NT$2,001〜50,000:簡易(速達)通関

  • NT$50,000超:正式通関


また、FOB価格が米貨5,000ドルを超える郵便物品は通関申告が必要です。


「頻繁」の定義


ジェトロの解説によれば、台湾では「頻繁」の判断基準として、30日以内に2回以上、あるいは6か月以内に6回以上送付された場合が示されており、この場合は免税規定が適用されません。半年の区切りは1月1日から6月30日、7月1日から12月31日です。


さらに、同一日・同一宛先・同一受取人への2個口以上は合算して課税価格を判定します。


台湾の少額免税NT$2,000と速達貨物の3区分、合算・頻度制限のルールを示した図

図D:台湾の少額免税と通関区分。出典:ジェトロ「小口貨物の通関制度:台湾」、台湾 郵包物品進出口通關辦法(2026年9月閲覧)。


通関方式C1・C2・C3


台湾では、電子申告の後、税関のシステムが輸出入業者の等級、貨物の原産地、貨物の性質、通関業者などの条件に応じて、貨物を次の3つに振り分けます。


  • C1(免審免験):書類審査も貨物検査も免除。即時に放行

  • C2(文件審核):書類審査。書面提出後に放行

  • C3(貨物査験):貨物検査。人による検査(C3M)と機器検査(C3X)があり、検査と分估を経て放行


どこに振り分けられるかは事前にわかりません。C3を引いた場合に検査が入る前提で、余裕を持った日程を組んでおくことが唯一の対策です。申告の電子的な窓口は關港貿單一窗口(通関・港湾・貿易のシングルウィンドウ)です。


台湾の通関方式C1・C2・C3の振り分けと、それぞれの処理内容を示した図

図E:台湾の通関方式C1・C2・C3。出典:台湾 財政部關務署「貨物通關三種方式C1、C2及C3」(2026年9月閲覧)。


要確認:台湾の通関に要する標準的な日数について、關務署は全案件一律の所要日数を公表していません。「多くの速達貨物は到着後数時間で通関」といった案内はありますが、起算点が明示されていないため、本記事では確定的な日数を示していません。見積りの際は「港到港の日数」「通関」「デバンニング」「国内配送」を分けて積み上げてください。


なお、関税率の調べ方、CCCコードの特定、営業税の計算については台湾への輸出にかかる関税・コスト・価格設定ガイドで詳しく解説しています。


出典:ジェトロ「小口貨物の通関制度:台湾」「輸出入手続(台湾)」、台湾 財政部關務署「貨物通關三種方式C1、C2及C3」。いずれも2026年9月閲覧。


展示会に持ち込む場合


台湾ではATAカルネが使えない


台湾はATA条約に加盟していません。各国の展示会で使われるATAカルネは、台湾では使用できません。これを知らずに手配を進めると、出発直前に組み直すことになります。


代替はSCCカルネ


代替手段として、日台間の民間協定に基づくSCCカルネ(特別通関手帳)があり、一般社団法人 日本商事仲裁協会(JCAA)が発給しています。要点は次のとおりです。


  • 対象:展示会の出品貨物、商品サンプル、職業用具など。加工または修理用の物品は対象外

  • 有効期間:発給日から12か月間、延長不可(JCAA公表の案内による)。台湾以外の国・地域との併用はできない。複数回や分割での使用可否は個別の条件によるため、申請前にJCAAへ確認する

  • 費用:発給手数料は基本料金18,000円から(JCAA公表の料金表。2023年10月3日審査完了分より改定)

  • 担保:台湾の輸入税等を基準にJCAAが算定した額に相当する現金担保(担保料率は物品価額の20%、最低担保金額30,000円。使用後の内容に問題がなければ返還)、またはJCAAの審査に適合した場合の担保措置料(返金なし)。銀行保証書による方法もある

  • 効果:台湾税関での輸入関税・営業税が免税扱いとなり、その都度の納付や保証金の提供が不要になる


「発給日から12か月」であって「輸入日から」ではない点は、複数の展示会を回る計画では効いてきます。申請から実際の搬入までに時間がかかると、その分だけ使える期間が短くなります。


SCCカルネを使わない一時輸入


展示会場が保税地域であれば担保は不要です。保税地域でない場合は、通常輸入時の関税と営業税に相当する額の担保(保証証券や金融機関の保証)が必要になります。一時輸入の期間は税関が定める期間で、最長で輸入日から6か月、延長は理由を添えて申請します。展示会主催者からの書類(名称・日時・場所・輸入者名など)も必要です。


BSMIの展示品免除


台湾の商品検験法に基づくBSMI検査については、非販売用の自己使用品、商業サンプル、展示品、研究開発テスト用品は、検査機関の審査を経て検査免除が認められます。BSMIとNCCの詳細は台湾に電気製品・無線機器を輸出する際の認証ガイドで解説しています。


展示後に現地で売るなら、話が変わる


SCCカルネも一時輸入も、「再輸出する」ことを前提にした免税の仕組みです。現地で販売するということは再輸出しないということなので、この前提が崩れます。


つまり、展示後に売る予定があるなら、一時輸入は使えず、正式輸入して関税と営業税を納める必要があります。SCCカルネで持ち込んだ物品を期限内に再輸出できなければ、免除されていた関税・営業税の支払い義務が生じます。


実務的には、展示会では受注に徹し、成約後にあらためて正式輸出するという設計が無難です。「売れたらその場で渡す」を想定するなら、最初から正式輸入で組んでください。


出典:ジェトロ「一時輸入制度:台湾」「一時輸入のための特別通関手帳SCCカルネ:台湾」「輸出品に対するBSMI検査」、JCAA「申請種類と発給料金(ATA・SCC)」。いずれも2026年9月閲覧。


インコタームズと保険


インコタームズは国際商業会議所(ICC)が定める貿易取引条件で、現行版はIncoterms 2020(11条件、2020年1月1日発効)です。費用負担とリスク移転の分岐点、通関手続きの担当を標準化するもので、所有権の移転、代金の支払い、契約違反の結果については対象外である点に注意してください。


主な条件は次のとおりです。


  • EXW(工場渡し):売主は自社の構内で引き渡すのみ。以降の費用とリスクはすべて買主。売主に最も有利だが、輸出通関を買主側が担うため実務では使いにくい面がある

  • FOB(本船渡し):輸出港で本船に積み込まれた時点でリスクが買主へ移転。以降の海上運賃と保険は買主負担

  • CIF(運賃保険料込み):売主が仕向港までの運賃と保険料を負担するが、リスクの移転はFOBと同じく本船積込み時

  • DAP(仕向地持込渡し):売主が指定仕向地で荷降ろし準備が完了するまで責任を負い、輸入通関と関税は買主

  • DDP(関税込持込渡し):輸入通関・関税・諸税まで売主が全負担。買主に最も有利で、売主の責任が最大


なお、コンテナ輸送ではFOBやCIFよりFCA・CPT・CIPの利用が推奨されます。リスクの移転点を本船上ではなく、運送人への引き渡し時点で扱えるためです。


保険については、CIFやCIPで売主が付保する場合も補償範囲を確認してください。既定は限定的な補償であり、割れ物・工芸品・家具ではオールリスク相当の付保や追加補償を検討すべきです。特に混載や積替えが多いLCLでは、他貨物に由来する汚損や水濡れのリスクに備える意味が大きくなります。付保する区間は、インコタームズで定めたリスク負担の区間と必ず一致させてください。


出典:ジェトロ「インコタームズ2020」、DHL「インコタームズの基礎知識」。2026年9月閲覧。


よくある失敗


分割して申告額を下げようとする


これは台湾では機能しません。台湾は同一日・同一宛先・同一受取人への2個口以上を合算して課税価格を判定し、さらに30日2回・6か月6回の頻度制限で免税を打ち切ります。日本郵便の台湾向け条件表も、虚偽記載や過少申告に対する台湾側の罰金(関税の2〜5倍)や没収を明記しています。


つまり、小分けにして送っても台湾側で合算され、回数を重ねれば免税そのものが外れます。節税の効果がないうえに、虚偽記載と判断されれば罰金や没収のリスクだけが残ります。


LCLを運賃だけで選ぶ


繰り返しになりますが、LCLは運賃単価が安く見えても、CFSチャージ、D/Oフィー、ドレージなどで総額が膨らみます。さらに他貨物との混載による汚損・破損・遅延のリスクがあり、スケジュールの主導権を持てません。期限が動かせない案件では、運賃差を払ってでもFCLや航空を選ぶ判断が合理的です。


祝日を読み違える


効いてくるのは、基本的に台湾側の休日です。日本から台湾へは近海の直航が中心で、第三国で積み替える前提ではありません。台湾の連休中は税関と現地の配送が止まるため、搬入日から逆算した日程が崩れます。2026年後半から2027年前半の台湾の主な休日は次のとおりです。


  • 2026年9月25〜28日:台湾 中秋節と教師節(4連休)

  • 2026年10月9〜11日:台湾 國慶日(3連休)

  • 2026年10月24〜26日:台湾 光復節(3連休)

  • 2026年12月25日:台湾 行憲紀念日(3連休)

  • 2027年1月1〜3日:台湾 開国記念日(3連休)

  • 2027年2月4〜10日:台湾 春節(7連休)

  • 2027年2月27日〜3月1日:台湾 228和平記念日(3連休)

  • 2027年4月3〜6日:台湾 清明節と児童節(4連休)

  • 2027年4月30日〜5月2日:台湾 労働節(3連休)


特に2027年2月上旬の春節は要注意です。台湾の税関と物流が1週間止まるうえ、前後は駆け込みの出荷が集中します。この時期を挟む出荷は、2〜3週間の前倒しで手配してください。


なお、中国の旧正月はアジア域内の船社スケジュールに広く影響することがありますが、日本から台湾への直航便でどの程度効くかは航路と船社によります。利用する船社の運航スケジュールで個別に確認してください。


2026年9月から2027年6月までの台湾と中国の連休と、春節期の出荷前倒しを示した帯グラフ

図F:2026年後半から2027年前半の台湾の休日。出典:行政院人事行政総処「政府行政機関辦公日曆表」(民国115年・116年)。図中に中国の休日を併記しているが、日本から台湾への直航便では通常は影響しない。


危険品に該当することに気づかない


リチウムイオン電池を内蔵した製品は、機器内蔵であれば条件付きでEMS発送が可能ですが、地域によっては不可です。塗料、接着剤、アルコール、スプレーなどは航空危険物または条件付き品目になりえます。SDS(安全データシート)で事前に確認し、必要なら危険品に対応した海上輸送へ切り替えてください。


認証の要否を確認しない


台湾ではBSMI商品検験(電気・電子・機械・個人用保護具・繊維製品・文具・玩具などの指定品目)やNCC(無線機器)の対象になる品目があります。


一般的な非食品雑貨(家具、木工品、工芸品、陶磁器、繊維雑貨など)は、原則としてBSMIの強制検査の対象外です。ただし、LED照明が付いた家具、電動工具、家電のように電気を使う製品や、無線を含む製品は対象になりえます。品目単位で確認してください。


出典:ジェトロ「小口貨物の通関制度:台湾」、日本郵便「国際郵便として送れないもの」、行政院人事行政総処「政府行政機関辦公日曆表」(民国115年・116年)、中国国務院弁公庁「2026年部分節假日安排」。いずれも2026年9月閲覧。


まとめ


台湾への輸送で決めるべきことには、順序があります。まず売るのか見せるのかを決める。次に期限を確定する。そのうえで量に応じた手段を選ぶ。この順序を逆にすると、手段を決めた後に前提が変わり、組み直しになります。


そして、どの手段を選んでも共通して効いてくるのが、書類の整合性と梱包材の素性です。インボイスとパッキングリストの数字が合っていること、木材梱包材にIPPCマークがあること。この2つは、出荷の何日も前から準備できるにもかかわらず、直前に慌てる原因の上位を占めます。


台湾市場への進出を全体から検討したい場合は、台湾市場進出 完全ガイドマップ2026もあわせてご覧ください。


よくある質問


台湾に取引先がまだない状態でも、商品を送れますか


商業目的で正式に輸入するには、台湾側に輸出入業者登記を備えた受荷主が必要です。少額のサンプルを個人宛に送ることは可能ですが、頻度制限があり、販売用の在庫を送る手段にはなりません。販路の確保が先になります。


展示会に持ち込んだ商品を、その場で売ってもいいですか


一時輸入の枠組み(SCCカルネなど)は再輸出が前提のため、現地で販売するなら使えません。正式輸入して関税と営業税を納める必要があります。展示会では受注に徹し、後日あらためて正式輸出する設計が実務的です。


木製の家具を送る場合、ISPM15の対応は必要ですか


ISPM15の対象は木材梱包材です。完成した木製家具そのものは対象外ですが、梱包に使うパレット・木枠・当て木は対象です。処理済みの資材を使い、IPPCマークを確認してください。


EMSとクーリエはどちらが安いですか


重量・容積・急ぎ度合いによります。EMSは公表料金でわかりやすい一方、クーリエは容積重量(DHLの場合は縦×横×高さを5,000で割る)や規定外貨物の手数料が効きます。かさばる荷物では、実重量が軽くてもクーリエの請求額が跳ね上がることがあります。両方で見積りを取るのが確実です。


台湾の通関にはどのくらいかかりますか


台湾の税関は一律の所要日数を公表していません。C1・C2・C3のどれに振り分けられるかで変わり、貨物検査になれば日数が延びます。港到港の日数、通関、デバンニング、国内配送を分けて見積もり、検査が入る前提で余裕を持たせてください。


日本と台湾の間にEPAはありますか


ありません。そのため特恵関税を受けるための特恵原産地証明書も存在しません。取引先や信用状が求める場合に、非特恵原産地証明書を商工会議所で取得します。


台湾への輸送・通関のご相談


Link Globalでは、台湾市場への販路開拓から、展示会への出展、実際の輸送・通関の手配まで、一貫して伴走支援しています。輸送手段の選定や書類の整備でお困りの際は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。

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