台湾展示会の出展・視察支援|選定から商談フォローまでの支援内容と進め方
- 堤浩記
- 7月27日
- 読了時間: 24分

「台湾の展示会に出てみたいが、どの展示会が自社に合うのかわからない」
「出展は決めたものの、ブース施工も通訳も何から手配すればいいのか見当がつかない」
「前回出展したが名刺が集まっただけで終わってしまった」
台湾展示会への出展を検討する中小企業の担当者から、こうしたご相談を数多くいただきます。共通しているのは、悩みが「出展当日」ではなく、その前後の工程に集中しているという点です。
実際、台湾の展示会で成果が出るかどうかは、当日のブース運営よりも、どの展示会を選ぶか・出展前に現地を見ているか・会期後に誰がどう追いかけるかで大きく変わります。ブースの出来だけで結果が決まることは、ほとんどありません。
このページでは、台湾展示会の支援を「展示会選定」から「会期後フォロー」までの8工程に分解し、それぞれで何を代行・伴走できるのかを実務目線で整理します。出展を決める前の段階、つまり視察や選定から関わる形も含めて解説しますので、まだ出展を決めていない段階の方にも参考にしていただけます。
展示会そのものの選び方を国・商材・目的別に俯瞰したい方は海外展示会 完全ガイドマップ2026、台湾市場全体の進め方を知りたい方は台湾市場進出 完全ガイドマップ2026もあわせてご覧ください。
台湾展示会は「出展する前」で成否の大半が決まる
支援内容の説明に入る前に、なぜ前工程が重要なのかを整理しておきます。ここを理解しておくと、どの工程から依頼すべきかの判断がつきやすくなります。
出展の意思決定が先に走ると何が起きるか
よくあるのが、補助金の公募や取引先からの紹介がきっかけで「まず出展枠を押さえた」というケースです。出展そのものは前に進みますが、この順番だと次の問題が起きやすくなります。
商材と来場者層が合っていない展示会に出てしまい、ブースに立ち寄る人はいても買う立場の人が来ない
現地の価格帯を知らないまま値付けをして、商談の初期段階で候補から外れる
競合が同じ会場にどう出ているかを知らないため、訴求ポイントが日本国内向けのままになる
誰に会いたいのかが決まっていないため、事前アポが組めず当日の飛び込みだけに頼ることになる
いずれも会期中の努力では取り返しにくく、準備段階に原因があります。海外展示会で成果が出ない典型的なパターンは海外展示会で商談ゼロになる日本企業の共通点5つで詳しく整理していますので、思い当たる点がある方はあわせてご覧ください。
台湾特有の事情:関係性と、現場を見てから決める文化
台湾のビジネスでは、関係(グアンシー)と呼ばれる人間関係の蓄積が取引の前提になります。初対面の展示会商談がその場で成約に至ることは少なく、会って、話して、相手を確かめてから次に進むという段階を踏みます。
この文化は、日本企業側にとって不利にも有利にも働きます。即決を期待すると空振りに終わりますが、逆に言えば会期後の関係構築を設計しておけば、時間差で商談が動き出します。台湾のバイヤーが日本の工場や本社を見に来たいと言い出すのも、この「自分の目で確かめてから決める」姿勢の表れです。
つまり台湾展示会は、単発のイベントではなく関係構築の起点として設計する必要があります。会期後のフォローまで含めて一つのプロジェクトとして組み立てることが、成果を左右します。
支援の全体像:8つの工程
Link Globalでは、台湾展示会の支援を次の7工程に分けて対応しています。すべてをまとめて依頼することも、必要な工程だけを切り出して依頼することもできます。
工程0:展示会選定支援 — 商材と目的に合う展示会を絞り込む
工程1:展示会視察同行支援 — 出展前に会場を実際に見る
工程2:台湾視察プラン作成&同行 — 展示会に加えて実売の現場を回る
工程3:出展判断と申込・主催者対応 — 申込手続きと小間の確保
工程4:出展準備支援 — ブース施工手配と商談資料の作成
工程5:事前アポ獲得と渡航日程の設計 — 会期中に商談が入っている状態を作り、会期の前後に予定をつなげる
工程6:会期中支援 — 通訳・商談アテンド・リード分類
工程7:会期後フォロー支援 — 商談を次の段階へ進める

以下、それぞれの工程で具体的に何を行うのかを説明します。すべてを順番に踏む必要はなく、現在の検討段階に応じて必要な工程から着手できます。
工程0:展示会選定支援
最初の分岐点が、どの展示会に出るかの判断です。台湾には日本企業が出展を検討しうる展示会が複数あり、来場者層も目的も異なります。ここを間違えると、その後の工程をどれだけ丁寧にやっても成果につながりません。
台湾の主要展示会と来場者層
日本企業からの相談が多い展示会を、性格の違いで整理すると次のようになります。
【食品・飲料】Food Taipei(台北国際食品展)— 台湾最大級の食品見本市。前半日程は業界関係者に限定され、バイヤー・流通・外食チェーンが集まります。詳細はFood Taipei(台北国際食品展)とは?
【工芸・デザイン・文化商材】台湾文博会(Creative Expo Taiwan)— クリエイティブ産業の見本市で、セレクトショップや文創系の小売バイヤーとの接点があります。詳細は台湾文博会(Creative Expo Taiwan)とは?
【ギフト・雑貨・生活用品】DG Taiwan(旧 Giftionery Taipei)— 贈答品・生活雑貨の商談展。工芸品や高付加価値雑貨の販路開拓に向きます。詳細はDG Taiwan(旧 Giftionery Taipei)とは?
【観光・インバウンド】台北国際観光博覧会(TTE)— 観光関連の商談と一般消費者向けPRの両面を持ちます。詳細は台北国際観光博覧会(TTE)とは?
【観光・旅行業】台北国際旅行博(ITF)— 台湾最大級の旅行博。TTEとの違いも含めて台北国際旅行博(ITF)とは?で解説しています
【家具・インテリア】台湾の家具関連展示会 — 詳細はメジャーな台湾の家具関連の展示会

食品分野については、台湾の食品展示会全般の特徴を台湾の食品展示会の魅力とビジネスメリットでまとめています。
商材だけでなく「誰に会いたいか」で選ぶ
選定でよく起きるのが、商材のカテゴリだけで展示会を決めてしまうことです。同じ食品でも、量販店の棚に入れたいのか、百貨店の催事に出たいのか、外食チェーンに food service として卸したいのかで、会うべき相手が変わります。
選定支援では、次の順番で絞り込みます。
目的の確認 — 販路開拓なのか、ブランド認知なのか、市場の反応を見るテストなのか
会いたい相手の特定 — 輸入商社/量販バイヤー/百貨店バイヤー/セレクトショップ/外食チェーン/旅行会社など
その相手が実際に来場する展示会の選定 — 主催者の来場者統計と、過去の出展者構成から判断
出展規模と時期の検討 — 初回は小間数を抑える、あるいは視察のみに留めるという選択肢も含めて

台湾市場そのものの流通構造や、どのチャネルを狙うべきかについては台湾市場進出 完全ガイドマップ2026、食品であれば台湾への食品輸出完全ガイドで全体像を解説しています。
選定でよくある3つのミスマッチ
規模の大きさで選んでしまう — 来場者数が多い展示会が自社に合うとは限りません。専門性の高い小規模展のほうが、決裁権を持つ相手に会える場合があります
日本国内の知名度で選んでしまう — 日本で名前を聞く展示会と、台湾のバイヤーが実際に足を運ぶ展示会は必ずしも一致しません
一般公開日と業界日を混同する — 台湾の主要展示会には、前半を業界関係者に限定し最終日のみ一般公開とする形式があります。BtoB目的なのに一般日中心の計画を立ててしまうと、商談機会を取り逃します
工程1:展示会視察同行支援
出展を決める前に、一度その展示会を見ておくことを強くおすすめしています。視察は数十万円規模で実施でき、出展(数百万円規模)と比べると格段に判断しやすい投資です。
視察でしか得られない5つの情報
主催者の公式資料やウェブサイトからは読み取れず、現地に立って初めてわかることがあります。
実際の来場者の質 — 名札の所属を見れば、どういう立場の人が歩いているかがわかります。バイヤーが多いのか、学生や一般客が多いのかは統計上の来場者数からは判断できません
競合の出し方 — 同カテゴリの日本企業・韓国企業・現地企業がどんなブースで、いくらの価格帯で、どう説明しているか
現地の価格帯 — 会場内の販売価格や、バイヤーとの会話に出てくる想定卸値。日本での価格をそのまま持ち込めるかどうかの判断材料になります
商談の実際の様子 — どのブースに人が滞留しているか、どういう見せ方をしているブースが商談に至っているか
小間位置による差 — 通路の流れ、入口からの動線、人が来る区画と来ない区画。翌年の出展申込で小間位置を選ぶ際の判断に直結します

出展の「前年」に視察する意味
台湾の主要展示会は、前年のうちに出展申込の受付が始まり、春先には締め切られるものが少なくありません。出展したい年の展示会を見てから申し込むのでは間に合わないため、出展を検討し始めた年の会期に視察を入れ、その場で翌年の出展を検討するという流れが現実的です。
会場によっては、視察中に主催者事務局のブースで翌年の出展要項を受け取れる場合もあります。視察と出展相談を同じ渡航で済ませられるのは、現地に行く大きな利点です。
視察同行では何をするか
事前の見どころ整理 — 会場図をもとに、見るべきブース・エリアを絞り込みます。大規模展は1日で全部は回れません
同行しての解説 — 中国語表記の読み解き、出展者の立ち位置(メーカーか商社か)、価格表示の意味を、その場で通訳しながら説明します
出展者・主催者へのヒアリング同行 — 出展料や来場者の傾向を、実際に出展している企業に直接聞きます
視察後の振り返り — 見た内容を整理し、出展するかどうか、するならどの規模でどう出るかを一緒に検討します
工程2:台湾視察プラン作成&同行
展示会だけを見ても、台湾市場の全体像はつかめません。展示会は「商談の場」であって「売られている現場」ではないからです。
展示会と実売チャネルはセットで見る
自社の商品が最終的に並ぶのは、展示会場ではなく小売の棚や店頭です。台湾の消費者がいくらで、どういう見せ方で、どのブランドと並んで買っているのかを見ておくと、商談での説明が具体的になります。
バイヤーから「台湾でどう売るつもりか」と聞かれたときに、現地の売り場を見た上で答えられるかどうかは、相手の反応をはっきり変えます。
組み合わせる主な視察先
百貨店 — 日本物産展や周年慶(アニバーサリーセール)の時期は、日本商材の扱われ方を見る好機です
量販・スーパー — 価格帯とパッケージの現実を確認します。台湾の大型小売は再編が進んでおり、チェーンごとの位置づけも変化しています
セレクトショップ・書店系複合店 — 工芸品や高付加価値雑貨の販路として重要なチャネルです
文創園区 — 華山1914文創園区や松山文創園区など、ポップアップや催事の会場になる施設。展示会の次の一手として催事出店を考える場合の下見になります
外食店舗 — 食材・調味料であれば、実際に使われる現場を見ることで提案の切り口が変わります
視察プランの組み立て方
限られた滞在日数で成果を出すため、次のように行程を設計します。
初日:展示会の会場全体を回り、競合と来場者を把握する
2日目:展示会で気になった出展者・主催者へのヒアリングと、優先度の高い実売チャネルの視察
3日目:残りの売り場視察と、可能であれば現地の商社・バイヤー候補との顔合わせ
帰国前:見てきた内容の整理と、出展可否・次のアクションの検討
台湾は日本から近く、滞在3日程度でも密度の高い視察が可能です。移動効率を考えた行程設計と、現地でのアポイント調整、当日の同行・通訳までをまとめてお引き受けします。
工程3:出展判断と申込・主催者対応
視察を経て出展を決めたら、次は申込です。ここは事務手続きに見えて、実は成果に影響する判断がいくつも含まれています。
申込スケジュールは前年から逆算する
台湾の主要展示会は、前年のうちに出展受付が始まります。たとえばFood Taipeiの個別出展では、前年11月ごろに受付が始まり3月末が締切という運用が実務上の目安ですが、小間が埋まれば締切前に受付を終了することもあります。
さらに、日本の自治体や団体がまとめる共同出展(ジャパンパビリオン等)に参加する場合は、主催者の締切よりさらに早い時期に取りまとめ側の募集が締め切られます。
つまり、出展したい年の年明けに動き始めるのでは遅い場合があります。逆算すると、次のようなスケジュール感になります。
出展2年前の会期:視察して出展可否を判断する
前年秋:出展要項の確認、共同出展枠の募集情報の収集、社内の予算確保
前年11月〜年明け:出展申込、小間の申請
前年度末〜春:小間位置の確定、施工会社の選定
会期3〜4か月前:ブースデザイン確定、展示物・サンプルの準備開始
会期2か月前:商談資料・カタログの翻訳、事前アポの打診開始
会期1か月前:輸送手配、通訳の確保、当日運営の役割分担

小間の種類と位置の選び方
小間には、装飾付きのパッケージブースと、スペースのみを借りて自由に施工する形式があります。初回出展でコストを抑えたい場合はパッケージ、ブランドの世界観を見せたい場合はスペース借りという判断になりますが、施工費が大きく変わるため予算と目的の両面から検討が必要です。
小間位置は、通路の幅・入口からの動線・同カテゴリの集積状況で価値が変わります。視察をしていれば、どの区画に人が流れるかを実感として持っているため、この判断の精度が上がります。
主催者・事務局とのやり取りの代行
申込書類、出展者マニュアルの読み解き、追加設備(電源・ネット回線・什器)の申請、搬入出のスケジュール調整といった事務局対応は、中国語または英語でのやり取りが中心になります。ここを代行することで、社内の担当者は商材と商談準備に集中できます。
出展費用の全体像や、見落としやすいコスト項目については海外展示会の出展費用はこう作るで内訳を分解して解説しています。
工程4:出展準備支援(ブース施工手配・商談資料作成)
出展が確定してから会期までの数か月が、成果を左右する準備期間です。
ブース施工の手配
現地の施工会社の選定、見積の取得と比較、デザインの調整、主催者の施工規定への適合確認までを支援します。海外の展示会は施工規定が細かく、国内の感覚で図面を進めると当日になって修正を求められることがあります。規定の確認を先に済ませておくことが、追加費用の防止につながります。
商談資料の作成支援
見落とされがちですが、成果への影響が大きいのがここです。日本語のカタログをそのまま翻訳しただけの資料では、台湾のバイヤーが知りたい情報が載っていないことが少なくありません。
台湾での商談で聞かれる項目は、ある程度決まっています。
最小ロットと納期 — 試験的に小ロットで始められるかどうか
希望する卸価格と、想定小売価格の目安
賞味期限・保存条件(食品の場合)と、輸送方法
表示・成分・原材料の情報 — 台湾の規制に適合できるか
既存の輸出実績 — どの国に、どういう形で出しているか
サポート体制 — 不良や返品への対応、継続供給の可否

これらに即答できる資料を、中国語(繁体字)で用意しておくと、商談が一段深いところから始まります。資料の構成設計、掲載すべき情報の整理、翻訳、レイアウトまでを支援します。
価格・サンプル・当日ツールの準備
価格の設計 — 輸送費・関税・現地マージンを踏まえた卸価格の考え方を整理します。日本国内の卸値をそのまま提示すると、店頭価格が想定外に高くなることがあります
サンプル・展示物 — 試食・試飲を行う場合の持ち込み条件や、展示品の輸送方法を確認します
名刺と会社紹介 — 繁体字表記を用意しておくと、相手の受け取り方が変わります
リード記録の様式 — 名刺の裏に何を書き込むかを事前に決めておきます
工程5:事前アポイントの獲得と渡航日程の設計
展示会の会期は、長くても数日しかありません。その数日をどう使うかは当日の頑張りで決まるものではなく、会期前にどれだけ約束を取り付けておけるか、そして会期の前後に何をつなげておくかで決まります。
実務上、同じ渡航費・同じ出展料でも、この設計をしているかどうかで持ち帰る成果がはっきり変わる部分です。
会期中に「すでに商談が入っている」状態を作る
当日の飛び込み来場だけに頼ると、誰に会えるかが運任せになります。会いたい相手には会期前に打診し、「何日の何時にブースへ来てもらう」という約束を取り付けておきます。アポが数件でも入っていれば、会期の初日から商談が動き出します。
打診のルートは、主に次の4つです。
主催者のマッチングプログラム — 主催者が招へいしたバイヤーとの1対1商談が組まれる展示会があります。Food Taipeiでは1件あたり20分程度と短いため、その時間で何を伝えるかを事前に絞り込んでおく必要があります
既存の接点からの紹介 — 過去の展示会で名刺交換した相手、取引先や商社からの紹介。最も反応が返りやすいルートです
現地パートナー経由 — 支援会社や現地商社が持つバイヤーネットワークから声をかける形
直接のアプローチ — 出展者リストや来場が見込まれる企業を調べ、メール等で打診する

打診は会期の2か月前ごろから始めます。台湾のバイヤーも会期が近づくほど予定が埋まるため、早く動いたほうが枠を取りやすくなります。
アポを入れる時間帯にも配慮します。来場者が集中する時間を避けて設定すると、ブースが混み合わずに落ち着いて話せます。逆に、来場が落ち着く時間帯を狙ってアポを寄せるという組み方もあります。
会期の前後に予定をつなげる
台湾への渡航は、移動と滞在で数日を使います。会期だけを見て帰るのは、その渡航コストの使い方としては惜しいところです。実務では、会期の前後に次のような予定をつなげます。
会期前日 — 搬入・設営の立ち会い。時差がほぼないため、前日入りでも十分に動けます
会期前日 — 周辺の売り場の下見。商談で価格の話が出たときに、現地の実勢を踏まえて答えられます
会期後 — 手応えのあったバイヤーのオフィスを訪問する
会期後 — 相手の店舗・倉庫・物流の現場を見る。取引が始まったときに自社商品がどう扱われるかを確認できます
会期後 — 売り場視察。展示会で受けた反応を、実際の棚で裏付ける
とくに有効なのが、会期後にバイヤーのオフィスを訪ねる形です。展示会場では相手も慌ただしく、周囲に他社の目もあります。場所と日を改めて話すことで、価格や条件といった踏み込んだところまで進むことがあります。
台湾側にとっても、わざわざ自社まで足を運んでくれたという事実は関係構築のうえで意味を持ちます。関係を重視する台湾の商習慣と相性のよい進め方です。
展示会の「後ろ」に視察をつなげる
工程1・工程2で説明した視察は、出展を決める前に行うものでした。これとは別に、出展した年の会期後に視察をつなげる形も有効です。
両者は見る目的が違います。出展前の視察は「出るかどうか、どう出るか」を判断するため。会期後の視察は「展示会で受けた反応が、実際の売り場で裏付けられるか」を確認するためです。
たとえば商談で「価格が高い」と言われた場合。その足で量販店や百貨店の棚を見れば、その指摘が市場全体の話なのか、特定のチャネルに限った話なのかを判断できます。会期中に受けた宿題を、記憶が新しいうちに現地で検証できるのが、会期後視察の強みです。
また、会期中に会ったバイヤーが扱っている売り場を実際に見ておくと、帰国後のフォロー連絡の内容が具体的になります。
渡航日程の組み方(例)
会期3日間の展示会に出展する場合の、一般的な組み方です。
1日目 — 渡航、搬入・設営の立ち会い、周辺の売り場下見
2〜4日目 — 会期。毎日終業後に振り返りを行い、翌日の対応を修正します
5日目 — 手応えのあったバイヤーのオフィス訪問、または現場確認
6日目 — 残りの訪問・売り場視察、帰国

5〜6日目をつけるかどうかで、渡航1回あたりの成果が変わります。追加でかかるのは主に滞在費だけであり、費用対効果の高い延長です。
会期前後の日程調整、訪問先への打診、当日の移動手配と同行・通訳まで、まとめてお引き受けします。
工程6:会期中支援(通訳・商談アテンド)
会期中は時間が限られています。工程5で押さえたアポを確実に商談に変えつつ、飛び込みの来場者からも見込み客を拾うのが、この工程の目的です。
「通訳ができる」と「商談ができる」は違う
語学ができる人材を手配すれば商談が進む、というわけではありません。商談の場では、次のような判断が同時に求められます。
相手が誰か(メーカーか商社か小売か、決裁権があるか)を会話の中から見極める
相手の質問の背後にある意図を読み、どこまで答えるべきかを判断する
価格や条件について、その場で答えてよい範囲と持ち帰るべき範囲を切り分ける
曖昧な社交辞令と、本当に関心がある反応を区別する
言葉を置き換えるだけの通訳では、これらは補えません。商談の内容を理解した上で会話を運べる体制で臨むことが必要です。
商談アテンドで行うこと
ブースでの来場者対応と、商談への引き上げ
相手の属性と関心度の見極め、その場での記録
条件のすり合わせと、次回アクションの取り付け
会期中の日次の振り返りと、翌日の作戦修正
会期は数日間あります。初日の反応を見て、訴求の言い方や見せ方を2日目に変えられるかどうかで、最終的な成果が変わります。
リードの分類は当日中に行う
名刺を集めるだけでは、帰国後に誰が有望だったか思い出せなくなります。会期中に、その日のうちに分類しておくことが重要です。
A:具体的な条件の話に入った相手。帰国後すぐに連絡すべき先
B:関心は示したが条件の話には至らなかった相手。資料送付でつなぐ
C:情報収集段階、または対象外。定期的な情報発信の対象にとどめる
名刺の枚数は成果指標にはなりません。商談化した件数と、決裁権を持つ相手との接点が何件あったかで評価すべきです。
工程7:会期後フォロー支援
実は、ここが最も差がつく工程です。多くの企業が、会期が終わった時点で力尽きてしまいます。
会期後48時間の初動
展示会で会ったバイヤーは、同じ日に何十社もの出展者と話しています。時間が経つほど記憶は薄れ、優先順位は下がります。丁寧な資料を作り込んでから連絡するより、まず短くても早く連絡することが有効です。
初動では、会ったときの会話の内容に触れ、相手が求めていた情報を添えて送ります。定型文の一斉送信では反応が返ってきません。
商談が「次の段階に進んだ」とはどういう状態か
台湾の商談は、その場で成約に至ることはほとんどありません。代わりに、次のような形で前進します。これらはすべて、相手が自分の時間やコストを使い始めたという意味で、有望なシグナルです。
サンプルの送付を求められた — 相手が社内で検討を始める段階に入っています
仕様や価格について具体的な要望が出た — 自社で扱う前提で条件を詰め始めています
日本の本社や工場を見たいと言われた — 相手が渡航費と時間を投じる判断をしています
次回の打ち合わせ日程が決まった — 会話が継続案件になっています

代理店・取引条件の交渉へ
有望な相手が見つかったら、取引条件の交渉に移ります。独占権の扱い、最低取引数量、価格改定の条件、支払条件など、最初に決めておくべき論点があります。ここで曖昧なまま進めると、後から関係がこじれる原因になります。
会期後のフォローから代理店交渉、継続的な現地営業までを継続支援する形もあります。展示会単発ではなく通年で伴走する体制については海外営業代行とは?費用相場・サービス範囲もあわせてご覧ください。
実際の支援の進み方(進行例)
台湾展示会の支援で、実際に商談が次の段階へ進んだ例を、企業が特定されない範囲でご紹介します。いずれも中小企業のケースです。
例1:バイヤーの指摘から、台湾向け商品の開発へ
展示会での商談中に、台湾のバイヤーから容量・価格帯・パッケージ表記について具体的な指摘を受けました。日本国内向けの仕様のままでは棚に置きにくいという内容です。これを受けて、台湾市場向けの仕様を新たに開発する方向で協議が進みました。
展示会は売る場であると同時に、市場からフィードバックを受け取る場でもあります。「売れなかった」ではなく「何が合っていないかがわかった」という結果は、次につながる成果です。
例2:台湾側から、日本の本社・工場への訪問が決定
会期中の商談を経て、台湾側の担当者が日本の本社を訪問したいと申し出ました。製造の現場を実際に見た上で、取扱いを判断したいという意向です。
これは相手が渡航費と時間を投じる判断をしたということであり、関心度としては最も高い部類に入ります。台湾の「自分の目で確かめてから決める」商習慣が、良い形で表れたケースです。
例3:会期後の継続商談が確定
展示会で接点を持ったバイヤーと、会期後にオンラインでの打ち合わせを設定し、条件のすり合わせに入りました。会期中に結論は出ませんでしたが、会話が継続案件として残った形です。
台湾市場では、この「継続する状態」を作れるかどうかが最初の関門になります。
3つの例に共通していること
いずれも、その場での受注ではありません。しかし、いずれも展示会前の準備と会期後の初動があって初めて生まれた結果です。逆に言えば、名刺だけを持ち帰って終わる出展との差は、当日のブースの出来ではなく、その前後にあります。
費用の考え方
どこに何がかかるか
台湾展示会に関わる費用は、大きく次のように分かれます。総額は展示会の規模、小間数、施工の仕様、渡航人数によって大きく変わるため、一律の金額を示すことは実務上あまり意味がありません。
主催者に支払う出展料(小間代)
ブース施工・装飾費
展示物・サンプルの輸送費と通関費
渡航・宿泊費
通訳・現地スタッフの費用
資料の翻訳・制作費
会期後のフォローにかかる費用
視察のみであれば、渡航費と同行費用が中心となるため、出展と比べて大幅に小さい投資で実施できます。まず視察から始めるという選択肢を提案しているのは、この判断のしやすさも理由のひとつです。
費用の相場感を具体的に知りたい方は台湾進出支援の費用・相場完全ガイド、海外展示会の費用の内訳を項目別に見たい方は海外展示会の出展費用はこう作るをご覧ください。
補助金・助成制度は、その都度最新の要領で確認する
国や自治体の海外展開支援制度を活用できる場合がありますが、これらの制度は年度ごとに新設・統合・終了が繰り返されます。過去に利用できた制度が翌年には存在しないこともあるため、出展を計画する時点で必ず最新の公募要領を確認する必要があります。
利用できる制度があるかどうかの確認と、申請にあたっての事業計画の整理についてもご相談いただけます。
依頼のパターンと体制
工程を切り出して依頼できる
8工程すべてをまとめて依頼する形のほか、必要な部分だけを切り出すこともできます。実際に多いのは次のパターンです。
視察のみ — まだ出展を決めていない段階。展示会選定と視察同行だけを依頼
視察+市場調査 — 展示会に加えて実売チャネルも回り、進出可否を判断する
出展準備のみ — 出展は決まっており、施工手配と商談資料の作成を依頼
会期中のみ — 事前アポ獲得と通訳・商談アテンドを依頼
展示会+前後の商談・視察 — 出展に加えて、会期前のアポ取り付けと、会期後のバイヤー訪問・売り場視察をセットで設計する。渡航1回あたりの成果を最大化したい場合
通年伴走 — 選定から会期後の代理店交渉まで継続的に支援
どの形が適しているかは、現在の検討段階と社内体制によって変わります。まずは現状をお聞かせいただければ、必要な範囲をご提案します。
代表・現役実務者が直接対応します
台湾展示会の支援では、営業担当と実際の実務担当が別という体制だと、現場の判断が遅れます。Link Globalでは代表をはじめとする現役の実務者が直接担当し、商談の場にも同席します。
支援会社を比較検討している段階の方は、確認すべき観点を台湾進出支援会社の選び方・比較ポイント5つで整理していますので、他社と比べる際の材料としてお使いください。
公的機関でのアドバイザー実績
株式会社Link Globalは、京都市(企業誘致推進担当アドバイザー)、福岡県(グローバルコネクト福岡 外部アドバイザー)、大東市、大刀洗町において、海外展開・企業誘致に関するアドバイザーを務めています。
自治体の支援制度や、産地・団体単位での海外展開の進め方についても実務的にご相談いただけます。
ご相談の流れ
1. お問い合わせ — 商材、検討段階、想定時期をお知らせください
2. 初回相談(無料・オンライン可)— 現状と目的を伺い、どの工程から着手すべきかを整理します
3. ご提案 — 対象展示会の候補、支援範囲、進め方、費用をご提示します
4. ご契約・着手 — スケジュールを確定し、準備を開始します
5. 実行と振り返り — 会期後のフォローまで含めて伴走します
「まだ出展するか決めていない」「そもそも台湾が自社に合うのかわからない」という段階でも構いません。むしろ、その段階からご相談いただいたほうが、選択肢を広く取れます。
まとめ:台湾展示会は「出る前」と「出た後」で決まる
台湾展示会での成果は、当日のブースの出来映えよりも、その前後の工程で決まります。どの展示会を選ぶか、出展前に現地を見ているか、会期中に会う約束が入っているか、商談資料が相手の知りたい情報に答えているか、会期の後ろに訪問や視察をつなげているか、そして会期後48時間で動けるか。これらはすべて、会期が始まる前後に準備できることです。
そして台湾市場では、その場での成約より「次に進む状態」を作れるかどうかが最初の関門になります。サンプルを求められた、仕様の要望が出た、日本に見に来ると言われた、次回の打ち合わせが決まった。こうした前進を積み重ねた先に取引があります。
まだ出展を決めていない段階であれば、まず視察から始めることをおすすめします。出展と比べて小さな投資で、判断に必要な情報が揃います。
台湾市場全体の進め方は台湾市場進出 完全ガイドマップ2026、当社の台湾支援メニュー全体は台湾進出支援|市場調査・代理店開拓・展示会出展をご覧ください。工芸品であれば伝統工芸品の海外展開ガイドマップ2026、食品であれば食品・調味料の輸出 完全ガイドマップ2026もあわせてどうぞ。




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