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香港現地商談会の開き方|5つの形式・費用・バイヤーの商習慣

堤浩記
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更新日:24false36 GMT+0000 (Coordinated Universal Time)

香港で日本の事業者が現地のバイヤーと会う商談会は、現地会場での事前マッチング型、展示会との併催、バイヤーを日本に招く招へい型、小売フェアやテスト販売との組み合わせ、オンライン商談・サンプル展示の5つに分けられます。ジェトロの現地商談会は出展料が無料で、2025年12月の商談会には香港・マカオの卸・小売事業者や飲食店関係者120人以上が来場しました。


香港は2025年の日本からの農林水産物・食品の輸出先で2位(2,228億円)の大きな市場で、酒類の一部などを除いて関税がかかりません。一方で、大手スーパーは棚代や販促費を求め、輸入業者は小ロット・独占権・表示対応の負担を求めることが多く、2023年8月からは東京都など10都県の水産物が輸入できません。商談会の成果を分けるのは、こうした取引条件を商談の場でどこまで詰められるかです。


本記事では、2024〜2027年に実施・計画された香港向け商談会の実例と、香港のバイヤーの商習慣をもとに、商談会の形式の選び方、公的事業と自主企画の使い分け、費用、時期、成果の測り方を整理します。


【本記事のデータについて】商談会の実例は、主催者(ジェトロ、国税庁、都道府県・市、商工会議所連合会等)が公表している募集要項・報道発表・結果報告によります。商習慣は、ジェトロ、日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)、米国農務省(USDA)の調査報告と、自治体の商談会資料に掲載されたバイヤーの条件によります。一部は2015年・2021年・2022年の調査で、発行年を本文に記しています。規制は香港政府・食物安全センター(CFS)・香港税関、統計は農林水産省の公表資料によります。商談会の日付や条件は各出典の公表時点のもので、参加を検討する際は最新の募集要項で確認してください。


香港現地商談会の開き方|5つの形式・費用・バイヤーの商習慣

図1 香港現地商談会の開き方。形式・費用・時期と、香港のバイヤーの商習慣を整理した。


香港の商談会は5つの形式に分けられる


香港の商談会の5つの形式(事前マッチング型・展示会併催型・招へい型・小売フェアとテスト販売・オンライン商談とサンプル展示)

図2 香港の商談会は5つの形式に分けられる。出典:ジェトロ、各自治体・主催者の公表資料をもとにLink Global作成


現地会場での事前マッチング型


香港で日本産食品の事前マッチング型の商談会を開いている中心は、ジェトロです。ジェトロの「香港農林水産物・食品輸出支援プラットフォーム」は、メールでの無料の輸出相談、日本産食品のサンプルショールーム、市場レポートなどの情報提供を行っています。


2025年12月11〜12日のハイブリッド型食品商談会では、渡航してブースを出した30社・団体と、サンプル展示のみの65社・団体が参加し、香港・マカオの卸・小売事業者や飲食店関係者120人以上が来場しました。事前に設定した商談は、対面とオンラインを合わせて約150件です。オンライン参加の企業の商品は、ジェトロのスタッフがバイヤーに試食・試飲を提供して提案しました。


2026年度は「日本産食品グローバル・ゲートウェイ事業」として、募集要項によると、10月15〜16日と12月8〜9日に九龍のホテルで商談会を開く日程で、ブース出展は50社(1社1ブース、両日の参加が必須)、サンプル展示のみは約40社、バイヤーは約100名とされています。出展料は無料で、会場費やバイヤーの来場手配はジェトロ、渡航費・宿泊費、サンプル代と香港までの輸送費などは企業の負担です。通関・輸送をジェトロの委託事業者に依頼する場合などは、取扱手数料(1社約1万2千円)もかかります。


民間の会場を使う例もあります。北海道商工会議所連合会は2026年1月23日、香港の日本食レストランを会場に食品の展示商談会を開き、196商品(サンプルを輸出したもの140、商品企画書のみ56)を出品して、輸入者や小売のバイヤーなど約50人が来場しました。



展示会併催型


香港の食品見本市の中心は、香港貿易発展局(HKTDC)が8月に開くFood Expo PROです。2026年は8月13〜15日に香港コンベンション&エキシビションセンター(HKCEC)で開かれ、日本からは100社超が出展しました。2027年は8月12〜13日がバイヤー限定、14日が一般公開の予定です。


都道府県が共同ブースを出す例が多く、費用負担の設計はさまざまです。和歌山県は1小間9㎡を2社で共同利用し、2026年の出展負担金を初回12万円(税込)としました。奈良県は3小間を1小間2社で使い、出展料と通訳(2事業者に1名)を県が負担しました。いずれも渡航費と輸送費は事業者の負担です。


このほか、外食・ホテル向けのHOFEX(2年に1回、次回は2027年5月10〜12日)、Restaurant, Bar & Café Hong Kong(2026年は9月1〜3日)、酒類のHKTDC香港インターナショナル・ワイン&スピリッツ・フェア(2026年は11月5〜7日の予定)、雑貨・ギフトのHKTDC香港ギフト&プレミアムフェア(2026年は4月27〜30日)があります。ギフト見本市の出展方法は香港ギフト&プレミアムフェアの解説記事にまとめています。



招へい型


香港のバイヤーを日本に招く商談会は、県や市が主催する小規模なものが多くあります。栃木県の「とちぎ食品輸出商談会(香港)」は、2024年以降、香港のバイヤーを1社ずつ県庁に招き、1社30〜40分の対面商談を組んできました(2024年は京都日本食品(香港)、2025年は美心グループのMaxim Supply Chain、2026年11月はCity Super Groupを予定)。


岐阜県は2026年9月7日、日本産食品の輸入卸の皐月有限公司と、伝統工芸品・雑貨を香港の日系百貨店で販売する奥村企画の2社を招いた個別商談会(参加料5,500円、1回20〜30分)を開催しました(発表時点で県内18事業者が参加予定)。商談が成立した商品は、香港でのテスト販売につなげる計画です。皐月有限公司は、札幌食と観光国際実行委員会と函館市などが函館で開いた商談会(2025年5月、2026年4月)にも招かれています。


酒類では、国税庁の受託でジェトロが2025年11月に開いた泡盛・焼酎の招へいプログラムが、米国・フランス・香港のバイヤー3社を招き、香港からはSocial Unlimitedが参加しました。沖縄と福岡の蔵を視察したうえで福岡で商談会を開き、九州・沖縄の14社が参加して、3社との商談は合計21件でした。


招へい型は、事業者が渡航せずに国内で対面の商談ができ、バイヤーに産地や製造現場を見てもらえるのが強みです。産地を見せることに重心を置く設計はファムトリップ(FAMツアー)の記事で解説しています。



小売フェア・テスト販売との組み合わせ


商談と店頭での販売を組み合わせる形式もあります。栃木県は2025年12月末〜2026年1月に、香港の日系スーパーでの対面販売と、香港向けECサイトでのテスト販売を計画しました(参加費無料、商品は全量買取り)。


工芸品では、宮城県が2026年11〜12月に香港のライフスタイルショップmonmayaの旗艦店で、県内9事業者の工芸品・雑貨(92アイテム・234点)を展示・テスト販売し、香港のデザイナーやバイヤーを招いたレセプションを開く予定です。食品以外の商材でも、店頭での反応を見せながら商談につなげる設計ができます。伝統工芸品のバイヤーの呼び方は伝統工芸品の海外バイヤー商談会の記事で解説しています。



オンライン商談・サンプル展示


渡航せずに商談する方法もあります。ジェトロのグローバル・ゲートウェイ事業では、サンプル展示のみの参加枠を設け、バイヤーが関心を示した企業とは後日オンラインで商談します(初回のオンライン商談には、希望すれば無料で通訳が付きます)。2026年度は、WEBカタログを使う通年の商品紹介(2026年9月頃〜2027年3月)があり、2026年8月のFood Expo PROでは、ジェトロのジャパンエリアで約60社・150品目超の商品が紹介されました。



目的から形式を選ぶ


形式は、参加する事業者が「誰と、何を決めたいか」から逆に選びます。


  • 香港の輸入卸・ディストリビューターを見つけたい:現地会場での事前マッチング型、招へい型

  • 日系スーパーや百貨店のバイヤーとじっくり話したい:招へい型(バイヤーを1〜2社に絞った個別商談)

  • 多くのバイヤーにまず存在を知ってもらいたい:展示会併催型

  • 店頭での消費者の反応を確かめたい:小売フェア・テスト販売との組み合わせ

  • 産地や製造現場を見てもらいたい、渡航の負担を減らしたい:招へい型

  • 費用をかけずに、まずサンプルを見てもらいたい:オンライン商談・サンプル展示


一つの事業で複数の形式を組み合わせる設計も有効です。岐阜県のように、招へい型の商談会で成立した商品を香港でのテスト販売につなげれば、商談の結果を店頭での反応で確かめられます。


公的事業に参加するか、自分で企画するか


公的事業に参加する


ジェトロの現地商談会は出展料が無料で、会場費やバイヤーの来場手配を主催者が負担します。一方で、対象品目や時期、参加の枠はあらかじめ決まっています。同じバイヤーとの商談の手配は1回のみ、サンプルは返却されない、自己都合でキャンセルすると以後の選考で減点される、といった条件もあり、企業情報・商品情報・価格表は英語または現地語で用意する必要があります。


相談の窓口は、ジェトロの「香港農林水産物・食品輸出支援プラットフォーム」で、メールでの輸出相談は無料です。


自分で企画する


自社や自治体・団体で商談会を企画すると、時期、形式、呼ぶバイヤーの業態を商材に合わせて決められます。費用は自己負担になります。自治体の招へい型の例では、栃木県は参加無料、岐阜県は参加料5,500円とし、バイヤーを1〜2社に絞って1件20〜40分の個別商談を組んでいます。


呼ぶバイヤーの数は、参加する事業者の数と目的に合わせて決めます。事業者が少ないのにバイヤーだけを多く呼ぶと、1社あたりの商談が浅くなります。自治体が商談会を委託するときの仕様書の書き方は、海外商談会・バイヤー招へいの委託仕様書の書き方で解説しています。



台湾・シンガポールの商談会との違い


香港は、台湾・シンガポールと比べて市場の規模、関税、商流が違います。


2025年の日本からの農林水産物・食品の輸出額(香港2,228億円・台湾1,812億円・シンガポール563億円)と香港の特徴

図3 香港・台湾・シンガポールの違い。出典:農林水産省「2025年の農林水産物・食品の輸出実績」、香港政府、USDAの資料をもとにLink Global作成


  • 市場の規模:2025年の日本からの農林水産物・食品の輸出額は、香港が2,228億円(2位)、台湾が1,812億円(3位)、シンガポールが563億円(8位)

  • 関税:香港は自由港で、酒類はアルコール度数30%超のものだけに課税。ワインと度数30%以下の酒(日本酒の大半など)は無税

  • 言語:公用語は中国語と英語で、日常的には広東語。商取引では英語が一般的に使われ、食品の表示は英語・中国語のどちらでもよい

  • 再輸出:香港が2025年に輸入した消費者向け農産品201億ドルのうち、80億ドルは中国本土やマカオなどへの再輸出

  • 水産物:2023年8月から、東京都など10都県の水産物・海塩・海藻は輸入できない


市場が大きく関税もほとんどかからない一方、USDAの報告(2026年)は、景気の減速や不動産市況の低迷で香港の消費者が価格に敏感になっていることに加え、中国・タイなど近隣の競合国が品質を上げ、より低い価格で販売していることを挙げています。ジェトロは香港を「飽和市場」とみる見方は現状を正確に捉えていないとしつつ、2024年上半期の輸出減の背景として、香港の住民が深センなどに買い物に出かける「北上消費」と、来港者数の回復の遅れを挙げています。台湾とシンガポールの商談会の形式と実例は、台湾現地商談会の開き方とシンガポール現地商談会の開き方で解説しています。



香港のバイヤーと商習慣


香港の大手スーパーは、A.S.ワトソン(PARKnSHOPなど)とDFIリテール(Wellcomeなど)の2グループで市場の約7割を占めます。日系ではAEON、YATA、APITA、city'superなどがあります。大手小売は可能な場合は海外から直接仕入れますが、リスクや手間、最低発注量の問題から、多くの商品は現地の輸入業者・卸を通しています。


商談会で手応えがあっても、取引条件が合わずに終わることは少なくありません。商談の前に知っておきたい商習慣は次のとおりです。


香港のバイヤーと商談する前に確認したい6つの条件

図4 香港のバイヤーと商談する前に確認したい6つの条件。出典:USDA、ジェトロ、JFOODO、香港政府・食物安全センター(CFS)の資料をもとにLink Global作成


輸入業者は独占権と小ロットを求めることが多い


USDAの報告(2025年)は、香港の代理店は独占販売権と小さな最低発注量を求めることが非常に多いとしています。土地が狭く保管コストが高いためで、輸入業者や小売は少量の発注、柔軟な包装、頻度の高い出荷を好みます。大手小売と直接取引する場合も、ブランド品では香港での独占権を求められることがあります。商談では、独占の範囲(地域・チャネル・期間)と最低発注量を早めにすり合わせておく必要があります。


スーパーに並べるには棚代や販促費がかかる


大手スーパーは仕入先に対して、棚代(スロッティングフィー)、販促値引き、年間取引額に応じたリベート、倉庫から店舗への配送費の負担などを求めます。金額は公表資料では確認できませんでしたが、誰が負担するかで手取りが大きく変わるため、輸入業者と小売のどちらが負担するかを商談で確かめてください。輸入業者は、表示対応のコストも輸出者に求めることが多いとされています。


店頭価格は出荷価格の1.5〜1.7倍の例がある


ジェトロの清涼飲料の流通調査(2015年)では、ある小売の例で、一次問屋が10〜15%、輸出業者が約5%、小売が30〜40%を上乗せし、店頭価格はメーカー出荷価格のおおむね1.5〜1.7倍でした。ジェトロ・JFOODOの調査(2021年)では、日本酒と水産物の香港での小売価格は、日本の店頭価格の約1.5倍です。2015年の調査では、香港で見かける日本産清涼飲料について「品質が価格を凌駕している物は全体の2割程度」という厳しい意見や、店頭での売価のイメージを持たずに売り込む生産者が多いという指摘もありました。商談会には、自社の手取りから店頭価格までを逆算した価格表を持っていくと、価格の話がしやすくなります。


賞味期限は150〜180日以上を条件にする例がある


香港向けの賞味期限の標準的な日数を示した公的資料は見つかりませんでしたが、香港を含むアジア向けの条件として、DON DON DONKIを運営するPPIHは常温品で150日以上を挙げ(2022年)、香港の輸入卸の皐月有限公司が参加した函館市の商談会は、対象商品を賞味期限180日以上としていました(2025年)。農林水産省の輸出事例でも、日本で販売するより長い賞味期限を求められたことが課題に挙がっています。


国内で納品し、円で受け取る商流もある


香港向けでは、日本国内の指定倉庫に納品し、国内で代金を受け取る取引が珍しくありません。city'superは「国内 末締め末払い・国内指定倉庫渡し」を条件とし(2022年)、函館市の商談会でも決済と納品は国内とされていました(2025年)。日本酒・水産物の取引では「月末締め翌月末現金払い」や、香港側の全量買取りの例があります(2021年)。直接輸出する場合は信用状(L/C)を含むさまざまな条件に対応でき、取引が続くと輸入業者は掛け払いを求めることが多いとされています。


表示は英語か中国語、10都県の水産物は輸入できない


包装済み食品の表示は英語・中国語のどちらか、または両方で、輸入後にシールを貼る対応も認められています。栄養表示は、エネルギーとたんぱく質・炭水化物・総脂肪・飽和脂肪酸・トランス脂肪酸・ナトリウム・糖類の「1+7」項目が必要で、香港での年間販売数が3万個以下の商品は、輸入業者が申請すれば免除を受けられます。


東京・福島・茨城・宮城・千葉・群馬・栃木・新潟・長野・埼玉の10都県を原産地とし、2023年8月24日以降に収穫・製造・加工・包装された水産物・海塩・海藻(加工品を含む)は輸入が禁止されており、2026年10月28日時点でも続いています。10都県で加工・包装された商品も摘発の対象になっています。他の道府県産の水産物も、全量が放射能検査の対象です。肉・家きん・卵・乳製品は、衛生証明書と輸入許可が必要です。規制とラベル表示の詳細は香港への食品輸出の記事で解説しています。


バイヤーがよく求めること


ジェトロの調査(2025年)では、香港のバイヤーから「新しい事業者の紹介は常に歓迎」「低価格帯の商品の増加に期待」という声があり、Food Expo PROでは既存の取引先とは別のサプライヤーを探すバイヤーが多いとされています。一方、ジェトロ・JFOODOの調査(2021年)は、水産物の流通について、香港側の卸が最低発注量を設けることでビジネスの機会を逃している点を課題に挙げています。商談会には、価格表、賞味期限、最低発注量、出荷の頻度、表示への対応、独占の可否について、自社の答えを用意しておくと話が進みやすくなります。



費用と負担の目安


  • ジェトロの現地商談会:出展料は無料。渡航費・宿泊費、サンプル代と香港までの輸送費(常温で1kgあたり1,800円が目安、最低10kg)が企業の負担。通関・輸送を委託事業者に依頼する場合などは取扱手数料(1社約1万2千円)がかかる。畜産物などは動物検疫の検査料(1商品約2万2千円)、牛肉・豚肉・乳製品・精米・度数30%以上の酒類などは輸入ライセンス取得の代行手数料(1商品約2万4千円)がかかる

  • 県の展示会ブース:和歌山県のFood Expo PRO 2026の出展負担金は初回12万円(税込、2社で1小間を共同利用)。奈良県は出展料と通訳を県が負担。渡航費と輸送費は事業者の負担

  • 自治体の招へい型:栃木県は参加無料、岐阜県は参加料5,500円(税込)

  • 商談のあとにかかる費用:スーパーの棚代・販促費(前述)、表示対応のシール、サンプルの輸送費


商談会を個別に企画する場合の費用は、呼ぶバイヤーの数、参加する事業者の数、形式、通訳と会場の要否で大きく変わります。



時期の選び方


主な見本市は、ギフト・雑貨のHKTDC香港ギフト&プレミアムフェアが4月、HOFEXが5月(2027年は5月10〜12日)、Food Expo PROが8月(2027年は8月12〜14日)、Restaurant, Bar & Café Hong Kongが9月、ワイン&スピリッツ・フェアが11月です。展示会に合わせてバイヤーの予定が埋まる時期を避けるか、逆に展示会の前後に商談を重ねるかを先に決めておくと、日程を組みやすくなります。


香港の主な見本市と2027年の公休日のカレンダー

図5 香港の主な見本市と2027年の公休日。出典:香港政府の公休日の告示、各展示会の公式発表をもとにLink Global作成


2027年の香港の公休日は、元日(1月1日)、旧正月(2月6日、8〜9日)、イースター(3月26〜27日、29日)、清明節(4月5日)、労働節(5月1日)、仏誕(5月13日)、端午節(6月9日)、香港特別行政区成立記念日(7月1日)、中秋節の翌日(9月16日)、国慶節(10月1日)、重陽節(10月8日)、クリスマス(12月25日、27日)です。商談会の日程は、これらの日を避けて設定してください。


ジェトロのギフト食品の調査(2022年)は、果物のギフトが最も動くのは中秋節・クリスマス・春節だとし、9月上旬に出荷する和梨なら、初夏から夏にギフト箱の規格や数量を決めておくよう勧めています。中秋節と春節は旧暦のため、毎年時期が変わります。需要期に合わせて商品を並べたいなら、商談はその数か月前に済ませておく必要があります。



実務でつまずきやすい点


輸入する事業者が決まっていないと売れない


香港は自由港ですが、肉・家きん・卵・乳製品などは、香港の輸入業者が衛生証明書をもとに輸入許可を取る必要があり、冷凍・冷蔵の肉や家きん、米には輸入ライセンスも要ります。商談相手が輸入業者なのか、小売や外食なのかを事前に確認し、小売や外食が相手なら、どの輸入業者を通すか、日本国内で納品できる商社があるかまで話を進めておきます。


サンプルの持ち込み


肉・家きん・卵・野生鳥獣肉は、量にかかわらず、原産地の衛生証明書か香港当局の書面の許可がなければ持ち込めず、違反すると罰金5万香港ドルと禁錮6か月が科されます。真空包装やアルミ包装の生肉製品、加熱が不十分な肉・卵製品も対象です。アルコール度数30%超の酒類の免税枠は、18歳以上の旅客が自己使用で持ち込む場合に1人1リットルまでです。商談用のサンプルに旅客の免税枠や個人消費用の扱いが適用されるかを明記した公式資料は確認できなかったため、量が多い場合は輸入業者を通じて送るか、主催者の指示に従ってください。


展示会の一般公開日に販売する場合


和歌山県の募集案内は、Food Expo PROの一般公開日に小売販売をする場合、現地の人材を手配せず日本人だけで対応するには就労ビザが必要になると注意しています。また、小売をしない場合も食品輸入者・卸売業者の登録免除の申請が必要で、承認まで約14日かかるとしています。


商談の言語と資料


香港の公用語は中国語と英語で、日常的には広東語が話されています。商取引では英語が一般的に使われますが、ジェトロの商談会では企業情報・商品情報・価格表を英語または現地語で用意することが求められ、商談カタログはジェトロが繁体字で作ります。日本にバイヤーを招く招へい型なら、主催者が通訳を手配する例もあり、渡航せずに国内で対面の商談ができます。



成果をどう測るか


香港向けの商談会で公表されている数字は、主に商談の件数です。国税庁の酒類輸出コーディネーター事業では、令和6年度に香港で2回の商談会を開き、22事業者が参加して、商談438件、成約見込み113件でした(成約見込みは確定した成約ではありません)。


成約までの期間は商材によって違うため、主催者は商談会の直後と数か月後の2回に分けて、サンプル送付、見積提示、初回発注、2回目以降の発注の状況を追跡することをおすすめします。商談会のあとに成果が出ない原因は海外展示会で商談ゼロになる日本企業の共通点でも解説しています。



Link Globalにできること


株式会社Link Globalは、台湾でこれまで5回以上の現地商談会を企画・運営し、バイヤーを自社で集めてきました。2026年にはシンガポールのバイヤー5社を招いたワインの商談会を運営しています。香港でも、現地のバイヤー・輸入卸に声をかけて商談の場をつくることができます。代表の堤浩記はシンガポールと中国での居住経験があり、日本語・英語・中国語で現地の企業と直接やり取りできます。


  • 参加事業者の業種と数に合わせた、商談会の形式と規模の設計(現地開催・招へい・展示会併催)

  • 輸入業者・小売・外食など、商材に合うバイヤーの選定・招集と事前マッチング

  • 英語・繁体字の商品資料と、店頭価格から逆算した価格表の作成、通訳の手配

  • 独占の範囲・最低発注量・賞味期限・棚代など、取引条件のすり合わせ

  • 商談後のフォローと、成約状況の追跡・報告

  • 成約後の国内納品・円決済による商流への対応


商談会支援の内容と費用の目安は、海外商談会支援のサービスページでご覧いただけます。


自治体・産地の商談会を企画・運営した実例は支援事例:北海道東川町の家具(台湾)で紹介しています。


よくある質問


香港の商談会に参加するには、いくらかかりますか?


ジェトロの現地商談会は出展料が無料で、渡航費・宿泊費、サンプル代と輸送費などが企業の負担です(通関・輸送を委託事業者に依頼する場合などは、1社約1万2千円の取扱手数料もかかります)。都道府県の展示会ブースでは、和歌山県のFood Expo PRO 2026の出展負担金が初回12万円(税込)でした。自治体が香港のバイヤーを日本に招く商談会は、参加無料や5,500円の例があります。


英語や中国語ができなくても参加できますか?


商取引では英語が一般的に使われ、ジェトロの商談会では企業情報・商品情報・価格表を英語または現地語で用意する必要があります。初回のオンライン商談には、希望すれば無料で通訳が付きます。日本にバイヤーを招く招へい型なら、国内で対面の商談ができます。


香港のバイヤーにはどんな条件を求められますか?


輸入業者は独占販売権と小さな最低発注量、頻度の高い出荷を求めることが多く、大手スーパーは棚代や販促費を求めます。賞味期限は150日以上や180日以上を条件にする例があります。表示は英語か中国語で、栄養表示は「1+7」項目が必要です。


香港のバイヤーを日本に招くことはできますか?


できます。栃木県は2024年以降、香港のバイヤーを1社ずつ県庁に招いて個別商談会を開いており、岐阜県は2026年9月に輸入卸と工芸品・雑貨の販売会社の2社を招きました。酒類では、国税庁の受託でジェトロが香港のバイヤーを招き、蔵の視察と商談を組み合わせた例があります。


商談用のサンプルを手荷物で持ち込めますか?


肉・家きん・卵・野生鳥獣肉は、量にかかわらず衛生証明書か香港当局の許可がなければ持ち込めません。アルコール度数30%超の酒類の免税枠は、18歳以上の旅客の自己使用で1人1リットルです。商談用のサンプルの扱いを明記した公式資料は確認できなかったため、量が多い場合は輸入業者を通じて送るか、主催者の指示に従ってください。


水産物は香港に輸出できますか?


東京・福島・茨城・宮城・千葉・群馬・栃木・新潟・長野・埼玉の10都県を原産地とし、2023年8月24日以降に収穫・製造・加工・包装された水産物・海塩・海藻は、輸入が禁止されています(2026年10月28日時点で継続)。それ以外の道府県の水産物は輸出できますが、全量が放射能検査の対象です。


ご相談


香港・台湾・シンガポールでの商談会の企画、バイヤーの選定、商談後のフォローについてのご相談は、お問い合わせページから受け付けています。


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