シンガポール現地商談会の開き方|5つの形式・費用・現地バイヤーの商習慣
シンガポールで日本の事業者が現地のバイヤーと会う商談会は、現地会場での事前マッチング型、展示会との併催、バイヤーを日本に招く招へい型、小売フェアとの組み合わせ、オンライン商談の5つに分けられます。公的な商談会は参加費が無料の例が多い一方、対象地域・業種・時期があらかじめ決まっており、英語での商談対応が求められるのが一般的です。
商談会の成果を分けるのは、形式よりも商談のあとの取引条件です。シンガポールの地場の小売は委託販売が中心で、小売に商品を並べるには登録料や販促費がかかり、賞味期限は6か月以上を求めるバイヤーがあるなど、商談の場で詰めておくべき条件が多くあります。
本記事では、2025〜2027年に実施・計画された商談会の実例と、現地バイヤーの商習慣をもとに、商談会の形式の選び方、公的事業と自主企画の使い分け、費用、時期、成果の測り方を整理します。
【本記事のデータについて】商談会の実例は、主催者(ジェトロ、自治体、業界団体等)が公表している募集要領・仕様書・報道発表・結果報告によります。民間事業者の結果報告は事業者自身の発表で、第三者による検証はされていません。商習慣は、ジェトロ、日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)、米国農務省(USDA)、日本乳業協会などの調査報告によります。一部は2010年代の調査で、発行年を本文に記しています。規制はシンガポール食品庁(SFA)・保健省(MOH)、統計はジェトロ・シンガポール政府の公表資料によります。商談会の日付や条件は各出典の公表時点のもので、参加を検討する際は最新の募集要項で確認してください。

図1 シンガポール現地商談会の開き方。形式・費用・時期と、現地バイヤーの商習慣を整理した。
シンガポールの商談会は5つの形式に分けられる

図2 シンガポールの商談会は5つの形式に分けられる。出典:ジェトロ、各自治体・主催者の公表資料をもとにLink Global作成
現地会場での事前マッチング型
シンガポールで日本産食品の事前マッチング型の商談会を主に開いているのは、ジェトロが事務局を務める「シンガポール農林水産物・食品輸出支援プラットフォーム」です。たとえば、2027年1月にシンガポール国内で計画されている「日本産ハラル食品商談会・試食会」は、15社程度の参加で、輸入商社、卸、小売、ホテル、レストラン、ケータリングのバイヤーが来場する設計です(来場50人程度を想定、マレーシアとインドネシアからのバイヤー招へいも予定)。参加費は無料で、会場費・ブース設営費・バイヤー招へい費はジェトロ、渡航費・宿泊費・サンプル費・通訳費は出展者の負担です。
日本酒では、同プラットフォームが2026年3月にシンガポール島内のホテルで、パネルディスカッションとペアリング体験に商談ブース(5社予定)を組み合わせたイベントを企画し、出展者を募集しました。来場はソムリエ、シェフ、レストランオーナーなど約50社の予定でした。
自治体が民間に委託する例もあります。福岡市の令和7年度「シンガポールにおける食の販路開拓業務委託」では、2026年2〜3月頃にシンガポールで、福岡の食品企業10社程度とシンガポールの飲食店または飲食店に商流のある企業10社程度との商談を設定し、商談件数の目標を約30件としていました。オンライン商談や受託者による代行商談も認め、福岡側の企業が参加しやすい条件にすることを求めています。民間が有料で開く例では、東北あぷらすの試飲・試食商談会が、国内20事業者に対しシェフや仕入れ担当、バイヤーなど50名が来場する設計で、参加費は1か国10万円(税別、会場費と集客込み、輸送費は別途)でした。
展示会併催型
シンガポールの食品見本市は、4月のFHA(Food & Hospitality Asia)と、10月のFood Japanが中心です。FHA 2026(2026年4月21〜24日、Singapore Expo)のジャパンパビリオンは324㎡・36小間の予定で、出品料は1小間83万円(中小企業等は41万5千円)、輸送費と旅費は出品者の負担でした。FHA 2027(2027年4月20〜23日)は1小間92万円(中小企業等は46万円)です。
日本の食品に特化したFood Japanは、2026年は10月22〜24日にSuntec Convention and Exhibition Centreで開かれ、39都道府県とシンガポールから188出展者が参加しました(22・23日はトレード向け、24日は一般にも公開)。都道府県が共同ブースを出す例が多く、たとえば青森県のブース(4社程度)は出展料無料で、渡航費と商品の運搬費が出展者の負担でした。
展示会では多くのバイヤーと接点を持てますが、会期中は相手の予定も埋まります。会期の前後に個別の商談を組み合わせると、展示会で出会った相手と条件を詰めやすくなります。シンガポールの食品展示会の詳細はシンガポールの食品展示会の選び方で解説しています。
招へい型
シンガポールのバイヤーを日本に招く商談会は、1社のバイヤーを複数の県で続けて招く例が見られます。2026年1月には、シンガポールの日本産食品の輸入卸Imei(Exim)が、20日に栃木県(とちぎ食品輸出商談会、10社・団体程度)、22〜23日に茨城県(ジェトロ茨城などによる招へい商談会、県内20事業者・計20件)を回りました。栃木県は参加無料で、どちらも対面で1件30分程度でした。
函館市の令和7年度の招へい商談会(2025年10月)では、シンガポールの「Fish Mart SAKURAYA」を含む4社を招き、会場での商談と訪問商談を組み合わせました。国税庁とジェトロ佐賀・福岡による日本産酒類輸出商談会(2026年3月4日、佐賀)にも、シンガポールのバイヤー(Soaring Swallow)の参加が予定されていました。宮城県は2026年9月にシンガポール・台湾・タイ・ベトナムからバイヤーを招いて産地視察と個別商談を行い、11月頃に現地商談会、2027年2月頃に県産品フェアを予定しています。
招へい型は、事業者が渡航せずに国内で対面の商談ができ、バイヤーに産地や製造現場を見てもらえるのが強みです。産地を見せることに重心を置く設計はファムトリップ(FAMツアー)の記事で解説しています。
小売フェア・販売会との組み合わせ
商談と店頭での販売を組み合わせる形式もあります。熊本県八代市の令和7年度「シンガポール市場販路開拓支援」では、2026年2月に現地の小売店2店での販売フェア(9社22商品)、6店舗での飲食店フェア、現地企業9社との個別商談(2月6日)を組み合わせました。運営した事業者の結果報告によると、商談した9社のうち7社がサンプル依頼や見積など具体的な検討に進み、現地ディストリビューター1社と成約しています。
日本茶業中央会は、2027年1月(予定)にGoodwood Park Hotelで、初日はバイヤー向けの試飲商談、2日目は消費者・メディア向け(試験販売も可能)という2日構成の事業を計画しています(最大15事業者程度、参加費無料、渡航費・宿泊費・輸送費と通訳は自己負担、英語での商談対応が条件)。
店頭での反応を商談の材料にできるのがこの形式の強みです。ただし後述のとおり、シンガポールの地場の小売は委託販売が中心のため、販売フェアの売上がそのまま継続的な取引につながるとは限りません。
オンライン商談・サンプル展示
渡航せずに商談する方法もあります。ジェトロの「グローバル・ゲートウェイ事業」では、2025年10月〜2026年3月にジェトロ・シンガポール事務所でサンプルを展示し、商談は基本的にオンラインで行いました(国際輸送費は出品者の負担、会場費とオンライン商談の通訳費はジェトロの負担)。中小機構も、2025年7月にシンガポール企業との商談会をオンラインと対面(大阪)で開きました。
目的から形式を選ぶ
形式は、参加する事業者が「誰と、何を決めたいか」から逆に選びます。
シンガポールの輸入卸・ディストリビューターを見つけたい:現地会場での事前マッチング型、招へい型
外食やホテルのバイヤーに試食してもらいたい:現地会場での事前マッチング型(ホテルやレストランを会場にする形)
多くのバイヤーにまず存在を知ってもらいたい:展示会併催型
店頭での消費者の反応を確かめたい:小売フェアとの組み合わせ
産地や製造現場を見てもらいたい、渡航の負担を減らしたい:招へい型
費用をかけずに、まずサンプルを見てもらいたい:オンライン商談・サンプル展示
一つの事業で複数の形式を組み合わせる設計も有効です。宮城県のように、招へい型で産地を見てもらい、数か月後の現地商談会で条件を詰め、さらに県産品フェアで店頭に並べる、という段階の踏み方もあります。
公的事業に参加するか、自分で企画するか
シンガポールの商談会には、ジェトロや自治体の公的事業に参加する方法と、自社や自治体・団体で企画する方法があります。
公的事業に参加する
公的事業は参加費が無料の例が多く、会場費やバイヤーの招へい費を主催者が負担します。一方で、対象となる地域・業種・品目、開催時期、募集枠があらかじめ決まっており、バイヤーも主催者が選びます。英語での商談対応や通訳の自己手配を参加条件にしている例が多くあります。
食品の公的事業や相談の窓口は、ジェトロが事務局を務める「シンガポール農林水産物・食品輸出支援プラットフォーム」です。自治体国際化協会(CLAIR)シンガポール事務所は、2026年の活動概要を見る限り、情報発信やPR、旅行フェアの出展支援などが中心で、商談会の開催は記載されていません。
自分で企画する
自社や自治体・団体で商談会を企画すると、時期、形式、呼ぶバイヤーの業態を商材に合わせて決められます。費用は自己負担になります。自治体が民間に運営を委託した例では、福岡市のように商談件数の目標を置くものや、北陸3県の観光セミナー・商談会(石川県のサイトに掲載された仕様書)のように、軽食込みの会場使用料1,300千円を見積に計上するよう指定したものがあります。
呼ぶバイヤーの数は、参加する事業者の数と目的に合わせて決めます。事業者が少ないのにバイヤーだけを多く呼ぶと、1社あたりの商談が浅くなります。自治体が商談会を委託するときの仕様書の書き方は、海外商談会・バイヤー招へいの委託仕様書の書き方で解説しています。
台湾の商談会との違い
台湾とシンガポールでは、市場の規模と商流が大きく違います。

図3 台湾とシンガポールの違い。出典:ジェトロ「国・地域別輸出実績」(2025年)、食品産業センター資料をもとにLink Global作成
市場の規模:2025年の日本からの農林水産物・食品の輸出額は、台湾が1,811.6億円(3位)、シンガポールが563.4億円(8位)
人口:シンガポールの総人口は611万人(2025年6月)。うち市民と永住者は約420万人で、約191万人は非居住者
関税:シンガポールは、ほとんどの品目で輸入関税がかからない
言語:公的な商談会の募集要領の多くが、英語での商談対応を条件にしている
再輸出:シンガポールは食品・飲料の再輸出の拠点でもあり、2024年の再輸出額は輸入額の約33%。ただし日本産の食肉・水産物の再輸出は全体として多くない
関税がかからず英語で商談できる点は参入しやすい一方、市場が小さいため、商談会で会えるバイヤーの数も限られます。台湾の商談会の形式と実例は台湾現地商談会の開き方で解説しています。
出典:ジェトロ 国・地域別輸出実績(2025年)/シンガポール人口タレント局 Population in Brief 2025/ジェトロ シンガポールの再輸出に関する調査/食品産業センター シンガポール調査報告
シンガポールのバイヤーと商習慣
日本食の多くは輸入卸売業者を通して輸入され、小売や外食に入ります。輸入ライセンスの取得が比較的容易なため、日本食レストランが直接輸入する例もあります。商業目的で食品を輸入する事業者は、シンガポール食品庁(SFA)に登録し、輸入ライセンスを持つ必要があります。
高・中級のスーパー:Cold StorageとFairPrice Finestが大半のシェアを持つ(ジェトロ、2024年)
日本食品の品揃えが豊富な小売:明治屋、伊勢丹、DON DON DONKI
その他の地場系:大衆向けのSheng SiongやGiant、ECのRedMartなど(ジェトロ、2017年)
商談会で手応えがあっても、取引条件が合わずに終わることは少なくありません。商談の前に知っておきたい商習慣は次のとおりです。

図4 シンガポールのバイヤーと商談する前に確認したい6つの条件。出典:ジェトロ、日本乳業協会、シンガポール食品庁(SFA)、米国農務省(USDA)の資料をもとにLink Global作成
地場の小売は委託販売が中心で、返品のリスクは輸入卸が負う
ジェトロは、現地の小売店の商習慣は委託販売が中心で、賞味期限が迫ると返品されるため、輸入卸売業者が返品のリスクを負っていると説明しています。2017年の調査では、地場系のスーパーでは消化仕入や委託販売が一般的で、納入する側が廃棄やロスのリスクを負うことが多く、そのリスク分が価格に上乗せされるとされています。輸入卸と商談するときは、返品の扱いと、そのリスクが卸値にどう反映されるかを確かめておく必要があります。
小売の棚に並べるには登録料や販促費がかかる
小売に新商品を導入するときは、プロモーション費、新商品の登録料、取引口座の開設手数料、PR費用などを求められるのが一般的です。日本乳業協会の報告書(2018年)では、リスティングフィーは1アイテムあたりS$50〜100とされています。米国農務省(USDA)の報告(2016年)も、スーパーが導入時の棚代(slotting fee)を課し、代理店・ディストリビューターが棚の確保や週次チラシの広告費を負担すると説明しています。商談では、これらの費用を誰が負担するかを早めに確認してください。
店頭価格は出荷価格の約2倍になる例がある
ジェトロのホタテ貝の流通調査(2015年)では、輸入業者から卸に10〜15%、卸から小売・飲食に1〜5%、小売・飲食から消費者に30〜35%のマージンが乗り、輸送費と税を含めた消費者価格は、生産者の出荷額の約2倍でした。JFOODOの日本産鶏肉の流通調査(2022年)では、小売の利益設定は一般に10〜30%とされています。商談会には、自社の手取りから店頭価格までを逆算した価格表を持っていくと、相手と価格の話がしやすくなります。
賞味期限は6か月以上が目安
賞味期限の残りは、6か月以上を求めるバイヤーがあります。ジェトロの2025年12月の商談会では、外食・小売のSAKURAYA FOODSが、日本酒、クラフトビール、加工食品のいずれも6か月以上を求めていました。農林中央金庫の輸出ガイドは、少なくとも半年、できれば1年以上の期限が望ましいとしています。加工品は店頭に並ぶまでに製造から60日ほどかかる場合があり、同ガイドでは伊勢丹や明治屋などが「賞味期限が短い商品」を取り扱いたくない商品に挙げています。
支払いは信用状が一般的、小売は長めの支払いサイト
USDAの輸出ガイド(2024年)は、信用状(L/C)が一般的で、60日までの支払い猶予は長い取引関係ができてから、としています。スーパーや外食などの取引先は、最大60〜90日の支払いサイトを期待するとされています。輸出や外貨での回収に慣れていない事業者は、国内の商社を通す、国内で納品して円で受け取るといった商流を事前に用意しておくと、商談後の手続きで止まりにくくなります。
英語表示と輸入者名の表示が必要、Nutri-Gradeの対象拡大にも注意
食品の表示は英語が必要で、輸入品にはシンガポールの輸入者・販売者・代理店の名称と住所を表示しなければなりません。剥がれないように貼ったステッカーでの表示は認められますが、元のラベルの期限表示を改変することは禁止されています。飲料に適用されているNutri-Grade(栄養格付け表示)は、2027年半ばから塩、ソース、調味料、即席麺、食用油にも広がります。ジェトロは、味噌、醤油、麺類が試算上CやDの評価になる可能性が高く、代理店がCやDの商品の優先度を下げる可能性もあると指摘しています。
ハラル認証は必須ではないが、取引先によっては条件になる
小売で販売するのにハラル認証は必須ではありません。一方で、シンガポールの15歳以上の居住者のうちムスリムは15.6%(2020年国勢調査)で、ムスリム向けの外食やハラル商品を扱う取引先には、認証を求められることがあります。シンガポール・イスラム宗教評議会(MUIS)は海外で製造された製品を直接は認証しないため、MUISが認める海外の認証団体の認証か、MUISが認可したWarees Halalを通じた認証が必要です。
バイヤーがよく聞くこと
2022年のFood Japanの出展報告では、バイヤーから「シンガポール国内で買えるか」「ネットで購入できるか」「ディストリビューター(代理店)は決まっているか」という質問が多く寄せられていました。2015年の九州の商談会の報告でも、ジェトロの担当者が、商談会では輸出価格、賞味期限、販売可能数と英語での対応が必要で、英語は商談後のメールでの連絡にも必要になると話しています。
小売チャネルの詳細はシンガポールの小売・百貨店チャネル攻略ガイド、食品の規制とラベル表示はシンガポールへの食品輸出完全ガイド2026で解説しています。
出典:ジェトロ シンガポールの日本食品の流通(2024年)/ジェトロ 日本食品消費動向調査(2017年)/ジェトロ 流通構造調査 ホタテ貝(2015年)/日本乳業協会(2018年)/USDA Retail Foods(2016年)/USDA Exporter Guide(2024年)/JFOODO 流通調査(2022年)/ジェトロ 商談会バイヤー情報(2025年)/農林中央金庫「輸出の芽」/SFA 表示ガイド/MOH Nutri-Grade(2025年)/ジェトロ Nutri-Grade拡大の調査(2026年)/ジェトロ ハラル認証制度の調査(2024年)/MUIS/SingStat 2020年国勢調査/食品需給研究センター Food Japan 2022報告/CLAIRシンガポール事務所 オール九州トレードフェア報告(2015年)/SFA Commercial Food Imports
費用と負担の目安
公的な事前マッチング型・招へい型:参加費は無料の例が多い。現地開催は渡航費・宿泊費・サンプル費・通訳費が事業者の負担。招へい型も参加無料の例がある(栃木県・函館市)
展示会併催型:FHA 2026のジャパンパビリオンは1小間83万円(中小企業等41万5千円)、FHA 2027は92万円(同46万円)。輸送費と旅費は別。都道府県の共同ブースは出展料無料の例がある
民間の有料商談会:1か国10万円(税別、会場・集客込み)の例がある
会場費の参考:北陸3県の観光セミナー・商談会(日本側20社程度・現地旅行会社等20社程度)の仕様書は、軽食込みの会場使用料1,300千円を見積に計上するよう指定していた
商談のあとにかかる費用:小売に導入する場合の登録料・販促費(前述)、英語表示のステッカー、サンプルの輸送費
商談会を個別に企画する場合の費用は、呼ぶバイヤーの数、参加する事業者の数、形式、通訳と会場の要否で大きく変わります。
時期の選び方
主な食品見本市は、FHAが4月、SIGEP Asiaが7月、Seafood Expo Asiaが9月、Food Japanが10月です。展示会に合わせてバイヤーの予定が埋まる時期を避けるか、逆に展示会の前後に商談を重ねるかを先に決めておくと、日程を組みやすくなります。

図5 シンガポールの主な食品見本市と2027年の祝日。出典:シンガポール人材開発省(MOM)発表、各展示会の公式発表をもとにLink Global作成
2027年の祝日は、元日(1月1日)、旧正月(2月6〜7日、8日も祝日)、ハリラヤ・プアサ(3月10日)、グッドフライデー(3月26日)、メーデー(5月1日)、ハリラヤ・ハジ(5月17日)、ベサック・デー(5月20日)、ナショナルデー(8月9日)、ディーパバリ(10月28日)、クリスマス(12月25日)です。商談会の日程は、これらの祝日を避けて設定してください。
ジェトロの調査(2017年)は、シンガポールの食品業界の売上のピークを、中秋節と1〜2月の旧正月の年2回としています。加工品は店頭に並ぶまでに60日ほどかかる場合があることを考えると、需要期に合わせて商品を並べたいなら、商談はその数か月前に済ませておく必要があります。
出典:シンガポールの2027年の祝日(MOM発表)/Seafood Expo Asia/SIGEP Asia 2026/ジェトロ FHA 2027/Food Japan 2026/ジェトロ 日本食品消費動向調査(2017年)/農林中央金庫「輸出の芽」
実務でつまずきやすい点
輸入する事業者がいないと売れない
シンガポールで食品を販売するには、SFAに登録した輸入者が必要です。商談会で手応えがあっても、相手が輸入ライセンスを持つ事業者でなければ、そのまま取引は始まりません。商談相手が輸入卸なのか、小売や外食なのかを事前に確認し、小売や外食が相手なら、どの輸入卸を通すかまで話を進めておきます。肉・卵・乳を含む加工食品はシンガポールへ肉・卵・乳を含む食品を輸出する場合のガイドで解説しています。
サンプルの持ち込み
手荷物で持ち込める食品は、個人で消費するものに限られ、加工食品は1人あたり合計5kg・5Lまで、かつS$100までです。商談用のサンプルとしては量が限られ、超える場合は輸入の許可が必要です。税関の「トレードサンプル」は販売も消費もしないものが前提で、試食で消費するサンプルが当てはまるかは事前に確認が必要です。量が多い場合は、輸入者を通じて正式に輸入するか、主催者の指示に従って送ってください。
商談の言語と資料
公的な商談会の多くは、英語での商談対応を参加条件にしています。英語版の商品資料と価格表を用意し、英語での対応が難しい場合は通訳を自分で手配する必要がある例が多くあります。一方、日本にバイヤーを招く招へい型なら、渡航せずに国内で対面の商談ができます。
成果をどう測るか
本記事で取り上げた実例で公表されている数字は、主に商談の件数です。成約まで公表していたのは八代市の事業で、運営事業者の結果報告によると、商談した9社のうち7社がサンプル依頼や見積に進み、1社と成約したとされています。
成約までの期間は商材によって違うため、主催者は商談会の直後と数か月後の2回に分けて、サンプル送付、見積提示、初回発注、2回目以降の発注の状況を追跡することをおすすめします。シンガポールでは委託販売や返品の商習慣があるため、初回の発注だけでなく、継続して発注が来ているかまでを成果として見る必要があります。商談会のあとに成果が出ない原因は海外展示会で商談ゼロになる日本企業の共通点でも解説しています。
Link Globalにできること
株式会社Link Globalは、2026年にシンガポールのバイヤー5社を招いたワインの商談会を運営しました。このほかにも、現地のバイヤーや輸入卸とのつながりを持っています。台湾ではこれまで5回以上の現地商談会を企画・運営し、バイヤーを自社で集めてきました。代表の堤浩記はシンガポールでの居住経験があり、日本語・英語・中国語で現地の企業と直接やり取りできます。
参加事業者の業種と数に合わせた、商談会の形式と規模の設計(現地開催・招へい・展示会併催)
輸入卸・小売・外食など、商材に合うバイヤーの選定・招集と事前マッチング
英語の商品資料と、店頭価格から逆算した価格表の作成、通訳の手配
委託販売・導入費用・賞味期限など、取引条件のすり合わせ
商談後のフォローと、成約状況の追跡・報告
成約後の国内納品・円決済による商流への対応
シンガポール関連の記事はシンガポール市場進出 完全ガイドマップにまとめています。台湾での支援内容は、台湾進出支援サービスの紹介ページでご覧いただけます。
よくある質問
シンガポールの商談会に参加するには、いくらかかりますか?
ジェトロや自治体が主催する商談会は参加費が無料の例が多く、現地開催の場合は渡航費・宿泊費・サンプル費・通訳費が参加事業者の負担です。展示会のFHAのジャパンパビリオンは、2026年が1小間83万円(中小企業等は41万5千円)でした。民間の有料商談会では1か国10万円(税別)の例があります。
英語ができなくても参加できますか?
公的な商談会の多くは、英語での商談対応を参加条件にしており、難しい場合は通訳を自分で手配する必要があります。シンガポールのバイヤーを日本に招く招へい型なら、国内で対面の商談ができます。
シンガポールのバイヤーにはどんな条件を求められますか?
賞味期限の残りは6か月以上を求めるバイヤーがあり、輸出の手引きでは1年以上が望ましいとされています。地場の小売は委託販売が中心で、小売に導入する際は登録料や販促費を求められるのが一般的です。英語表示とシンガポールの輸入者名の表示も必要です。
シンガポールのバイヤーを日本に招くことはできますか?
できます。2026年1月には、シンガポールの日本産食品の輸入卸が栃木県と茨城県の招へい商談会に続けて参加しました。函館市や宮城県なども、シンガポールを含む複数の国からバイヤーを招いています。
商談用のサンプルを手荷物で持ち込めますか?
手荷物で持ち込める食品は個人で消費するものに限られ、加工食品は1人あたり合計5kg・5Lまで、かつS$100までです。それを超える量は輸入の許可が必要になるため、輸入者を通じて輸入するか、主催者の指示に従って送ってください。
自社や自治体で商談会を企画できますか?
できます。公的事業は参加費が無料の例が多い一方、対象や時期、バイヤーは主催者が決めます。自社や自治体で企画すれば、時期、形式、呼ぶバイヤーの業態を商材に合わせて決められます。費用は自己負担になり、自治体の場合は民間に運営を委託する例があります。
ご相談
シンガポールや台湾での商談会の企画、バイヤーの選定、商談後のフォローについてのご相談は、お問い合わせページから受け付けています。




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