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自治体・産地の台湾商談会を企画運営|北海道東川町の家具の事例、2年目に招待先を設計事務所まで広げた理由【支援事例】

堤浩記
9 時間前
読了時間: 12分

北海道東川町は、日本五大家具産地のひとつ「旭川家具」の主要な産地です。町の木工房や製材会社、デザイナーなどでつくる団体は、2025年に続いて2026年10月、台北の華山1914文化創意産業園区で、台湾の事業者との商談会と一般向けの展示会を開きました。出展したのは、町の13の工房・事業者です。


Link Globalは、この2年目の台湾商談会・展示会の企画と現地運営を担当しました。この記事は、自治体や産地の組合で、海外での商談会・展示会を検討している方に向けた支援事例です。2年目に何を変えたのか、特に「招待するバイヤーを家具販売から設計事務所まで広げた」判断と、その結果をアンケートの数字とあわせて紹介します。


北海道東川町 Furniture Fair 2026 in Taiwanのオープニングセレモニー。東川町の関係者と来賓によるテープカット

この事例のポイント


  • 2年目は目的を「知ってもらう」から「取引につなげる」に切り替え、初日を事業者向けの招待制の商談会、続く2日間を一般向けの展示会に分けました

  • 産地の強みである特注家具・造作に合わせて、招待先を家具販売から設計事務所・建築まで広げました。事前エントリーは約40社、商談会の来場は約100名です

  • 13の工房・事業者が出展し、会期中の来場は約4,400人。1年目(約4,500人)とほぼ同じ規模の集客を、取引につなげる形に組み替えました

  • 工房と商談した事業者の43%がその場で見積もりを依頼し、88%が今後も連絡を取りたいと回答しました

  • 会場の選定・契約と設営、招待、商談資料、通訳、家具の国内配送と輸出入、開幕式の段取り、メディア招聘とプレスリリース、アンケートの集計まで、Link Globalが一貫して担当しました


支援の概要


項目

内容

支援先

北海道東川町の木工房・製材会社などでつくる団体

開催

2026年10月16日〜18日の3日間(16日:事業者向け商談会、17〜18日:一般向け展示会)

出展

東川町の13の工房・事業者(1年目は11)、作品約100点

会場

華山1914文化創意産業園区 中7B館(台北市)

位置づけ

2年目の開催。「知ってもらう段階」から「取引につなげる段階」へ

Link Globalの役割

企画、会場の選定と契約、会場の設営、バイヤーの選定と招待、商談資料の制作、事前マッチングと当日運営、通訳の手配、家具の国内配送と輸出入、開幕式・MOU締結式の段取り、メディア招聘とプレスリリース、アンケートの設計と集計

結果

事前エントリー約40社、商談会の来場約100名、会期中の来場約4,400人


会場:台北の華山1914文化創意産業園区


会場の華山1914文化創意産業園区は、日本統治時代の酒造工場の建物を生かした、台北中心部の文化施設です。展覧会やポップアップ・ストアが一年を通して開かれ、買い物や散策に訪れる人も多い場所です。事業者だけでなく一般の来場者にも東川の家具を見てもらえることから、Link Globalがこの会場を選び、契約までを担当しました。


台北・華山1914文化創意産業園区の入口

華山1914の回廊に並ぶ「北海道東川町 木工家具展」のバナー

会場は中7B館です。大きな窓のある倉庫の空間に、13の工房・事業者がそれぞれのブースを設け、テーブルや椅子、収納家具などを実際の暮らしに近い形で並べました。


華山1914 中7B館に東川町の13の工房のブースが並ぶ会場の様子

大きな窓のある華山1914の会場に並ぶ東川町の工房の家具

華山1914文化創意産業園区の特徴や、日本企業の催事での使い方は「華山1914文創園区とは?台北のポップアップ・催事会場と、日本企業の活用法を解説」で紹介しています。


背景:なぜ台湾だったのか


国内の家具市場が成熟し、日本の木製家具の生産量が伸び悩むなか、東川町の木工事業者は海外に新しい市場を求めました。その最初の市場に選んだのが台湾です。


台湾は日本への親しみが強く、「北海道」というブランドを好む人も多い市場です。東川町には町立の日本語学校があり、台湾からの留学生との交流もあります。日本からの輸送距離が短く、物流コストを抑えやすいことも理由のひとつでした。


1年目の2025年11月は、台湾の方に東川の家具を知ってもらうことが中心でした。会期中には約4,500人が来場し、会場で約30点の作品が成約しています。


2年目の課題:「知ってもらう」から「取引につなげる」へ


2年目のテーマは、来場者を増やすことではなく、台湾の事業者との取引につなげることでした。そのために、初日(10月16日)を事業者向けの招待制の商談会にし、17〜18日の一般向け展示会と分けて運営しました。


一般向け展示会「北海道東川町 木工家具展」のカタログ表紙

1年目の実績が、バイヤーを招く材料になった


初回の商談会は、招待する側に実績がありません。「どんな工房が来るのか」「どれくらい人が集まるのか」を示せないため、バイヤーに声をかけても反応を得にくいのが普通です。


2年目は、1年目に約4,500人が来場したという実績を示せました。台湾で一度開いて人が集まった、という事実があることで、招待のメールや訪問での説明に説得力が生まれ、バイヤーに声をかけやすくなりました。


招待するバイヤーを、家具販売から設計事務所まで広げた


2年目に最も大きく変えたのが、招待する相手です。


東川の事業者には、既製品をつくるだけでなく、特注家具や造作(建物に合わせて作り付ける家具)を主な事業にしているところが多くあります。お客様の空間や要望に合わせて一品ずつつくれることが、東川の大きな強みです。


この強みが一番生きる相手は、完成品を仕入れて売る家具販売店だけではありません。住宅や店舗の空間を一からつくるインテリア設計や設計事務所、建築の事業者こそ、「この空間に合わせた一点ものをつくってほしい」というニーズを持っています。


そこで2年目は、招待の対象を次のように広げました。


  • 家具の小売店・セレクトショップ

  • インテリア設計・内装の事業者

  • 建築設計事務所

  • 代理店・商社


招待のメールも、全事業者向けの共通版に加えて、設計事務所向けと、中南部の事業者向けの文面を分けて用意しました。相手によって、東川の家具を使う場面が違うためです。


その結果、事前エントリーした約40社には、家具販売だけでなく、インテリア設計や建築の事業者も含まれました。


商談会で東川町の工房と台湾の事業者が資料を広げて商談する様子

商談会でノートパソコンを使って台湾の事業者に説明する工房の担当者

Link Globalが担ったこと


Link Globalはこれまで台湾で5回以上の現地商談会を企画・運営してきました。今回も、会場選びから会期後までを、日本側と台湾側の両方で進めました。


  • 会場の選定と契約:台北の華山1914文化創意産業園区を選定し、会場の契約までを担当

  • 会場の設営:中7B館の会場づくりと、13の工房のブースの設置

  • バイヤーの選定と招待:台湾の家具・インテリア・建築関連の事業者をリストにし、相手別の文面で招待

  • 商談資料の制作:工房ごとに、繁体字中国語と日本語を併記した商談資料を制作

  • 事前マッチングと当日運営:登録時に聞いた関心をもとに、どの工房と話すかを事前に組み、テーブルごとの時間割で商談を運営

  • 通訳の手配:各工房に通訳を配置

  • 家具の輸送と輸出入:出展する家具の日本国内での配送から台湾への輸出入まで、Link Globalが輸出者として対応

  • 開幕式とMOU締結式の段取り:式の進行づくり、日台の来賓との調整、東川町と台湾の家具ブランドによる協力覚書(MOU)締結式の準備

  • メディア招聘とプレスリリース:台湾のメディアを開幕式に招き、プレスリリースを作成・配信

  • アンケートの設計と集計:事業者向けと一般来場者向けを分けて設計し、会期後に集計


日台の来賓を迎えた開幕式


10月16日の開幕式には、東川町の菊地伸町長が昨年に続いて訪問団を率いて出席し、東川町議会の飯塚達夫副議長、東川町商工会の高島郁宏会長も参加しました。台湾側からは、国家発展委員会 国土・区域・離島発展処の黄文彦処長、華山文創の王栄文董事長、懐徳居創設者の林東陽教授、中華民国工業設計協会の黄偉倫理事長らを来賓に迎えました。


会場では、東川町と台湾の家具ブランド「充個墊(DANN)」(代表:傅廉中〈Kenny Fu〉氏)と「新家園沙發(ニューハウス)」(代表:柯姿伃氏)が協力覚書(MOU)を結び、台湾での東川町の家具の普及と販売に共同で取り組むことになりました。Link Globalは、開幕式とMOU締結式の段取り、来賓との調整、メディアの招聘とプレスリリースの配信を担当しました。


台湾の事業者向けに用意した繁体字の出展ブランド商談ガイドの表紙

結果:アンケートから見えたこと


会期中の来場は約4,400人で、1年目(約4,500人)とほぼ同じ規模になりました。会期中、事業者と一般来場者のそれぞれにアンケートをとりました。以下の割合は、すべてアンケートに回答した方の中での数字です。


商談会:事業者アンケート(回答17件)


  • 回答した事業者の業態は、家具小売が59%、インテリア設計・施工が41%、卸・代理店が24%、建築設計事務所が12%(複数回答)。家具販売以外の事業者にも届いていました。

  • 「お客様の要望に合わせて一品ずつつくるフルオーダー」について、59%が「大きな強みになる」、29%が「条件次第で強みになる」と回答。合わせて88%が強みと評価しました。

  • 商談で関心を持った点の1位も「フルオーダー対応」(71%)で、デザイン(64%)や品質(57%)を上回りました。

  • 工房と商談した事業者のうち、43%がその場で見積もりを依頼しました。

  • 88%が今後も連絡を取りたいと回答し、2027年の開催には65%が「ぜひ参加したい」、残りも「内容次第」と答えています。


招待の対象を設計の分野に広げた判断と、フルオーダーを前面に出した訴求が、数字の上でも確認できた形です。


一般向け展示会:来場者アンケート(回答138件)


  • 旭川家具を「今日はじめて知った」が62%、北海道東川町を「今日はじめて知った」が59%でした。

  • 展示を知ったきっかけは「園区で偶然見かけた」が46%で最多。人通りの多い文化施設を会場に選んだことが、そのまま新しい来場者につながりました。

  • 東川の家具の印象は「素材や木の質感が良い」が83%、「デザインが美しい」が67%。

  • 家のサイズや好みに合わせてつくるオーダー家具には、「とても魅力を感じる」が45%、「価格・納期の条件次第」が47%でした。


来場者でにぎわう一般向け展示会の会場

華山1914の大きな窓のある会場に並ぶ東川町の家具

来場者の声


来場者アンケートの自由記述には、次のような声が寄せられました(中国語の回答を翻訳)。


どの工房にも通訳がいて、とても行き届いていると感じた。

日本の職人の技と美意識を感じられる、美しく実用的な家具の展示だった。空間全体が心地よく、温かみがあった。

木の椅子は硬いと思っていたが、座ってみるとちょうどいい柔らかさだった。

実物を見られると、買いたい気持ちが高まる。品質がとても良い。台湾の家具は手頃だがデザイン性が足りず、欧米のデザインブランドは高すぎる。日本のブランドはそこを補える。もっと多くの日本ブランドに台湾へ来てほしい。

実物に触れ、作り手の説明を通訳つきで聞けたことが、評価につながったことがうかがえます。


一般向け展示会で家具の引き出しを確かめる来場者

3年目に向けた課題


アンケートからは、次の課題も見えてきました。


  • 認知の拡大:事業者でも、旭川家具を知らなかった、または名前を聞いたことがある程度という回答が多く、産地の名前を知ってもらう余地はまだ大きいといえます。

  • 物流・価格・交期:日本の工房に発注するときの障壁として、事業者は輸送費・物流(41%)、価格(35%)、交期(29%)を挙げました。

  • 台湾での買い方:一般来場者の88%が「台湾の実店舗で買いたい」と答えています。台湾で実際に東川の家具を買える場所をつくっていくことが、次の段階の鍵になります。

  • 会場の広さ:「会場が狭く、混み合っていた」という声が複数ありました。家具を空間の中で見せるには、より広い会場や展示の工夫が必要です。


自治体・産地で海外商談会を検討している方へ


産地の強みから、会う相手を決める


量産品が得意な産地と、一品ものが得意な産地では、会うべき相手が違います。東川の場合は、特注や造作の力を生かせる設計の分野まで招待を広げたことが、商談の手応えにつながりました。


前年の実績を、次の招待の材料にする


1回目の開催で得た来場者数や反応は、2回目にバイヤーを招くときの説得材料になります。1年目から、次につなげる前提で記録を残しておくことが大切です。


結果を数字で残し、次の一手につなげる


アンケートは、ただ感想を集めるのではなく、どの数字を次の判断に使うかを決めてから設計しました。今回の結果は、3年目に会う相手や、物流・販売の仕組みづくりを考える材料になります。


よくある質問


自治体の事業として、台湾で商談会や展示会を開くことはできますか?


はい。今回の北海道東川町の事例のように、自治体が関わる事業として行う商談会・展示会の企画と現地運営に対応しています。会場の選定と契約、台湾側の招待先の選定、出展品の輸出入手続きまで、日本側と台湾側の両方で進めます。


台湾商談会には、どんな相手を招待すればいいですか?


産地の強みによって変わります。量産品が中心なら家具販売店や代理店、一品ものや特注が得意なら設計事務所や建築の事業者が合います。東川町の事例では招待先を設計事務所まで広げ、回答した事業者の41%がインテリア設計・施工の事業者でした。


商談会と一般向けの展示会は、分けて開いたほうがいいですか?


取引につなげることが目的なら、分けることをおすすめします。東川町の事例では、初日を事業者向けの招待制の商談会にして商談に集中できる場をつくり、2日目以降は一般向けの展示会として消費者の反応をアンケートで集めました。


海外商談会の成果は、何で測ればいいですか?


来場者数だけでなく、取引につながる行動を数字で残すことが大切です。東川町の事例では、その場での見積もり依頼(43%)、今後も連絡を取りたい事業者の割合(88%)、次回の参加意向(「ぜひ参加したい」65%)をアンケートで集計しました。


通訳や出展品の輸出入手続きもお願いできますか?


はい。今回は各工房に通訳を配置し、出展する家具の台湾への輸出入はLink Globalが輸出者として手続きしました。繁体字中国語と日本語を併記した商談資料の制作も担当しています。


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台湾商談会・海外商談会の企画運営のご相談


Link Globalは、自治体や産地の組合、メーカーの台湾での販路開拓を、会場や招待先の設計から現地での商談運営、輸出入の手続き、会期後のアンケート集計まで一貫して支援しています。今回のような、自治体の事業として行う商談会・展示会の企画運営にも対応しています。自治体や産地の組合で台湾商談会・海外商談会を検討されている方は、自治体向けの海外展開支援をご覧いただくか、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。台湾での支援内容は、台湾進出支援のページでも紹介しています。

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