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香港ギフト&プレミアムフェアとは?出展メリット・出展料・区画の選び方を解説

  • 堤浩記
  • 8月26日
  • 読了時間: 20分

香港ギフト&プレミアムフェア(HKTDC Hong Kong Gifts & Premium Fair)は、毎年4月に香港で開かれるギフト・雑貨分野の見本市です。2026年開催回には3,520社が出展し、125の国と地域から32,322人のバイヤーが来場しました。ギフト分野では世界最大級とされる規模です。

ただし、規模が大きいことと自社に向いていることは別です。この見本市には「量産ノベルティを大量に売る場所」と「一点物や少量多品種をギャラリー・専門店に売る場所」が同じ会場の中に併存していて、どちらの区画に立つかで会えるバイヤーも成果もまったく変わります。

この記事では、公式サイトの一次情報をもとに、どんな商品が並びどんなバイヤーが来るのか、出展するメリットは何か、自社はどの区画を選ぶべきか、実際いくらかかるのかを整理します。工芸品・雑貨を扱う事業者が出展の可否を判断できることを主眼に置いています。


本記事のデータについて

本記事に掲載した会期・会場・出展者数・来場者数・出展料は、すべて香港貿易発展局(HKTDC)が公式サイトで公開している数値を、2026年8月時点で確認したものです。出展者数と来場者数は主催者が「Fair Statistics」として掲載している実績値であり、目標値や見込み値ではありません。出展料も公式の料金表に記載された金額をそのまま記載しています。

展示会情報を扱うアグリゲーターサイトは多数存在しますが、会期を前年からコピーしているだけのものが少なくありません。本記事では主催者公式サイトを出典とし、原典にない数値の推定や補完は行っていません。会期・料金・申込締切は主催者の判断で変更されるため、出展を検討する段階では必ず公式サイトで最新の情報を確認してください。

出典:HKTDC「HKTDC Hong Kong Gifts & Premium Fair – Fair at a Glance / Participation Fee & Format」(2026年8月時点で確認)


香港ギフト&プレミアムフェアとは

次回開催は2027年4月です。基本情報を整理します。

  • 【正式名称】HKTDC Hong Kong Gifts & Premium Fair(香港ギフト&プレミアムフェア)

  • 【主催】香港貿易発展局(HKTDC)

  • 【次回会期】2027年4月27日(火)〜4月30日(金)

  • 【会場】香港コンベンション&エキシビションセンター(HKCEC・ワンチャイ/ハーバーロード入口)

  • 【オンライン商談(Click2Match)】2027年4月20日〜5月7日

  • 【オンラインカタログ(hktdc.com Sourcing)】2027年3月27日〜5月26日

  • 【2026年の出展実績】3,520社・19の国と地域

  • 【2026年の来場実績】バイヤー32,322人・125の国と地域

  • 【来場対象】業界関係者(トレードバイヤー)限定。一般消費者は入場できない


名前だけを見ると贈答品やノベルティに特化した展示会に見えますが、実際の対象範囲はかなり広く、工芸品・生活雑貨・文具・アウトドア用品・美容関連までを含みます。「うちは贈答品メーカーではないから関係ない」と判断してしまうと、機会を逃すことになります。


どんな商品が並び、どんなバイヤーが来るのか


会場は商材と用途で区画が分かれている

公式サイトが挙げている主な区画は以下のとおりです。どこに立つかで会う相手が変わるため、まず全体像を押さえてください。

  • 【Corporate Gifts】企業ギフト・ノベルティ・販促品

  • 【Seasonal & Decorative Gifts】季節商品・装飾ギフト

  • 【Travel & Outdoor Goods】旅行用品・アウトドア用品

  • 【Hall of Fine Designs】デザイン性を軸にした製品

  • 【Gallery of Cultural Gifts】文化的な背景を持つギフト

  • 【World of Beauty, Fitness & Well-being】美容・健康関連

  • 【World of Camping & Outdoor Goods】キャンプ・アウトドア用品


あわせて Smart Design Global Awards が併催されています。デザイン性で勝負する製品にとっては、ブース以外の露出機会になる可能性があります。応募要件や会場での扱いは公式サイトで確認してください。


バイヤーは125の国と地域から来る

この見本市の性格は、出展者側とバイヤー側の国・地域数を並べたときにはっきりします。

  • 【出展者】3,520社・19の国と地域

  • 【来場バイヤー】32,322人・125の国と地域



出展者は3,520社・19の国と地域に対し、来場バイヤーは32,322人・125の国と地域という非対称な構造を示す図

図1:2026年開催回の出展者数と来場バイヤー数。出展者の出身は19の国と地域にとどまるのに対し、バイヤーは125の国と地域から来場している。出典:HKTDC「Fair at a Glance」掲載のFair Statistics 2026(実績値)。図はLink Globalが数値から独自に作成したもので、原典の図表を転載したものではない。


出展者の出身は19の国と地域に集中しているのに対し、バイヤーは125の国と地域から来ています。「出展者はアジアに集中し、バイヤーは世界中から来る」という非対称な構造です。

この構造が意味するのは、香港ギフト&プレミアムフェアが「香港市場に売り込むための展示会」ではないということです。香港市場だけを狙って渡航費と出展料をかけるのは、費用対効果の面で説明がつきにくくなります。この見本市の価値は、複数の国のバイヤーと一度に接点を持てることにあります。

したがって準備の前提も変わります。香港のバイヤー向けの資料だけを用意するのではなく、輸出先が複数国にまたがる可能性を織り込んだ資料——英語の商品説明、最低ロット、リードタイム、FOB価格の考え方——を用意しておく必要があります。


出展するメリット

この見本市に出ることで得られるものを、6点に整理します。


1. 輸出先が決まっていなくても反応が取れる

前章で見た構造が、実務上いちばん効くのがこの点です。特定の一国に絞った展示会では、その国のバイヤーに刺さらなければ何も残りません。ここでは想定していなかった国から引き合いが来ることがあり、輸出先を決めきれていない段階でも出展の意味が成立します。逆に言えば、狙う国がすでに決まっていて、その国の販路を作りにいく段階であれば、その国の展示会に出るほうが効率的です。自社がどちらの段階にいるかで、この見本市の価値は変わります。


2. 少量多品種でも評価される区画がある

Hall of Fine Designs と Gallery of Cultural Gifts は、ロットの大きさではなく製品そのものの価値で評価される区画です。少量多品種や一点物は、量販の文脈では扱いにくくても、ギャラリーや専門店の文脈ではむしろ強みになります。日本の伝統工芸品が正面から向き合える場所がある、というのがこの見本市の特徴の一つです。


3. 会期は4日でも露出は約2か月ある

HKTDCの見本市は「EXHIBITION+」と呼ばれるハイブリッド形式をとっており、会場での展示に加えて Click2Match(オンラインの商談マッチング)と hktdc.com Sourcing(オンラインカタログ)が長期間稼働します。2027年開催回の期間はこうなります。

  • 【会場での会期】2027年4月27日〜4月30日(4日間)

  • 【Click2Match】2027年4月20日〜5月7日(18日間)

  • 【hktdc.com Sourcing】2027年3月27日〜5月26日(約2か月)



2027年開催回のタイムライン。会場での会期は4日間だが、Click2Matchは18日間、hktdc.com Sourcingは約2か月稼働する

図3:2027年開催回における会場会期とオンライン期間の比較。出典:HKTDC「Fair at a Glance」掲載の各期間。図はLink Globalが日付から独自に作成した。


料金表には、全ブース出展者に既定で付くオンラインパッケージが3,000香港ドルと掲載されています。ただしこれがブース費用に含まれるのか別途加算されるのかは料金表からは判別できないため、申込時に確認してください。いずれにせよ費用が発生する項目である以上、使わない手はありません。商品写真・英文の商品説明・最低ロット・希望価格帯・リードタイムを、会期の1か月前にはオンライン側に登録し終えておくのが望ましい形です。

会場で接触したバイヤーが後日オンラインで確認する動線が用意されている以上、会場で配る資料とオンライン側の情報が食い違わないようにしておく必要があります。価格帯やロットの条件がずれていると、そこで話が止まります。


4. 1回の渡航で2つの見本市をカバーできる

2027年4月27日から30日にかけて、HKCECでは香港ギフト&プレミアムフェアと Home InStyle が同時開催されます。同じ会場で、同じ4日間です。



2027年4月27日から30日にHKCECで同時開催される香港ギフト&プレミアムフェアとHome InStyle(旧香港ハウスウェアフェア)

図4:2027年4月27日〜30日にHKCECで同時開催される2つの見本市。実績値は2026年開催回のもの。出典:HKTDC各見本市公式サイト(2026年8月時点で確認)。図はLink Globalが数値から独自に作成した。


Home InStyle は、かつて Hong Kong Houseware Fair(香港ハウスウェアフェア)と呼ばれていた生活雑貨の見本市です。名称が変わっているため、日本語で旧名を検索すると古い情報にたどり着きます。2026年の実績は出展者980社・14の国と地域、来場バイヤー19,715人・118の国と地域でした。テーマには HORECA(ホテル・レストラン・カフェ)や Cultural and Creative Avenue(文化創意の区画)が含まれます。

出展者として一方に出しつつ、もう一方を視察に回すという組み方ができます。渡航費と滞在費が固定費として重いことを考えると、この4日間の密度は単発の展示会にはない利点です。裏返せば、この時期のHKCEC周辺はホテル料金が上がり押さえにくくなるため、会期の6か月前には手配に着手しておく必要があります。


5. サンプルの持ち込みに関税がかからない

香港は自由港で、原則としてほとんどの物品に関税がかかりません。物品税が課されるのは、酒類・タバコ・炭化水素油・メチルアルコールの4品目に限られます。工芸品や雑貨のサンプルを持ち込む際、関税の見積もりに悩む場面は基本的に発生しません。

ただし、関税がかからないことと手続きが不要であることは別です。香港に搬入される貨物は、空路・陸路・海路を問わず税関審査の対象になります。またHKTDCは会場搬入の指定業者や搬入スケジュールを定めているため、個人手荷物で持ち込めるものと貨物として送るべきものの線引きは、事前に主催者へ確認しておいてください。

なお、食品を扱う場合は話が変わります。関税がかからないことと、食品の表示規制や輸入規制がないことはまったく別問題です。


6. 日本語で相談できる窓口がある

HKTDCは東京事務所(1971年開設)と大阪事務所(1981年開設)を持ち、日本語での問い合わせに対応しています。2026年7月には開局60周年の記念セミナーを東京・大阪で開催するなど、日本国内での活動も継続しています。海外の主催者と直接英語でやりとりするしかない展示会に比べると、初回出展のハードルはかなり低くなります。

出典:香港貿易発展局 東京事務所 プレスリリース(2026年7月)


自社はどの区画に出るべきか

ここで大事なのは、商材から区画を選ぶのではなく、売りたいチャネルから区画を逆に引くことです。同じ陶磁器でも、企業の記念品として大量に納めたいのか、ギャラリーや専門店に少量ずつ置きたいのかで、会うべきバイヤーがまったく違います。この見本市の中では大きく2つに分かれ、3つ目のケースはそもそも別の見本市が受け皿になります。いずれにも優劣はありません。自社の生産能力と価格帯に合うものを選んでください。


量産ノベルティ・企業ギフトを狙う場合

Corporate Gifts が主戦場になります。企業の販促担当や調達担当が回る区画で、まとまったロットの引き合いが期待できます。

ただし出展者は3,520社にのぼり、同種の商材が数多く並びます。日本製であることだけでは差がつきにくいため、生産ロットへの対応力、納期の確実性、既存の取引実績といった、価格以外の判断材料を用意しておく必要があります。どの国の企業がどれだけ出ているかは、公式サイトの出展社リストである程度まで事前に確認できます。


ギャラリー・工芸専門店・セレクトショップを狙う場合

Hall of Fine Designs と Gallery of Cultural Gifts が該当します。前者はデザイン性、後者は文化的背景を評価軸にした区画です。区画の設計上、調達量よりも製品そのものの個性が前に出る構成になっています。

商談で聞かれることを想定して、最小発注数量、追加発注のリードタイム、色柄のバリエーション、そして「この価格である理由」は整理しておいてください。素材・工程・産地の背景は、単なる物語ではなく価格の根拠として説明できる形にしておくほうが通りやすくなります。

ただし料金体系には注意が必要です。Hall of Fine Designs は最低面積が大きく設定されているため、初回から選ぶには負担が重くなります。詳細は次の章で数字を挙げます。


高級ホテル・レストランを狙う場合

この見本市ではなく、同時開催の Home InStyle に HORECA のテーマがあります。ホテル・レストラン・カフェ向けの食器や備品を狙うなら、そちらのほうが接点が近くなります。同じ日程・同じ会場なので、どちらに出るかを比較検討する価値があります。


出展料はいくらか

HKTDCは出展料を公式サイトで公開しています。以下は公式の料金表に掲載されている金額です。なお掲載されている料金表のPDFは2026年開催分のもので、2027年開催分は改定される可能性があります。

まず標準的な区画(Other Product Zones)のブースです。

  • 【標準ブース 9㎡(3m×3m)】39,870香港ドル(6,315米ドル)

  • 【標準ブース 12㎡(4m×3m)】53,000香港ドル(8,420米ドル)

  • 【標準ブース 15㎡(5m×3m)】66,260香港ドル(10,520米ドル)

  • 【Premium Booth A 9㎡】47,920香港ドル(7,230米ドル)

  • 【Premium Booth B 9㎡】50,270香港ドル(7,535米ドル)

  • 【Premium Booth C 9㎡】54,130香港ドル(8,060米ドル)


なお Premium Booth の A・B・C という3区分については、公式サイトの料金表に金額のみが掲載されており、区分の基準は明示されていません。9㎡で比較するとAとCの差額は6,210香港ドルあります。選定にあたっては申込前にHKTDCへ確認してください。

次に、上位のブースタイプと独自施工の単価です。Deluxe Gift Ideas と Hall of Fine Designs は料金表上で別立てになっていますが、区画としての位置づけの違いは料金表からは読み取れません。

  • 【Deluxe Gift Ideas/デラックスブース 9㎡】54,500香港ドル(8,405米ドル)

  • 【同 12㎡】72,670香港ドル(11,210米ドル)

  • 【同 15㎡】90,840香港ドル(14,010米ドル)

  • 【Hall of Fine Designs/デラックスブース 18㎡(6m×3m)】108,300香港ドル(15,000米ドル)

  • 【独自施工(Other Product Zones)】最低27㎡・9の倍数で、1㎡あたり4,070香港ドル(625米ドル)

  • 【独自施工(Hall of Fine Designs)】最低30㎡・6の倍数で、1㎡あたり4,470香港ドル(685米ドル)

  • 【オンラインパッケージ】全ブース出展者に既定で付帯・3,000香港ドル(420米ドル)


この料金表の読み方

見落としやすいのは、面積あたりの単価そのものは区画によって大きく変わらないという点です。独自施工の単価は Hall of Fine Designs が1㎡あたり4,470香港ドル、標準区画が4,070香港ドルで、差は約1割にとどまります。

総額に大きな差が出るのは、最低面積の条件のほうです。標準区画なら9㎡から出展できますが、Hall of Fine Designs のデラックスブースは18㎡から、独自施工は30㎡からになります。デザイン性を評価される区画に立ちたくても、初回からその面積を埋められる商品数と予算があるかは別問題です。



区画別の㎡単価と最低面積の比較。単価は4,070対4,470香港ドルで約1割差だが、最低面積は9㎡から30㎡まで開きがある

図2:区画別の㎡単価(独自施工)と最低面積の条件。出典:HKTDC「Participation Fee & Format」掲載の料金表。掲載されている料金表は2026年開催分で、2027年開催分は改定される可能性がある。図はLink Globalが数値から独自に作成した。


小さく試したい段階では、標準区画の9㎡から入るのが現実的です。仮に1香港ドル=20円で換算すると、39,870香港ドルは約79万7千円になります。ただし後述のとおり、どの通貨で請求されるかによって円貨での負担は変わります。為替の水準とあわせて、見積もり時点で必ず再計算してください。

ただしこれはブーススペースの費用のみです。実際には、ブース装飾費、展示品の輸送費、渡航費と宿泊費(複数名分)、通訳の手配費、英語・繁体字の資料制作費、会期後のサンプル送付費が加わります。装飾と輸送の内容によって総額は大きく変わるため、まずブース費用を基準に、その2倍から3倍を目安として予算の枠を置き、見積もりが出た段階で詰めていくのが実務的です。

もう一点、料金表を読むうえで重要な注意があります。掲載されている香港ドルと米ドルの金額は、単一の為替レートで換算した関係になっていません。標準ブースは1米ドルあたり約6.3香港ドル、Premium Booth は約6.6〜6.7香港ドル、Hall of Fine Designs のデラックスブースは約7.2香港ドルと、行によって比率が異なります。

香港ドルは米ドルに連動する通貨制度をとっており、実勢は1米ドル=7.8香港ドル前後です。料金表の比率はこれとも一致しません。つまり、香港ドル建てで見るか米ドル建てで見るかによって、円に直したときの金額が2割近く変わります。標準ブース9㎡でいえば、香港ドル基準なら約79万7千円、米ドル基準なら100万円近くになる計算です。

この差は予算計画に直接効いてきます。請求がどの通貨で立つのか、掲載金額のどちらが実際の支払額の基準になるのかは、申込前にHKTDCへ確認してください。

出典:HKTDC「HKTDC Hong Kong Gifts & Premium Fair – Participation Fee & Format」(2026年8月時点で確認。掲載の料金表PDFは2026年開催分)


主催者HKTDCについて

主催の香港貿易発展局(Hong Kong Trade Development Council/HKTDC)は、企業ではありません。1966年に「香港貿易発展局条例」に基づいて設立された法定機関で、日本語の資料では「準政府機関」「政府系機関」と紹介されることが一般的です。運営は、香港特別行政区政府の関係者と香港の実業界から選ばれたメンバーによる評議会が担っています。

役割としては、日本のジェトロや台湾の外貿協会に近い立場です。ただし展示会との関わり方には違いがあります。ジェトロは日本国内の大型展示会を自ら主催していません。FOODEX JAPANは日本能率協会ほかの主催、「日本の食品」輸出EXPOはRX Japan主催でジェトロは共催という形で、ジェトロの役割は海外展示会にジャパンパビリオンを設けて出展者側を束ねることが中心です。

対してHKTDCは、香港の主要見本市そのものの主催者です。出展の申込先も、料金を決めているのも、バイヤーを集めているのも、オンライン商談基盤を運営しているのも、すべて同じ組織です。窓口が一本化されているぶん、話が早いという実務上の利点があります。


出展前に押さえておくこと


商標は展示会の前に確認する

展示会は、自社の商品とブランドを公開の場に出す行為です。公開してから権利化に動くと、第三者に先に出願されるリスクがあります。出展を決めた段階で、香港および想定する輸出先での商標の状況を確認し、必要なら出願に着手してください。

この見本市には125の国と地域からバイヤーが来ます。つまり、自社の商品が想定していなかった国の事業者の目に触れる可能性があるということです。これは機会であると同時に、権利面のリスクでもあります。


資料は英語と繁体字の2種類を用意する

商談の共通言語は英語で問題ありません。香港はビジネスの場で英語が広く使われており、HKTDCの公式情報も英語で整備されています。ただし来場バイヤーには中国本土や台湾からの参加者も多いため、繁体字の資料があると商談の進みが変わります。

用意するのは、価格表・最低ロット・リードタイム・梱包仕様までを1枚にまとめたシートが実用的です。バイヤーが社内で共有できる形にしておくと、会期後の検討に乗りやすくなります。


申込から会期までの逆算スケジュール

オンライン期間を含めた全体像を前提に逆算すると、標準的な進め方は以下のようになります。

  • 【12か月前】出展の意思決定と商標の確認。商品とブランドを公開する前に権利面を整理する

  • 【8〜10か月前】公式サイトで出展募集の開始を確認し、区画を選んでブースを申し込む

  • 【6か月前】航空券とホテルの手配。4月末は2つの見本市が重なりホテルが埋まりやすいため、この段階で押さえる

  • 【3〜6か月前】英語・繁体字の商談資料、価格表、ブース装飾、通訳の手配。輸出を伴う場合は仕向地の規制確認もこの時期までに終える

  • 【1〜2か月前】Click2Match のプロフィール整備と事前アポイントの設定。hktdc.com Sourcing への商品登録もここで済ませる

  • 【会期中】「30秒で要点」「3分で納得」「次の行動」まで決めた説明の型を用意しておく

  • 【会期後48時間】お礼・会話内容の要点・次の提案(15分程度のミーティング候補日)を含むメールを送る


最後の項目は軽視されがちですが、展示会は契約する場ではなく次のステップを決める場です。会期後48時間以内に具体的な次の提案まで送れるかどうかで、商談化率は大きく変わります。テンプレートを渡航前に用意しておいてください。


台湾の工芸・雑貨系展示会との違い

工芸品・雑貨の海外展示会を検討する際、香港と並んで候補に挙がるのが台湾です。性格が異なるので、目的に応じて使い分けるのが実務的です。

  • 【香港ギフト&プレミアムフェア】バイヤーの出自が最も広い(125の国と地域)。輸出先が決まっていない段階で反応を広く見たい場合に向く。規模が大きいぶん埋もれるリスクもある

  • 【DG Taiwan(旧 Giftionery Taipei)】台湾のギフト・雑貨の見本市。規模は小さいが台湾市場に絞った商談がしやすい


端的に言えば、香港は「間口の広さ」、台湾は「特定市場での深さ」です。初めての海外展示会で、まず自社商品が海外でどう見られるかを知りたいなら香港。台湾市場に絞って販路を作りにいくなら台湾、という整理になります。予算が一度に1本しか取れないなら、自社が今どちらの段階にいるかで選んでください。


まとめ

香港ギフト&プレミアムフェアの要点を整理します。

  • 2027年は4月27日〜30日、HKCECで開催。業界関係者限定のB2B展で一般消費者は入場できない

  • 2026年実績は出展者3,520社・来場バイヤー32,322人。バイヤーは125の国と地域から来る

  • 出展者19地域に対しバイヤー125地域という非対称。香港市場を狙う場ではなく、複数国のバイヤーに一度に会う場

  • 区画は商材ではなくチャネルから逆に引く。量産ノベルティなら Corporate Gifts、ギャラリー・専門店なら Hall of Fine Designs / Gallery of Cultural Gifts

  • 標準ブース9㎡は39,870香港ドル。㎡単価は区画で大差ないが、デザイン系は最低面積が18㎡・30㎡と大きい

  • 会期は4日だがオンラインは約2か月動く。1か月前までに商品情報の登録を終える

  • 同日程・同会場で Home InStyle(旧・香港ハウスウェアフェア)も開催。1回の渡航で2展をカバーできる

  • 自由港のためサンプル持ち込みの関税負担は基本的にない

  • HKTDCの東京・大阪事務所があり、日本語で相談できる


少量多品種や一点物を扱う事業者にとって、この見本市は不利な場ではありません。ロットの大きさではなく製品そのものの価値で評価される区画が用意されています。自社の生産能力と価格帯に合った区画を選べるかどうかが、成果を分けます。

Link Globalでは、海外展示会の選定から出展準備、会期後の商談フォローまでを支援しています。どの見本市が自社に合うのか判断がつかない段階でのご相談も歓迎です。お問い合わせはこちら

伝統工芸品の海外展開全般については伝統工芸品の海外展開ガイドマップ2026、国・商材・目的別の展示会の選び方については海外展示会 完全ガイドマップ2026にまとめています。


よくある質問(FAQ)


Q1. どんな商品が並んでいますか?

ギフト・雑貨を中心に、企業ノベルティ、季節商品・装飾品、旅行用品、文具、キャンプ・アウトドア用品、美容・健康関連まで幅広く並びます。加えて Hall of Fine Designs(デザイン性を軸にした製品)と Gallery of Cultural Gifts(文化的背景を持つ製品)という区画があり、工芸品はここに該当します。名称から想像されるより対象範囲はかなり広い展示会です。


Q2. 日本企業はどれくらい出展していますか?

主催者は出展社の国別内訳を公表していないため、日本企業の正確な出展社数は分かりません。HKTDCの公式サイトには出展社リストのページがありますが、同ページには「情報を提出した出展社のみを掲載しており、全出展社のリストではない」という但し書きがあります。したがってリストに載っていない出展社もいる前提で見る必要があります。それでも、日本からどの分野の企業が出ているか、自社と競合する商材が並んでいるかの目安にはなるため、出展を検討する段階で目を通しておくことをおすすめします。


Q3. 一般消費者も入場できますか?

できません。業界関係者(トレードバイヤー)限定のB2B展です。香港では同じHKTDCが一般公開の見本市も開催しているため混同されやすいのですが、この展示会は商談を目的とした場で、来場者は輸入業者・卸・小売チェーンのバイヤー・企業の調達担当などに限られます。


Q4. 小さな工房でも出展できますか?

できます。標準区画であれば9㎡(3m×3m)から出展できます。注意すべきは面積そのものより、区画の選び方です。Hall of Fine Designs のデラックスブースは18㎡から、独自施工は30㎡からとなるため、初回から選ぶには負担が重くなります。まず標準区画の9㎡で反応を見て、手応えがあれば区画を変えるという進め方が現実的です。


Q5. 出展料の総額はどれくらい見ておけばよいですか?

ブーススペースの費用は標準9㎡で39,870香港ドル(6,315米ドル)ですが、これは会場を借りる費用にすぎません。総額を左右するのは、むしろブース装飾と展示品の輸送です。装飾を専門業者に任せるか自社で最低限にするか、展示品を海上輸送にするか航空便にするかで、金額は倍近く動きます。加えて渡航費・宿泊費は同行人数に比例します。したがって「いくらかかるか」は仕様を決めないと答えが出ません。最初に総額を決め打ちするより、ブース費用を基準にその2倍から3倍の枠を確保しておき、仕様が固まった段階で見積もりを取って詰めるほうが、現実的な進め方です。


Q6. 香港ハウスウェアフェアはもう開催されていないのですか?

開催されています。名称が Home InStyle に変わっただけです。日本語の解説記事の多くが旧名称のまま更新されていないため、旧名で検索すると古い情報にたどり着きます。2027年は香港ギフト&プレミアムフェアと同じ4月27日〜30日、同じHKCECで開催されます。生活雑貨・食器・HORECA向けの商材であれば、こちらのほうが接点が近い場合があります。


Q7. 香港の展示会に出れば中国本土に売れますか?

接点は得られますが、直結はしません。香港の見本市には中国本土からのバイヤーが多く来場するため、商談の入口としては有効です。ただし実際に中国本土へ輸出する段になれば、GACC登録や中文ラベル、ポジティブリストといった中国側の制度をあらためて満たす必要があります。香港の展示会は「本土のバイヤーと会う場」と位置づけ、制度対応は別途進める前提で計画してください。


Q8. まず視察から始めたほうがよいですか?

初めての市場であれば、視察から入る判断は合理的です。会場の規模感、競合の出展内容、価格帯、バイヤーの動き方は現地で見ないと分かりません。視察で得た情報をもとに翌年どの区画にどの規模で出るかを決めると、初回出展の精度が上がります。ただし出展募集は会期の8〜10か月前に始まるため、視察の翌年に出るつもりなら、視察の時点で申込スケジュールも確認しておいてください。

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