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シンガポールの小売・百貨店チャネル攻略ガイド|日本食品・雑貨の販路と商談の進め方

  • 堤浩記
  • 6 日前
  • 読了時間: 36分

更新日:5 日前

シンガポールの小売・百貨店チャネル攻略ガイド|日本食品・雑貨の販路と商談の進め方

「シンガポールでの小売について知りたい!」

「シンガポールの日本食品の理想的な販路は?」

「シンガポールで雑貨の販路や商談について知りたい!」


シンガポールへの食品・雑貨輸出を検討する際、輸入規制やラベル対応を考えることはもちろん、「実際にどこで、どう売るのか」という販路の問題に悩むケースは少なくありません。


シンガポールには高島屋や伊勢丹といった日系百貨店、DON DON DONKIや明治屋などの日本系小売もあり、またCold StorageやFairPrice Finestをはじめとするローカルスーパー、さらにMustafa CentreやECまで多様な販売チャネルがあります。


しかし、それぞれ「客層、価格帯、商品」の見せ方が異なるため、有名な店舗へ一律に売り込めばよいわけではありません。


扱う商品によって適した売場も商談の進め方も変わり、また実際の取引では現地輸入業者・ディストリビューターとの連携、催事・試食販売を活用した市場テストも考えるべきポイントです。


当ページでは、シンガポールの百貨店・小売販路を店舗レベルで解説しつつ、日本食品・雑貨メーカーが自社商品に合う売場を見極め、継続取引へつなげるための実務ポイントをわかりやすく解説していきます。


いずれの項目も知っておくべき大切なポイントですので、リスクを回避し結果を出すためにもぜひ当ページの内容を参考にしてみてください。



シンガポール小売市場の特徴と日本商品が入りやすい販路

シンガポール小売市場の特徴と日本食品・雑貨が入りやすい販路の全体像

ここからはシンガポール小売市場の特徴、そして日本商品が入りやすい販路について解説をしていきます。


シンガポールで日本食品・雑貨の販路を開拓する際は、店舗ごとの客層と購買目的を見極めることが重要です。


日系百貨店や日系スーパーは日本商品の価値を理解してもらいやすい一方、Cold StorageやFairPrice系へ広げれば、より幅広いローカル消費者との接点を作ることができます。


※さらにMustafa Centreのような大型量販店、RedMartやShopeeなどのECも選択肢に入るでしょう。



重要なのは有名な小売へ片っ端から営業することではなく、商品の価格帯、用途、購買頻度、ギフト性に合う売場を選ぶこと!


また各項目で解説している内容を知った上で適切な販路開拓をしていくことが大切ですので、ぜひ順番に目を通してみてください。


高所得・多民族市場での日本食品・雑貨の位置付け


まずは高所得・多民族市場で、日本食品・雑貨はどう位置付けられるのかについて触れていきましょう。


シンガポールは、2025年6月時点で総人口611万人の都市国家であり、市場規模だけで見ればそこまで巨大ではありません。


その一方で小売環境を見ると、オーチャードロードの百貨店から住宅地のスーパー、多民族の買い物客が集まる大型量販店まで、異なる消費層へアクセスできる販売網があるのです。


そして日本食品・雑貨にとって大切なのは、「日本製なら高くても売れる」と安易に考えないこと!


高級菓子や地域性のある食品、工芸雑貨なら品質やギフト性を訴求しやすい一方、日常的な調味料や菓子では他国商品との価格比較も当然のように起こります。


また多民族市場では食品の選択基準も一様ではありません。


したがってシンガポールへの小売展開では、日本らしさを入口にしながら、誰のどんな生活場面で選ばれる商品なのかまで具体化することが重要だと覚えておきましょう。


ローカル住民向けと観光客・駐在員向けでは売れる場所が変わる


次にローカル住民向けと観光客・駐在員向けでは、売れる場所が変わるという点に触れていきます。


同じ日本食品でも、誰に売りたいかによって最適な店舗は変わります。


たとえばオーチャードロードのTakashimaya Department Storeでは、公式に外国人旅行者向けの「Tourists Privileges」を設けており、観光客との接点を持つ立地だと言えるでしょう。


一方でCold StorageはGreat World、Holland Village、Raffles City、Paragonなど各地に店舗を持ち、日常の食料品購入にも使われています。


また明治屋は日本食品を探す顧客と接点を作りやすく、Mustafa Centreは公式にインド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカなどからの旅行者を含む多国籍客の利用を説明しています。


つまり「シンガポールで売る」というより、ローカルの日常需要、駐在員需要、観光・ギフト需要のどこを狙うのかを決めてから「店舗を選ぶ方」が効率的です。


この「売れる場所」を正しく認識しておかねばターゲット層のブレ、訴求や販路・展開の方向性にもズレが出るため、最適な店舗・販路選びの重要性を常に意識していきましょう。


日本産という信頼だけではなく価格・用途・利便性まで見られる


また日本産という信頼だけではなく価格・用途・利便性まで見られるという点にも触れていきます。


日本企業が陥りやすいのが、「Made in Japan」や産地ストーリーを前面に出せば、それだけで価格差を納得してもらえるという考え方です。


実際の小売では商品の品質だけでなく、「何に使うのか」「既存商品と何が違うのか」「日常的に買い直せる価格なのか」まで判断されます。


特に調味料、飲料、菓子、日用品のように競合が多いカテゴリーでは、日本産という理由だけで棚を維持するのは難しくなります。


一方で「限定感のあるギフト菓子、地域性の強い加工食品、デザイン性のある雑貨」などは、用途を明確にすることで高付加価値を伝えやすくなるのです。


ここで重要なのは、日本側が商品の特徴を説明することではなく、シンガポールの売場で「この価格でも買う理由」を作ること!


用途提案、パッケージ、容量、ギフト性まで含めて商品を見直すことで正しく価値が伝わりますので、場合によっては基本的な部分から商品戦略を見直してみることをオススメします。


食品と雑貨では適した小売チャネルがどう違うのか


さらに食品と雑貨では適した小売チャネルがどう違うのか、という部分も深堀りしていきましょう。


意外と見落としがちな部分なのですが、食品と雑貨では、同じ百貨店でも適した売場や商談相手が異なります。


食品なら地下食品フロア、スーパー、グロサリー、試食催事などが中心となり、味、賞味期限、温度帯、価格、リピート性が重要です。


一方で工芸雑貨、キッチン用品、生活雑貨、服飾小物では、百貨店のリビング・ギフト売場やセレクト型ショップ、ポップアップなどが候補になります。


例えばTakashimaya Department StoreではB2の食品催事に加え、館内にファッション、生活関連の商品群があります。


またIsetan Scottsも地下スーパーからファッション、バッグ、ギフト、キッチン・テーブルウェアまで複数カテゴリーを扱っています。


つまりチェーン名だけで営業先を決めず、自社商品がその店舗のどの階・どの売場に置かれるのかまで想定することが、シンガポールにおける販路開拓では重要なポイントだと覚えておきましょう。


日系百貨店・日系スーパー・ローカルスーパー・量販・ECを比較


最後に日系百貨店・日系スーパー・ローカルスーパー・量販・ECについて、シンプルに比較していきたいと思います。


シンガポールの小売販路について「主な商材の扱い」、「主な役割」」も含め下記のようにまとめましたので、自社商品との相性判断のために参考にしてみてください。


・日系百貨店…高島屋・伊勢丹(ギフト菓子、プレミアム食品、雑貨、工芸などを扱い、主な役割はブランド訴求・催事・高付加価値販売)

・日系スーパー…明治屋(調味料、酒、菓子、生鮮・加工食品などを扱い、主な役割は日本食品の継続販売)

・日本系量販…DON DON DONKI(菓子、飲料、加工食品、日用品などを扱い、主な役割は幅広い消費者への販売)

・ローカルスーパー…Cold Storage・FairPrice(食品、飲料、日用品などを扱い、主な役割はローカル需要への拡大)

・大型量販…Mustafa Centre(食品、日用品、雑貨などを扱い、主な役割は多民族・旅行者を含む幅広い需要)

・EC…RedMart・Shopee(加工食品、菓子、飲料、雑貨などを扱い、主な役割はテスト販売・再購入)


ちなみにここで重要なのは優劣ではなく、最初の実績をどこで作るかです。


複数販路へ同時に広げるより、商品との相性が良いチャネルから始める方が現実的ですので、そのあたりも含めて販路拡大の戦略を練っていきましょう。


日系百貨店を店舗レベルで攻略する|高島屋・伊勢丹

シンガポールの日系百貨店 高島屋・Isetan Scottsの売場と催事活用

ここからは日系百貨店を店舗レベルで攻略する、というテーマで解説をしていきましょう。


シンガポールで日本商品の販路を考えるうえで、特に「高島屋」と「伊勢丹」は押さえておきたい日系百貨店です。


ただし単に「有名だから売り込みたい」では商談につながりません。


高島屋はオーチャードロードの旗艦的な商業エリアにあり、食品催事や日本関連プロモーションも実施しています。


一方で伊勢丹は2026年8月時点でIsetan ScottsとIsetan Wisma Atriaの2拠点が公式掲載され、食品スーパー機能はScotts側にあります。


このように店舗ごとの役割を理解しつつ、食品なのか雑貨なのか、常設なのか催事なのか、属性を分けて考えることが必要です。


そういった大切なポイントを含め、各項目で日系百貨店について深堀りしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。


シンガポール高島屋S.C.のオーチャードの集客力の活かし方


まずはシンガポール高島屋S.C.のオーチャードの集客力の活かし方に触れていきます。


Takashimaya Shopping Centreはオーチャードロード391番地に位置する大型商業施設で、130を超える専門店を抱えています。


その中核となるTakashimaya Department Storeは391A Orchard Roadで営業しており、毎日10時から21時30分まで営業しています。


※ちなみに施設と百貨店は厳密には別主体なので、商談では「Takashimaya Shopping Centre」と「Takashimaya Department Store」を混同するべきでない点に注意が必要です。


販路としての魅力ですが、オーチャードという立地に加え、ローカル客と旅行者双方へ接点を作れることです。


また公式サイトでも旅行者向け特典を用意している点も見逃せません。


そして日本企業にとっては単なる常設棚だけでなく、日本関連催事やギフト需要を利用して認知を作る余地があります。


高価格帯商品なら、「日本商品」ではなく「ここで買う価値のあるプレミアム商品」まで編集することが重要ですので、そのあたりも含めて商談に臨むのが良いでしょう。


高島屋地下食品フロアは日本食品・菓子・ギフト商材との相性


次に高島屋地下食品フロアは日本食品・菓子・ギフト商材との相性が良いという点に触れていきます。


高島屋のB2は、日本食品メーカーにとって特に注目したいエリアです。


2026年には日・シンガポール外交関係樹立60周年「SJ60」の一環として、5月8~17日にB2 Food Stopsで「Japan Snacks & Sweets」が実施されました(外務省のSJ60記念事業一覧に登録されている事業です)。


さらに外務省のSJ60記念事業一覧には、TAKASHIMAYA SINGAPORE LTDによる「シンガポール高島屋における2026年度日本関連イベント」が2月から10月までの通期事業として登録されており、年間を通じて日本関連企画が続く見込みです。



こうした実績から高島屋地下は「日本菓子、地域食品、ギフト性のある食品」を期間限定で見せる場として、非常に検討しやすいことが分かります。


ただし日本産であれば何でも向くわけではありません。


百貨店の催事では、パッケージの見映え、贈答性、試食したときの分かりやすさ、限定感なども重要です。


常温保存でき、短時間で魅力を説明できる商品は特に催事との相性が良いため、候補として検討してみてはどうでしょうか。


日本物産展・催事は常設棚に入る前のテスト販売


また日本物産展・催事は常設棚に入る前のテスト販売として使える、という点に触れていきます。


物産展や催事は、短期間の売上を作るだけの場ではありません。


むしろ海外進出の初期段階では、「どの商品が手に取られるか」「価格への反応はどうか」「どの味やデザインが支持されるか」を確認するテストマーケティングの機会として使えます。


実際に高島屋では2026年6月11日から29日まで、Takashimaya Square(B2)で年次イベント「Food Fiesta 2026」が開催され、日本・台湾・タイ・マレーシア・シンガポールから57ブランド、うち新規23ブランドが出店しました。B2とTakashimaya Squareが毎年の催事枠として機能していることが分かります。



※特に新規ブランドは、いきなり常設棚を目指すより、期間限定販売で実績を作り、その結果を次の商談材料にする選択肢もあります。


販売個数だけでなく「試食後の反応、人気SKU、客層、購入理由」などを記録しておけば、その後の輸入業者や小売との交渉に活かすことができるでしょう。


催事をイベントで終わらせず、常設販売へ進むための市場検証として使うことがポイントですので、後の動きも含めて戦略を練るのがスマートな対策だと言えます。


Isetan Scottsはスーパーと百貨店機能を持つ重要拠点


さらにIsetan Scotts(伊勢丹スコッツ店)は、スーパーと百貨店機能を持つ日本商品の重要拠点である、という部分も掘り下げていきましょう。


Isetan Scottsは350 Orchard RoadのShaw Houseに位置し、2026年8月時点でも毎日10時~21時で営業しています。


そして特徴的なのは、百貨店売場だけでなく地下にスーパーマーケットを持っていることです。


公式フロア情報を見るとわかりますが、Fresh Produce、Meat & Seafood、Groceries、Wine, Spirits & Sake Bar、Bakery & Sweetsなどが地下に配置されています。


そのためシンガポールで日本食品の販路を検討するメーカーにとって、Isetan Scottsは具体的に売場を想像しやすい拠点なのです。


菓子、調味料、酒、加工食品などは地下スーパー、雑貨やギフトなら上層階というように商品カテゴリーで提案先を分けることができます。


伊勢丹という日本ブランドへの親和性、現地客が繰り返し購入できる商品設計、これらを意識しつつ一度売れる商品ではなく「棚で継続する商品」としてか訴求をしてみてはどうでしょうか。


伊勢丹の店舗再編後のScottsとWisma Atriaの使い分け


最後に伊勢丹の店舗再編後のScottsとWisma Atriaの使い分けについて触れていきましょう。


2026年8月9日時点の伊勢丹シンガポール公式サイトでは、店舗としてIsetan ScottsとIsetan Wisma Atriaの2拠点が掲載されています。


Scottsは350 Orchard RoadのShaw Houseにあり、スーパーマーケットを含む百貨店型の構成です。


一方でWisma Atriaは435 Orchard Roadで、公式ディレクトリではビューティー、ファッション、時計、テクノロジー、サービスなどのテナントが中心です。


そのため食品メーカーが「伊勢丹へ営業したい」と考える場合は、まずScottsを中心に検討するのが良いでしょう。


※逆に化粧品やファッション雑貨などではWisma Atriaも検討対象になり得ます。


チェーン全体を一つの販路として扱うのではなく、店舗ごとの売場構成まで確認して営業先を選ぶことが、現在のシンガポール小売市場では欠かせないため、そのあたりの属性も含めて商談を検討してみてはどうでしょうか。


日系スーパー・量販を使い分ける|DON DON DONKI・明治屋

DON DON DONKIと明治屋を使い分けるシンガポールの日系スーパー・量販チャネル

ここからは日系スーパー・量販を使い分ける、というテーマで解説をしていきましょう。


日系スーパー・量販は、日本食品をシンガポールの日常消費へ入り込ませるうえで重要なチャネルです。


例えばPPIH(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)の公式情報では、DON DON DONKIは2026年8月10日時点でシンガポールに15店舗あります。


一方で明治屋はMillenia WalkとGreat Worldの2つのスーパーマーケットを運営し、高島屋B2には酒類店も展開しています。


両者は同じ「日本系小売」でも商品構成や見せ方が異なるため、自社商品の価格帯、購買頻度、ブランド性を踏まえて使い分けることが大切です。


そういった特徴も含めて各項目で解説をしていきますので、ぜひ順番に目を通してみてください。


DON DON DONKIは日本直輸入商品を広く試せる


まずはDON DON DONKIは日本直輸入商品を広く試せるボリュームゾーンである、という点について触れていきます。


PPIHはDON DON DONKIを、日本製または日本市場向けに設計された商品を中心に扱う「Japan-brand specialty store」と位置付けています。


また2026年8月10日時点でシンガポールには15店舗あり、日本系小売の中でも複数エリアへ接点を持つ優秀なチャネルです。


そして日本メーカーにとっては「菓子、飲料、加工食品、日用品」など、説明なしでも手に取りやすい商品との相性が良いチャネルとも言えるでしょう。


しかし商品数が多い売場では「日本産」であるだけでは埋もれる可能性があります。


・目を引くパッケージ

・分かりやすい用途

・リピートしやすい価格帯


上記のように棚で短時間に価値が伝わる設計が重要だと言えます。


また店舗数が多いからといって最初から全店導入を想定する必要はなく、「どの店舗・どの客層でテストし、どこまで広げるか」を段階的に考えることが現実的な視点だと言えるでしょう。


DON DON DONKIでの菓子・飲料・加工食品・日用品の見せ方


次にDON DON DONKIでは菓子・飲料・加工食品・日用品をどう見せるか、という部分はとても大切なポイントです。


DON DON DONKIのように商品点数が多い量販型店舗では、消費者が商品一つひとつの長い説明を読むとは限りません。


そのため菓子なら味や食感、飲料なら利用シーン、調味料なら具体的な使い方というように、購入理由を短時間で理解できる形へ落とし込む必要があります。


※日本語中心のパッケージで魅力が伝わりにくい商品なら、英語の商品説明や店頭POPとの組み合わせも検討すべきです。


また限定フレーバーや地方色のある商品を投入する場合も、「○○県産」とだけ書くより、なぜその産地の商品がおいしいのかまで簡潔に伝える方が効果的です。


量販チャネルでは商品を置くだけでなく、初回購入のハードルをどこまで下げられるかが重要になります。


価格競争へ巻き込まれたくない商品は、プレミアム感の伝わる見せ方や限定性を別途設計する必要があるため、そのあたりも含めて戦略を練っていきましょう。


明治屋Millenia Walkでは高品質な日本食品を訴求


また明治屋Millenia Walkは高品質な日本食品をどう訴求しやすいか、という部分にも触れていきます。


明治屋のMillenia Walk店は、9 Raffles BoulevardのMillenia Walk内で営業しているスーパーマーケットです。


日本食品を継続的に扱う販路として検討できますが、明治屋での商品提案では「日本食品の中で何が違うか」を明確にすることが重要です。


たとえば産地限定の調味料、日本茶、日本酒、高品質な菓子、こだわりの加工食品などは、価格だけではなく製法、素材、地域性を含めて説明する余地があります。


DON DON DONKIのような量販型とは異なり、商品の背景まで理解して購入する層を意識した提案がしやすいでしょう。


ただしプレミアム商品であっても回転しなければ棚には残りません。


高品質である理由と、日常的に購入する用途を両立させることが継続販売につながるという点を忘れずに戦略を練るべきなのです。


明治屋Great Worldは生活圏の顧客へ継続購入を狙う販路


さらに明治屋Great Worldは生活圏の顧客へ継続購入を狙う販路としてどう使うか、という部分にも触れています。


明治屋Great World店は、1 Kim Seng PromenadeのGreat World地下2階で営業しています。


公式サイトをチェックするとわかりますが、平日は9時30分~22時、週末・祝日は9時~22時の営業です。


※同店の「Hokkaido Food Plaza」は、明治屋Great World店の改装後の再オープンにともない6月1日から一時休止となっています。ただし道産子(Dosanko)商品の一部はスーパーマーケット側で引き続き取り扱われており、北海道産品の販路そのものが失われたわけではありません。



そんなGreat Worldは、観光客向けの一度きりの購入だけでなく、周辺の生活者が食品を継続購入する売場として考えることができます。


そのためギフト商品だけでなく、調味料、麺類、飲料、冷凍・加工食品などリピート性のある商品も重要です。


販路開拓では「初回に目立つか」だけでなく、2回目、3回目も買われる商品かという視点でSKUや容量を設計することが大切ですので、販路開拓を目指す場合は明治屋Great World店の属性に合わせて商談で提案していきましょう。


DON DON DONKIと明治屋の価格帯・商品構成・売り方


DON DON DONKIと明治屋の価格帯・商品構成・売り方について解説をしていきましょう。


DON DON DONKIと明治屋は、どちらも日本食品を扱う有力チャネルですが、同じ提案をそのまま持ち込むべきではありません。


PPIHはDON DON DONKIを日本ブランド専門店として多店舗展開しており、2026年7月時点でシンガポール15店舗を展開しています。


一方で明治屋はMillenia WalkとGreat Worldの2スーパーを軸に運営しています。


DON DON DONKIでは、幅広い商品群の中で短時間に魅力を伝えられる菓子、飲料、加工品、日用品などが考えやすく、明治屋では品質や産地、専門性を丁寧に伝えたい食品との相性を検討しやすいでしょう。


もちろん採用条件は商品ごとに異なります。


重要なのは「どちらの方が上」という比較ではなく、量を取りたい商品なのか、価値を深く伝えたい商品なのかで販路を選ぶことであり、ここがブレると採用されない、販路開拓自体が難航する自体に陥るリスクがあるため適切な販路選びをすることが大切です。


ローカル小売を攻略する|Cold Storage・FairPrice Finest・Mustafa Centre

Cold Storage・FairPrice Finest・Mustafa Centreなどシンガポールのローカル小売販路

ここからはローカル小売を攻略する、というテーマで解説をしていきます。


日本食品を日系小売だけで販売していると、顧客が日本好きや駐在員に偏る可能性があります。


より広いローカル市場へ浸透させる段階では、Cold Storage、FairPrice系、Mustafa Centreなどの販路が選択肢に入るでしょう。


そんなCold Storageはオーチャード周辺から住宅地まで幅広い店舗網を持ち、FairPriceは通常スーパー、Finest、Xtraなど複数フォーマットを展開しています。


またMustafa Centreは24時間営業の大型店で、多国籍な顧客との接点があるのです。


ローカル販路では日本産という背景以上に、価格・用途・購買頻度・他国商品との差別化が重要になるため、そのあたりも含めて各項目で大切なポイントをチェックしていきましょう。


Cold Storageは輸入食品・プレミアム食品をローカル層へ広げる入口


まずはCold Storageは輸入食品・プレミアム食品をローカル層へ広げる入口、という点について触れていきます。


Cold Storageは、Paragon、Raffles City、Great World City、Holland Village、Sentosa Cove、Parkway Paradeなど、シンガポール各地に店舗を展開しています。

なお運営体制は変わっています。DFI Retail Groupは2025年3月、Cold Storage 48店舗(CS Fresh・CS Gold・Jason's Deliを含む)とGiant 41店舗、配送センター2か所をマレーシアのMacrovalueへ売却することで合意し、取引は2025年後半に完了しました。新体制は地域のサプライチェーンを活用した調達コスト削減を掲げており、従来空輸されていた商品を船便に切り替える方針も示されています。日本からの輸入条件やリードタイムの前提が変わる可能性があるため、商談前に最新の調達方針を確認しておくべきです。




※公式ストアロケーターで各店舗の営業状況を確認できるため、商談前には候補店舗の立地を個別に確認するのがおすすめです。


そして日本食品メーカーにとってCold Storageを検討する意味は、日本系スーパーだけでは届きにくい「ローカル消費者」へ販売を広げられる点にあります。


その場合は輸入食品と並んだときに「味、品質、原材料、使い方、価格」のどこで選ばれるかを考える必要があるでしょう。


また日本食コーナーだけを想定せず、調味料なら調味料、菓子なら菓子というカテゴリー内で他国ブランドと比較される前提で戦略を練ることが大切!


「日本産だから別枠」ではなく、現地の通常の買い物の中で選ばれる商品になることが、ローカル販路拡大の一歩なのです。


FairPrice Finestは中間層~比較的高所得な生活者への浸透


次にFairPrice Finestは中間層~比較的高所得な生活者へどう浸透させるか、という部分について掘り下げていきます。


FairPriceはシンガポール最大規模の小売ネットワークを持ち、公式サイトにあるようにFairPrice、FairPrice Finest、FairPrice Xtra、FairPrice Xpress、Cheersなどを含めて「230店舗」を展開しています。


その中でFairPrice Finestは、通常のFairPriceより幅広い品揃えと「fine living」を意識した買い物体験を提供するフォーマットとして評価されています。


そのため日本のプレミアム調味料、菓子、飲料、健康志向食品などでローカル層への展開を狙う際は、現実的な候補になるでしょう。


ただし日系スーパーのように「日本食品を探しに来る顧客」だけが対象ではありません。


他国の輸入品やローカルブランドと同じ棚で比較されるため、商品の用途や価格の納得感がより重要になります。


日系チャネルで販売実績を作った後に、より広い生活者へスケールさせる販路として検討する考え方が実務的ですので、自社の属性に合わせて戦略を整えていきましょう。


FairPrice通常店・Finest・Xtraで商品と価格帯の使い分け


またFairPrice通常店・Finest・Xtraで商品と価格帯の使い分け、というテーマでも掘り下げていきましょう。


FairPriceは店舗名が違うだけではなく、公式に複数のリテールフォーマットを使い分けています。


※通常のFairPrice Supermarketsは日常的な食品・生活必需品を幅広く扱い、FairPrice Finestはより広い品揃えと付加価値のある買い物環境を提供しています。


FairPrice Xtraは大型フォーマットであり、2026年1月時点の公式一覧ではAMK Hub、VivoCity、Jem、Jurong Point、Parkway Paradeなど8店舗が案内されています。


※日本企業は「FairPriceに入りたい」で止めず、どの業態を狙うかまで考える必要があるでしょう。


日常消費型の商品なら通常店、プレミアム性を持たせたい商品ならFinest、大容量や幅広いカテゴリーとの組み合わせならXtraというように、商品と価格帯で使い分けるのがスマートです。


最終的な採用条件は個別商談ですが、店舗フォーマットから逆算して商品と価格帯を考えることが大切ですので、この部分を軽視せずに戦略を練っていきましょう。


Mustafa Centreは多民族・観光客を含む量販チャネル


さらにMustafa Centreは多民族・観光客を含む量販チャネルとしてどう見るか、という点について深堀りしていきます。


Mustafa Centreは145 Syed Alwi Roadにある大型商業施設で、公式サイトにあるように24時間営業と案内されています。


また約40万平方フィートの施設に30万点を超える商品を扱い、スーパー、化粧品、衣料、家電など幅広いカテゴリーを展開している大規模施設なのです。


※公式の沿革ではインド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカをはじめ、アジアや中東などからの旅行者にも利用されていると説明されています。


そのためMustafa Centreは「シンガポールの高級小売」とは異なる切り口で考えるべき販路だと言えるでしょう。


食品、日用品、雑貨など幅広い顧客が分かりやすく購入できる商品との相性が良い一方で、商品数が非常に多いため、ブランドストーリーを長く読ませる販売方法には向きにくい側面があります。


多民族・多国籍の利用者に「一目で用途が伝わるか」という視点が重要ですので、シンプルに響くキャッチコピーやわかりやすさを前面に出す訴求が最適だと言えるでしょう。


日系チャネルからローカルチャネルへ広げるときの変化


最後に日系チャネルからローカルチャネルへ広げるときの変化について触れていきましょう。


日系スーパーや百貨店では、「日本の○○県の商品」「老舗メーカー」「日本限定の味」といった説明が購入理由になりやすい場合があります。


しかしCold StorageやFairPriceへ広げると、日本への強い関心を前提にできない顧客も増えるのです。


そのため「日本で有名」ではなく、「なぜ自分の生活に必要なのか」を明確にする必要があります。


・だしなら簡単に料理の味を整えられる

・菓子ならギフトやティータイムに合う

・調味料なら現地の家庭料理にも使える


上記のような「用途の翻訳」が重要だと言えるでしょう。


また価格も日本食品だけでなく、各国の競合商品と比較される点を意識しなければなりません。


日系チャネルで得た販売実績をそのまま横展開するのではなく、ローカル顧客向けに容量、パッケージ、用途説明を調整することが必要があります。


ここまでで準備・調整をすることで、初めて日本食品の「シンガポール市場への定着」が見えてくるため、上記のような違い・変化を軽視せずに戦略を寝る必要があります。



催事・店頭プロモーション・ECを常設販売への入口として活用する

催事・試食販売・ECを常設棚への入口として活用するシンガポール販路開拓の流れ

ここからは「催事・店頭プロモーション・EC」、これらを常設販売への入口として活用するという点について、わかりやすく掘り下げていきたいと思います。


シンガポールへの販路開拓では、最初から常設棚だけを狙う必要はありません。


物産展、試食販売、期間限定ポップアップなどを利用すれば、消費者の反応を確認しながら市場へ入ることができます。


またオフラインで商品を知った顧客をRedMartやShopeeなどのECへつなげれば、イベント終了後の再購入導線も作ることもできるでしょう。


※JCC(Japan Creative Centre/ジャパン・クリエイティブ・センター)のような公的な文化発信拠点も、(直接的な販売場所というより)日本の地域・文化・商品の背景を認知してもらう機会として活用できます。


「認知→テスト販売→再購入→常設化」という流れを意識することも大切なポイントですので、「催事・店頭プロモーション・EC」の活かし方も含めて各項目をチェックしていきましょう。


物産展・試食販売は「棚に入る前」の市場テスト


まずは物産展・試食販売は「棚に入る前」の市場テストとみれますが、どう使うかという意識が大切です。


例えば食品は説明を読むより、実際に食べてもらう方が魅力を伝えやすい商材と言えます。


そのため、物産展や試食販売はシンガポールでの市場反応を確認する有効な機会になります。


※高島屋では2026年にも、5月のJapan Snacks & Sweets(B2 Food Stops)や6月のFood Fiesta(Takashimaya Square B2)など、B2を活用した食品催事が継続的に組まれています。


ちなみに、ここで見るべきなのは売上だけではありません。


・どの商品で足が止まるか

・試食から購入へつながる率はどうか

・どの価格で迷われるか

・味への質問は何か


上記のようなフィードバックを記録すれば、その後の商品改良や小売商談に使うことができます。


特に複数SKUを持つメーカーは、催事で反応の良い商品を絞り込んでから常設棚を提案することができるでしょう。


催事を販促ではなく、現地市場から答えをもらう場所として活用する、これは販路開拓・拡大にも大切なポイントになるのです。


ポップアップでは売上だけでなく味・価格・パッケージの反応を見る


次にポップアップでは売上だけでなく味・価格・パッケージの反応を見る、というテーマで解説をしていきましょう。


ポップアップで短期間に売上が立ったとしても、それだけで常設販売の成功を判断するのは早いです。


イベントでは日本好きの顧客や新しい商品を試したい人が集まりやすく、通常店舗とは購買行動が異なる可能性があります。


そこで売上と同時に顧客の反応を定性的に集めることが重要になります。


■甘すぎる・ちょうどよい

■容量が多い・少ない

■この価格ならギフトで買う

■パッケージは好きだが使い方が分からない


上記のような声は、現地展開の貴重な情報です。


※他にも雑貨なら色、サイズ、用途の反応も確認できます。


そしてポップアップ終了後には「人気商品、購入層、質問、価格への反応」をまとめ、輸入業者や小売との次の商談資料にします。


イベントで得た顧客の声を、常設棚へ入るための根拠に変えることが重要ですので、様々な情報・データを次に活かすために収集・整理することが勝ち筋を作るために大切なポイントだと覚えておきましょう。


JCCは物販会場ではなく日本ブランドの認知・体験づくりに活用


またJCCは物販会場ではなく、日本ブランドの認知・体験づくりに活用、という点にも触れていきます。


JCC(Japan Creative Centre/ジャパン・クリエイティブ・センター)は、在シンガポール日本国大使館の広報文化施設です。2007年の日・シンガポール首脳会談を受けて設置が合意され、2009年11月に開所した日本国外初の拠点で、所在地は4 Nassim Road。アニメ・マンガ、ファッション、デザイン、アート、建築、科学技術、伝統文化などをテーマにしたイベントが実施されています。



日本の伝統文化だけでなく、デザイン、グルメ、ファッション、工芸、技術など「現在の日本」を幅広く紹介する施設として位置付けられています。


ちなみに2024年9月には熊本県のくまモンを活用したプロモーションイベント、高知県のゆず・よさこい等を紹介するイベントが実施されています。


※さらに高知県イベントではゆず商品の試食も行われています。


そんなJCCは通常の小売店舗というより、地域や商品の背景を「体験」として伝えるブランディングの場として見るのが適切でしょう


日本企業や自治体が活用を考える場合も、単純な販売イベントとして考えるのはもったいないこと!


JCCに限らず各種イベント・催事は、商品を理解してもらうため「体験→SNS発信→実際の販売店・ECへの送客」まで一連の流れで設計すると、より優れた効果を実感することができるでしょう。



RedMart・ShopeeなどECは店頭販売とどう併用するべきか


さらにRedMart・ShopeeなどECは店頭販売とどう併用するべきか、という点にも触れていきます。


シンガポールでは実店舗とECを二者択一で考える必要はありません。


RedMartはLazada上で生鮮、冷凍、加工食品など幅広いグロサリーカテゴリーを展開しており、Shopeeにも食品・飲料・日用品を扱うSupermarketカテゴリーがあります。



そして日本企業にとってECの価値は、初回販売だけでなく再購入導線にあるのです。


催事で商品を知った顧客が「また買いたい」と思ったときに、店舗へ行かなくても購入できる状態を作れば継続売上につながります。


※常温で配送しやすい菓子、調味料、飲料、雑貨などは小規模テストがしやすいジャンル・カテゴリだと言えるでしょう。


だからこそ実店舗とECを上手くつなげるような訴求、これが販路開拓の視点でも重要なのです。


ただしECでも食品輸入規制が免除されるわけではない点に注意が必要です。


SFAは商業目的で食品を輸入する場合、販売形態にかかわらず必要なライセンス・登録を求めています。


このあたりに注意しながらECと店頭販売の併用、導線をどのように作るか、どういった訴求が響くのかを考えながら、適切な施策を練っていくことをオススメします。


催事→EC→常設棚へつなぐ導線を最初から設計する


最後に催事→EC→常設棚へつなぐ導線を最初から設計する、という点に触れていきます。


※何度も「導線の設計」が重要だとお伝えしてきましたが、意外と導線を軽視する人は少なくありません。


海外展開でありがちな失敗が、「展示会に出る」「催事をする」「ECへ出す」をそれぞれ別の施策として実施してしまうことです。


それらは「催事で認知と初回購入を作り、ECで再購入を受け止め、その実績を小売の常設商談へ持っていく」、という一連の導線にできます。


たとえば催事の商品パッケージやPOPにECへのQRコードを設置し、購入後もアクセスできるようにします。


ECでは人気SKUやレビューの傾向を確認し、次回の商談で「何が選ばれているか」を示します。


その上で常設棚へ提案すれば、「シンガポールで売れるか分からない商品」から「一定の反応が確認された商品」へ変わるのです!


※店舗側の採用判断は個別ですが、小さな実績を積み上げて商談リスクを下げることはできます。


海外小売では、最初から大きく売るより、この段階設計が重要ですので、是非試してみることをオススメします。



現地小売との取引を始める商談実務と失敗しない準備

シンガポール現地小売との商談実務とディストリビューター経由の商流設計

ここからは現地小売との取引を始める商談実務、そして失敗しない準備について解説をしていきます。


仮に売りたい店舗が決まっても、それだけではシンガポールへの販路は完成しません。


特に食品では、SFA(Singapore Food Agency/シンガポール食品庁)の登録・ライセンスを持つ事業者が商業輸入を行う必要があるため、現地インポーターやディストリビューターとの連携が重要になります。


※ちなみに雑貨は食品と同じSFA制度ではありませんが、輸入、在庫、店舗配送、営業まで担える現地パートナーと組むことで販路開拓を進めやすくなるのです。


商談では「良い商品です」だけではなく、売場・価格・MOQ・供給条件まで具体化して提示することが採用への第一歩!


そんな現地小売と取引を始める商談実務、失敗しないための準備について各項目でわかりやすく掘り下げていきますので、ぜひ参考にしてみてください。


小売へ直接売り込むより現地ディストリビューター経由が基本


まずは日本メーカーが小売へ直接売り込むより、現地ディストリビューター経由が基本になる理由について触れていきましょう。


例えば食品の場合、SFAはシンガポールで商業目的の食品を輸入できる事業者について、食品カテゴリーに応じたSFAのライセンスまたは登録が必要だと明記しています。


※また輸入者はACRA(会計・企業規制庁)への企業登録とSingapore Customsでのアカウント有効化などの条件も満たす必要があります。


そのため日本メーカーが小売へ商品を紹介すること自体は可能でも、実際の商品供給では、輸入資格、通関、在庫、配送を担える現地インポーター/ディストリビューターと組む形が現実的なのです。


※なお「小売との直接取引が法律上禁止されている」という意味ではありません。


小売側や関連会社が輸入機能を持つケースもありますが、ここで重要なのは「誰が輸入者となり、誰が在庫を持ち、誰が店舗へ納品するのか」、これらを商談初期に明確にすることです。


雑貨でも同様に、商流設計を先に確認すると話が進みやすくなるため、販路開拓・展開をする場合は「現地インポーター/ディストリビューター」と組むことを前向きに考えてみてはどうでしょうか。


商談では商品説明より「どの棚で誰に売るか」を先に提案する


次に商談では商品説明より「どの棚で誰に売るか」を先に提案する、という点に触れていきます。


海外商談では、日本企業側が会社沿革や製造技術を長く説明してしまうことがあります。


しかし小売バイヤーが知りたいのは、「この商品をどの顧客に、どの棚で、どの価格帯で売れるのか」など、シンプルな部分なのです。


そのため商談資料では商品の背景説明より前に、ターゲット、想定売場、競合との差、販売シーンを示すと話が具体的になります。


たとえば「創業100年の菓子メーカー」だけでは商談資料としては弱いのです。


・高島屋のギフト需要を想定した個包装商品

・明治屋で日常的に再購入してもらう調味料

・DON DON DONKIで若年層が試しやすい菓子


などある程度の想定・ビジョンを含めて販売シーンを示しながらの商談・資料は、相手の興味を引くことでしょう。


もしバイヤー側の考えと違えば修正すればよく、重要なのは商品だけを見せて判断を丸投げしないことです。


売場の仮説まで用意できるメーカーほど、具体的な商談へ進みやすくなるため、当ページで解説してきた内容を参考にしながら、各種資料を念入りに作成してみることをオススメします。


サンプル・英語商品資料・卸価格・MOQ・賞味期限の準備


またサンプル・英語商品資料・卸価格・MOQ・賞味期限の準備についても、わかりやすく触れていきましょう。


小売商談では、商品サンプルだけを持参しても採用判断は進みません。


・英語の商品説明

・商品画像

・原材料や仕様

・ケース入数

・卸価格の考え方

・MOQ(最小発注数量)

・納期

・賞味期限

・保管条件


上記のような基本的な情報をわかりやすく一つの資料に整理しておくことが重要です。


※雑貨ならサイズ、素材、カラー展開、梱包単位なども必要になるでしょう。


特に食品では残存賞味期限が小売の在庫リスクに直結するため、ある程度は明確にしておく必要があります。


※また日本を出荷してから輸送、通関、倉庫、店舗配送まで時間がかかるため、「製造時点では長い」だけでは十分ではありません。


さらに価格も日本の卸価格をそのまま提示するのではなく、物流、輸入コスト、ディストリビューターマージン、小売側の条件まで含めて採算が成立するかを確認します。


具体的な掛率や棚代は小売・商材で異なるため、根拠なく一律の数字を置かず個別商談で確認することが安全ですので、商品の情報・資料を用意しつつ、ある程度の仮定の掛率・棚代などコストを想定したうえで商談に臨むのが良いでしょう。


【補足】価格設定・ラベル・賞味期限対応が遅れるリスク


補足として価格設定・ラベル・賞味期限対応が遅れるリスクについても触れていきましょう。


結論から言えば、上記のような遅れがあると、採用後でも商談が止まりやすいリスクが発生します。


既にご存じの方もいるかもしれませんが、バイヤーから「興味がある」と言われても、それは輸出成功を意味しません。


・輸入価格を計算すると店頭価格が高くなりすぎる

・英語ラベルがSFA要件に合わない

・賞味期限が物流期間を含めると短い


などなど様々な問題が判明して案件が止まることも珍しくありません。


特にシンガポール向け食品では、SFAが商品カテゴリーごとに輸入要件を定めており、加工食品でも現地輸入者の登録や食品規制への適合が必要です。


※ちなみに2026年7月にもSFAの輸入要件ページが更新されているため、過去資料だけで進めるべきではなく、常に商談前には最新の情報を精査することが大切です。


万が一にも採用後に規制に関するトラブルが発生することがないように、売り込み前に商談成立後のための細かな確認を済ませておくこと、それが商談を止めないポイントなのです。


相手からの信頼を損なわないためにも、各種情報・制度・規制などについては、念入りに確認を済ませておきましょう。



シンガポールの小売・百貨店チャネルに関するよくある質問


シンガポールで日本食品を売るには、どの小売チャネルから始めるべきですか?


商品の価格帯と購買頻度から選ぶのが基本です。ギフト性の高い菓子や工芸雑貨は高島屋B2やIsetan Scottsの催事、日常的に買い直される菓子・飲料・加工食品はDON DON DONKI、製法や産地まで説明して売りたい商品は明治屋が検討しやすいチャネルになります。最初から複数販路へ同時展開するより、商品との相性が良い1チャネルで実績を作り、その結果を次の商談材料にする流れが現実的です。


シンガポールの伊勢丹はどの店舗へ営業すればよいですか?


伊勢丹シンガポールの公式サイトでは、2026年8月時点でIsetan ScottsとIsetan Wisma Atriaの2拠点が掲載されています。Scotts(350 Orchard Road/Shaw House)は地下にスーパーマーケットを持つ百貨店型のため食品メーカー向き、Wisma Atria(435 Orchard Road)はビューティー・ファッション・時計・テクノロジーなどが中心のため、化粧品やファッション雑貨の提案先として検討する形になります。


DON DON DONKIはシンガポールに何店舗ありますか?


PPIH(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)の公式情報では、2026年8月10日時点でシンガポールに15店舗を展開しています。日本製または日本市場向けに設計された商品を中心に扱う日本ブランド専門店として位置付けられており、菓子・飲料・加工食品・日用品など、説明なしでも手に取りやすい商品との相性が良いチャネルです。


シンガポールへ食品を輸出する際、SFAの登録は日本側で行うのですか?


商業目的の食品輸入は、SFA(Singapore Food Agency/シンガポール食品庁)の登録・ライセンスを持つ現地事業者が行う必要があります。そのため日本のメーカーが単独で輸入することはできず、輸入・通関・在庫・店舗配送までを担う現地インポーターやディストリビューターと組むのが基本です。EC販売であっても輸入要件が免除されるわけではありません。


百貨店の催事・物産展は常設棚とどう使い分けますか?


催事は短期の売上を作る場ではなく、常設棚に入る前の市場テストとして使います。販売個数だけでなく、試食後の反応、人気SKU、客層、価格への反応を記録しておくと、その後の輸入業者や小売との商談で「一定の反応が確認された商品」として提案できます。高島屋では2026年もB2やTakashimaya Squareを使った日本関連企画が実施されています。


Cold StorageやFairPriceなどローカル小売へ広げるときの注意点は?


日系チャネルと異なり、日本への強い関心を前提にできない顧客が増えます。「日本で有名」ではなく「なぜ自分の生活に必要なのか」を伝える用途の翻訳が必要で、価格も日本食品同士ではなく各国の競合商品と比較されます。容量・パッケージ・用途説明をローカル顧客向けに調整したうえで展開するのが実務的です。


シンガポールの小売・百貨店チャネル攻略は準備が重要

シンガポールの小売・百貨店チャネル攻略に向けた準備のまとめ

今回はシンガポールの小売・百貨店チャネル攻略ガイドとして、販路や商談の進め方など様々な視点で解説をしてきました。


繰り返しになりますが、シンガポールで日本食品・雑貨の販路を広げるために重要なのは、「有名な百貨店やスーパーに商品を置くこと」そのものをゴールにしないことです。


高島屋やIsetan(伊勢丹)Scottsのような百貨店型チャネル、DON DON DONKIや明治屋といった日本系小売、Cold StorageやFairPrice Finestなどのローカルスーパーでは、求められる価格帯、商品の役割、顧客層がそれぞれ異なります。


まずは催事やポップアップで反応を確認し、ECで再購入導線を作ったうえで常設棚へつなげるなど、段階的な展開が有効な手法です。


また食品では輸入・通関・在庫・店舗配送を担う現地インポーター、ディストリビューターとの商流設計も欠かせません。


だからこそシンガポールへ販路開拓を検討している場合には、「どこに売りたいか」だけでなく「誰に、どの価格で、どの商流を通して継続販売するか」まで具体化する必要があるのです。


もし販路開拓や商談で不安を感じている方は、ぜひ株式会社Link Globalまで気軽にご相談ください。


アジア市場を中心に販路選定や現地パートナー開拓、バイヤー商談も含め経験と実績が豊富な弊社が、様々な部分でサポートをさせていただきます。


自社商品に合う小売チャネルを見極め、単発販売ではなく継続的な取引につなげることが、シンガポール市場攻略のポイント!


だからこそ軌道に乗せるまで不安を感じている方、初動で弾みをつけたいと感じている方も、是非弊社まで気軽にご相談ください。


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