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日本産木材の台湾輸出 完全ガイド2026|検疫・BSMI・HSコード別関税から販路まで実務解説

  • 堤浩記
  • 8月24日
  • 読了時間: 33分

台湾の木材市場を理解する


自給率1%未満——世界有数の「木材輸入依存」市場

まず押さえておきたいのは、台湾が構造的に木材を輸入に頼らざるを得ない市場だということです。

台湾の木材自給率は極めて低い水準にあります。日本木材総合情報センターの資料では0.6%(2016年)、林野庁委託で三菱UFJリサーチ&コンサルティングが実施した輸出ポテンシャル調査(令和3年度)では「1%程度」とされています。年間の木材消費量は約600万立方メートルで、そのほぼ全量を輸入に頼っている構造です。現地では「木材産業は輸送業である」と言われるほど、原木・木質パネルをマレーシア、オーストラリア、タイ、中国などからの輸入に依存しています。

用途の内訳も、この市場の性格をよく表しています。同調査によれば、台湾での木材消費は多い順に梱包用材・内装材・土木部材です。前述のとおり日本から渡っているスギの多くが型枠材や梱包材に加工されているのは、この需要構造と符合します。「日本の良質な木を建築の構造材に」という発想が現地の実需とずれやすいのは、ここに理由があります。

輸入量そのものは年によって振れます。2011年から2018年までは概ね500万〜600万立方メートルで推移していましたが、2019年・2020年は落ち込み、2020年の木材輸入量は413万2,160立方メートル(輸入額は約288億7,391万台湾ドル)でした。ウッドショックと新型コロナウイルスの影響とされています。

なお台湾政府は、2040年までに木材自給率を10%へ引き上げる目標を掲げています。現在の1%前後から10倍という目標であり、達成の可否はともかく、国産材振興の方向に政策が動いていること自体は、長期で市場を見る際の前提として押さえておくべきです。

この背景には、台湾政府による天然林の伐採規制があります。かつて台湾は阿里山をはじめとする良質なヒノキ(タイワンヒノキ)の産地として知られ、日本にも大量に輸出されていました。神社の大鳥居や大型木造建築の梁など、日本国内でヒノキの大径木が入手困難な用途では、タイワンヒノキが選ばれてきた歴史があります。

しかし環境保全の観点から、現在タイワンヒノキは伐採禁止・輸出禁止となっています。つまり、かつて日本が台湾からヒノキを輸入していた構造が、いまは完全に逆転しているのです。台湾側にヒノキへの愛着と需要が残ったまま供給が絶たれたことが、日本産ヒノキにとっての最大のチャンスを生んでいます。


台湾の暮らしに根付く「ヒノキ文化」

台湾でヒノキ(現地では「檜木」)は、単なる木材の一樹種ではありません。

かつての台湾の家庭には、紅眠床と呼ばれる木製の寝台、ヒノキの風呂桶、無垢材のテーブルが当たり前にありました。現在でも、ヒノキは浴槽や足浴桶(足マッサージ用の桶)などの生活用品に広く使われており、強度や復元性の高さから工芸品や家具の素材としても人気があります。

台北の迪化街や観光地の土産物店には「檜木」を冠した商品——まな板、石鹸置き、アロマオイル、箸——が並び、「檜木の香り=上質・癒し」というイメージが消費者に定着しています。この「ヒノキと聞くだけで価値が伝わる」市場環境は、欧米市場にはない台湾の大きな特徴です。日本の産地がゼロから素材の説明をする必要がなく、「日本産の本物のヒノキ」というだけで一定の価値が成立します。


日本からの木材輸出はどれくらいあるのか

林野庁の集計(財務省「貿易統計」2025年確々報)によると、2025年の日本の木材輸出額は596億円で前年比111%と増加しました。輸出先は中国が全体の5割強を占め、中国・フィリピン・米国・韓国・台湾の上位5か国・地域で9割以上に達します。台湾はこのうち第5位です。ただし品目によって構造がまったく異なり、丸太は約9割が中国向けです。台湾は丸太を大量に売る市場というより、製材・加工品や高付加価値品の輸出先としての性格が強い市場だと理解してください。



台湾向けに絞ると、2025年の木材輸出額は23.5億円で、前年比8%減でした。「黙っていても売れる市場」ではありません。品目別の内訳は次のとおりです。

  • 丸太:9.4億円(前年比16%減)/全体の40%

  • 製材:6.5億円(同2%増)/全体の28%

  • 木製品(木像・寄木細工・装飾木箱・樽・パレット・箱など):2.4億円

  • 建具・内装材(木製ドア・さねはぎ加工材・床用パネルなど):2.3億円

  • 建材(構造用集成材・CLTなど):0.9億円

  • 食器(漆塗りの木製食器・箸など):0.8億円

  • 合板等:0.19億円



樹種と用途まで踏み込むと、市場の性格がさらにはっきりします。丸太はスギが93%・ヒノキが6%で、スギは主に型枠材や梱包材、ヒノキは内装材に加工されています。製材はスギが64%・ヒノキが28%です。つまり台湾に渡っている日本産スギの多くは、住宅の構造材ではなく建設現場の消耗材になっているということです。ここを知らずに「日本のスギの良さ」を語っても商談は噛み合いません。



政府目標と現実のギャップ——製材は2030年に7倍が目標

この目標は、農林水産省「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」(2025年5月最終改訂)で品目別・国別に設定されているものです。製材は31の輸出重点品目のひとつに選ばれており、国別の内訳は次のようになっています(左が2024年実績、右が2030年目標)。




  • 米国:28億円 → 554億円

  • 中国:18億円 → 173億円

  • 台湾:6億円 → 43億円

  • 韓国:5億円 → 30億円

  • インド:0億円 → 11億円

  • その他(ベトナム、インドネシア等):16億円 → 39億円

  • 合計:74億円 → 850億円



製材全体で74億円から850億円へと約11倍を掲げる中で、その過半を米国向けの伸び(28億円→554億円)に期待している構図です。台湾は6億円から43億円で約7倍。金額の絶対値では米国・中国に及びませんが、伸び率で見れば同等以上の水準が設定されています。


同戦略は、この目標を達成するための課題と方策も国ごとに書き分けています。全体に共通する課題として挙げられているのは、日本の木造軸組構法や日本産製材品の普及が十分に進んでいないことです。方策としては、現地の建築士等を対象にしたセミナーの開催や現地展示会への出展による認知度向上とブランド化、そして日本産樹種のツーバイフォー構造材をターゲット国・地域のツーバイフォー建築市場へ展開するための調査が示されています。


国別に見ると、米国は樹種・サイズごとに現地で設計強度の認可を取得する必要があること、中国は成長を続ける内装市場へのアプローチ不足、韓国はヒノキが内装材を除くと認知度が低いこと、インドは植物検疫上スギの輸出が解禁されていないことが、それぞれ課題として挙げられています。


そして台湾です。

同時に、この戦略は台湾固有の課題も明記しています。台湾では防蟻性・防水性・防火性の観点から木造建築への信頼性が低いことが課題であり、建築士・設計士等へのアプローチによって木造建築に対する信頼性の向上に取り組む、という整理です。裏を返せば、設計者に対して防蟻・防水・防火の裏付けデータを示せる事業者は、いま台湾で数少ない存在になれるということでもあります。

※最新の国別・品目別データは林野庁「木材輸出の実績」(毎月更新)で確認できます。


木造建築・内装木質化の動き

台湾の建築は鉄筋コンクリート造が圧倒的多数で、木造家屋の新築は年間約120棟程度(2018年時点の台湾建設局情報)とごく限られています。木構造技術者の不足や関連法規の未整備が背景にあり、木造建築の設計では日本の基準・規範が参考にされています。

一方で、都市部の商業施設・飲食店・ホテルでは内装の木質化ニーズが着実にあり、日本式の温泉施設・日本料理店の増加も、ヒノキ・スギの内装材需要を下支えしています。「構造材で大量に売る」市場ではなく、「内装材・造作材・製品で単価を取る」市場と捉えるのが現実的です。

林野庁委託で実施された市場実態等調査(2026年3月時点/有限責任監査法人トーマツ)は、台湾の建築市場をこう整理しています。台湾の建築物はRC造が中心で木造はごく僅か。木造の場合は北米規格のツーバイフォー工法が主流で、非住宅の小屋や別荘の取り扱いが多い。流通しているのは北米産材で、日本産材を販売する際は価格競争力が必要になる。そして実務上とくに重要なのが、流通している合板の標準サイズが4×8(フィート)で日本と異なるという点です。同じ製品をそのまま持ち込んでも規格が合わない可能性があるため、パネル製品を検討する場合はサイズ対応の可否を最初に確認してください。


台湾は「北米規格の市場」——構造材で入るなら規格対応が先になる

ここで押さえておきたいのが、台湾の木造市場が日本規格ではなく北米規格で動いているという点です。木造は北米規格のツーバイフォー工法が主流で、流通しているのも北米産材。合板の標準サイズも4×8です。つまり日本産の構造材を持ち込もうとすると、性能の優劣より先に「規格が合うか」で判断されます。


この規格対応について、日本は米国で先行事例を作っています。スギ・ヒノキのツーバイフォー構造材の設計強度が、米国製材規格委員会(ALSC)で認可されました。ヒノキが2024年4月4日、スギが2025年4月3日です。令和3年度から段階的に取り組んできた成果で、手順は次の4段階でした。


  • STEP1:ALSCが定める米国針葉樹製材規格にスギ・ヒノキを追加するための試験計画書を作成し、承認を得る

  • STEP2:試験計画書に基づき収集した試験材を米国へ輸送して強度試験を実施し、米国の木材検査機関による評価結果をALSCに提出して設計強度の認可を受ける

  • STEP3:米国の木造建築設計仕様書(NDS)にスギ・ヒノキの設計強度が掲載され、構造材として使用できる条件が整う

  • STEP4:米国へ輸出する。日本の工場が米国の木材検査機関の認証を取得して格付して輸出するか、米国の認証工場へ輸出して現地で格付するかのいずれか


重要なのは、設計強度が認可されただけでは終わらないことです。実際に米国で構造材として利用するには、米国の構造材の格付規則に基づき、グレーダー(格付資格者)による製品の格付が必要になります。規格に載ることと、現場で使える状態になることは別の工程です。


では、この米国での認可が台湾でもそのまま通用するのか。結論から言うと、台湾には台湾の制度があります。


台湾側の制度——「木構造建築物設計及施工技術規範」とCNS規格

台湾で木造建築の構造材を扱う際の根拠になるのが、内政部が定める「木構造建築物設計及施工技術規範」です。1995年12月15日に制定され、2003年5月1日、2008年10月31日、2011年5月23日、そして直近では2021年1月26日に改正されています(内政部台内營字第1100800165号令)。


この規範とCNS規格が、構造用木材の扱いを規定しています。構造用木材(製材、集成材、構造板材、構造用組立材などを含む)の材種、製材品等、製材尺度、材料標準、材質制御、材料保護、グループ表示、そして性能認証は、CNS規格および同規範の規定に従うこととされています。構造用木材・構造用集成材・構造用合板については、許容応力や弾性係数といった指標も定められています。つまり米国のNDSに相当する設計仕様書が台湾にも存在するということです。


規範の構成も、台湾市場の性格をそのまま映しています。第七章が「框組式構造」=枠組壁工法(ツーバイフォー)に充てられ、CNS 14631「框組壁工法結構用製材」では標称尺度2インチ×4インチに対する最小寸法38mmといった規定が置かれています。台湾で流通しているのが北米産材だという実態と、規範の作りが一致しています。


そして最も注目すべきなのが、規範の附録三です。表題が「北美樹種群及其材料分等」——北米樹種群とその材料等級、となっています。台湾の技術規範は、北米の樹種を前提にした樹種グループと等級区分を附録として持っているわけです。


ただし、附録三の表題だけを見て「日本産樹種は対象外」と判断するのは誤りです。規範の第四章「材料及容許應力」に、より重要な表が置かれています。


規範第四章の樹種分類に、スギ・ヒノキは既に入っている

規範の第四章は、構造用途に使われる木材を針葉樹4類・広葉樹3類の計7樹種群に分類し、それぞれに許容応力を定めています。この分類表に、日本産樹種が明記されています。


  • 針葉樹I類:花旗松(ダグラスファー)、俄國落葉松(ロシアカラマツ)

  • 針葉樹II類:羅漢松、扁柏(ヒノキ)、羅森檜(ローソンヒノキ)、南方松(硬木類)

  • 針葉樹III類:赤松、黒松、落葉松(カラマツ)、鐵杉(ツガ)、北美鐵杉(ウエスタンヘムロック)、南方松(軟木類)、世界爺(セコイア)

  • 針葉樹IV類:冷杉(モミ)、蝦夷松(エゾマツ)、椵松、朝鮮松、柳杉(スギ)、西部側柏(ウエスタンレッドシダー)、雲杉(スプルース)、杉木、臺灣杉、放射松(ラジアータパイン)

  • 広葉樹I類:檻木/II類:栗木、櫟木、山毛櫸(ブナ)、櫸木(ケヤキ)、油脂木、冰片樹、硬槭木/III類:柳桉(ラワン)


ヒノキ(扁柏)は針葉樹II類、スギ(柳杉)は針葉樹IV類として、既に規範の中に位置づけられています。米国のようにゼロから規格へ樹種を追加する手続きを踏まなければならない状態ではありません。附録三の表題が「北美樹種群及其材料分等」であることから受ける印象とは違う、というのが実際のところです。


普通構造材の繊維方向の長期許容応力は、ヒノキが属する針葉樹II類が圧縮70・引張55・曲げ90・せん断7(単位はkgf/cm²)、スギが属する針葉樹IV類が圧縮60・引張45・曲げ75・せん断6です。上等構造材ではII類が圧縮85・引張65・曲げ110・せん断9、IV類が圧縮75・引張55・曲げ95・せん断7に上がります。短期許容応力はいずれも長期の2倍です。


ここで注意すべき但し書きがひとつあります。気乾比重が0.3以下の柳杉(スギ)・杉木・臺灣杉については、表の値の70%を取ると定められています。軽いスギ材は設計上さらに割り引かれるということです。台湾に渡っている日本産スギの多くが型枠材や梱包材に加工されているという貿易統計の実態と、この規定は無関係ではないでしょう。



なお、これらの基準強度は日本建築学会(1995年)の資料を参照して定められたものです。台湾の木構造規範は、北米の樹種グループ分けを附録に持ちながら、材料強度の根拠は日本の学会データに依拠しているという構造になっています。


実務的な意味はこうです。台湾で日本産スギ・ヒノキを構造材として設計に組み込むこと自体は、制度上すでに可能です。論点は規格収載の有無ではなく、CNS規格に沿った等級区分・含水率・寸法で安定供給できるか、そして防蟻・防水・防火の要求に応えられるかに移ります。輸出拡大実行戦略が方策として「建築士・設計士等へのアプローチ」を挙げているのは、規格の壁ではなく認知と信頼の問題だからだと読めます。



裏を返せば、内装材・造作材・製品であればこの規格の壁を回避できます。台湾でヒノキが内装材として使われ、ヒノキ文化が消費者に根づいているという前述の需要構造とあわせて考えると、構造材は中長期の課題として置き、まずは内装材と製品で入るという順序が現実的です。

誰が・何を買っているのか——3つの需要セグメント

はじめて台湾市場を検討する際は、「木材」と一括りにせず、自社の商材がどのセグメントに当たるのかを最初に特定することをおすすめします。手続き・チャネル・商談相手がまったく異なるからです。


セグメント1:建築・内装材(BtoB)

買い手: 設計事務所、内装工事会社、建材輸入商、温浴施設・飲食店の施主

日本式の温泉・サウナ施設、日本料理店、ホテルの和室などで、ヒノキ・スギの羽目板、浴槽用材、カウンター材が使われます。木造建築自体は少ないものの、「日本らしさ」を演出する内装への投資意欲は高く、指名買いに近い形で日本産材が選ばれるケースがあります。

このセグメントの鍵は、寸法・乾燥・仕上げのスペックを現地の施工慣行に合わせて提示できるかどうかです。単に「良い木がある」ではなく、含水率・等級・納期をドキュメントで示せる事業者が信頼を獲得します。


セグメント2:生活雑貨・ウェルネス製品(BtoC寄り)

買い手: 雑貨輸入商、セレクトショップ、EC事業者、百貨店催事

ヒノキのまな板、風呂桶・足浴桶、アロマ関連商品、カトラリーなど。前述の「檜木」ブランドイメージが最も直接効くセグメントで、単価が高く、小ロット・混載輸送で始められるため、初めての輸出の入口として最も現実的です。

台湾の消費者は日本製品の品質への信頼が厚く、産地ストーリー(吉野、木曽、東濃など)や職人の顔が見える商品は特に強い。逆に、無名の量産品は中国産・ベトナム産の廉価品と価格競争になるため、必ず「日本産である理由」を商品に語らせる設計が必要です。


セグメント3:家具・工芸への素材供給(BtoB)

買い手: 現地家具メーカー、木工工房、クラフト作家

完成品の家具ではなく、素材としての板材・角材を現地の作り手に供給するルートです。台湾には旋盤加工や指物の技術を持つ工房が多く、日本産広葉樹やヒノキ・スギの良材への関心があります。ロットは小さいものの、継続取引になりやすく、作り手のネットワークを通じて評判が広がる特徴があります。

このセグメントを考えるうえで押さえておきたい事実があります。木材そのものではなく完成品の「木製家具」で見ると、2025年の日本の輸出先は台湾が第1位(18.5億円)で、中国16.2億円、米国9.0億円、香港9.0億円、韓国6.2億円を上回っています(財務省「貿易統計」2025年確々報)。

さらに台湾向けの内訳を見ると、台所家具が11.0億円と台湾向け全体の約6割を占め、次いで木製イス(アップホルスター)が3.5億円です。木材23.5億円と木製家具18.5億円を合わせると、台湾は木材・木製家具で年間42億円規模の市場ということになります。素材を売るか、完成品を売るか、加工を現地に任せるか——どの層で入るかによって、商談相手も規制も価格の作り方もまったく変わります。自社がどこで戦うのかを先に決めてください。

なお、完成品としての家具・工芸品の台湾展開については、別記事「台湾市場で日本の家具・工芸が評価される理由・されない理由」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

台湾での販売チャネル:3つのアプローチ


アプローチ1:展示会への出展

台湾市場への参入において、展示会は最も効率的な入口です。現地バイヤー・輸入商・設計者と短期間で直接接触でき、自社商材への反応をその場で確かめられます。

木材関連では、建材系の「台北國際建築建材曁產品展(Taipei Building Show)」が最大規模です。毎年12月に台北・南港展覧館で開催され、2025年は約2,400ブースが出展し、来場者は68,000人を超えました。建築師公会が共催しており、全台の建築士約3,000名が集まる「建築師節」と同時開催されるため、内装材・建材として設計者にリーチしたい場合に適しています(次回は2026年12月10日〜13日)。

生活雑貨・工芸寄りの商材であれば、ギフト・デザイン系の展示会や、文化施設でのポップアップ出展(華山1914文化創意産業園区など)も有効な選択肢です。

Link Globalでは2025年に華山1914での日本産木工・家具の展示会を主催し、約4,500名の来場と14件のBtoB商談につなげた実績があります。木材・木工分野は「実物を見て、触れて、香りを確かめる」ことが商談の決め手になるため、カタログ営業よりも展示会・現物出展の費用対効果が高い分野だと実感しています。


アプローチ2:現地輸入商・販売代理店との連携

継続的に売るためには、現地の輸入商・代理店との関係構築が不可欠です。木材の場合、①建材輸入商、②雑貨・ライフスタイル系輸入商、③製材流通業者、のどこと組むかはセグメントによって異なります。

代理店選定のポイントは、既存取扱商品との親和性・販売チャネル・資金力・代表者との信頼関係の4点です。台湾では業務連絡はLINEが主流で、宣伝にはFacebookが多用されます。定期的な訪台でのフォローアップが信頼構築に不可欠で、「顔の見える関係」を築くことが長期的な成功の鍵です。

契約時には、独占販売権の有無・販売エリア・最低購入量・商標使用権・契約期間・解約条件を明確に定めましょう。特に木材は品質のばらつきが起きやすい商材のため、等級基準とクレーム時の処理ルールを事前に文書化しておくことが、後々のトラブルを防ぎます。


アプローチ3:EC・小売(生活雑貨セグメントのみ)

まな板・風呂桶・アロマ用品など消費者向け製品は、越境ECや現地ECモール(momo購物網、PChomeなど)での販売も選択肢になります。ただし木製品は容積・重量あたりの単価が低くなりがちで、送料負けしやすい点に注意が必要です。EC単独ではなく、展示会・実店舗で認知を作ってからECで受け皿を用意する順番が現実的です。

台湾への木材輸出に必要な手続き

ここからが、初心者の方が最もつまずきやすいパートです。結論からいうと、台湾への木材輸出は「①植物検疫」と「②パネル製品の事前検査(BSMI)」の2つの制度を押さえれば、全体像がつかめます。


【最重要】2023年に検疫条件が強化されています

まず必ず知っておくべき変更点があります。日本国内でのツヤハダゴマダラカミキリの発生を受け、台湾は2023年1月19日付で植物検疫条件を強化しました。これにより、従来は不要だった「樹皮のない木材・製材」にも、植物検疫証明書の添付が必要になっています。

「製材まで加工してあれば検疫は不要」という古い情報がいまもネット上に残っており、これを信じて出荷すると台湾側の通関で確実に止まります。現在は、丸太はもちろん、製材・板材も植物防疫所での検疫と証明書取得が前提と考えてください。


植物検疫の流れ

日本から台湾へ木材・林産物を輸出する場合、輸入通関にあたって、日本の植物防疫所が発行する植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)が必要です。

手続きの基本的な流れは以下のとおりです。

  1. 最寄りの植物防疫所に輸出検査を申請する(電子申請可)

  2. 貨物の検査を受ける(品目・状態によっては、くん蒸などの消毒処理が必要になる場合があります)

  3. 合格すると植物検疫証明書が発行される

  4. 証明書を船積書類とともに輸入者へ送付する


検疫条件は樹種によっても異なります。ツヤハダゴマダラカミキリの宿主となる対象樹種の木材(製材含む)には熱処理などの消毒措置が求められ、対象外の樹種でも植物検疫証明書の添付が必要です。また、加工度の高い完成品(塗装済みの雑貨・家具など)は検疫対象外となる場合がありますが、対象かどうかの線引きは品目ごとに定められているため、初回は必ず植物防疫所の「台湾 品目別検疫条件一覧表」で自社商材の条件を確認するか、防疫所に直接照会することを強くおすすめします。

検疫検査の実務について、押さえておきたい数字が2つあります。ひとつは検査の対象範囲で、台湾側では通関申請した商品重量の約1%が検疫検査の対象になります。もうひとつは処理方法で、台湾の「輸入木材検疫条件」では臭化メチルによる常圧薫蒸処理または熱処理の実施が求められます。また台湾側の通関では、輸入者が植物検疫証明書・船荷証券(提貨単)・価格証明書を農業部動植物防疫検疫署へ提出し、書類審査と現地検査の両方に合格した貨物のみが輸入を認められます。日本側で証明書を揃えても、台湾側の提出書類が不足すれば止まります。


合板・集成材などは「BSMIの事前検査」が必要

無垢の製材とは別に、注意が必要なのがパネル製品です。

合板・集成材・フローリング・MDF(中密度ファイバーボード)・パーティクルボードなどの積層木材類は、台湾の標準検験局(BSMI)による輸入前の検査手続きが必要です。検査条件を満たした商品のみが台湾国内で展示・販売でき、商品包装または本体に以下の表示が求められます。

  • 商品検査証印(検査義務により印刷された図柄、文字列「T」または「R」および指定コード)

  • ホルムアルデヒド放散量の等級表示(F1・F2・F3)

  • 製造者または輸入者の名称・住所・商標

  • 製造年月日またはバッチ番号

  • 名称と原産地


日本のJAS規格(F☆☆☆☆など)と台湾の等級区分は制度が異なるため、そのまま流用はできません。パネル製品を扱う場合は、放散量試験データの準備を含め、輸入者側と役割分担を早めに詰めておく必要があります。ただし、家具に加工・組立するための原材料は検査対象から除外される扱いがあるため、用途によって要否が変わる点も確認ポイントです。


検査の中身も具体的に決まっています。手続きは商品形式認可試験と商品認証登録の2段階で、経済部標準検験局または管轄の支所へ次の書類を提出します。


  • 商品形式認可申請書

  • 規格一覧表

  • 4×6インチ以上の完成品のカラー写真

  • 製造工程の概要

  • 中国語ラベルのサンプル

  • 製品サンプル


製品サンプルは裁断寸法まで指定されています。合板類はホルムアルデヒド放散試験の対象製品を少なくとも2組用意し、コンクリート型枠用合板は1枚につき縦150mm×横50mmを10枚×2組、それ以外の合板は縦150mm×横50mmで断面と底面を合わせた面積が1,800平方センチメートル以上×2組に裁断します。集成材類は端から5cm以上の部分で表面積450平方センチメートルを2組です。


商品形式認可を申請して報告書を取得した後、「商品認証登録申請書」を検査機関に提出することで商品認証登録証が交付されます。この2段階を通過した商品だけが台湾国内で展示・販売できます。サンプルの裁断寸法まで決まっているということは、逆に言えば準備すべきものが事前に全部分かるということでもあります。




CNS規格——合板9規格・製材6規格が定められている

台湾には木材製品の品質基準として中華民国国家標準(CNS)が定められています。バイヤーや設計事務所との仕様確認で規格番号が出てくることがあるため、自社製品がどの規格に対応するかを把握しておくと商談が早く進みます。

  • 合板(4412):CNS 1349 普通合板/CNS 8058 特殊合板/CNS 8057 コンクリート型枠用合板/CNS 11668 防炎合板/CNS 11669 耐燃性合板/CNS 11670 建築用合板/CNS 11671 構造用合板/CNS 15583 輸送パット用合板/CNS 15882 天然木ベース単板構造用合板

  • 製材(4407):CNS 444 製材の等級/CNS 14630 針葉樹構造用製材/CNS 15563 針葉樹内装用製材の等級/CNS 15581 広葉樹製材の等級/CNS 15582 針葉樹基材用製材の等級/CNS 14631 枠組壁工法用製材


緑建材マーク——内装材で商談を有利にする任意認証

台湾には「緑建材」という建材認証があり、健康・生態・リサイクル・高性能の4つの評価項目に基づいて要件が定められています(緑建材通則)。目的は、環境負荷が低いこと、人体の健康に危害を及ぼさないこと、関連規格および基準に適合していることの3点です。制限物質については、材料の種類に応じた評価基準で有害物質の含有量が管理されます。義務ではありませんが、公共建築や内装木質化の案件では取得の有無が判断材料になることがあります。ホルムアルデヒド放散量の等級(F1〜F3)とあわせて、内装材セグメントを狙う場合は早めに検討しておく価値があります。


この緑建材が効いてくるのが公共性の高い建築です。建築技術規則の建築設計施工編第323条に基づき、公衆の使用に供される新築建築物および増改築された建築物は、2021年から緑建材の使用率が室内総表面積の60%以上、屋外床面積の20%以上に達しなければならないとされています。使用率に義務が課されている以上、緑建材の認証を取得した製品が優先的に採用されると考えるのが自然です。



緑建材は「生態」「健康」「再生」「高性能(透水舗装・防音・省エネルギー)」の4分類で、構造材や合板といった木材製品は「生態緑建材」として申請できます。対象として挙げられているのは、構造用集成材、構造用合板、針葉樹構造用製材、枠組壁工法構造用製材、枠組壁工法構造用縦継ぎ材、構造用単板積層材、構造用木質板、そしてCLT(直交集成板)です。


さらに建築物側にも「緑建築標章」という認証があります。緑化量・基礎節水・水資源・日常省エネ・二酸化炭素削減・排水改善・廃棄物削減・生物多様性・室内環境の9指標で評価する制度で、この認証を目指す建築物では緑建材を一定量以上使うことが推奨されます。台湾の内装木質化案件を狙うなら、緑建材認証は「あれば有利」ではなく「入札の土俵に乗るための条件」になりうる、という位置づけで見ておくべきです。



合法性の証明を求められることがある——デューデリジェンスへの備え

台湾側から法令で一律に求められるものではありませんが、輸出の現場では木材の合法性証明を求められるケースが増えています。林野庁が「フラッグシップ輸出産地」として認定した事業者の取組を見ると、木材デューデリジェンス(森林伐採の合法性確認)に対応するために合法木材認定を取得し、FSC認証で適切に管理された森林からの調達であることを示している例や、輸出先から求められた場合に合法木材供給事業者認定書を提出している例があります。

引き合いが来てから慌てて準備すると、初回の商談で信用を落とします。合法木材供給事業者の認定やFSC等の森林認証は取得に時間がかかるため、台湾に限らず海外展開を考える段階で、自社がどの証明を出せるのかを整理しておくことをおすすめします。


通関に必要な基本書類

台湾の財政部関務署は、輸入時に必要な書類として以下を定めています(輸入申告書・輸入許可証・フォワーダーへの委任状は台湾側の輸入者が用意します)。

  • インボイス(Invoice):品名・数量・単価・総額・原産地・輸出者・輸入者情報を正確に記載

  • パッキングリスト(Packing List)

  • 船荷証券(B/L)または航空運送状(AWB)

  • 植物検疫証明書(上述)

  • 原産地証明書

  • 製品カタログ・マニュアル等

  • (品目により)BSMI検査関連書類


インボイスの品名は、HSコードと整合する形で樹種・形状(丸太/製材/板材など)が分かるように記載します。記載ミスは通関遅延の最大の原因です。

あわせて確認しておきたいのが、台湾側の輸入者に必要な資格です。林産物そのものの販売にライセンスは不要ですが、輸入業を行うには経済部国際貿易署での輸入業者登録が必要で、輸入時には輸入許可証が要ります。初めて取引する相手の場合、この登録があるかどうかは必ず先に確認してください。登録のない相手と話を進めても、最終的に別の商社を挟むことになり、想定していた利益率が崩れます。


関税とHSコード——品目で大きく変わる(4407製材は無税、4412合板は最大12.5%)

コスト計算で見落とせないのが関税と税金です。

台湾の輸入関税は3つの欄(カラム)で構成され、WTO加盟国からの輸入に適用される第1欄が日本産に適用されます。ジェトロが2025年10月時点で整理した林産物の関税率は次のとおりです。いずれも「無税〜」と幅があり、同じHS4桁でも下位の品目ラインによって税率が変わる点に注意してください。

  • HS4401(のこくず・木くず・薪材・木材チップ):無税

  • HS4403(木材(粗のもの)=丸太):無税

  • HS4407(製材/厚さ6mm超):無税

  • HS4408(化粧ばり用単板・合板用単板/厚さ6mm以下):無税〜8.5%

  • HS4409(さねはぎ加工材・寄せ木床用ストリップ等):無税

  • HS4412(合板・ベニヤドパネル等の積層木材):無税〜12.5%



つまり、無垢の製材(4407)と丸太(4403)は関税面での参入障壁がほぼなく、コストの論点は輸送費と検疫になります。一方で合板・積層木材(4412)と単板(4408)は品目ラインによって課税され、さらに後述のBSMI事前検査が加わるため、コスト構造がまったく別物になります。なお、個別の税率は8桁のCCC号列(台湾独自の細分)単位で決まるため、商材が固まった段階で財政部関務署の税則税率総合検索システム(GC411)で必ず現物のコードを確認してください。本記事の数値は出所を明記した参考値であり、実際の申告税率を保証するものではありません。

つまり、無垢の製材は関税面で参入しやすく、合板・パネル製品は「関税+BSMI検査」の二重のコストを織り込む必要がある、という構造です。

さらに見落としがちなのが営業税(台湾の付加価値税)です。輸入時には関税とは別に、課税価格(CIF価格=FOB価格+運賃+保険料)に関税等を加えた金額に対して営業税5%が課されます。つまり関税0%の製材でも、台湾側では5%の営業税負担が発生します。バイヤーとの価格交渉では、この5%を織り込んだ着地価格で会話することが重要です。

個別品目の最新税率は、財政部関務署の「税則税率総合検索システム(GC411)」でHSコード(8桁)から検索できます。まな板・工芸品などの木製雑貨(HS4419・4420など)は品目ごとに税率が異なるため、商材が固まった段階で必ず個別に確認してください。


見落とされがちな3つ目の負担——推廣貿易服務費とカラム制度

台湾の輸入時にかかるコストは、関税と営業税だけではありません。3つ目として推廣貿易服務費(貿易サービス税)が課され、税率はCIF価格の0.04%です。金額としては小さいものの、見積書に入れ忘れると着地価格がずれます。関税・営業税・推廣貿易服務費の3点セットで計算してください。

また台湾の輸入税率はカラムⅠ・カラムⅡ・カラムⅢの3種類に分かれています。カラムⅠはWTO加盟国および台湾と互恵待遇を有する国・地域からの輸入に適用されるもので、日本産はここに該当します。カラムⅡは特定開発途上国や台湾とFTAを締結している国・地域向け、カラムⅢはいずれも適用できない場合です。カラムⅠとカラムⅡを同時に適用できる物品については、低い方の税率が賦課されます(税関輸入税則総則の二)。

個別品目の税率を自分で調べる手順も覚えておくと便利です。財政部関務署の輸入関税検索サイト「Tariff Database」にアクセスし、トップページから「税則税率」→「(GC411) 稅則稅率綜合查詢作業」の順に進むと、CCC号列から税率を照会できます。まな板や箸などの木製食卓用品・台所用品(HS4419)、木像や寄木細工・装飾木箱(HS4420)といった木製雑貨は品目ごとに税率が分かれるため、商材が固まった段階でこの手順で確認してください。


輸送とこん包の注意点

木材は容積勝負の商材のため、基本は海上コンテナ輸送です。サンプルや小ロットの雑貨であれば国際宅配便・混載便も使えます。

見落としがちなのが、こん包に使う木材パレット・木箱です。輸出こん包用の木材は国際基準(ISPM No.15)に基づく熱処理・認証マークが必要で、商品の木材が検疫合格でも、パレットが未処理だと止まることがあります。フォワーダーに「輸出用認証パレット」を指定して手配しましょう。


輸出フロー6ステップ(まとめ)

  • STEP1:規制の確認(植物防疫所・JETROで自社品目の検疫条件とBSMI検査の要否を確認)

  • STEP2:輸入者・販路の確保(展示会・商談で台湾側の輸入者を決める)

  • STEP3:植物検疫の申請・検査(必要に応じてくん蒸等の処理)

  • STEP4:書類準備(インボイス・パッキングリスト・検疫証明書等)

  • STEP5:輸送・台湾側通関(認証パレット使用、輸入検査対応)

  • STEP6:納品・販売開始(継続取引に向けた品質フィードバックの回収)



初心者がつまずきやすい3つのポイント

最後に、実際のご相談でよく見る失敗パターンを3つ挙げておきます。

1. 「製材なら検疫不要」という古い情報で動いてしまう

繰り返しになりますが、2023年の条件強化以降、樹皮のない製材にも検疫証明書が必要です。出荷前に必ず最新の検疫条件を確認してください。

2. 「木材」として売ろうとして、用途が決まっていない

台湾のバイヤーが知りたいのは樹種の良さではなく、「何に使えて、いくらで、どう納品されるのか」です。内装材なのか、風呂桶用材なのか、工芸用の板材なのか——用途を決めてから商談に臨むだけで、成約率は大きく変わります。

3. 単発の輸出で終わってしまう

台湾のビジネスは関係性が第一です。初回取引後の訪台フォロー、LINEでのこまめな連絡、品質クレームへの誠実な対応が、2回目以降の注文につながります。輸出は「1回の売買」ではなく「取引関係の立ち上げ」と捉えてください。

よくある質問(FAQ)


Q1. 製材まで加工してあれば、植物検疫は不要ですか?

必要です。2023年1月19日の条件強化により、従来は不要だった樹皮のない木材・製材にも植物検疫証明書の添付が求められるようになりました。「製材なら検疫不要」という解説がいまもネット上に残っていますが、これを前提に出荷すると台湾側の通関で止まります。丸太・製材・板材は、日本の植物防疫所での検疫と証明書取得が前提だと考えてください。


Q2. 台湾向けの木材にはどれくらい関税がかかりますか?

品目によって大きく異なります。ジェトロが2025年10月時点で整理した内容では、丸太(HS4403)・製材(HS4407)・さねはぎ加工材(HS4409)・のこくず等(HS4401)は無税、単板(HS4408)が無税〜8.5%、合板・積層木材(HS4412)が無税〜12.5%です。これに加えて営業税が(CIF価格+関税)×5%、推廣貿易服務費がCIF価格の0.04%かかります。実際の申告税率は8桁のCCC号列単位で決まるため、必ずGC411で個別に確認してください。


Q3. 合板や集成材を輸出する場合、BSMIの検査は必ず必要ですか?

台湾国内で販売する積層木材類は、経済部標準検験局(BSMI)による事前の検査(商品形式認可試験および商品認証登録試験)が必要で、審査を通過した製品のみ輸入が認められます。合板・集成材・フローリング・MDF・パーティクルボードなどが対象です。ただし家具に加工・組立するための原材料は検査対象から除外される扱いがあるため、用途によって要否が変わります。自社の商材と用途で個別に確認してください。


Q4. 台湾で構造材として木材を売ることはできますか?

できないわけではありませんが、現状はハードルが高い市場です。台湾の建築物はRC造が中心で木造はごく僅か、木造の場合も北米規格のツーバイフォー工法が主流で、非住宅の小屋や別荘が中心という調査結果があります。輸出拡大実行戦略でも、台湾では防蟻性・防水性・防火性の観点から木造建築への信頼性が低いことが課題として明記されています。ただし制度面では、内政部の「木構造建築物設計及施工技術規範」第四章の樹種分類にヒノキ(扁柏)が針葉樹II類、スギ(柳杉)が針葉樹IV類として既に収載され、許容応力も定められています。規格に載っていないから使えない、という状態ではありません。論点はCNS規格に沿った等級・含水率・寸法での供給体制と、防蟻・防水・防火への対応です。当面は構造材で量を狙うより、内装材・造作材・製品で単価を取る設計の方が現実的です。


Q5. 小ロットから始めることはできますか?

生活雑貨・ウェルネス製品のセグメントであれば可能です。まな板、風呂桶、足浴桶、アロマ関連商品などは単価が取れ、国際宅配便や混載便で少量から送れるため、初めての輸出の入口として最も現実的です。一方で建築・内装材のセグメントは海上コンテナ単位が基本になるため、最初から大きなロットとリードタイムの調整が必要になります。どちらを狙うかで初期投資がまったく変わります。


Q6. 台湾のバイヤーはどこで見つけられますか?

建材・内装材のセグメントであれば、毎年12月に台北・南港展覧館で開催される台北國際建築建材曁產品展(Taipei Building Show)が最大規模です。建築師公会が共催し、全台の建築士約3,000名が集まる「建築師節」と同時開催されるため、設計者へのリーチに適しています。生活雑貨・工芸寄りの商材であれば、ギフト・デザイン系の展示会や文化施設でのポップアップ出展も選択肢になります。木材・木工は現物を見て香りを確かめることが商談の決め手になる分野なので、カタログ営業より展示会の費用対効果が高い傾向があります。


Q7. 木材の合法性を証明する書類は必要ですか?

台湾の法令で一律に義務づけられているわけではありませんが、取引先から求められるケースがあります。合法木材供給事業者の認定や、FSC等の森林認証を取得している事業者は、木材デューデリジェンスへの対応として合法木材供給事業者認定書を提出できる体制を整えています。取得には時間がかかるため、引き合いが来る前に自社が何を提示できるかを整理しておくことをおすすめします。


Q8. 台湾向けの木材輸出は伸びているのですか?

2025年の台湾向け木材輸出額は23.5億円で、前年比8%減でした。丸太が9.4億円(16%減)、製材が6.5億円(2%増)という内訳です。一方で、農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略では製材の台湾向けに2024年実績6億円に対して2030年目標43億円が設定されています。現状は横ばいから微減、目標は約7倍という開きがあり、放っておいて伸びる市場ではないという前提で戦略を組む必要があります。


Q9. 輸出にあたって公的な支援を受けることはできますか?

輸出促進法に基づく輸出事業計画の認定を受けると、各種の輸出関連予算事業で優先採択(ポイント加算等)の対象になるほか、農林水産物・食品輸出基盤強化資金の対象になります。同資金は貸付限度が事業者負担額の80%相当、償還期限は25年以内(中小企業者は10年超25年以内)で、施設整備だけでなく市場調査・サンプル輸出・商談会参加といった長期運転資金にも使えます。制度の要件や公募時期は変わるため、活用を検討する場合は必ず最新の一次情報で確認してください。


まとめ:台湾は「ヒノキの物語」がそのまま通じる市場

台湾は、木材自給率1%未満という構造的な輸入依存と、生活に根付いたヒノキ文化を併せ持つ、日本産木材にとって世界で最も相性の良い市場のひとつです。一方で、2023年以降の検疫強化やパネル製品の事前検査など、押さえるべき制度も明確に存在します。

「市場の温度感を確かめたい」「検疫やBSMIの手続きを含めて伴走してほしい」という方は、ぜひLink Globalにご相談ください。当社は台湾での展示会主催(華山1914・約4,500名来場)から、現地バイヤーとの商談設定、輸出実務のサポートまで、エンド・ツー・エンドでご支援しています。

参考情報(2026年7月時点)

  • 林野庁「木材輸出の実績」 https://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/yusyutu/mokuzai_yusyutu_toukei.html

  • JETRO「林産物の輸入規制、輸入手続き(台湾)」 https://www.jetro.go.jp/world/asia/tw/foods/exportguide/forestproducts.html

  • 植物防疫所「台湾 品目別検疫条件一覧表(貨物)」 https://www.maff.go.jp/pps/j/search/ekuni/as/taiwan/kamotsu.html

  • 日本木材輸出振興協会「台湾|木材輸出相手国の規格・規制情報」 https://j-wood.org/standard-regulation/taiwan/

  • 経済部標準検験局「木製板材類商品檢驗作業規定」 https://law.moea.gov.tw/LawContent.aspx?id=FL068766

  • 財団法人台湾建築センター「綠建材通則」 https://gbm.tabc.org.tw/modules/pages/purpose

  • 財政部関務署 税則税率総合検索システム(GC411) https://portal.sw.nat.gov.tw/PPL/

  • 林野庁 木材利用課「木材輸出をめぐる状況」(2026年4月/財務省「貿易統計」2025年確々報) https://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/yusyutu/mokuzai-yusyutsu.html

  • 農林水産省「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」(2025年5月最終改訂/重点品目:製材・合板)

  • 林野庁委託「輸出相手国の市場実態等調査(ツーバイフォー工法構造材等の調査)」有限責任監査法人トーマツ(2026年3月)

  • 日本木材総合情報センター ワールドウッドトレンド「台湾の景観造園における木材の使用」(2018年10月24日) https://www.jawic.or.jp/ww-trend/181024/

  • 林野庁委託「東アジア地域等における日本産木材の輸出ポテンシャル調査」三菱UFJリサーチ&コンサルティング(令和3年度) https://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/yusyutu/attach/pdf/mokuzai_yusyutu_houkoku-13.pdf

  • 内政部営建署「木構造建築物設計及施工技術規範」(2021年1月26日 台内營字第1100800165号令改正) https://www.cpami.gov.tw/

  • 日本木材輸出振興協会「台湾|木材輸出相手国の規格・規制情報」(調査時点2023年3月) https://j-wood.org/standard-regulation/taiwan/

  • 中華木質構造建築協会 国家林産技術平臺「現行木構造建築物設計及施工技術規範之容許應力介紹」(楊德新 教授) https://www.cwcba-wqac.org.tw/forest-tech/index.php?action=knowledge-detail&id=19


※関税率はジェトロ「林産物の輸入規制、輸入手続き(台湾)」の2025年10月調査時点の整理に基づく参考値です。実際の申告税率は8桁のCCC号列単位で決まるため、必ずGC411で個別に確認してください。検疫条件・検査制度は病害虫の発生状況等により変更される可能性があります。輸出前に必ず最新情報をご確認ください。

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