北海道ワインのシンガポール試飲会を支援|NIKI Hills Wineryの招待制試飲会と飲食店商談【支援事例】
北海道仁木町のNIKI Hills Wineryは、2026年10月29日、シンガポールで招待制の試飲会「Hokkaido Wine Evening」を開きました。主催は仁木町ワインツーリズム推進協議会で、開会では北海道庁があいさつしました。
Link Globalは、この試飲会の招待先選びと案内、当日の進行への助言、来場者アンケートの設計と回収、当日の通訳を担当しました。滞在中には現地の飲食店2店を訪ねて商談もしています。この記事は、日本の酒類・食品の事業者や自治体で、海外での試飲会やプロモーションを検討している方に向けた支援事例です。
この事例のポイント
招待先を「日本のワインを置く理由がある相手」に絞り、ソムリエ・日本食レストラン・酒販店・ワイン商・輸入卸へ1社ずつ英語で案内した
進行表と司会原稿を事前に確認し、アンケートの時間と受賞歴の紹介を組み込んだ
アンケートで「好きな銘柄」「妥当だと思う店頭価格」「取り扱いの意向」「次に必要なもの」まで聞き、試飲会のあとのフォローに使える形で回収した
試飲会だけで終わらせず、滞在中に現地の飲食店2店を訪ねて商談した
支援の概要
支援先:株式会社NIKI Hillsヴィレッジ(NIKI Hills Winery/北海道余市郡仁木町)
イベント:Hokkaido Wine Evening(招待制・参加無料)
日時:2026年10月29日(木)18:00〜20:00
会場:シンガポール UE Square内のCOLONY CLOTHING
主催:仁木町ワインツーリズム推進協議会
出品:スパークリング、シャルドネ、HATSUYUKI(ケルナー)、ツヴァイゲルトの4種
Link Globalの担当:招待先の選定と案内、ワイナリー紹介動画の英訳、進行表・司会原稿への助言、当日の通訳、来場者アンケートの設計・回収・フォロー、現地飲食店との商談

会場は、シンガポールのUE Square内にあるCOLONY CLOTHINGの店舗です
NIKI Hills Wineryについて
NIKI Hills Wineryは、北海道余市郡仁木町にあるワイナリーです。札幌から車で約1時間、小樽から約30分の場所にあり、ブドウ畑と醸造所に、レストランや宿泊施設を併設しています。運営は株式会社NIKI Hillsヴィレッジで、2014年にDACグループが設立しました。
仁木町は、さくらんぼやリンゴで知られる果樹の町です。農家の高齢化と後継者不足が進むなかで、ワインと観光によって町に仕事と人の流れをつくることが、ワイナリー設立の背景にあります。
国際的な評価も受けています。世界最大級のワインコンクールであるDecanter World Wine Awards(DWWA)では、2020年に赤ワイン「YUHZOME 2018」、2025年に「Chardonnay 2023」が金賞を受賞しました。

試飲会に出品した4種。左からスパークリング、シャルドネ、HATSUYUKI(ケルナー)、ツヴァイゲルト
背景:試飲会を「やりっぱなし」にしないために
海外での試飲会は、その場の反応が良くても、終わったあとに何も残らないことがよくあります。来場者が一般の愛好家に偏る、名刺は集まっても誰に何を送ればいいか分からない、ワイナリーの説明が日本語のままで伝わらない、といった理由です。
シンガポールでは、日本のワインはまだ珍しい存在です。名前を知ってもらうだけでなく、飲んでもらった相手の中から「取り扱いを検討する人」「店で勧めてくれる人」「北海道を訪ねてくれる人」を見つけることが、この試飲会の目的でした。そのため準備の段階から、試飲会のあとに誰と何を話すかを決めて進めています。
Link Globalが担ったこと

Link Globalが担った6つの業務。アンケートは準備の段階から試飲会のあとまで続きます
1. 招待先の選定と、1社ずつの案内
招待先は、北海道のワインを置く理由がある相手から選びました。日本酒や日本ワインを扱う酒販店、日本食レストランやホテルのソムリエ、ワイン商、日系の輸入・卸などです。
案内は英語のメールで1社ずつ送りました。相手がすでに扱っている日本のワインや日本酒に触れ、なぜ北海道のワインを紹介したいのかを具体的に書いています。返信がない相手には開催の数日前にもう一度連絡し、印刷した案内状も用意して配布しました。
日程が合わず参加できない相手から、滞在中に別途会ってワインの話を聞きたいという返信をもらうこともありました。招待状は、試飲会の集客だけでなく、個別の商談の約束を取る入口にもなります。
2. ワイナリー紹介動画の英訳
当日上映するワイナリーの紹介動画は、日本語の音声を文字に起こし、英語に訳しました。町の歴史やワインづくりの考え方を、日本語が分からない来場者にもそのまま伝えるためです。

当日上映した紹介動画。日本語の音声を文字に起こし、英語の字幕をつけました
3. 進行表と司会原稿への助言
主催者側が作成した進行表と司会原稿を事前に確認し、次の3点を提案しました。
アンケートの時間を入れる:テイスティングから歓談の時間に、司会からQRコードでの回答を案内する。記録用の写真撮影の担当も決めておく
出品するワインの名前と受賞歴を英語の原稿に入れる:DWWAの金賞は、日本のワインを知らない来場者にも伝わる材料になる
開会の時刻を遅らせる:開場から開会までが15分と短く、シンガポールでは遅れて来る人も多いため、開会は18:20〜18:30頃が無難
4. 当日の通訳
当日は、ワイナリーの説明と来場者との会話の通訳に入りました。事前に、産地の背景、品種、受賞歴、テイスティングの表現、輸入や価格に関する商談用語を日英で整理した資料をつくっています。価格や取引条件を聞かれた場合はその場で答えず、連絡先を交換して持ち帰る方針も、ワイナリーと事前に決めておきました。
5. 来場者アンケートの設計と回収
アンケートは日英併記のWebフォームで作り、会場ではQRコードで回答を案内しました。聞いたのは次の項目です。
試飲会を何で知ったか(招待メール、印刷した案内状、知人の紹介など)
北海道のワインをこれまで知っていたか
4種のワインそれぞれの評価と、いちばん好きな銘柄
好きな銘柄について、妥当だと思う1本あたりの店頭価格
試飲のあと、北海道のワインを買いたい・人に勧めたいと思うか
北海道を訪れたことがあるか、今後12か月に日本へ行く予定があるか、ワイナリーを訪ねてみたいか
回答者の立場(一般の愛好家、輸入・卸、小売・EC、飲食業界、メディアなど)
取り扱いへの関心と、次の一歩に必要なもの(サンプル、価格表・商品仕様など)
連絡先と、ワイナリーから情報を送ることへの同意
設計で意識したのは、回答を感想で終わらせず、試飲会のあとに誰へ何を送るかを決められる形にすることです。立場と取り扱いの関心を聞いておけば、輸入・卸の事業者にはサンプルと価格表、一般の愛好家には購入できる場所の情報、旅行に関心のある人にはワイナリー訪問の案内、というように送る内容を分けられます。

回答者の立場ごとに、試飲会のあとに送る内容を変えます
店頭価格を「いくらなら妥当か」の価格帯で聞いたのは、シンガポールでどの価格帯に置くかを考える材料にするためです。日本での販売価格と、現地の消費者が感じる値ごろ感が一致するとは限らないため、来場者の感覚を直接確かめておく意味があります。
6. 現地の飲食店2店での商談
滞在中には、現地の飲食店2店を訪ねて商談しました(店名は控えます)。試飲会の会場では一度に多くの人と話せる一方、1社と時間をかけて話すことは難しいため、取り扱いの可能性がある相手とは店舗で個別に会う時間を設けています。試飲会と個別の商談を同じ滞在で組み合わせることで、渡航の成果を広げることができます。
訪問した店の1つでは、NIKI HillsのPinot Noir(2022年)がすでにワインリストに載っていました。今回の支援より前から採用されていたもので、訪問して初めて分かったことです。

訪問した店の1つのワインリスト。日本のワインの欄に、NIKI HillsのPinot Noir(2022年)が載っていました

商談で訪ねた店でのテイスティング

商談で訪ねた店の1つ
当日の様子
当日は、ウェルカムドリンクのあと北海道庁のあいさつで開会し、仁木町とワインづくりを紹介する動画とプレゼンテーションを上映しました。その後、カナッペとともに4種のワインを試飲し、ワイナリーのスタッフと来場者が直接話す時間をとりました。来場者には、仁木神社の「ワインおみくじ」をお土産としてお渡ししています。

開場前の会場。試飲用のグラスを並べて来場者を迎えました

会場の入口に置いた案内サイン

来場者と話すワイナリーのスタッフ
アンケートから見えたこと
集計した数値は公開していませんが、自由記述には、これからの販売を考えるうえで参考になる声がありました。
北海道のワインを知らなかった、シンガポールで飲めるとは思わなかったという声
品質は評価しつつ、味わいの傾向が近いニュージーランドのワインと比べると、価格の面で不利になるのではないかという指摘
ワイナリーを訪ねてみたい、日本へ帰省したときに立ち寄りたいという、ワインをきっかけにした観光への関心
ワイナリーの宿泊施設や料金の情報がほしいという、旅行業の立場からの要望
輸入・卸の事業者からは、サンプルや価格表を求める回答もありました。試飲会の評価を「好評だった」で終わらせず、価格の置き方と観光の両面で、次の打ち手を考える材料が得られています。
今後の展開
アンケートの回答はワイナリーと共有しました。今後は、情報の受け取りに同意した来場者へのフォロー、取り扱いに関心を示した事業者とのやり取り、ワイナリー訪問を含めた観光の提案を進めていきます。
海外で試飲会を開くときのポイント
招待する相手は、商談のために選ぶ
会場を埋めることを優先すると、来場者は一般の愛好家に偏りがちです。取り扱いや推奨につながる相手を先に決め、1社ずつ理由を添えて案内すると、試飲会のあとに話を進められる相手が残ります。
当日の進行に、聞き取りの時間を組み込む
アンケートは、進行の中に時間を取らないと回答が集まりません。司会から案内するタイミングを決め、立場・関心・次に必要なもの・連絡先の同意までを聞いておくと、フォローの優先順位をつけられます。
試飲会と個別の商談を、同じ滞在で組み合わせる
試飲会は多くの人に知ってもらう場、個別の商談は条件を詰める場です。役割が違うので、同じ渡航の中で両方を組んでおくと効率よく成果につなげられます。
よくある質問
海外での試飲会の企画や運営を依頼できますか?
できます。招待先の選定と案内、進行の設計、通訳、来場者アンケート、試飲会後のフォローまでまとめて依頼いただけます。招待先の案内だけ、アンケートだけといった一部の依頼にも対応します。
試飲会には、誰を招待すればいいですか?
商材と狙う販路によって変わります。今回は、日本のワインを置く理由がある相手(日本食レストランやホテルのソムリエ、日本酒・日本ワインを扱う酒販店、ワイン商、日系の輸入・卸)を中心に案内しました。一般の愛好家にも来ていただくと、店頭価格の感覚や観光への関心を聞くことができます。
来場者アンケートでは、何を聞けばいいですか?
感想だけでなく、回答者の立場、取り扱いへの関心、次の一歩に必要なもの、連絡先と情報送付への同意を入れておくと、試飲会のあとのフォローに使えます。価格は「いくらなら妥当か」を価格帯で聞くと答えやすくなります。
シンガポールの輸入業者や飲食店を紹介してもらえますか?
Link Globalはシンガポールでも商談会の運営実績があり、現地のバイヤーや輸入卸とのつながりがあります。商材に合わせて相手を選び、紹介や商談会の形でおつなぎします。
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