海外展開、社内に担当者がいない企業はどうすべきか
- 堤浩記
- 1月12日
- 読了時間: 19分

「社内に海外展開の担当者がいない場合はどうする?」
「海外展開の担当者は兼任させているが問題はある?」
「海外展開のために社内体制を整えたいがどうすれば良い?」
販路拡大・開拓をはじめ様々な理由で選択肢に入る事業の海外展開!
メリットが大きいため海外展開を検討する一方で、「社内に担当者がいない」「英語ができる人も貿易に詳しい人もいない」と立ち止まってしまう企業も少なくありません。
また海外展開で動いているけれど、中々上手くいかずに悩んでいるというケースも珍しくありません。
実は海外ビジネスの失敗要因は「人材の有無」よりも、「体制づくり・業務の切り分け」が曖昧なままスタートしてしまうことにあります。
そこで当ページでは海外展開において社内に担当者がいない場合はどうすればよいのか、ありがちな問題点などについても触れながら解説をしていきたいと思います。
意外と見逃しがちな「全部を自社でやろう場合のリスク」などについても触れていきますので、各項目を実務目線で参考にしてみてください。
よくある社内体制のパターンを解説

まずは「よくある社内体制のパターン」について解説をしていきたいと思います。
海外展開の担当者が社内にいない企業では、まず「誰が舵を取り、動いていくのか」という体制が成果を左右します。
よくある例として社長が判断を握る「社長主導型」、案件獲得に強い「営業主導型」、各部署の兼務メンバーで動く「プロジェクト型」が挙げられます。
今回はそれら3種のパターンについて掘り下げていきたいと思います。
自社の現状に近い型を知り、弱点を補う設計をすること、それが遠回りに見えて最短ルートになりますので、ぜひ各項目に目を通してみてください。
社長主導型
社長主導型は海外展開の目的(売上拡大、ブランド強化、販路分散など)が明確なことが多く、意思決定が速い点が最大の強みです。
特に小規模企業や新規事業では、決裁の階層が少ないほどスピードが出ます。
一方で社長が窓口・交渉・判断を抱え込むと、現場の運用が追いつかず「進めたいのに回らない」状態になりがちです。
商談が増えるほど社長の時間は枯渇してしまい、契約確認、価格調整、納期管理、問い合わせ対応が滞り、機会損失や信用低下につながります。
対策としては、社長が担う範囲を判断に寄せて、実務は外部パートナーや社内のサブ担当へまかせること!
週1の定例で方針決定をしたり課題の優先順位付けだけ社長が行う形に整えると、社長主導の強みを残したまま継続運用が可能になります。
営業主導型
営業主導型は「売る」ことに強く、展示会・紹介・既存顧客経由で海外案件を拾いやすい体制です。
ただ初期の売上づくりには有効ですが、営業の得意領域は受注までであり、海外では受注後に重要な「実務」の難易度が増します。
たとえば取引条件(インコタームズ)、支払い条件、与信、輸送手配、通関書類、現地規制、返品対応など、営業だけでは判断しづらい論点が一気に増えるのです。
結果として「契約(受注)を取れたのに出荷できない」「赤字条件で契約した」「回収が遅れて資金繰りが苦しい」といったトラブルが起きやすいのが特徴的です。
改善策としては、営業が案件を取る導線は維持しつつ、受注前のチェック項目を標準化すること。
見積テンプレ、契約レビューのフロー、物流・決済の確認リストを用意し、必要部分は貿易実務や法務に強い外部の支援を組み込むなどの選択肢が挙げられます。
営業主導での営業マンの価値観を「暴走させない仕組み」が成功の鍵であり、海外展開の健全化の意味でも大切なポイントと言えるでしょう。
プロジェクト型(兼務寄せ集め)
プロジェクト型は、営業・マーケ・製造・管理など複数部署から兼務でメンバーを集め、チームとして海外展開を推進する形です。
社長一人や営業単独よりも視点が増え、品質・納期・価格・販促を横断して検討できるメリットがあります。
ただし兼務である以上、海外業務は「急ぎではないが重要」になりやすく、日常業務に押されて停滞するリスクが高いです。
さらに決裁者不在・責任範囲の曖昧さがあると、課題が出ても「誰が決めるか」の段階で止まってしまいます。
成功させるポイントは下記の3点です。
・プロジェクトオーナー(最終決裁者)を明確にする
・役割をRACI(責任・承認・協力・報告)で言語化する
・定例会とKPIを固定する
加えて調査・広告運用・翻訳・契約実務など負荷の高い領域は外部化し、社内は意思決定と改善に集中すると少人数でも業務が滞らずに前進させることができます。
このような体制作りも海外展開を成功させるために大切なポイントですので、近いタイプのメリットや改善点を意識しながら社内体制を整えてみてはどうでしょうか。
兼務・属人化で起きやすい問題について

ここからは海外展開時の「兼務・属人化」で起きやすい問題について触れていきましょう。
担当者不在の企業が海外展開でつまずく原因の多くは、特定の担当者しか内容を把握していない「属人化」や「兼務疲れ」にあります。
しかし「とりあえず海外展開を進めていこう」と体制が決まっていない状態で動いてしまうと、どうしても属人化や兼務につながってしまいます。
そういった状態に陥ってしまうとどんな問題が起きやすいかを知っておけば、それが社内体制をどう整えるかを思案することにもつながりますので、ぜひ各項目をチェックしていきましょう。
情報が個人で閉じてしまう
まず兼務や属人化の問題点として、先の通り情報が個人で閉じてしまう点が挙げられます。
海外取引は商談履歴、見積条件、現地要望、規制情報、クレームの背景など、蓄積すべき情報が多岐にわたります。
しかし属人化すると、これらが担当者のメール・チャット・頭の中に散らばり、他メンバーが参照できない状態となってしまいます。
そうすると同じ問い合わせに毎回ゼロから回答したり、過去の合意条件を見失って条件がブレがでたりと様々な弊害が生まれるのです。
最悪の場合、相手先との認識違いが起きて信用を大きく失ってしまいます。
対策としては情報を「探せる形」に統一することです。
案件ごとに共有フォルダ(またはCRM)を作り、見積書、契約書、議事録、要件、出荷・請求の記録を一箇所にまとめると、自然と情報の共有が可能になります。
さらに意思決定の根拠(なぜその価格なのか、なぜその条件なのか)も短く残すと、引き継ぎも格段に楽になります。
属人化を壊す第一歩はツール選定より先に「保存ルールを決めること」ですので、属人化がおきている場合にはこのあたりから改善してみることをおすすめします。
業務の優先順位が落ちる
次に兼務体制で海外展開が止まる典型的な例であり、業務の優先順位が落ちるという点に触れていきましょう。
これはイメージできる人も多いと思いますが、兼務の場合には「今週は国内案件が忙しいから、海外関連の案件は来週にしよう」など先送りをしがちなリスクがあるのです。
海外業務は短期の売上や緊急対応に直結しないタスク(市場調査、資料作成、代理店選定、契約確認など)が多く、後回しにされやすい性質があります。
その結果として返信が遅れて商談が冷えたり流れてしまったり、展示会後のフォローが途切れたり、改善サイクルが回らず成果が出ない状態になります。
対策としては海外業務を空いた時間にやるのではなく、日々の業務としてスケジュールを確保することです。
週に2時間でも良いので海外タスク専用の時間を固定し、KPI(商談数、返信速度、提案提出数など)を可視化します。
さらに社内で賄えない作業(翻訳、資料整備、広告運用など)を外部化し、社内は優先順位が高い判断と対話に集中すると、兼務でも成果が出やすくなります。
逆に言えば兼務で多くの海外業務を抱えてしまうと、まず間違いなくパンクしてしまうため、一人あたりの業務を減らしたり、部分的な外部化を行い、効率的に進めていくのがスマートでしょう。
様々な判断が遅れてしまう
また兼務や属人化のリスクとして、様々な判断が遅れてしまうなども挙げられます。
繰り返しになりますが、海外展開では価格、納期、支払い条件、契約条項、輸送方法、現地規制など、判断すべき論点がかなり増えます。
正式な海外担当者がいない企業では、確認先が分散しがちで「誰が決めるのか」「どこまで許容できるのか」が曖昧なため、判断待ちが発生しやすいです。
営業は売りたいが利益率の基準がない、製造は対応できるが納期の優先順位が決まっていない、管理部門はリスクが気になるが判断材料が不足している、などはよくあるケースでしょう。
こういった判断待ちが続くと、社内での業務が滞ることはもちろん、取引先(候補)への返信スピードも落ちて競合に負けてしまうのは言うまでもありません。
これらの解決策は、判断を個別対応から「ルール化」へ移すことです。
最低利益率や標準納期と例外条件、支払い条件の許容範囲や契約レビューが必要な条件などを最低限定めておけば、ある程度のスピード感で海外展開を進めることができます。
さらに専門領域は外部の法務・貿易実務・現地事情に詳しい支援を「相談窓口」として組み込むことができれば、判断材料を素早く揃えられる状態になりスピードと安全性の両立を実現できます。
担当者の退職・異動リスクが大きい
また見落としがちですが属人化の最大リスクとして、担当者が退職・異動した瞬間にプロジェクトが止まるリスクが挙げられます。
海外展開は取引先との信頼関係、交渉の経緯、社内の例外対応など、暗黙知な部分も多く引き継ぎが難しい領域です。
そんな中で担当者が退職・異動時に上手く引き継げないまま時間が空くと、相手先は不安になり商談は失注します。
また担当者が変わるたびに提案内容が変われば、ブランドの一貫性も崩れるでしょう。
これらの対策としては、業務を人ではなく「プロセスにひも付ける」ことが重要です。
案件進行はステータス管理(問い合わせ→提案→見積→契約→出荷→請求→アフター)など順番に可視化し、各ステップに必要な書類・テンプレ・チェックリストを整備します。
加えて外部パートナー(貿易事務代行、海外営業支援など)を部分的に活用しておくと、社内人員が変動しても運用が継続しやすくなります。
社内のみで行うか、外部パートナー(外注)も部分的に取り入れるか次第で、どういったルール化や体制を整えるかを検討していくのが良いでしょう。
失敗やミスの対策も共有されにくい
最後に失敗やミスの対策も共有されにくい点について触れておきましょう。
海外展開の失敗は、単発のミスで終わらせず学びとして共有できるかが重要です。
しかし属人化するとミスの原因や再発防止策が担当者の反省レベルで終わってしまい、共有がされにくい状態となってしまいます。
例えば書類不備で通関が遅れた、条件確認不足で赤字になった、品質基準の誤解で返品になった、といった経験が次の担当者に引き継がれないのです。
すると同じ失敗を繰り返し、海外展開は「怖い」「割に合わない」と社内評価が下がってしまいます。
※当然取引先からの評価も下がり、場合によっては海外でのブランド力低下につながるでしょう。
対策としては失敗を責めるのではなく、再現防止の資産に変えることです。
トラブルが起きたら何が起きたか、原因は何か、次回どう防ぐかをデータにまとめ共有フォルダに蓄積します。
また細かくチェックリスト化しつつ、チェックリストを更新し続ければ、海外展開は徐々に安定し、担当者不在でも改善が積み上がる状態を作れます。
こういったルールかも属人化や兼務でのうっかりを防ぐために大切なポイントですので、ぜひ意識してほしいポイントなのです。
内製すべきこと・外部を使うべきことの切り分け

ここからは海外展開時に内製すべきこと・外部を使うべきことを切り分けて解説をしていきます。
担当者がいない企業ほど、海外展開を「全部やる」か「全部外注」かの二択にしがちですが、その中間を選ぶ選択も考えてみてはどうでしょうか。
内製が向く業務、外部への依頼が向く業務を把握しておくことで、海外展開をスムーズに進めることができます。
逆に専門性が必要でミスの影響が大きい領域なども無理に自社で行ってしまうと、社内は疲弊して成果が出ないまま終わるなんて事態に陥ってしまいます。
そういったリスクを回避するためにも、そして自社と外注の業務の切り分けを上手に行うためにも、ぜひ各項目に目を通してみてください。
内製が向く業務を把握が大切
まず内製が向く業務の方向性として、他社に任せるとブレやすい「自社の核」が挙げられます。
具体的には、海外展開の目的、狙う国・顧客像、提供価値(なぜ自社が選ばれるのか)、価格帯の方針、ブランドのトーン、優先する商品・サービスの選定などが該当します。
ここが曖昧なまま外注すると、外部は仮説で動くしかなく、ズレた施策が増えてしまいます。
逆に言えば(担当者がいなくても)経営陣と関係部署でこの「軸」さえ固めれば、外部はかなり動きやすくなります。
おすすめは、最初に「海外展開用のわかりやすい資料」を作ることです。
目的、ターゲット、主力商材、価格レンジ、競合、KPI、対応可能な納期・生産量などを簡潔に整理することができれば、外部パートナーとのコミュニケーションが短くなり、判断スピードも上がります。
内製とは作業量ではなくブレない判断材料を用意することだと捉えるのがコツです。
もちろん場合によっては後述する外部にまかせやすい項目を自社で行うのもありですが、業務量や負担なども考えながら全て自社で行うかを検討するのが良いでしょう。
外部が強い領域は外注化を検討する
外部に任せたほうが成果が出やすいのは、専門性が高く、ミスが損害に直結する領域です。
代表例としては下記に該当する業務が挙げられます。
・契約(条項レビュー、準拠法、責任範囲)
・貿易実務(インボイス、パッキングリスト、原産地証明、通関)
・税務・決済(海外送金、与信、回収条件)
・現地マーケ(広告運用、SEO、多言語サイト)
・翻訳・ローカライズ
これらの業務を社内に経験がない状態で手探りで進めると、学習コストが大きいだけでなく、事故が起きたときのリカバリーも難しくなります。
これらの外注のポイントは、丸投げではなく成果物で依頼すること。
たとえば「契約書のリスク指摘と修正案」「国別の必要書類リスト作成」「想定顧客向けLPの構成案」など、納品物と判断基準を明確にします。
さらに月額で抱えるより、最初はスポットで試し、相性と品質を見てから範囲を広げると失敗しにくいです。
まずは一部の海外展開に関わる業務を試しに外注化して、思ったよりも成果が出る、スムーズに業務が進むなどメリットが実感できれば、本格的に外注化を取り入れるなども選択肢もありでしょう。
うまく進む分担形式で海外展開を効率化
最後にうまく進む分担形式で海外展開を効率化、といったテーマで解説をしていきましょう。
海外展開に慣れていない場合の「担当者がいない企業」でも回しやすい分担の型は、「社内=意思決定と優先順位」「外部=実務と推進」です。
社内はターゲット・方針・予算・価格レンジ・優先市場などの判断を行い、外部は調査、資料作成、運用、専門対応を担います。
その際に重要なのは、社内側に「窓口を一本化」することです。
窓口が複数だと外部は情報を取りに行く時間が増え、スピードが落ちます。
その窓口は兼務でも構いませんが、決裁者への連絡経路と、週次での意思決定の場(定例会)を固定することが大切です。
シンプルではありますが、この型を作り整えることができれば、担当者不在企業の海外展開を成功に近づけることが可能です。
業務の振り分けやルール化でお悩みの場合には、このような分担形式を意識しながら社内体制を整えてみてはどうでしょうか。
【補足】最初に外注すべき業務の例
補足として最初に外注すべき業務の例についても触れていきましょう。
立ち上げ期に外注効果が高いのは、シンプルに「スピードが成果を左右するが、社内にノウハウがない領域」です。
・市場調査と競合分析(国別の需要、価格帯、主要競合、販売チャネル)
・多言語資料の整備(会社紹介、製品カタログ、提案書テンプレ、FAQ)
・初期のリード獲得施策(海外向けLP制作、広告運用、展示会出展の準備支援)
・貿易・契約の基本設計(取引条件の雛形、必要書類、支払い条件の標準化)
これらを社内でゼロから作ろうとすると時間がかかり、商談の旬を逃しがちです。
立ち上げ期だからこそ外注で土台を短期間で整えてしまい、社内は何を売り、どこで勝つかの判断に集中するのが合理的だと言えるでしょう。
全てを自社でやろうとした場合のリスクについて

ここからは全てを自社でやろうとした場合のリスクについても触れていきます。
海外展開は魅力的ですが、現時点で担当者不在の企業が「外注は使わず全部自社で」と決めると、現実的には詰まってしまいます。
理由は単純で海外は国内より論点が多く、必要な専門性も広いからです。
他にもいくつかの理由があるのですが、どうしてもコストの観点から兼務で済ませようとしたり、自社だけで完結させようとする企業も少なくありません。
そうした場合のリスクを知っておくことも海外展開を成功させるために大切なポイントですので、リスクを軽減するためにも各項目をチェックしていきましょう。
軽視できない時間コストの肥大化
まず全部を自社でやる最大のコストは、外注費ではなく「時間」であり、その時間コストの肥大化は軽視できないポイントです。
市場調査のやり方、現地チャネルの選び方、多言語資料の整備、契約・貿易の基礎、広告運用の最適化など、学ぶべきことが多く、手探りだと長期化しがちです。
その間に競合は先に市場で認知を取り、価格や条件も固めてしまうとさを広げられてしまいます。
さらに社内が「兼務メンバー」の場合は国内業務も抱えているため、海外業務の学習と実行が夜間・休日に寄りやすく疲弊します。
そして疲弊すると品質が落ち、ミスが増え、余計に時間が取られる悪循環に入ります。
その対策として、最初から時間を買う発想を持ち、土台づくり(調査、テンプレ、チェックリスト)だけでも外部の力を借りれば、社内は意思決定と改善に集中できます。
海外展開では早く検証して、当たり筋にだけ投資することが重要であり、時間コストの抑制はその前提になることを覚えておきましょう。
思わぬ損害が出る法務・貿易の事故
次に海外取引で契約と貿易実務のミスが損害になりやすい領域である、法務・貿易の事故も自社のみで行うと大きなリスクとなります。
たとえば契約書で責任範囲や保証条件が曖昧なまま締結してしまう、支払い条件が不利で回収が遅れる、インコタームズの理解不足で想定外の費用負担が発生する、通関書類の不備で納期遅延・保管料が発生する、など様々なケースが該当します。
国内なら関係性で調整できることも、海外ではルール通りに処理され、コストが積み上がります。
また国や商材によっては規制・表示義務・認証が関わり、知らなかったでは済まない場面もあります。
対策としては最低限の安全基準を作ることが大切であり、契約レビューが必要な条件、支払い条件の許容範囲、出荷前に確認すべき書類のチェックリストを整備し、判断が難しい部分は外部の専門家に短時間で確認できる体制を持ちましょう。
事故を完全にゼロにすることは難しくても、事故が起きにくい設計にすることは可能です。
これらを兼務で行ってしまうと、先に挙げたように疲弊からのミスなどでリスクが増大してしまうため、損害に直結するリスクは兼務化は避けるべきだと言えるでしょう。
信頼に関わる品質・クレーム対応の破綻
最後に信頼に関わる品質・クレーム対応の破綻リスクについても触れておきましょう。
海外展開では、品質の定義や期待値が国内と異なることがあり、クレーム対応が企業の信頼を左右します。
たとえば梱包仕様、ラベル表示、取扱説明、保証範囲、交換・返品の基準などが曖昧だと、少数のトラブルでも評価が落ち、取引継続が難しくなります。
さらに時差や言語の壁があるため、対応が遅れると不満が増幅しやすいのも見逃せないリスクです。
担当者不在で全てを自社対応にすると、問い合わせ対応が属人化してしまい、テンプレがないまま都度返信になり品質も対応もばらつきます。
これらの対処法としては、クレームをある程度は想定して設計することが大切です。
出荷前に品質基準と検品ポイントを明確化して、英語(または現地語)のFAQと対応テンプレを用意します。
そして返品・交換の基準も事前に定め、取引先と合意しておくと揉めにくくなりるため、初期のクレーム対応マニュアル・整備は外部支援を使ってでも早く作り、社内は例外判断だけに集中できる形が理想だと言えるでしょう。
【補足】スピード負けで機会損失が積み重なる
補足として海外市場でのスピード感の重要性について触れておきます。
海外市場では「返信の速さ、提案の速さ、改善の速さ」の全てがそのまま勝敗に直結します。
全部を自社でやろうとすると、調査や資料作成に時間がかかり、問い合わせ対応が遅れ、商談の熱量が冷めるリスクがあるのです。
特に海外展示会後や紹介直後は、数日で競合が提案を出してくることも珍しくありません。
また広告運用やSEOなどウェブ上での訴求も、最初の改善サイクルを回せる企業ほど成果が出ます。
あらゆる面でスピードが落ちてしまうと、受注機会だけでなく、経験を得る機会さえも失ってしまうのです。
具体的な対策としては、様々な部分をルール化してしまい対応にスピード感を持たせるなどが挙げられます。
資料整備、翻訳、リード獲得運用、基本的な実務などをルール化、テンプレ化してしまえば誰でもスピーディーに対応することが可能になります。
そういったルール化やテンプレ化が自社だけでは難しい場合は、外部に頼り整えてしまい、社内は判断と改善に集中するのが良いでしょう。
スピード感を意識してビジネスに臨むのは国内外問わず大切なポイントですが、海外では特にスピード感が大切ですので、担当者不在企業でも機会損失を抑えながら海外展開を進めるため現実的な戦略を練っていきましょう。
海外展開では仕組みづくりが成功のために大切

今回は海外展開で社内に担当者がいない企業が陥りがちなリスク、また自社・外注などで切り分けると効率が良いポイントなど様々な視点で解説をしてきました。
メリットの多い海外展開は、担当者がいないからといって諦める必要はありません。
ただしある程度の社内体制を作りながら進めていかなければ、どこかで躓いてしまったり万が一のリスクが肥大してしまうのです。
重要なのは「完璧な人材を探すこと」ではなく、止まらない仕組みを社内で先に作ることです。
社長主導・営業主導・兼務プロジェクト型のいずれであっても、情報の集約、優先順位の固定、判断基準の明文化ができれば、兼務でも継続的に前進できます。
また契約や貿易実務、翻訳、海外向けマーケティングなど、専門性が高く事故の影響が大きい領域は、外部の力を「部分的に活用」することでスピードと安全性を両立できます。
もちろん知識や経験が豊富な人材がいれば、社内で海外展開や海外での販路拡大などを行っていくのも良いでしょう。
ただ担当者をこれから育成していく、外注も上手に活用しながら海外展開を効率的に進めていきたいと考えている場合には、ぜひ弊社まで気軽に相談ください。
多くの企業様の海外展開、販路開拓支援などを行ってきた弊社が、様々な部分で貴社をサポートいたします。
海外代理店のリストアップや海外展示会の出展サポート、また商談設定や海外事業戦略策定なども行っていますので、海外展開をスムーズかつ効率的に進めていきたい場合にはぜひご活用くださいませ。
「全部自社でやる」か「全部丸投げする」かではなく、社内は方針と意思決定、外部は実務と推進という役割分担が最短ルート!
海外展開がビジネスの機会損失とならぬように、そして今後も長くビジネスとして成長させていくためにも社内体制を整えながら、海外展開を行っていきましょう。




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