BIOFACHとは?有機認証がないと出られない世界最大の有機見本市
BIOFACH(ビオファ)は、ドイツ・ニュルンベルクで毎年2月に開かれる有機食品専門の国際見本市です。世界最大級で、2025年は94カ国から約2,300社が出展し、140カ国から3万5,000人以上が来場しました。
この展示会には、他の食品見本市にない明確な条件があります。**出展するには有機認証が要ります。**展示するすべての有機製品が、EU有機規則または国際的なIFOAMガイドラインに適合し、認証を受けていることが主催者の出展要件として定められています。認証がなければ、そもそも土俵に上がれません。
裏を返せば、来場するバイヤーは全員「認証済みの商品を探しに来ている」ということです。認証の説明から始める必要がない。これがBIOFACHの最大の特徴です。
この記事では、主催者(NürnbergMesse)とジェトロの公開資料をもとに、BIOFACHの規模・出展要件・費用・申込スケジュール・日本企業の出展実績を整理します。日本茶や有機食品でEU市場を狙う事業者が、「出るべきか」「いつから準備するか」を判断するための材料としてお使いください。
本記事のデータについて
本記事の数値は、以下の一次情報に基づいています。
【展示会の規模・出展要件・料金】NürnbergMesse 公式サイト(biofach.de)および BIOFACH 2025 Show Report
【ジャパンパビリオン】ジェトロ「BIOFACH 2027ジャパンパビリオン」出展者募集情報(2026年6月14日公表)
【日本企業の出展実績】ジェトロ ビジネス短信および出展報告
【欧州の有機市場】FiBL「The World of Organic Agriculture 2026」(2026年2月10日公表、2024年実績)
見込み値と実績値を区別しています。来場者数・出展者数はいずれも主催者発表の実績値であり、第三者監査を受けたものではありません。BIOFACH 2026については、公式クロージングレポートの「約2,200社」と出展案内の「2,150社」に幅がありますが、これは集計時点の違いによるものです。
出展費用は公表されているものだけを記載し、公表されていない項目には推定額を書いていません。制度と会期は変わります。本記事は2026年9月時点の情報です。申込の前に必ず主催者公式サイトとジェトロで最新の募集要項をご確認ください。
1. BIOFACHとは——有機認証を持つ企業だけが出られる見本市
基本情報
名称:BIOFACH(The World's Leading Trade Fair for Organic Food)
主催:NürnbergMesse GmbH
会場:Exhibition Centre Nuremberg(ドイツ・ニュルンベルク)
開催周期:毎年2月・年1回
対象:業界関係者限定(一般消費者は入場不可)
出展カテゴリ:有機食品、有機飲料、有機ノンフード、ナチュラルコスメ
1990年に197社で始まった
第1回は1990年、ルートヴィヒスハーフェン市の市庁舎で開かれました。出展197社、来場約2,500人。「第1回ヨーロッパ有機食品・自然products見本市」という名称でした。
1999年にニュルンベルクへ移り、この回で出展1,276社・来場15,384人。2001年からNürnbergMesseが運営を引き継ぎ、2027年で38年連続の開催になります。
有機食品が「一部の人のもの」だった時代から、欧州の主要な食品カテゴリに育つまでの過程を、そのまま反映してきた展示会だと言えます。
出典:NürnbergMesse 公式サイト「Exhibition details」
VIVANESSとの統合
2007年にナチュラルコスメ部門を「VIVANESS」として分離し、17年間にわたって並行開催してきました。2024年の開催をもって、VIVANESSはBIOFACHに統合されています。ナチュラルコスメの情報は現在BIOFACHの公式サイトに集約されました。
古い解説記事には「BIOFACHとVIVANESSが同時開催」と書かれたものが残っています。2024年以降は1つの展示会です。
2. 規模——数字で見るBIOFACH
直近3回の実績
【2024年】出展2,550社(94カ国)/来場3万5,000人超(128カ国)
【2025年】出展約2,300社(94カ国)/来場3万5,000人超(140カ国)/総展示面積8万2,000㎡/海外来場比率47%
【2026年】出展約2,200社(90カ国弱)/来場約3万2,000人/来場者の約半数が海外/パートナー国インド

図C:BIOFACH直近3回の規模。出展社数は微減、来場者の国数は拡大。2026年の来場国数は公表データなし。出典:NürnbergMesse公式クロージングレポート、BIOFACH 2025 Show Report(FKM)、ジェトロ
出展社数は2024年をピークに緩やかに減っています。一方で来場者の国数は2024年の128カ国から2025年に140カ国へ広がりました。規模の拡大より、参加国の多様化が進んでいる局面だと読めます。
来場者の約半数が国外から来ているという点は、日本企業にとって重要です。ドイツ国内の商談会ではなく、欧州全域とそれ以外の地域のバイヤーが集まる場だということです。
出典:NürnbergMesse 公式クロージングレポート/BIOFACH 2025 Show Report(FKM認証)/ジェトロ ビジネス短信(2026年3月)
来場者の職種——小売と卸が厚い
BIOFACH 2025の来場者構成は次のとおりです。
製造:25%
小売:25%(うち有機専門スーパーが9%)
卸売・輸入/輸出:16%
農業・養殖:4%
外食・給食・ケータリング(HoReCa):1%

図B:BIOFACH 2025の来場者の職種構成。小売と卸・輸入で4割超、外食・ホテルは1%。公表項目のみのため合計は100%にならない。出典:BIOFACH 2025 Show Report(NürnbergMesse/FKM)
小売25%と卸・輸入16%で全体の4割を超えます。日本茶や有機食品の輸出先として最初に接点を持つべき層が、ここに集中しています。
主催者発表では、来場者の86%が購買・調達の意思決定者またはその関与者です。名刺交換だけで終わらない確度が期待できます。
一方でHoReCa(外食・ホテル)は1%しかいません。高級ホテルやレストランに日本茶を売り込みたいなら、BIOFACHは適した場ではありません。チャネルによって出るべき展示会は変わります。
出典:BIOFACH 2025 Show Report(NürnbergMesse/FKM)
併催のCongress——171のセッション
BIOFACHはCongress(会議プログラム)を併催します。2025年は171の個別セッションに6,400人以上が参加しました。メディアは22カ国から400人以上が取材に入っています。
商談だけでなく、欧州の有機市場で何が議論されているかを直接聞ける場でもあります。初回参加なら、会期中の半日をCongressに充てる価値があります。
3. 出展要件——有機認証がないと出られない
主催者が定める出展条件

図A:BIOFACHに出展できるかの判定。EU有機規則または国際IFOAMガイドラインに適合した認証が足切りになる。出典:NürnbergMesse「Admission criteria for exhibitors」、ジェトロ
BIOFACHの出展規約には、展示するすべての有機製品がEU有機規則または国際IFOAMガイドラインの要件に適合し、それに応じた認証を受けていなければならない旨が明記されています。
これは「有機の商品を出すなら認証が必要」という話ではありません。**BIOFACHに出展すること自体の条件**です。認証を持たない企業は、有機を名乗らない商品であっても本体展には出られません。
日本の事業者の場合、具体的には有機JAS認証(加工・小分け)の取得が出発点になります。2022年10月の改正JAS法でEU基準に適合する形が整備されており、ジェトロもジャパンパビリオンの有望品目として「改正JAS法に基づきEU基準に適合した有機JAS認証取得商品」を明示しています。
有機JASとEU有機の同等性、そしてEUで「BIO」と表示するために何が必要かは「有機JASだけでは足りない|日本茶の米国・EU輸出2026」で詳しく解説しています。BIOFACH出展を検討するなら、先にこちらを押さえてください。
出典:NürnbergMesse「Admission criteria for exhibitors」/ジェトロ
日本茶はどのカテゴリに入るか
日本茶・緑茶・抹茶は「有機飲料(organic drinks)」のカテゴリで扱われます。ジェトロのジャパンパビリオンも、日本茶を中心に構成されてきました。
緑茶は日本からドイツへの農林水産物・食品輸出の主要品目です。BIOFACHは、その主要品目を主要市場で見せる場として機能しています。
伝統工芸品は対象外
注意が必要な点です。**陶磁器・漆器・茶器といった伝統工芸品は、有機食品見本市の出展カテゴリに含まれません。**BIOFACHは食品・飲料・ノンフード(有機の非食品)・ナチュラルコスメの見本市であり、工芸品単体では出展の対象になりません。
茶器を扱いたい場合は、有機茶の関連提案という位置づけであれば余地がありますが、工芸品を主役にした出展はできないと考えてください。工芸品で欧州を狙うなら、別の展示会を検討する必要があります。
なおこの点について、主催者が工芸品の可否を明文で示した記載は確認できませんでした。上記は公式の出展カテゴリ一覧からの判断です。実際に茶器を含めたい場合は、申込前に主催者またはジェトロに確認してください。
4. 出展方法と費用
個別出展の料金(BIOFACH 2027)
主催者に直接申し込む場合の小間料金は公表されています。最低出展面積は12㎡です。
列小間(1面開放・最低12㎡):218ユーロ/㎡
角小間(2面開放・最低15㎡):254ユーロ/㎡
半島小間(3面開放・最低30㎡):264ユーロ/㎡
島小間(4面開放・最低60㎡):279ユーロ/㎡
これに加えて、必ず発生する付帯費用があります。
AUMA(ドイツ見本市産業連盟)分担金:0.60ユーロ/㎡
設営・撤去・会期中の廃棄物処理:6.40ユーロ/㎡(上限3,200ユーロ)
直接出展者向けマーケティングサービス:929ユーロ
最小構成の12㎡・列小間で計算すると、小間料金2,616ユーロ+AUMA 7.2ユーロ+設営撤去76.8ユーロ+マーケティング929ユーロで、合計3,629ユーロほどになります。
ただしこれはスペース代です。**ブースの施工費は含まれていません。**装飾、什器、電気、輸送、渡航費、通訳は別途かかります。早期割引・カタログ掲載料・共同出展者の追加料金については、公式の価格表に個別の記載がなく確認できませんでした。
渡航費や装飾まで含めた総予算の組み立て方は「海外展示会の出展費用はこう作る」で解説しています。
出典:NürnbergMesse 公式「Book your stand」価格表(2026年9月確認)
ジェトロのジャパンパビリオン
もう一つの選択肢が、ジェトロが設置するジャパンパビリオンへの参加です。BIOFACH 2027のジャパンパビリオンは162㎡の規模で設置されます。
一般料金:52万円/小間(1小間6㎡)
補助あり料金(中小企業等):26万円/小間
国費を財源とする他の補助金を併用する場合は、中小企業等でも52万円
ジェトロ・メンバーズは10%割引(年間7万円まで)

図D:個別出展とジャパンパビリオンの費用比較。個別出展はブース施工費が別途かかる。出典:NürnbergMesse公式「Book your stand」価格表、ジェトロ「BIOFACH 2027ジャパンパビリオン」
個別出展の最低12㎡と比べて、6㎡から参加できる点が大きい。中小企業等の26万円は、個別出展の最小構成(約3,629ユーロ)と比べても負担が軽くなります。
提供されるサービスも実務的です。出展企業の商品カタログをJapan Streetに登録している欧州のバイヤーへ事前配布して来場を誘致する仕組みと、会場内のデモスペースで自社ブース外でも試飲・試食を提供できる仕組みがあります。BIOFACH 2026では、この事前配布によって会期前から出展企業とバイヤーのやり取りが始まり、会期中はそれを踏まえた商談が行われたと報告されています。
初めて欧州の展示会に出るなら、ジャパンパビリオン経由を第一候補にするのが現実的です。
出典:ジェトロ「BIOFACH 2027ジャパンパビリオン」(2026年6月14日公表)
申込スケジュール——締切は会期の約7か月前
ここが最も見落とされやすい点です。
BIOFACH 2027の会期:2027年2月16日(火)〜19日(金)
ジャパンパビリオンの企業情報登録締切:2026年7月17日(金)23:59
申込書の郵送締切:2026年7月31日必着
**つまり、BIOFACH 2027のジャパンパビリオン募集はすでに終了しています。**本記事執筆時点(2026年9月)で申し込めるのは、次回以降の回です。
会期の約7か月前に窓口が閉じる。さらにその前に有機JAS認証を取得しておく必要があります。認証の取得には転換期間と審査の時間がかかるため、逆算すると準備は年単位になります。
いまから動き出す場合、現実的なターゲットは2028年開催回です。募集は例年6〜7月頃に始まるとみられるため、2027年の前半には認証と商品の準備を終えておきたいところです。
逆算スケジュール(2028年出展を想定)
【2026年内】有機JAS認証(加工・小分け)の取得に着手。登録認証機関の選定と見積もり比較
【2027年前半】認証取得の完了。EU向けラベルと英語の商品資料を整備
【2027年6〜7月頃】ジェトロのジャパンパビリオン募集に応募(例年の時期からの推定。公式発表を必ず確認)
【2027年秋】出展決定後、Japan Streetへ商品カタログを登録。バイヤーへの事前配布に間に合わせる
【2027年冬】ブース什器・サンプル・輸送の手配。試飲オペレーションの設計
【2028年2月】出展本番
【会期後1か月】フォロー完了

図E:会期から逆算した準備スケジュール。ジャパンパビリオンの募集は会期の約7か月前に締め切られる。出典:ジェトロ「BIOFACH 2027ジャパンパビリオン」、NürnbergMesse
認証取得が最も時間を食う工程です。ここを後回しにすると、募集に間に合いません。
5. 日本企業は何を出しているか
出展の中心は日本茶
BIOFACH 2026のジャパンパビリオンには、日本茶、調味料、発酵食品、アルコールなど計18社が出展しました。
BIOFACH 2022では日本茶を中心に14社が出展しています。みて、丸松製茶場、流通サービス、藤二商会、茶匠六兵衛、和香園、かごしま有機生産組合、杉本商店といった顔ぶれで、静岡・鹿児島の茶産地の企業が目立ちます。
ジェトロはJFOODOと連携し、日本茶大使によるワークショップも実施しています。単にブースを並べるだけでなく、淹れ方や使い方を見せる導線が用意されている点は、日本茶にとって有利です。
出典:ジェトロ ビジネス短信/出展報告
有機認証が商談を成立させた事例
ジェトロが公開している事例に、株式会社葵製茶のケースがあります。欧州のバイヤーから有機抹茶の調達相談を受け、Japan Street経由で商談が成立して英国へ輸出に至ったものです。
この事例で注目すべきは、バイヤー側も輸入に必要な有機認証を取得してスムーズに納品できた点です。有機の取引は、売り手と買い手の双方が認証の枠組みの中にいて初めて成立します。BIOFACHに集まるバイヤーは、その枠組みをすでに持っている層です。
出典:ジェトロ活用事例
産地の動きも出てきている
茨城県の2024年度の輸出は前年度比約73%増の73億4,225万円となり、過去最高を更新しました(農産物31億7,700万円、加工食品41億6,500万円)。同県は2026年から、国内外で需要が拡大する抹茶の産地育成に向けた支援を新たに追加する予定で、育成に乗り出すのは2026年度が初めてです。
静岡・鹿児島・京都といった既存の主要産地だけでなく、新たに有機抹茶に参入する産地が出てきています。欧州で戦うなら、有機認証を持っているかどうかが産地間の差になります。
出典:ジェトロ地域・分析レポート/日本経済新聞(2025年6月3日)
6. ANUGA・SIAL・Expo Westとの使い分け
有機に特化していることの意味
欧州にはANUGA(ケルン・隔年の奇数年)とSIAL Paris(パリ・隔年の偶数年)という巨大な食品総合見本市があります。規模ではBIOFACHを大きく上回ります。
ANUGA 2025:出展7,851社(国際比率93%)/来場13万9,647人(190カ国超)
SIAL Paris 2024:出展7,500社超(127カ国)/来場約28万5,000人(国外79%)
BIOFACH 2025:出展約2,300社(94カ国)/来場3万5,000人超(140カ国)
規模だけを見ればANUGAとSIALが圧倒的です。しかし性格が違います。
【BIOFACH】全出展者が有機認証済み。来場者は有機専門の小売・卸・輸入業者が中心。認証の説明が不要で、商品の中身から話が始まる
【ANUGA / SIAL】総合食品見本市。有機は数ある部門のひとつ(ANUGAではAnuga Organic)。幅広いカテゴリのバイヤーが来るが、有機に特化した来場者を狙い撃ちにはできない
有機認証を持っていて、有機の文脈で売りたいならBIOFACH。認証はないが幅広い販路を探したいならANUGAやSIAL。この使い分けが基本です。
米国ならExpo West

図F:有機見本市と食品総合見本市の使い分け。規模は主催者発表の実績値で、食品・オーガニック全体の数字。出典:各展示会主催者公式発表、ジェトロ
Natural Products Expo West(米国・アナハイム、毎年3月上旬)は、北米のナチュラル・オーガニック市場向けの見本市です。2025年は3,000超ブランドが出展し、6万4,000人超が来場しました。うち約3分の2がバイヤーです。日本は独自パビリオンを設置しています。
欧州を狙うならBIOFACH、北米を狙うならExpo West。地域で使い分けます。両方に出る体力がないなら、有機比率が高いEU・英国向けを優先するのが定石です。
展示会全体の選び方は「海外展示会 完全ガイドマップ2026」にまとめています。
BIOFACH JAPANは別物
国内にも「BIOFACH JAPAN」があります。朝日新聞社が主催し、NürnbergMesseが共催する展示会で、2024年に初開催されました。東京ビッグサイトでGOOD LIFE Fairと併催されています。
原則としてオーガニック認証商品のみ出展可という点は本家と共通ですが、性格は異なります。来場者はホテル・百貨店・流通などのビジネス層と、オーガニックへの関心が高い30〜50代の消費者が中心で、B2Cの要素が強い展示会です。
**欧州の販路開拓を狙うならニュルンベルクの本体、日本国内での認知拡大や国内取引ならBIOFACH JAPAN。**この使い分けを誤ると、期待した成果が出ません。名称が同じなので混同されやすい点に注意してください。
7. なぜ欧州の有機市場を狙うのか
2024年に過去最高を更新
FiBLの報告によると、2024年の欧州の有機小売売上は587億ユーロ(EUは495億ユーロ)で、欧州全体で前年比4.1%増、EUで3.6%増と過去最高を更新しました。
ドイツ:170億ユーロ(欧州最大)
フランス:122億ユーロ
イタリア:52億ユーロ
スイス:一人当たり消費481ユーロ・有機シェア12.3%で世界最高
世界全体では1,450億ユーロで、米国604億ユーロ、ドイツ170億ユーロ、中国155億ユーロの順です。ドイツは単独で世界第2位の有機市場を持っています。
ドイツの2025年の速報では、有機小売が182.3億ユーロと前年から11億ユーロ以上増えたと報告されています。成長は続いています。
出典:FiBL「The World of Organic Agriculture 2026」(2026年2月10日公表、2024年実績)/BÖLW
市場が大きいことと、売れることは別
ただし、市場規模の大きさをそのまま機会と読むのは危険です。欧州の有機市場は成熟しており、すでに現地の有機ブランドが棚を押さえています。日本産という理由だけで棚が空くわけではありません。
日本茶が勝負できるのは、現地で代替できない商品だからです。有機の煎茶や抹茶を、産地と製法を説明できる形で持ち込めるかどうか。認証は入場券にすぎず、その先は商品の中身の勝負になります。
展示会で商談がゼロになる典型的なパターンは「海外展示会で商談ゼロになる日本企業の共通点5つ」にまとめています。出展前に一読をおすすめします。
7-2. 出展を成果につなげる実務
試飲は「淹れ方」まで見せる
日本茶の出展で最も差が出るのが試飲のオペレーションです。ペットボトルや水出しで済ませると、欧州のバイヤーには他産地の茶との違いが伝わりません。
湯温と抽出時間を変えた2種類を並べて出し、同じ茶葉で味がどう変わるかを見せる。これだけで滞在時間が変わります。ジャパンパビリオンには会場内のデモスペースが用意されており、自社ブース外でも試飲を提供できます。ブースが小さくても、このスペースを使えば見せ方を確保できます。
水は現地の硬水です。日本の軟水で設計した淹れ方をそのまま持ち込むと、現地で再現されたときに味が変わります。硬水で試した結果を持っていくか、少なくとも硬水前提の推奨条件を用意しておいてください。
持っていく書類
有機の商談では、商品より先に書類を求められます。会期中に出せないと、その場で候補から外れます。
有機JAS認証書(英語版)。登録認証機関名・認証範囲・有効期限が読める形で
EU向けの検査証明書の発行フロー(TRACESでどう出すか)を説明できる資料
残留農薬の分析成績書(英語)。EUのMRL基準に対してどの項目を検査したかが分かるもの
商品仕様書(原材料、正味量、賞味期限の設定根拠、保存条件、荷姿、MOQ、リードタイム)
HSコードと、日EU・EPAの原産地申告に対応できる体制の説明
英語版が用意できていない書類は、その場では存在しないのと同じです。翻訳は会期の2か月前までに終えておいてください。
価格は「棚から逆算」して持っていく
FOB価格だけを持っていくと、バイヤーは自分で店頭価格を計算できず、判断が止まります。輸入事業者のマージンを織り込んだうえで、現地の棚でいくらになるかの想定を示せると話が早い。
欧州の輸入事業者のマージンは50〜60%程度が一般的とされています。50gで8ユーロの棚を狙うなら、仕切りはその半分以下です。この計算を先にやっておくと、価格が合わない相手に時間を使わずに済みます。
出典:ジェトロ「フランス 茶 カントリーレポート」(2023年3月)
会期後1か月が本番
展示会の成果は会期中ではなく、その後のフォローで決まります。名刺を集めて満足して帰ると、ほぼ何も起きません。
会期中:その場でサンプル送付の可否と送付先、次のアクションの期日を確認して記録する
会期後1週間:サンプルを発送。到着予定日を先に伝える
会期後2〜3週間:到着確認と感想のヒアリング。ここで返信が来ない相手は温度が低い
会期後1か月:見積提示まで進める。進まない相手は翌年に持ち越す
温度の高い相手を早く見極めて、そこに時間を集中させる。これが小さいブースで成果を出す唯一の方法です。
8. よくある質問
有機認証がなくてもBIOFACHに出展できますか
できません。主催者の出展規約で、展示するすべての有機製品がEU有機規則または国際IFOAMガイドラインに適合し認証されていることが求められています。認証は出展の前提条件です。まず有機JAS認証(加工・小分け)の取得から始めてください。
有機JASを持っていればEUでそのまま有機として売れますか
売れません。有機JASとEU有機には同等性がありますが、EU域内で「BIO」「Organic」と表示するには、登録認証団体が発行する検査証明書をTRACES経由で提出する必要があります。さらに自社でEUの有機ロゴを表示するなら、外国格付表示業者の認証も別途必要です。この同等性の枠組みには2026年12月31日という期限が設定されている点にも注意してください。
茶器や工芸品は出展できますか
伝統工芸品は有機食品見本市の出展カテゴリに含まれないため、主役にはできません。有機茶の関連提案として一部を持ち込む余地はありますが、工芸品で欧州を狙うなら別の展示会を検討すべきです。実際に含めたい場合は、申込前に主催者またはジェトロに確認してください。
出展費用は総額でいくら見ておくべきですか
ジャパンパビリオン経由なら、出品料が中小企業等で26万円(6㎡)です。これに渡航費、宿泊費、サンプルの輸送費、現地での通訳、什器や販促物の制作費が加わります。個別出展の場合は小間料金が最低12㎡からで約3,629ユーロ、これにブース施工費が別途かかります。ブース施工費は仕様によって大きく変動するため、本記事では推定額を示しません。
次はいつ申し込めますか
BIOFACH 2027のジャパンパビリオン募集は2026年7月17日で締め切られています。次回以降の募集時期は公式発表を待つ必要がありますが、例年の傾向からは6〜7月頃とみられます。ジェトロのイベントページを定期的に確認してください。
BIOFACH JAPANに出れば海外バイヤーに会えますか
BIOFACH JAPANは国内向けの色が強い展示会で、ホテル・百貨店・流通といった国内のビジネス層と、オーガニック関心層の消費者が中心です。大規模な海外バイヤー招へいがあるという一次情報は確認できませんでした。欧州の販路開拓が目的なら、ニュルンベルクの本体に出る必要があります。
初回から出展すべきですか、視察から入るべきですか
BIOFACHは業界関係者限定の展示会なので、視察で入ることも可能です。ジャパンパビリオンの募集が年1回しかなく、認証の準備にも時間がかかることを考えると、まず1回視察して欧州の有機売り場に何が並んでいるかを見てから出展を決めるほうが、結果的に無駄が少なくなります。
まとめ——認証が入場券、その先は商品の勝負
BIOFACHは毎年2月・ニュルンベルク開催の有機食品専門見本市。2025年は94カ国約2,300社が出展、140カ国から3万5,000人超が来場
出展には有機認証が必須。EU有機規則または国際IFOAMガイドラインへの適合が主催者の要件
来場者は小売25%・卸/輸入16%で、日本茶の輸出先として最初に接点を持つべき層が集中。意思決定関与者は86%
HoReCaは1%しかいない。高級ホテル・レストランを狙うなら別の場を選ぶ
伝統工芸品は出展カテゴリ外
ジャパンパビリオンは6㎡・中小企業等26万円。個別出展は最低12㎡で約3,629ユーロ(施工費別)
申込は会期の約7か月前に締切。BIOFACH 2027分は2026年7月17日で終了済み。いま動くなら2028年が現実的
欧州の有機市場は2024年に587億ユーロで過去最高。ドイツは単独で世界2位
BIOFACHの特徴は、有機認証という明確な足切りがあることです。準備には年単位の時間がかかりますが、そこを越えた企業だけが立てる場でもあります。認証を持つバイヤーと、認証を持つ売り手が集まるため、商談の入口で説明に費やす時間が要りません。
逆に言えば、認証がない段階で出展を検討しても始まりません。最初にやるべきは有機JAS認証の取得です。そこから逆算して、どの回を狙うかを決めてください。
Link Globalは、日本企業の海外販路開拓を100社超・10カ国以上で支援してきました。有機認証の取得後の販路設計、展示会の選定、出展準備から商談フォローまで、個別にご相談いただけます。




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