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日本の伝統工芸品を台湾・アジアで売るための完全ガイド2026年版|販路開拓から展示会・代理店開拓まで実務解説

  • 堤浩記
  • 3月30日
  • 読了時間: 21分

更新日:7 日前

「伝統工芸品を海外で売りたいけれど、何から始めればいいかわからない」

「展示会に出展したのに商談が成立しなかった」

「海外での販路と価格設定の相場感が知りたい」


こうした相談を、Link Globalは毎月のように職人・メーカー・産地組合・地方自治体から受けています。円安と訪日インバウンドの拡大を背景に、日本の伝統工芸品に対する海外からの関心は確実に高まっています。しかし「良いものを作れば売れる」「展示会に出れば売れる」という時代はとうに終わりました。いまは戦略と実行力の差が、そのまま結果の差になります。


本記事は、旭川家具の台湾展示会支援をはじめとする伝統工芸品の海外展開支援の実務から、市場の選び方、価格の設計、販路の型、規制対応、補助金の使い方までを一本にまとめたものです。台湾を最優先市場として厚く扱っていますが、香港・シンガポール・欧米まで含めた国横断の内容になっています。


商品カテゴリー別・補助金別・展示会別のさらに詳しい情報は、伝統工芸品の海外展開ガイドマップで整理しています。


伝統工芸品の海外展開はなぜ難しいのか

最初に、多くの産地・工房がつまずく構造的な理由を整理します。ここを理解しないまま市場調査や展示会出展に進むと、費用だけがかかって結果が出ません。


「良いものだから売れる」が通用しない3つの理由

第一に、買い手の判断軸が違うことです。海外のバイヤーがまず見るのは、その商品が自店の棚で採算に乗るかどうかです。産地の歴史や技法の希少性は、採算の見通しが立ったあとに効いてくる要素であって、最初の判断材料ではありません。


第二に、比較される相手が変わることです。国内では「同じ産地の他の工房」と比べられていた商品が、海外の店頭では北欧デザインや現地ブランド、さらには中国・韓国製の類似品と並びます。価格帯が上がるほど、比較対象は日本の工芸品以外に広がります。


第三に、使われ方が変わることです。日本の食卓を前提に設計された器のサイズや形状が、現地の食習慣に合わないことは頻繁に起こります。良し悪しではなく、前提が違うという話です。


海外の店頭価格は国内の2〜3倍になる

海外展開でもっとも見落とされるのが価格構造です。国内の出荷価格に、輸送費、保険、関税、輸入商社のマージン、卸のマージン、小売のマージンが順に積み上がります。結果として、現地の店頭価格は国内小売価格の2〜3倍になることが珍しくありません。

日本の工芸品が海外店頭価格になるまでのコスト積み上げ構造

図1:国内出荷価格に輸送費・関税・各段階のマージンが積み上がり、現地店頭価格は国内小売価格の2〜3倍になる。比率は商材・仕向地・取引条件により大きく変動するため、構造を示す概念図として作成(数値・目盛りは意図的に入れていない)。



この価格で戦える相手は、国内で競合していた相手とはまったく別です。したがって、市場を調べる前に「その価格帯で誰と並ぶのか」を確認する必要があります。仕向地ごとの関税・諸掛の考え方は台湾への輸出にかかる関税・コスト・価格設定ガイドで具体的に解説しています。


順序としては、現地の店頭でいくらなら売れるかを先に置き、そこから逆算して国内出荷価格を決めます。国内価格を起点に積み上げると、ほぼ確実に高すぎる価格になります。


産地の物語は「二番目」に効く

職人の顔、産地の風景、製作工程。これらは確かに強力な武器ですが、効くタイミングがあります。


バイヤーとの商談では、まず価格・ロット・納期・供給の安定性という取引条件が問われます。ここをクリアして初めて「では、この商品をどう売るか」という段階に進み、そこで物語が効いてきます。物語から入ると、条件の話に戻れないまま商談が終わります。


イタリアの産地を対象にしたジェトロの調査でも、輸出に取り組んでいる産地企業ほど国際商標や特許の保有率が高く、ブランドの語りと権利の裏づけがセットで機能していることが示されています。詳しくはイタリア159産地のデータが日本の伝統工芸に突きつけていることにまとめました。


伝統工芸品の海外展開 7ステップ

実務の順序を整理します。とくにステップ1から3を飛ばして展示会出展や市場調査に進むと、後工程で止まります。

伝統工芸品の海外展開7ステップ — 輸出可否の確認から初回取引後の継続まで

図2:海外展開の実務を7段階に整理したもの。ステップ1〜3(輸出可否の確認・市場の絞り込み・価格設計)を飛ばすと後工程で止まる。所要期間は商材と市場により異なるため図中には記載していない。



ステップ1:輸出できる状態かを先に確認する

市場調査より前にやるべきことです。確認する項目は次のとおりです。

  • HSコードの特定(商材によって関税率と必要書類が変わります)

  • 仕向地の輸入規制・必要な認証や試験(食品と接触する器物、刃物、動植物素材を含むものは要注意)

  • 表示・ラベルの要件

  • 生産キャパシティ(継続発注に応えられるか)

  • 既存の国内取引先との商圏の重複


商談が進んだ段階で「この素材は当該国に輸入できない」「表示の作り直しに3か月かかる」と判明して止まる例は少なくありません。順序を逆にしないことが、もっとも費用対効果の高い予防策です。


ステップ2:市場を1つに絞る

複数国を同時に進めると、規制対応と商談フォローの両方が薄くなります。まず1市場で取引を軌道に乗せ、そこで得た価格実勢・売れ筋・改善点を次の市場に持ち込むほうが、結果的に速く広がります。


市場を選ぶ軸は、市場規模、日本製品の受容性、規制のハードル、物流コストとリードタイム、競合状況の5つです。市場規模だけで選ぶと外します。


ステップ3:価格を先に設計する

現地の店頭でいくらなら買われるかを起点に、小売マージン、卸マージン、輸入商社マージン、関税、輸送費を差し引いて、自社の出荷価格を決めます。この試算を自社側で先に済ませておくと、商談での説得力がまったく変わります。


逆に、国内の卸価格をそのまま提示すると、相手側で採算が合わずその場で検討が終わります。


ステップ4:販路の型を選ぶ

卸、展示会、越境ECモール、自社越境ECの4つが基本です。それぞれ初期コスト、到達スピード、価格決定権、顧客データの取得可否が異なります。詳しくは後段の「主要販路4パターンと特徴」で比較します。


ステップ5:資料をそろえる

商談に必要な最低限は、会社案内、商品スペックシート、価格表(FOBまたはCIFの建値を明示)、MOQとリードタイム、認証・試験成績の一覧です。台湾・香港向けは繁体字、シンガポール・欧米向けは英語で用意します。


価格表は必ず建値を明示してください。「工場出し価格」なのか「港渡し」なのかが曖昧なままだと、相手は自社の採算を計算できず、検討が止まります。


ステップ6:商談と契約条件

論点はおおむね決まっています。独占権の有無と範囲、最低購入数量、支払条件、初回ロット、販促費の負担、返品条件、契約期間と更新条件です。


初回から無期限の独占権を与えるのは避けるのが原則です。与える場合も、対象地域とチャネルを限定し、期間を1〜2年に区切り、年間の最低購入数量を設定して、未達なら独占を解除できる条項を入れます。


ステップ7:初回取引の後をどう続けるか

契約締結はゴールではなく起点です。初回出荷のあと、店頭での実売状況、売れ行きの良い品番、実勢価格、消費者の反応を継続して把握し、次のロット構成に反映します。ここを放置すると、初回だけ売れて追加発注が来ない状態になります。


よくある失敗のパターンと対策は伝統工芸品の海外展開で失敗しないためのポイントで個別に解説しています。


どの市場から始めるべきか

伝統工芸品の海外展開において、最初の1市場をどこにするかは結果を大きく左右します。主要な候補を実務の観点で整理します。

伝統工芸品の海外展開における主要6市場の比較マトリクス

図3:主要6市場を5つの観点で比較したもの。Link Globalの支援実績にもとづく相対評価であり、公的統計による順位づけではない。商材によって評価は変わるため、スコアや数値は付していない。



台湾:最優先で検討すべき理由

Link Globalが最初の市場として台湾を推すことが多いのには、はっきりした理由があります。


日本製品への受容性が高く、「日本製」であること自体が品質と信頼の裏づけとして機能します。とくに30〜50代の中間層は日本旅行の経験が豊富で、漆器・陶磁器・木工品・染物に実際に触れた経験を持つ人が多く、本物志向の購買層が厚いのが特徴です。


加えて、訪日で認知が広がった結果、「台湾にいながら現地のセレクトショップやオンラインで買いたい」という需要が生まれています。インバウンドがアウトバウンドの呼び水になる連鎖が、工芸品の分野で明確に起きています。


実務面でも、物流距離が短くリードタイムが読みやすいこと、規制情報が日本語で入手しやすいこと、商談で日本語が通じる場面が多いことが、初回市場としての負担を下げています。


一方で、市場規模そのものは限られます。台湾で完結させるのではなく、ここで確立した価格設計・販促手法・バイヤー対応を次の市場に持ち込む前提で設計するのが現実的です。台湾市場で何が評価され、何が評価されないかは台湾市場で日本の家具・工芸が評価される理由・されない理由に整理しています。


香港・シンガポール

いずれも関税面のハードルが低く、富裕層向けのギフト需要があります。英語が通じるため資料は英語で足り、繁体字と英語の両方をそろえれば台湾との併走も可能です。


ただし市場規模は台湾以上に小さく、賃料の高さから小売の入れ替わりが速いという特徴があります。単独の目的地としてより、アジア域内のハブとして位置づけるほうが実態に合います。


欧米(米国・フランスなど)

単価を最も高く取れる可能性がある市場です。日本の工芸に対する評価は高く、とくに刃物・陶磁器・木工の分野では専門店やギャラリーが確立しています。


その反面、物流コストとリードタイムが重く、商習慣も異なります。米国は州ごとの規制差、EUは化学物質規制(REACH)や食品接触材規制など、確認すべき制度が増えます。台湾・アジアで実績と体制をつくってから臨むほうが、失敗の確率は下がります。


中国本土を後回しにすべき理由

市場規模は最大ですが、制度対応の負荷が突出しています。商材ごとの登録・届出が必要になるケースが多く、制度変更も頻繁です。加えて、意匠や商標の模倣リスクへの備えが先に必要になります。


中国本土は「いつかは」の市場として置き、まずは台湾・香港で華語圏の反応を確かめるという順序を推奨しています。


海外で売れる伝統工芸品のカテゴリと価格帯

実際に動いている商材カテゴリと相場感を整理します。判断軸は「良いものかどうか」ではなく「現地の生活に取り入れやすいかどうか」です。

伝統工芸品の商材カテゴリ別 規制ハードルと単価の位置づけ

図4:商材カテゴリを「規制・手続きのハードル」と「想定単価」の2軸で配置した概念図。定量データではないため軸に目盛りは入れていない。実際の規制の有無・単価は個別の商品と仕向地により異なる。



食器・漆器・陶磁器

もっとも実績が出やすいカテゴリです。台湾では食文化への関心が高く、日本の食器・漆器は「日常使いできる高品質な器」として受け入れられています。現地セレクトショップでの販売価格帯は1点2,000〜8,000台湾ドル(約1万〜4万円)が主流で、日本国内価格の1.5〜2倍で並ぶことも珍しくありません。


ただし食品と接触する器物は、仕向地ごとに溶出試験や食品接触材規制への対応が必要になります。産地別の訴求方法と規制対応は日本の漆器・陶磁器を海外で売る実務ガイドで詳しく扱っています。


茶器・急須

日本茶の海外需要の高まりとともに、急須・湯呑・茶筒への関心が伸びているカテゴリです。抹茶ブームの影響で、茶道具として単体で売るより「日本茶を淹れる道具」として提案するほうが反応が良くなっています。


急須は内部の茶漉し構造や素材(常滑焼の鉄分など)が品質差として伝わりにくいため、使用シーンとあわせた説明が要ります。詳細は日本の茶器・急須を海外で売る実務ガイドをご覧ください。


刃物・金工(包丁・南部鉄器)

単価を高く取れる一方、規制のハードルがもっとも高いカテゴリです。仕向地によって刃渡りの規制があり、航空便での輸送可否や輸出時の申告についても事前確認が必要になります。


包丁は海外での日本製の評価が突出しており、専門店ルートが確立しています。産地の訴求方法から輸出規制、販路の作り方までは日本の包丁を海外で売る実務ガイドにまとめました。


インテリア雑貨・家具

木工品・家具・和紙製品は、ミニマルデザインやナチュラルなライフスタイルへの需要を取り込んでいるカテゴリです。旭川家具が台北の展示会に出展して現地バイヤーとの商談につなげた事例は、その典型といえます。


課題は物流です。容積が大きく、輸送費が価格に占める比率が高くなるため、価格設計の難易度が上がります。小物から入って認知をつくり、家具本体は現地の展示会や実売拠点で見せる、という段階設計が有効です。台北の松山文創園区のようなデザイン・工芸の発信拠点は、そのテスト場として使えます。


テキスタイル・染織品・アクセサリー

藍染・型染・友禅などの染物や、和紙を使ったアクセサリーは「身近に日本文化を感じられるアイテム」として20〜40代の女性層を中心に需要があります。単価が比較的低く(台湾では1点500〜3,000台湾ドル程度)、越境ECやポップアップでのテストマーケティングに向いています。


一方で、一点物が多く在庫の考え方が他カテゴリと異なること、サイズ表記や手入れ表示の対応が必要になることが実務上の壁になります。産地別の整理は日本のテキスタイル・染織品を海外で売る実務ガイドをご覧ください。


主要販路4パターンと特徴

販路は大きく4つの型に分かれます。自社の商材・リソース・目標に応じて選びます。

伝統工芸品の海外販路4パターン比較 — 現地卸・展示会・越境ECモール・自社EC

図5:販路4パターンを初期コスト・到達速度・価格決定権・顧客データ・ロット・適合商材で比較。価格決定権と顧客データは短期の売上に表れにくいが、長期のブランド構築を左右する。



パターン①:現地セレクトショップ・卸への販売

台北・台中を中心に、日本の工芸品・雑貨を扱うセレクトショップが増えています。取引条件は卸値が定価の40〜50%、初回発注量は20〜50点が目安です。


ブランドの世界観を保ちながら高感度な層にリーチできるのが強みで、関係が構築できれば継続発注につながります。反面、価格決定権と顧客データは相手側に移ります。


パターン②:展示会への出展

短期間で多数のバイヤーと接点を持てる方法です。出展コストは小規模ブースでブース代・渡航・準備費の合計100〜250万円が目安になります。


ただし「出展するだけ」では成果が出ません。事前のバイヤーアポ設定、繁体字または英語の商品資料、会期後2週間以内のフォロー体制までをセットで設計して初めて機能します。


パターン③:越境ECモール

初期投資を抑えてテストマーケティングができる選択肢です。台湾では蝦皮購物(Shopee)、momo購物網、PChomeが主要プラットフォームですが、近年は酷澎(Coupang)が急速にシェアを伸ばしており、momoのシェアは低下傾向にあります。プラットフォームの勢力図は動いているため、出店先の選定は最新の状況で判断してください。


工芸品・デザイン雑貨に特化するなら、台湾発のPinkoiが有力な選択肢になります。価格競争に巻き込まれにくく、作り手の背景を伝えやすい設計になっているためです。出店の実務はPinkoiで日本の工芸品を売る完全ガイドで解説しています。


パターン④:自社越境EC

価格決定権と顧客データの両方を自社で持てる唯一の型です。反面、集客をゼロから作る必要があり、成果が出るまでの時間はもっとも長くかかります。


すでに国内でブランドが確立している場合や、他の販路で現地の反応を確かめたあとの受け皿として位置づけるのが現実的です。


伝統工芸品の輸出で注意すべき規制・手続き

「工芸品だから規制はない」と考えられがちですが、商材によっては食品や電気製品と同じレベルの確認が必要になります。商談が進んでから発覚すると取り返しがつかないため、着手前に整理しておきます。

伝統工芸品の輸出で確認が必要な規制 — 食品接触・刃物・動植物素材

図6:輸出前に確認すべき規制の3類型。該当の有無は品目・素材・仕向地ごとに異なるため、具体的な法令名や基準値は記載していない。輸出前に通関業者または所管当局への個別確認が必要。



商材別に必要な確認事項

代表的な3類型を挙げます。

  • 食品と接触する器物(食器・漆器・急須・カトラリー):仕向地の食品接触材規制、溶出試験の要否、表示要件。国によって基準値も試験方法も異なります

  • 刃物(包丁・鋏):仕向地の刃渡り規制、輸出申告の要否、航空便での輸送可否。EU域内や一部の州で個別規制があります

  • 動植物素材を含むもの(象牙・べっ甲・特定の木材・漆):ワシントン条約の該当種か、植物検疫の対象か、木材の合法性証明が必要か


いずれも該当の有無は品目ごとに異なります。刃物の具体的な確認手順は日本の包丁を海外で売る実務ガイドで扱っています。


HSコードと関税の考え方

HSコードは商材ごとに定まる国際的な分類番号で、これによって関税率と必要書類が決まります。工芸品は素材と用途の組み合わせで分類が分かれるため、同じ「器」でも陶磁器・漆器・木製品で番号が変わります。


注意すべきは、自社の思い込みで番号を決めないことです。分類を誤ると、通関時に予定外の関税や追加書類が発生します。輸出前に通関業者または仕向地の税関で番号を確定させてください。


海外で売るためのローカライズ戦略

台湾市場で伝統工芸品を売るために最も重要なのが「ローカライズ」です。日本国内で評価されている商品をそのまま持ち込んでも、台湾の消費者の購買行動には刺さりません。


「使い方」ではなく「ライフスタイルとの接点」を語る


台湾の消費者は「これは何に使うものか」より「これを使うとどんな暮らしができるか」で購買を決めます。例えば漆器であれば「特別な日の食卓」という用途訴求ではなく、「台湾の毎日の朝食にこの器を使うとどう変わるか」という視点でコンテンツを作ることが重要です。特にInstagramでの料理・インテリアとのコーディネート写真は台湾市場で非常に効果的です。


職人のストーリーと産地情報を繁体字で丁寧に発信する


台湾の高感度消費者は「誰が、どこで、どうやって作ったか」を強く重視します。職人の顔・工房の風景・製作工程を繁体字のキャプションで丁寧に伝えることが、価格競争から抜け出す最大の武器です。「三重県産」「越前」「京都西陣」という産地名への認知も台湾では比較的高く、地域ブランドとして打ち出すことが有効です。


サイズ・カラー・パッケージのローカライズ


実際に台湾のバイヤーから受ける指摘で最も多いのが「サイズ感」「カラー展開」「ギフト包装」の3点です。日本で「ちょうどいいサイズ」の器でも台湾では「小さすぎる」と感じられることがあります。また、白・黒・ベージュ系は台湾市場でも人気ですが、慶事ギフト需要の高い台湾では赤・金・朱色の展開も重要です。パッケージは「贈り物として使えるか」が購買動機に直結するため、繁体字のラベル・のし対応・ギフトボックスは必須投資です。


海外展示会の選び方

展示会は接点を一気に作れる手段ですが、選び方を誤ると出展料と渡航費が丸ごと無駄になります。判断軸は「来場するバイヤーが自社の商材を買う立場にあるか」の一点です。


工芸品・デザイン雑貨の分野で、台湾で押さえておくべき展示会は次の2つです。


出展を決めたら、会期の6か月前には申込と補助金申請を済ませ、3か月前までに繁体字または英語の資料をそろえ、1か月前からバイヤーへのアポ取りを始めます。この逆算ができていない出展は、会期中の名刺交換で終わります。


活用できる補助金・支援制度(2026年版)

初期コストを抑えられる制度がいくつかあります。ただし制度は年度ごとに改廃されるため、申請前に必ず各制度の公募要領で最新の内容をご確認ください。以下は2026年8月時点の情報です。

伝統工芸品の海外展開に使える主な補助金の上限額・補助率・申請時期

図7:2026年8月時点の主な補助金。出典は各制度の公募要領(中小企業基盤整備機構、全国商工会連合会・日本商工会議所ほか)。制度は年度ごとに改廃され公募スケジュールも変更されるため、申請前に必ず最新の公募要領を確認のこと。



新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(グローバル枠)

2026年度に「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」が統合されて発足した制度です。グローバル枠は補助率2/3、補助上限7,000万円(賃上げ特例適用時9,000万円)で、対象経費に海外旅費や通訳翻訳費が含まれます。


重要な注意点として、対象は「海外市場開拓(輸出)に向けた国内の輸出体制強化」であり、海外現地への投資そのものは対象外です。第1回公募は2026年7月17日にスケジュールが変更され、申請受付が2026年9月30日から、応募締切が2026年10月30日18時(厳守)となっています。


伝統的工芸品産業支援補助金

経済産業大臣指定の伝統的工芸品を対象とした制度で、需要開拓事業として国内外の展示会出展が対象に含まれます。公募は例年冬に年1回行われます。制度の詳細は伝統的工芸品産業支援補助金とは?補助率・対象事業・申請の流れで解説しています。


小規模事業者持続化補助金

職人・小規模工房がもっとも使いやすい制度です。一般型・通常枠の補助上限は50万円、補助率は2/3(賃金引上げ特例を使う赤字事業者は3/4)。インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円が上乗せされ、両方を活用すると最大250万円になります。創業3年以内であれば上限200万円の創業型もあります。


第20回公募は申請受付が2026年11月5日から12月15日17時まで、商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書(様式4)の発行締切が12月4日です。様式4の取得に時間がかかるため、締切間際の着手では間に合いません。


ジェトロ TAKUMI NEXT

「日本らしさ」「匠の技」を活かした商材の海外販売を支援するジェトロのプログラムです。海外バイヤーとのオンライン商談、海外プロモーション支援、メンタリングが受けられます。2026年も実施されていますが、本年度の申込締切は2026年4月24日で終了しています。次年度を狙う場合は、事前にJapan Streetへの登録を済ませておくのが実務的です。


都道府県・市区町村の海外展示会出展補助

多くの自治体が出展費用の1/2〜2/3(上限50〜80万円程度)を補助する制度を用意しています。国の制度より審査が緩やかで採択されやすい反面、予算枠が小さく先着順のこともあるため、年度当初の確認が要ります。


制度ごとの比較と申請の実務は伝統工芸品の海外展開で活用できる補助金・支援制度2026にまとめています。


費用と期間の目安

実務でよく聞かれる相場感を整理します。商材と支援範囲によって変動しますので、目安としてご覧ください。

伝統工芸品の海外展示会出展から逆算した12か月のスケジュール

図8:海外展示会への出展を目標地点に置いた12か月の逆算スケジュール。会期は通過点であり、会期後3か月のフォローアップまでを含めて設計する。具体的な日付は展示会ごとに異なるため記載していない。



期間は、市場選定から初回バイヤー商談・代理店契約の締結まで3〜9か月が目安です。展示会を起点にする場合は、出展の6〜12か月前から準備を始めるスケジュールになります。


費用は、展示会出展を含めた初年度の総額で200〜400万円が現実的な水準です。内訳はブース代・渡航費・資料制作費・支援費用で、ここから補助金で圧縮していく形になります。Link Globalでは月額55,000円(税込)からの伴走支援プランも用意しており、まず月次の壁打ちから始めることもできます。


よくある質問


最初の一歩として何から始めればいいですか?

市場調査ではなく、自社商品が輸出できる状態かの確認から始めてください。HSコードの特定、仕向地の規制、必要な認証、生産キャパシティの4点です。ここに引っかかる要素があると、市場を選んでも先に進めません。そのうえで「誰に、何を、いくらで届けるか」を1ページに整理します。


どの国から始めるのがよいですか?

多くの場合、台湾を推奨しています。日本製品の受容性が高く、物流距離が短く、規制情報が日本語で得やすいためです。ただし市場規模は限られるため、台湾で確立した価格設計と販促手法を香港・シンガポール、その先の欧米へ持ち込む前提で設計します。単価の高い刃物や陶磁器で、すでに海外からの引き合いがある場合は欧米を先にする判断もあり得ます。


海外での販売価格はどう決めればいいですか?

現地の店頭価格から逆算します。国内出荷価格に輸送費・関税・輸入商社マージン・卸マージン・小売マージンが積み上がり、店頭価格は国内小売価格の2〜3倍になるのが一般的です。国内価格を起点に積み上げると、ほぼ確実に売れない価格になります。逆算の試算を自社で先に済ませておくことが、商談での説得力に直結します。


繁体字や英語の資料は自分で用意する必要がありますか?

商談には会社案内・商品カタログ・価格表の最低3点が必要です。台湾・香港向けは繁体字、シンガポールや欧米向けは英語で用意します。機械翻訳をそのまま使うと、技法や素材の説明が意味の通らない表現になりやすいため注意が必要です。Link Globalでは繁体字・英語の資料制作もお手伝いしています。


代理店に独占権を求められたらどうすればよいですか?

初回から無期限の独占権を与えるのは避けるのが原則です。与える場合は、対象地域とチャネルを限定し、期間を1〜2年に区切り、年間の最低購入数量を設定して、未達なら独占を解除できる条項を入れます。この設計を交渉の段階で組み立てておかないと、売れないまま権利だけ塩漬けになります。


一点物や少量生産でも海外展開できますか?

できますが、販路の選び方が変わります。同一商品を継続供給できないと、卸・代理店ルートは組みにくくなります。この場合は越境ECやギャラリー、ポップアップなど、一点物を前提とするチャネルを選びます。逆に、量産できる定番品を1〜2型つくって卸ルートの入口にし、一点物は付加価値商材として並べる設計も有効です。


初回取引までどのくらいの期間とコストがかかりますか?

市場調査から初回バイヤー商談・代理店契約の締結まで平均3〜9か月です。初年度の総コストは、展示会出展と支援費用を含めて200〜400万円が現実的な相場です。補助金を活用すれば実質負担はこれより下がります。


補助金は使えますか?

使えるケースが多くあります。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金のグローバル枠、伝統的工芸品産業支援補助金、小規模事業者持続化補助金、都道府県の展示会出展補助などが候補になります。制度は年度で改廃されるため、相談時点の公募要領で確認したうえでご案内しています。


Link Globalが選ばれる理由:伝統工芸品の海外展開実績

Link Globalは北海道東川町の旭川家具の台湾展示会支援を行い、その取り組みが北海道新聞に2度掲載されました。食器・染物・家具・観光土産品など幅広い伝統工芸品の台湾・アジア展開を支援してきた実績をもとに、「台湾でどのバイヤーにどう売るか」という実務レベルの提案が可能です。


伝統工芸品の台湾・アジア展開についてお悩みの方、まずは初回無料相談からお気軽にどうぞ。


台湾・アジアでの販路開拓を実務ベースで伴走する支援内容は、海外販路開拓支援サービスのページで詳しくご案内しています。

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