シンガポール人訪日観光客の特徴と誘客のポイント|データで読む高単価・長期滞在マーケット
- 堤浩記
- 7月26日
- 読了時間: 23分

「シンガポールの訪日観光客の特徴は?」
「シンガポールから誘客のポイントが知りたい!」
「インバウンドのために様々なデータを見ておきたい!」
今ではシンガポールからの訪日観光客は軽視できない存在になってきています。
シンガポール市場は、訪日客数の絶対規模だけを見ると東アジアの主要市場ほど大きくはありません。
しかし実務で注目すべきなのは、単純な人数よりも「1人当たり旅行支出の高さ、平均泊数の長さ、そしてリピーターの多さ」なのです。
実際にシンガポールからの訪日旅行は、定番観光地を一度巡って終わる消費ではなく、二度目、三度目の訪日で地方や体験型コンテンツへ関心が広がりやすい市場として見られています。
さらに英語が通じる環境は受け入れのハードルを下げる一方で、多民族国家ならではの食や礼拝への配慮、学校休暇に合わせた旅行需要、家族旅行とFITの違いなど、他のアジア市場とは異なる前提など注意も必要です。
そこで当ページではシンガポール人訪日観光客の基礎データや旅行者像、来訪時期や求める体験、そして誘客の実務ポイントを整理しながら分かりやすく解説していきますので、各項目を参考にしてみてください。
シンガポール市場の基礎データ

それではシンガポール市場の基礎データから解説をしていきましょう。
冒頭でも少し触れましたが、シンガポール市場は絶対数の大きさで見る市場ではありません。
人口規模は約611万人ですが、訪日経験率が高く、1人当たり旅行支出も高水準で、平均泊数も長いという特徴があります。
※ちなみにJNTOの2025年年間訪日外客数は72万6,200人で、2024年の69万1,226人からさらに増加しました。
一方で観光庁の2025年暦年(確報)では、シンガポールの一般客1人当たり旅行支出は31万9,901円、平均泊数は9.1泊というデータもあります。
つまりシンガポールは「大量送客市場」ではなく、高単価・長期滞在で地方にも波及しやすい市場として見るべきなのです。
こうしたデータ・傾向を参考しながら、どういった施策を取るべきかを練ることも大切なポイントですので、ぜひ各項目を細かくチェックしていきましょう。
シンガポールからの年間訪日客数はどのくらいか
まずはシンガポールからの年間訪日客数はどのくらいか、という部分に触れていきましょう。
JNTOの2025年12月推計値資料によると、シンガポールからの年間訪日外客数は72万6,200人で、2024年の69万1,226人から5.1%増となっています。
※訪日外客数としては巨大市場ではありませんが、2025年も年間累計で過去最高を更新した市場の一つとして注目されているのです。
さらに12月単月では14万600人と単月過去最高も記録しており、学校休暇や年末商戦の影響が強いことも読み取れます。
つまりシンガポール市場は規模こそ中堅でも、訪日需要の勢いが安定している市場として評価するのが適切であり、決して軽視できない市場として見ることができるのです。
人口約604万人の市場で、訪日客数の比率はなぜ重要か
次に人口約604万人の市場で「訪日客数の比率」が重要な理由について触れていきましょう。
シンガポール政府の公式人口統計では、2025年6月時点の総人口は611万人です。
この人口規模に対して、2025年の訪日外客数72万6,200人は、延べ人数ベースで「人口の約11.9%」に相当します。
もちろん、これは同一人物の複数回渡航を含むため、そのまま「国民の何割が来日したか」を示すわけではありません。
しかし人口規模の小さい市場でこれだけの延べ訪日数があること自体、訪日旅行の浸透度の高さを示しているでしょう。
誘客実務では総人口の大きさよりも、訪日が生活者の選択肢としてどれだけ定着しているかを見る方が重要なので、この「人口の約11.9%」という比率は非常に優れた数値だと見ることができます。
一人当たり旅行支出が高い市場としてどう見るべきか
また一人当たり旅行支出が高い市場と言う点にも注目していきましょう。
観光庁の2025年暦年(確報)によると、シンガポールの一般客1人当たり旅行支出は31万9,901円でした。
これは台湾の18万4,413円、韓国の10万5,058円、タイの20万5,246円を上回る水準です。
※しかも費目別では、シンガポール市場の買物代が10万620円と、図表上で最も高い水準として示されています。
つまりシンガポール市場は「人数は中規模でも、1人当たりの消費で地域に落ちる金額が大きい」市場と言えるのです。
地方誘客や高付加価値商品の販売を考える自治体・DMOにとって、人数だけで優先順位を下げるのはもったいない市場、それがシンガポールなのです!
【補足】平均泊数の長さは地方誘客にどう効くのか
補足として平均泊数の長さは地方誘客にどう効くのか、というテーマに触れていきましょう。
観光庁の2025年暦年(確報)では、シンガポール一般客の平均泊数は「9.1泊」でした。
これは韓国の4.0泊、台湾の6.5泊、香港の6.2泊より長く、アジア近距離市場の中ではかなり余裕のある滞在日数です。
そして平均泊数が長い市場は、東京・大阪・京都の定番周遊だけでなく、地方宿泊や体験型コンテンツを組み込みやすいという利点があります。
特に移動時間が多少長くても、「滞在に価値がある」と感じてもらえれば地方への送客余地が広がります。
シンガポール市場を地方誘客と相性が良いと見るべき理由の一つは、この滞在日数の長さにあるのです。
だからこそインバウンド対策、誘客対策・施策に力を入れることで、様々なメリットが実感できると注目されている市場なのです。
シンガポール人旅行者の特徴

ここからはシンガポール人旅行者の特徴について解説をしていきましょう。
大前提として、JNTOのシンガポール市場マーケティング戦略では、この市場を「訪日経験率が8割超と高く、リピーターの一層の拡大が進む成熟市場」と位置付けています。
※さらに旅行消費単価が高く、地方訪問意向も拡大傾向にあるとも明記されているのです。
つまりシンガポール市場は「初訪日客向けに定番観光地を紹介する」だけでは不十分!
長期滞在、リピーター、FIT、そして多民族・英語環境を踏まえて、地方・穴場・体験価値をどう翻訳するかが誘客の成否を左右すると言えるでしょう。
そして各種項目で特徴・傾向について知ることはビジネス戦略を練るうえで非常に大切なポイントですので、見逃すことなく各項目に目を通してみてください。
長期滞在・リピーターが多い成熟市場としての特徴
まずシンガポール人旅行者の特徴を挙げるならば、全体的に長期滞在・リピーターが多い「成熟市場」として見ることができます。
JNTOの市場戦略では、シンガポールは訪日経験率が8割超で、リピーター拡大が進む成熟市場とされています。
加えてJNTOの重点市場基礎調査(2024年10~12月実施)で設定された主要ターゲットでは、訪日経験が2回以上の層が「55.4%~56.7%」を占めていました。
つまりシンガポール市場では「日本に行ったことがない人」より、「何度か来ている人」に対する施策を考えることも大切なのです。
定番観光地の紹介だけでなく、再訪動機をつくる設計が必要な市場でもあることを覚えておきましょう。
FIT(個人旅行)中心だからこそ地方・穴場が刺さる理由
次にFIT(個人旅行)中心だからこそ、地方・穴場が刺さる理由が重要という点にも触れていきます。
JNTOの重点市場基礎調査では、主要ターゲットの旅行形態として個人手配が「57.2%~60.6%」を占めています。
つまりシンガポール市場は団体ツアーより、FIT(個人旅行)中心で動きやすい市場と言えるのです。
そしてFIT中心の市場では、画一的なゴールデンルートより「自分で選べる穴場、ローカル体験、テーマ性のある地方旅行」が刺さりやすい傾向があります。
※逆にいえば、地方側が英語情報や予約導線を整えていないと、せっかく関心があっても実際の訪問にはつながりにくい点に注意が必要です。
シンガポール市場の地方誘客では、「地方に関心があること」以上に、「地方へ行ける状態を作ること」が重要ですので、そういった特徴も意識しながら施策を検討することをオススメします。
定番観光地訪問済みの層に何を提案するべきか
また定番観光地訪問済みの層に何を提案するべきか、という点を深堀りしていきましょう。
JNTOのシンガポール市場マーケティング戦略は、地方訪問意向の拡大を明示しており、ターゲット別資料でも様々な層へのアプローチが示されています。
例えば家族層には「ローカルフード、フルーツ狩り、酒蔵訪問、風景、温泉・湯治、伝統工芸品」などが挙げられています。
また若年FIT層には「ローカル線、ハイキング、サイクリング、夜景、歴史ある街並み、伝統行事・祭体験」への関心が示されています。
つまり定番観光地訪問済みのシンガポール人に必要なのは、「次は北海道」程度の広い提案ではなく、地方でしかできない具体的な過ごし方なのです。
穴場という言葉だけでなく「食、自然、学び、工芸、温泉」などのテーマに落として初めて訴求力が生まれるため、具体的な魅力をアプローチできるような訴求が必要なのです。
英語対応が基本でも、多民族国家ならではの配慮が必要な場面
さらにシンガポール人訪日観光客をターゲット層とする場合、英語対応が基本でも「多民族国家ならではの配慮」が必要な場面があるという点にも触れていきます。
シンガポールは政府公式情報でも「中国系、マレー系、インド系、ユーラシアン」など複数コミュニティから成る多文化社会とされます。
※またシンガポール統計局の2020年国勢調査では、英語を最もよく使う家庭内言語とする住民が「48.3%」でした。
したがって英語で情報提供できることは大きな強みになります。
一方で多民族市場である以上「食の制約、宗教施設への配慮、家族旅行での選択肢の見せ方」など、画一的な想定では拾い切れないニーズもあります。
英語が通じるから簡単と安易に考えるのではなく、、英語を入口にしつつ、多様な背景に配慮した受け入れ設計が必要なのがシンガポール市場だということを覚えておきましょう。
ムスリム旅行者対応は全員向けではなく選択肢設計で考える
最後にムスリム旅行者対応は「全員向け」ではなく、「選択肢設計」で考えるという点にも触れておきましょう。
シンガポール統計局の2020年国勢調査では、15歳以上住民の15.6%がイスラム教徒で、マレー系住民の98.8%がムスリムでした。
つまりシンガポール市場ではムスリム対応を無視できませんが、同時に「全ての旅行者が同じ配慮を求める市場」でもありません。
重要なのは地域全体を一律にハラル化することではなく、必要な人が必要な情報にたどり着ける状態を作ることです。
たとえば「ハラル対応可否、礼拝スペースの有無、近隣の対応施設、ベジタリアンやアルコール配慮」などを英語で明示するだけでも、選ばれやすさは大きく変わります。
シンガポール市場では、全員向けの過剰対応より、選択肢設計の丁寧さが効く傾向があります。
またムスリム旅行者への対応を厚くした場合、(施設や地域によっては)それ以外の属性を持つ層が敬遠してしまうケースもあるため、どこまで対応可能かも含め「選択肢設計」を吟味する必要があるといえるでしょう。
いつ来るのか(学校休暇と旅行シーズン)

ここからはシンガポールからの訪日観光客は「いつ来るのか」というテーマで解説をしていきましょう。
シンガポール市場の訪日時期を読むうえで外せないのが、学校休暇です。
JNTOの市場戦略でも、30~40代の家族・親族旅行層に対しては、学校休暇の時期を中心とした地方誘客が重要とされています。
そしてシンガポール教育省(MOE)の2026年学暦では、3月、6月、9月、11~12月に学校休暇が設定されており、特に6月休暇と年末休暇はまとまった旅行期間になっています。
つまりシンガポール市場では「大型連休を狙う」というより、学校休暇と家族旅行需要をどう取るかで送客の山を作る考え方が有効なのです。
こういった学校休暇や旅行シーズンなどの需要をしっかりと把握しておくことは誘客視点で重要ですので、ぜひ各項目に目を通して適切な対策を行っていきましょう。
シンガポール教育省の学校休暇から訪日時期を読む
まずシンガポール教育省の学校休暇から訪日時期を読む重要性に触れていきましょう。
シンガポール教育省の2026年学暦では、学校休暇は「3月14日~22日、5月30日~6月28日、9月5日~13日、11月21日~12月31日」に設定されています。
これを見るとシンガポール市場の旅行時期は、日本側の祝日感覚とは少しズレがあり、シンガポールの教育カレンダーと家族旅行需要で動いていることが分かります。
※特に家族層を狙う自治体や観光事業者は、日本の大型連休だけを見ていてはタイミングを外してしまうことに注意しましょう。
シンガポール市場の送客設計では、まずMOEの学校休暇を年間販促カレンダーの基準に置き、その上で「気候、航空便、地域イベント」を重ねていく考え方が実務的と言えます。
この訪日時期を考慮したうえで施策を練らねば、時期がズレてせっかくの準備も空回りしてしまうリスクがあるため、タイミングをしっかり考えたうえでインバウンド施策を行っていきましょう。
6月休暇と11~12月休暇が重要な旅行シーズンな理由
次に6月休暇と11~12月休暇が重要だと言われている理由ですが、これは休暇期間が長く、家族旅行を組みやすいからです。
MOEの2026年学暦では、6月休暇が約1カ月、年末休暇が11月21日~12月31日と長く、まとまった海外旅行に向く日程になっています。
実際、JNTOの2025年12月推計値でも、シンガポール市場はスクールホリデーの影響で「12月単月過去最高の14万600人」を記録しました。
つまりシンガポール市場は「週末短期旅行を積み上げる市場」というより、長い休暇を使ってしっかり旅行する市場と見ることができます。
そのため地方誘客を狙うなら、移動距離が長くても成立しやすいこの時期に向けた提案を強めるのが合理的だと言えるでしょう。
春休み・年末年始・ピーク外需要をどう分けて考えるべきか
また春休み・年末年始・ピーク外需要をどう分けて考えるべきか、というテーマにも触れていきましょう。
シンガポール市場では「3月の短い春休み、6月の長期休暇、11~12月の年末休暇」では、適した商品が異なります。
3月や9月の短い休みは都市観光や1~2地域滞在が組みやすく、6月や年末は地方滞在や周遊、雪、温泉、家族向け体験といったボリュームのある旅程が組みやすくなります。
さらにJNTOの戦略ではピークシーズン以外での需要創出も重視されており、若年層やシニア層にはピーク外の地方誘客余地があると示されています。
したがってシンガポール市場は「家族休暇ピークを取る施策」、そして「ピーク外に単価の高い層を動かす施策」を分けて考える方が成果につながりやすいのです。
こういった需要期をわけてインバウンド対策・施策を練ることは、望む成果を得るために大切なポイントですので、需要期をわけて適切な施策を考えることをオススメします。
学校休暇と航空便の取りやすさの地方送客への影響
さらに地方送客を考える場合、学校休暇の長さだけでなく、航空便の取りやすさが重要です。
休暇が長い時期は旅行意欲が高まる一方で、人気路線や人気日程に集中しやすく、東京・大阪だけで旅程が完結してしまうケースもあります。
だからこそ地方へ送客したい場合は、到着都市から先の移動導線、そして地方空港・国内線・鉄道の接続まで含めて情報を整理する必要があります。
※JNTOのシンガポール向けフライト情報でも、シンガポールから日本への直行便は「東京、大阪、名古屋、福岡、沖縄、札幌」など複数都市へ伸びており、国内線乗り継ぎも提案されています。
学校休暇期のシンガポール市場は、行きたい気持ちは強いが「行きやすさの差で行き先が決まる市場」でもあります。
このことを考慮したうえでインバウンド対策を進めていくことが送客・誘客へつながるため、学校休暇と航空便の取りやすさを軽視せずに対策を見直してみてはどうでしょうか。
直行便就航都市の現実性を踏まえた送客設計が必要
最後に直行便就航都市の現実性を踏まえた送客設計が必要、という点にも触れていきましょう。
JNTOのシンガポール向け公式フライト案内では、2026年時点でシンガポールからの直行便は「東京(羽田・成田)、大阪(関西)、名古屋(中部)、福岡、沖縄(那覇)」が基本で、札幌(新千歳)はシンガポール航空が2026年11月30日~2027年2月28日に運航予定と案内されています。
※ちなみにScootも東京、関西、那覇などを運航しています。
つまり地方送客を考えるときは、直行便で入れる都市と「そこから国内移動で広げる地域」を分けて設計する必要があります。
シンガポール市場で地方を売るなら、「その地域に魅力があるか」だけでなく、どの入口空港からどうつなげるかまで示せるかが実務上の分かれ目です。
この部分をおさえることができれば、優れたインバウンド対策・施策が実現できるということでもあるため、移動の利便性も考慮したうえで戦略を練ることをオススメします。
何を求めて日本に来るのか(体験・食・地方の魅力など)

ここからはシンガポールからの訪日観光客は「何を求めて日本に来るのか」というテーマで解説をしていきましょう。
JNTOのシンガポール市場マーケティング戦略では、市場全体で人気の高いテーマとして「食、自然、温泉」が挙げられています。
またターゲット別資料でも「ローカルフード、フルーツ狩り、酒蔵訪問、風景、ハイキング、温泉、伝統工芸品、祭体験」など、多様な体験ニーズが示されているのです!
つまりシンガポール市場は「日本の有名観光地を見たい市場」から、「日本でどんな体験ができるかを選びたい市場」へ進んでいます。
※高単価・長期滞在市場だからこそ、買い物や移動の効率より「滞在中に何を感じられるか」が選択理由になりやすいのです。
これらを踏まえてシンガポールからの訪日観光客の需要・ニーズをしっかり満たすことができれば、抜群の集客・誘客効果に期待ができるため、各項目に目を通して適切な対策を行っていきましょう。
食・自然・温泉はなぜシンガポール市場で強いのか
まず食・自然・温泉がシンガポール市場で強い理由について触れていきましょう。
大前提として、食・自然・温泉の訴求がオススメな理由は、JNTOの公式戦略で「市場全体の人気テーマ」として明示されているからです。
※加えてターゲット別資料では、家族層にも若年FIT層にも「ローカルフード、風景、温泉・湯治への関心」が共通して見られます。
そしてシンガポールは都市国家であり、国内に広大な自然や四季の変化、温泉文化があるわけではありません。
そのため日本で味わえる「自然、気候差、温泉、土地ごとの食」は、日常との落差が大きく、旅行価値として魅力的に伝わりやすいのです。
地方誘客では単に「自然が豊か」と言うより、「何を食べ、どこで温まり、どんな景色の中で過ごせるか」まで具体化した方が刺さります。
こうした日常との落差が自然と刺さるのが強みであり、「食・自然・温泉」をはじめとする日本の文化を訴求しやすい理由でもあるのです。
高単価市場に刺さるのは「買い物」よりも「体験価値」
次に高単価市場に刺さるのは「買い物」よりも「体験価値」という点に触れていきます。
観光庁データでは、シンガポール市場の買物代は高水準ですが、高単価市場に地方が提案すべき価値は、単純な物販だけではありません。
例えばJNTO戦略が重視しているのは、先に触れたような「食、自然、温泉」を軸にした体験の組み立てです。
なぜなら定番都市での買い物は他地域でも再現しやすい一方、「果物狩り、酒蔵訪問、ローカル線旅、祭体験、雪景色、温泉滞在」のような体験は、地域固有の魅力として差別化しやすいからです。
シンガポール市場は高単価ゆえに、安売りよりも「高くても納得できる体験価値」を提案した方が成果につながりやすい、そんな市場だと考えるべきでしょう。
この部分を差別化して訴求することで利益にも大きな差が生まれますので、日本の強みをインバウンド対策として積極的に打ち出してみてはどうでしょうか。
地方の魅力は穴場としてどう翻訳するのが正解か
また地方の魅力は穴場として「どう翻訳するのが正解」か、というテーマにも触れていきましょう。
このテーマで悩む方は多いのですが、「穴場」という言葉だけでは地方の魅力は伝わりにくいものです。
シンガポール市場で地方を売るには、「(穴場は知られていないが)自分に合うテーマを叶えられる場所」として翻訳する必要があります。
※JNTOのターゲット資料にもあるような、家族層にはフルーツ狩りや酒蔵、若年FIT層にはローカル線、ハイキング、祭体験、工芸品など、関心の軸と穴場をかけ合わせるのが良いでしょう。
ちなみに地方の魅力は「東京・大阪以外」という地理の説明ではなく、「ローカルフードが深い」「自然の中で過ごせる」「工芸や歴史に触れられる」といったテーマで語る方が有効です。
穴場は場所名ではなく、体験カテゴリーとして翻訳するのが正解に近いため、表現・翻訳・訴求の方向性も含めて念入りにインバウンド対策を行うべきなのです。
長期滞在市場だからこそ広域周遊より滞在価値が重要
さらにターゲット層が長期滞在市場だからこそ、広域周遊より滞在価値が重要という点にも触れていきましょう。
シンガポール人訪日観光客の特徴として「平均泊数」が9泊前後ある市場だと聞くと、つい広域周遊を勧めたくなります。
しかし長期滞在市場だからこそ重要なのは、移動量を増やすことより、1地域でどれだけ深く過ごせるかです。
シンガポール市場はFITやリピーターが多く、単なる名所の詰め込みより、数日滞在して食、自然、温泉、文化を味わう旅の方が満足度を作りやすくなります。
※地方側としても周遊ルートの数を増やすより、1泊追加したくなる体験、朝と夜で違う魅力、天候が悪くても楽しめる代替案まで示せる方が強いです。
長期滞在市場には、広さより滞在の密度で応える発想が必要なので、地域としてのイベントなども含めてインバウンド対策・施策を検討してみるのも良いでしょう。
訪日前期待と現地満足を分けて見ると打ち手が変わる
最後に訪日前期待と現地満足を分けて見ると打ち手が変わる、という点にも触れていきましょう。
訪日前に惹かれるテーマと、現地で満足を左右する要素は必ずしも同じではありません。
JNTO戦略では、訪日前の訴求軸として食、自然、温泉が強い一方、家族層には学校休暇への合わせ方、若年FIT層にはピーク外需要や個人手配への対応、さらに地方誘客のための情報提供が重要とされています。
つまり集客段階では魅力を夢として見せ、現地では「英語導線、移動、予約、食の選択肢、礼拝対応」などの現実面で満足を担保する必要があります。
シンガポール市場は期待値が高い分、現地での受け皿の精度が満足度を大きく左右するものです!
だからこそ打ち手を考えるときは、来たくなる理由と来てよかった理由を分けて設計した方がよいとおぼえておきましょう。
誘客の実務ポイント

ここからは誘客の実務ポイントについて解説をしていきます。
シンガポール市場の実務で重要なのは、汎用的なインバウンド施策をそのまま当てはめないことです。
JNTOのシンガポール市場戦略では家族層には旅行会社との連携、若年FIT層にはBtoCやBtoBtoCの取組、そして市場全体のチャネルとして「WEB・SNS、旅行博・イベント、旅行会社招請、メディア・インフルエンサー招請」などが挙げられています。
つまりシンガポール市場では、単に英語で発信するだけでなく、「どの層に、どの窓口から、どんなテーマで届けるか」の設計が必要なのです。
それら重要なポイントを把握しておけば適切な戦略を練ることができ、適切な施策・対策からの成果に期待ができるため、各項目をチェックしつつ実務に活かしていきましょう。
現地旅行会社・OTAと、どんなテーマで組むべきか
まず現地旅行会社・OTAと、どんなテーマで組むべきかについて触れていきましょう。
もし旅行会社やOTAと組むなら、単なる宿泊商品ではなく、学校休暇に売りやすい家族向け商品、また高単価層向けの体験商品として練り上げた「テーマ」を持つことが大切です。
例えばJNTO戦略では、家族層について「相対的に個人手配の割合が低く、旅行会社との連携も重視」と明記されています。
一方で、若年FIT層には個人手配が多く「BtoC/BtoBtoC」の取組が重要とされています。
つまり全てをOTA一本で解決するのではなく、家族市場は旅行会社、若年層はOTAやWEB、富裕層は特別感のある滞在商品といった形でチャネル別にテーマを変えるのがシンガポール市場では有効なのです。
こういった「テーマ」で組む、取引先とスムーズにやり取りをすることはインバウンド対策の中でも重要なポイントですので、誘客の実務を考える場合にはぜひ意識してみてください。
FAMトリップはシンガポール市場でどんな相手を招くと効果的か
またFAMトリップはシンガポール市場でどんな相手を招くと効果的か、という点にも触れていきましょう。
FAMトリップを組むなら、誰を招くかで成果は大きく変わります。
シンガポール市場では、家族旅行を扱える旅行会社担当者、英語圏向けに地方の魅力を発信できるメディア・インフルエンサー、そして高単価商品を扱える旅行デザイナー層が有力です。
※JNTOのターゲット別施策でも「旅行会社招請、メディア招請、インフルエンサー招請」が明確に整理されています。
ここで重要なのは相手に何を見せるかより、相手がどの顧客へ売る立場かを踏まえて行程を設計することです。
家族向けならアクセスや食の安心感、FIT向けなら穴場体験、高単価層向けなら宿と体験の質を体感させる必要があると言えるでしょう。
またFAMトリップについては当ブログの下記のページにて詳しく解説をしていますので、より優れたインバウンド対策を行っていきたい方は、ぜひあわせて目を通してみてください。
英語情報発信は最低条件、その先で差がつくポイントとは
さらに英語情報発信は最低条件という点にも触れておきましょう。
意外と軽視する人もいるのですが、シンガポール市場では英語発信はもはや差別化ではなく「最低条件」です。
統計局の国勢調査では、英語を最もよく使う家庭内言語とする住民が48.3%に達しています。
だからこそ英語での情報発信が必要なのですが、英語でページを作るだけでは十分とは言えません。
ここで差がつくのは「予約導線が分かる、アクセスが現実的に読める、ムスリム対応や食の選択肢が明示されている」などの「行ける理由」が整っているかどうかです。
※他にも「学校休暇に合わせたモデル滞在がある」なども大切なポイントでしょう。
シンガポール市場では英語対応の有無より、英語でどこまで不安を解消できるかが選ばれるポイントになります。
この部分をしっかりと重要視してインバウンド対策をしていくことで、結果に大きな差が生まれますので、英語として自然なことはもちろん、魅力的なポイントや安心できる材料をしっかりと訴求していきましょう。
【補足】高単価・長期滞在市場に向けた体験コンテンツ造成の考え方
補足として高単価・長期滞在市場に向けた「体験コンテンツ造成の考え方」についても掘り下げておきましょう。
高単価・長期滞在市場に向けては、単発の観光素材を並べるより、滞在全体の価値を高める体験設計が必要です。
※繰り返しになりますが、JNTO戦略では「食、自然、温泉」を軸にしつつ、年代や属性ごとに関心の高いコンテンツを組み合わせるとされています。
・家族層ならフルーツ狩り+温泉+地域食
・若年FIT層ならローカル線+歴史的街並み+祭体験
・高所得層なら上質な宿+食+自然体験
上記は一例ですが、地域の強みを活かしつつ、それでいてシンガポール人訪日観光客に刺さるような体験コンテンツを造成、というような組み立てが理想的でしょう。
短期滞在がメインの市場と違い、長期滞在市場は日程に余白がある分、体験の密度で勝負することが可能です。
ここで重要なのは単に「できること」が多い地域ではなく、数日滞在しても飽きない組み合わせを見せられる地域になることでので、インバウンド対策としてコンテンツ造成に本気で取り組んでみることをオススメします。
シンガポール人訪日観光客はデータを活かした対策が重要

今回はシンガポール人訪日観光客の特徴と誘客ポイントについて、様々な視点で解説をしてきました。
繰り返しになりますが、シンガポール市場を考えるときに大切なのは、「英語が通じるから扱いやすい市場」と単純化しないことです。
実際には高単価で長期滞在しやすい成熟市場であり、定番観光地を訪問済みのリピーターが多く、地方ならではの体験や「食、自然、温泉」、また工芸などのテーマ性のある提案ほど刺さりやすい特徴があります。
さらに学校休暇に需要が集中しやすいこと、多民族国家であるがゆえに食や礼拝環境の選択肢提示が有効であること、そして旅行会社・OTA・英語情報発信・FAMトリップを市場特性に合わせて使い分ける必要があることも見逃せません。
つまりシンガポール向け誘客では、単に有名観光地を英語で紹介するだけでは足りず、「誰に、どの時期に、どんな滞在価値を届けるか」を設計することが成果を左右します。
もしそのあたりに不安を感じている方、中々手が回らずに悩んでいる方は、弊社Link Globalまで気軽にご相談ください。
海外販路開拓やインバウンド支援で「累計100社以上・10カ国以上」の支援実績がある弊社が、シンガポール人訪日観光客の誘客をサポートいたします。
弊社のような市場理解から商品設計、場合によっては現地連携までサポート可能な支援先を上手に活用することで、当ページで解説してきたような内容を「実際の誘客施策」へ落とし込みやすくなります。
本気で結果を出したいとお悩みの方、現状を打破したいとお悩みの方なども、是非弊社まで気軽にご相談ください。




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